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プロフィール
コメント数 73
性別 男性
自己紹介 映画をいっぱい観るようになったのは、大学生になってから。
映画を創作できること自体とてもすごいことだと思うので、
なるべく誠意のあるレビューを書こうと思っています。
好きな映画のレビューだけ書こうと思っていたのですが、
ちょっと個性が埋没してしまいそうなので、おいおい酷評も
入れちゃおう。

☆好きな監督☆

黒澤 明
山中貞雄
溝口健二
エルンスト・ルビッチ
フランク・キャプラ
ビリー・ワイルダー
アルフレッド・ヒッチコック
ミロス・フォアマン
チャン・イーモウ

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【製作年 : 1960年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
評価順1
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1.  ハスラー 《ネタバレ》 ジャズ音楽に乗せて描かれるハスラーの世界。この裏社会では、人は生身の人間のままで生きて行くことは許されず、常にある種の「仮面」で自分自身を覆いかぶせることを宿命づけられてしまうのでしょう。ギャンブラーの持つ独特のクールさ、渋さ、格好良さは、むしろ、この「仮面」がもたらす非人間的なものに起因しているのかも知れません。ミネソタファッツとの死闘、サラとの恋、そして死別。挫折と苦悩を味わい、卓越した才能がありながらも、この「仮面」を持ち得なかったエディ。結局は闇から闇へと葬られてしまうことになるのですが、最後に残した「おまえこそ落後者だ」というこの一言こそが、まさにこの映画の真意でしょう。ギャンブラーの持つ「仮面」には確かに魅惑があります。そしてこれを身に付けた男は、渋く、クールで、格好良い。しかし、エディの最後の一言によって、この「仮面」は見事におとしめられることになり、逆に裏社会の不条理さが如実に浮かび上がってきます。これによってこの映画は社会派ドラマの様相をも呈し、さらに、この一言によって、非人間的な「仮面」を持ち得なかったエディこそが真の勝利者となり、見事なヒューマンドラマに仕上がっています。この「仮面」を徹底的に否定し死を選んだサラ、この「仮面」の持つ不条理さを理解しつつも闇の世界に留まり続けたミネソタファッツ。三者三様の生き様を哀れみを持って描いた秀作ドラマ。 実に奥が深く、その意味では『ハスラー2』はジャンルすら継承していないように思います。8点(2004-05-15 13:18:09)

2.  十三人の刺客(1963) 東映のいわゆる「集団抗争時代劇」なのですが、この「集団抗争時代劇」という呼び方は何とかならないものかといつも思ってしまいます。なんだかヘンテコな呼び方で、おまけに意味がよく分かりません。なんだってこんなややこしい名前をつけたんだろう。もう少しスマートな名前を付けてもらいたかったと常々思っています。と、苦情はこの辺にして、呼び方はともかく、この映画、とても面白い秀作。お勧めの一品です。どうしても豪華キャストに目が行ってしまいますが、キャストのポイントで言えば、重要なのは明石藩主松平左兵衛斉韶の見事な悪役ぶりでしょう。菅貫太郎が演じるこの暴君の傍若無人な立ち振る舞い、憎らしい目付き。こいつを何とか懲らしめてやりたい。こんなやつは生かしておくな。と、思った瞬間に、観ているものは本作に取り憑かれることになります。観ているものが、こやつを憎らしいと思えば思うほど、当然プロットに力が出てきますし、逆にそう思わせなければ、ここで描かれる武士道や面目、それに対するシニカルなメッセージがとても弱いものになってしまいます。時代劇にはとんでもない悪役を無理なく設定できるという大きな利点があり、悪役の存在意義は他のジャンルに比べて極めて大きいと言えるのではないでしょうか。その意味で、本作における菅貫太郎の見事な芝居の功績は大だと思います。前半に見せるキャメラワークも秀逸。特に構図が素晴らしく、低く構えたキャメラは座敷をほぼ左右対称に切り取っていきます。このびっくりするほど左右対称な画面が生み出す様式美は一見の価値ありです。『七人の侍』などと比較されることもしばしばですが、この情緒は黒澤作品のキャメラ演出にはないものだと思います。また、奥行き重視のようで、襖などを必ずナメていくあたり、路地を突き当りまでしっかりととらえるロングなどにも確かな作家性を感じました。途中、若干、話を急ぎ過ぎた感があって、少しサスペンス性が削がれた感じもしますが、ラストの大殺陣で不満解消。さすが「集団抗争時代劇」の代表作ですね(笑)。8点(2004-04-08 22:15:27)(良:4票)

3.  飢餓海峡 《ネタバレ》 リアリズムを基調とした、真の太い重厚な人間ドラマに仕上がっていて、まさに脱帽といった感じでしょうか。レリーフ処理でサスペンスを盛り上げるあたりも手抜きがないのですが、何と言っても、八重が東京に出てきたところで映し出される戦後闇市の風俗描写が秀逸です。特に、八重が客引きをしていて捕まりそうになり、店に逃げ帰ってくるシーケンスでのロングカットが印象的。高い位置から空を飛ぶような俯瞰の移動によって、切迫した緊張感が漂い、素晴らしいリアリティを生んでいます。また、三国連太郎演ずる犬飼が握り飯をガツガツと貪り食う生命力に満ちたカットも素晴らしい。物に飢えた人間の凄まじい有様。これらを泥臭いまでに表現した、ズシリと重い映像の数々がこの映画の性格そのものといえるでしょう。戦後日本の物質的な「飢え」。ただ、この映画の「飢餓」とは、こうした物質的な「飢え」ではなく、心の「飢え」のこと。嘘が嘘を呼び、嘘を嘘で塗り固めなければならない男の悲劇。嘘をつくのは相手を信じることができないからでしょう。解ってもらえないという、この心的な「飢え」によって、警察はもちろん、世間も、そして自分を信じてくれる人さえも信じることができなくなる。到底、愛情に気付くはずもなく、滅びの道を突き進むことになります。もしも、この心的な「飢え」が、戦争による物質的な「飢え」によってもたらされたものであると考えれば、この映画は完全に反戦映画としての様相を呈してきます。しかし、ラストで犬飼が真実の全てを闇に葬り去った瞬間、観ているものは思わずそこに立ち往生してしまい、何が真実なのか、事の真相が解らなくなってしまうのではないでしょうか。そして犬飼と同じように登場人物の全てを信じられなくなるような思いに一瞬かられるのではないでしょうか。解ってもらえない、人を信じることができないという、心的な「飢え」は、決して物質的な「飢え」によってのみもたらされるものではなく、そもそも人間の業のような気がします。戦争や物質的な「飢え」を知らない自分にもこうした心的な「飢え」が確かにあるのです。人が人を完全に信じることは難しい。それでも人は人を信じずには生きていけない。衝撃のラストは、この人間の業を一瞬にして語らしめる見事な幕引きだと感じました。傑作です。9点(2004-04-06 00:34:09)(良:1票)

4.  椿三十郎(1962) 《ネタバレ》 "三十郎でもう一本"と、『用心棒』の続編として製作された映画ですが、決して二番煎じなどではなく、ストーリー展開の面白さでは、むしろこちらに軍配を上げたくなってしまいます。特に喜劇性は黒澤作品でも随一でしょう。三十郎の後をぞろぞろと付いて回る若侍の滑稽な青二才ぶり。奥方とその娘が醸し出す、あまりにも場違いでのんびりとした雰囲気。囚われの身であるはずの”押し入れの中の男”のおかしさ!。そしてやっと姿を見せてくれた城代家老は、なんと”馬顔”。冒頭で登場人物を巧みに紹介して行くプロットは『用心棒』さながらですが、若侍の仲間割れや山門のない寺の嘘バレなどの用意された困難が、これまた本当に面白い。一難さってまた一難。最後まで観るものを離さない巧妙なストーリー。そしてついに捕われた三十郎が最後で見せた一発逆転のアイデア!大目付けの菊井が牢屋に入れられて、めでたしめでたし。ところが、黒澤監督はここでキャメラを止めません。「とても筆では書けない」とシナリオされた第二のラスト。壮絶な戦いの後に訪れるなんとも言えない虚しさ。勝者敗者に関係なく、戦いの無常観を覆いかぶせ、全てを承知しながらも、宿命を生きていかなければならない男の姿をあぶり出す。これが黒澤の「侍」映画であり、黒澤のヒューマニティ。多くの人にお勧めできる一品だと思います。9点(2004-03-04 21:18:49)

5.  赤ひげ 完成度と言う点においては黒澤作品でも屈指だと思います。エピソードがてんこ盛りでテーマが散乱してしまいそうな感じがしますが、構成のバランスがいいので気になりません。むしろ、それぞれのエピソードが一貫したヒューマニズムによってつなぎ止められ、お互いに共鳴し合っているところがとてもいいです。映画の中で語られる人と人とのふれあいそのままに、それぞれのエピソードが意識の中で絡み合っていく雰囲気が素晴らしい。原作も秀作ですが、本作はその原作に映画的な「躍動感」をうまく加えています。保本が狂女に襲われるシーンはもちろん、六助の臨終シーンという、人の死からさえも「躍動感」を受け取ることが出来るのは不思議。特筆すべきは、おとよが保本を看病するシーン。台詞もなく、テーマ曲と映像だけで詩的にあくまでも静かに表現しながらも、おとよの激しく揺れる心情が見事に盛り込まれています。まさに静の中に動を描いた黒澤映画の中でも選りすぐりの名シーンと言えるのではないでしょうか。三船の存在感も相変わらずで、ここまでくると凄まじいくらいです。結果的に本作は三船が出演した最後の黒澤作品となってしまいますが、黒澤監督が『赤ひげ』以前と以後に分けて評価されることが多いのは周知の事実。黒澤・三船の集大成とも言えるのが本作で、これ以後、黒澤監督は英雄を描き切れなかったという気がします。9点(2004-02-05 22:12:27)(良:1票)

6.  サイコ(1960) 《ネタバレ》 精神異常犯罪というテーマをここまで掘り下げて、サスペンススリラーに料理してしまう手腕はすごいですね。映画史的には、このテーマを内包した作品はこれ以前にもあったと思いますが、この作品の後、サイコスリラーが量産されたことを考えると、その価値の高さも納得です。使い古されたという感もしなくはないですが、それだけ多くの映画人がこのテーマを描いてきた証拠でしょう。シャワーシーンに顕著に示されるように、ヒッチ監督の見事なモンタージュがこの作品でも効果絶大です。カットを細かく割って、テンポを上げていく手法もありますが、この作品ではむしろ逆です。細かいカットをつないでいきながら、時間は経過させない。キャメラを何度も何度も似たポジションに戻す短いショットの連続。まるでスローモーションのように時間を長く感じさせて緊張感を出していきます。構成もいいです。主人公が死ぬわけないと考えて、安心しているところでシャワーシーンですから、「えっ。死んじゃったの?」って感じで、やっと主人公すら取り違えていたことに気付く。こんな調子ですから、最後の最後まで安心はできないというテンションが持続していきます。ノーマン・ベイツを演じたアンソニーパーキンスも名演で、テーマの先見性に目がいきがちですが、これらの「演出された」恐怖がなければ、金字塔どころか、時代に埋もれていた可能性も否定できないでしょう。もっともスリラーとは往々にしてそうゆうものなのかも知れませんが。8点(2004-02-01 11:29:44)(良:2票)

7.  明日に向って撃て! 《ネタバレ》 ブッチとキッド、ニューシネマを代表する二人のキャラクターにはやっぱりひかれてしまいます。反体制的な若者の映画ですが、実はキッドは泳げないし、ブッチは人を撃ったことがない。ギャングという犯罪者であり、破天荒な二人ながら、弱さ、滑稽さを同時に持った彼等にはついつい共鳴していってしまいます。「おれは実は人を撃ったことがねーんだ」「そりゃ、ありがたいお言葉だ」なんてカッコ良い台詞の数々はゴールドマンの功績でしょうか。二人の素性は最後の最後まで完全には明かされず、こうした気の利いた台詞のベールでうまくかわしていきます。ラストはいろいろな選択肢があったと思いますが、二人を正面から捉えた静止画で止めたことで、エッタの「あなたたち二人の死ぬところは見ませんからね」を実現し、彼等を永遠の存在へと変えていきます。冒頭のブッチが銀行の下見をする場面は、セピア調で情緒があるにもかかわらず、引きの画をさけて大胆にカットを割り、ファーストシークエンスとしては最高の出来。一気に作品に引き込む見事な導入部です。ニューシネマの作品群では特にお気に入りの一品です。8点(2004-01-18 18:00:25)(良:3票)

8.  大脱走 バーンスタインの「大脱走マーチ」は、軽快な作品のテンポそのもので印象的です。マックイーンが繰り返し独房に入る「反復」のおかしさに象徴されるように、脱走をある種のゲームのように見せているところが独特です。史実に基づいた映画ですが、単なるエピソードの羅列ではなく、見せ方も実にエンターテイメント。特に、脱走後の逃亡劇で、ちりぢりになった各々を時間を平行させて追っていくあたりはワクワクもので、ネタバレにも十分耐え得る出来です。悲劇もありますが、描写は深入りせずといったところで、どちらかと言うとそこに感情移入している時間はあまりない印象です。むしろ、脱走の為に見せるチームワーク、そして何より、失敗はつきものだ、また次があるさ、といった「懲りない面々」の前向きな姿勢によって魅了される映画でしょう。ラストでマックイーンが独房に向かうところで「お帰りなさい」と迎えられます。この映画でのマックイーンは際立ってカッコいい。なぜなら、彼こそが誰よりも「懲りてないやつ」だから。9点(2004-01-14 23:20:06)(良:5票)

9.  あなただけ今晩は 《ネタバレ》 緑のストッキング、警官の制服、鏡、子犬にいたるまでの効果的な小道具の扱いはさすがの一言。さらにジャックレモンがこっそり市場で働く場面は、台詞を一切使わず、映像だけで面白おかしく表現していて秀逸です。いわばチャップリン喜劇のような無声映画時代のドタバタコメディの臭いを感じさせる演出ですが、ストーリーのドタバタぶりも半端じゃないです。レモンがX卿を演じるあたりから、わくわくするような展開が続きますが、正体を最後までシャーリーマクレインに明かさなかったところがポイントです。これを避けたことでドタバタぶりはどんどんエスカレートして行き、無理な設定を笑いで押し通して行くことになって行きます。最後にはワイルダー自身も収集がつけられなくなってしまったようで、X卿を教会で出現させるラストは、まさにそんなワイルダーの照れ笑いが聞こえてきそうなシーンになっています。『アパートの鍵貸します』と同様に、お互いが全てを知った上でのハッピーエンドも考えられたはずで、そちらの方が収まりはよかったとも思いますが、これはこれで面白いから良しとしましょう。どうしても『アパートの鍵貸します』と比べたくなりますが、こちらはかなり喜劇に偏った、似て非なる作品です。 8点(2004-01-11 16:17:24)

10.  アパートの鍵貸します アパートの鍵が示す自己と役員用トイレの鍵が示す世俗的な欲望、物語を省略する壊れたコンパクトなど、巧みな小道具の扱いはまさにワイルダーのお家芸で、本作でもやはり大きな見どころの一つでしょう。おそらくは多くの監督や脚本家がワイルダーの豊富なボキャブラリィを羨ましく思っているに違いありません。ジャックレモンとシャーリーマクレインも素敵です。特にジャックレモンは、気弱さと庶民性を巧みに強調することで、少々急展開とも言える結末にも関わらず、作品になんとかリアリティを保たせて、現実感を与えることに貢献しています。ハッピーエンドなコメディにも関わらずなぜか時折漂う物悲しさ、哀愁はまさにこの現実感によるもの。「仕掛け」の多いシナリオに飲み込まれなかったジャックレモンに拍手です。 9点(2004-01-06 23:06:35)(良:1票)

11.  天国と地獄 《ネタバレ》 物語は人質を救い出すまでと、その後に犯人を追いつめていく過程とに分けることができますが、後半の「犯人に死刑を」という捜査官の異様なまでの執念は、誘拐という罪に対する量刑の軽さに抗議するとともに、犯罪を徹底的に処断するという黒澤監督自身の執念の現れでしょう。犯人を泳がせて犯行を再現させるという、いささか強引で不自然な展開はこの執念によって生み出され、ついには「これで貴様は死刑だ」という台詞にまで踏み込んでいきます。全編に渡ってパンフォーカスが駆使されていて、特に権藤邸のシーケンスにおいて、同情する警部や思惑を持った権藤の秘書など、台詞を語る人物以外の表情を同時に映し出すことで観客の感情をかき立てていきます。ラストシーンで犯罪者と権藤を対面させ、動機を語らせますが、ここでも犯罪に対する同情的な眼差しは一切ありません。わめきちらす犯人を鉄格子を降ろして突き放します。著作『蝦蟇の油』の中で黒澤監督は「犯罪者を生み出したのは社会の欠陥だとする理論には一面の真理はあるにしても、それを根拠に犯罪者を弁護するのは社会の中で犯罪に走らずに生きる人達を無視した、詭弁に過ぎない」と語っていますが、この映画はまさにこの考え方をそのまま映像化した作品と言えるのではないでしょうか。8点(2003-12-31 02:52:03)(良:2票)

12.  穴(1960) 《ネタバレ》 映画音楽というものが徹底的に排除されているにも関わらず、ここまで緊張感を出せるとは驚きました。穴を掘る音、看守の足音といったものが、妙に強調されて耳に残ります。そして穴を掘り終えてマンホールから囚人の一人が顔を出すところでの都会の雑音。刑務所の内と外での音の対比に思わずはっとしました。8点(2003-10-17 22:59:37)(良:2票)

13.  切腹 《ネタバレ》 社会派の印象が強い小林監督の初の時代劇です。時代劇という形をとっていますが、主題はいわゆる形式や権威などといった”うわべ”に固執するのではなく、家族への愛情といった普遍的な価値観を説くという、まさに社会派そのものです。主人公である津雲半四郎の回想を通して、ある若い浪人への観客の感情が徐々に変えられていき、最後には180度転換します。これほどまでに回想という手法が効果的に使用されている脚本には滅多にお目にかかれないと思われるほど、ストーリー展開は見事です。その綿密な脚本によってあまりにも主題が明確かつ強烈に印象付けられるため、時代劇の象徴というべき立ち回りのシーケンスがむしろ自分にはサービスカットに見えてしまうほどでした。竹刀での切腹シーンは非常にインパクトがあります。もちろん竹刀で腹を切るというシーケンスはこの作品において重要な意味を持っています。また、この直接的で残酷な表現によって、悲劇性が強調され、観客がよりいっそう主人公に感情移入していくという効果をあげているのも事実です。ただ、この作品は大好きで何度も繰り返し観ているのですが、最近、この竹刀での切腹シーンはここまで直接的に表現する必要があったのか?という印象も持つようになっています。10点(2003-10-17 00:56:53)(良:2票)

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