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【製作年 : 2000年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
1. 時をかける少女(2006) 《ネタバレ》 「待ってられない未来がある」というコピーに恥ずかしながらヤラレた。。過去の作品も含めて全く内容は知らなかった けれど、このコピーのおかげで見に行った。確かに。待ってられない! で、観た感想は、割とさらっとしててさわやか。そう、高校時代って「とりあえず大きくなったけど、これから何したら いいのかわかんない」という漠然とした未来への不安感とワクワク感がある。無限大の可能性を持てあます贅沢!そういうのが 滲み出ているのが良かった。あと、人の微妙な想いに揺れ動いたり、反対に人はこっちをどう想ってるのか、クヨクヨ悩んだり ・・・いいなぁ。2者間のドキドキ攻防戦!そして何より、高校時代は全てのことが新鮮だし、全てのことに真剣。 まっすぐな主人公たちが輝いていた。演出面でも、あんまり泣かせようとか胸キュンさせようとかせず、上品な感じだった。 音楽もとても良かったし、夏の高校の感じも臨場感があった。キャラクターの作画もさわやか。 唯一、映画の後半、タイムリープという不思議な力の出所について語られ始めるが、これは私はなくても良いかもと 思ってしまった(原作にあるのかも知れないけど・・)。素直に不思議なエピソードにした方が、よりすっきりしたかな思う。でも、それを差し引いてもさわやかでいい映画だった。[映画館(邦画)] 8点(2006-08-13 21:45:37)(良:2票) 《改行有》 2. 蝋人形の館 《ネタバレ》 典型的なホラー映画。この映画を構成する要素といったら、”若い男女数人がいちゃいちゃ”+”高台にある古い家”+”幼い頃のトラウマ”という、見事なまでのパクりっぷり。『サイコ』+『13日の金曜日』。ところが映画全体のレベルはなかなかで、飽きさせなかった。ホラーというと恐ろしいまでに低予算で見てられない映画がたくさんあるが、この映画はお金がかかっていてまだ鑑賞に堪える。しかしこれといって突き抜けたところもなく予定調和な出来という、滅多に実現することのできないバランス感覚だった。演出は、ラスト付近の過剰な演出はイライラするが(双子の赤ちゃんの蝋人形をナイフでまっぷたつにするとか)、楽しませようという心意気は感じられた。人間を蝋人形にしちゃうという怖さと、結局みんな溶けてしまうという「破滅の美学」のおかげで後味すっきり。こんな微妙なホラー映画、貴重だと思う。 [DVD(字幕)] 7点(2006-06-03 02:42:11)《改行有》 3. ブロークバック・マウンテン 《ネタバレ》 カウボーイの男同士の物語ではあるが、やはりどうしても違和感を覚えてしまう。最後までその違和感は取れることはなかった。ただし、様々な逆境を超えた愛というのか、相手を想う気持ちの強さは心を打つものがあった。ただ、ただ、相手が愛おしくてどうしようもない、その一心で妻も子どもも擲ってしまう・・・そんな不器用な男の物語。 特に派手な演出もなく素朴な感じではあるが、それだけに2人の想いが引き立つ。文学的な「間」を大事にされていた。ラスト近く、主人公がクローゼットから袖口に血の付いた服を発見した時・・・号泣。会えないからこそ、会ったときの思い出が鮮烈に蘇る。[映画館(字幕)] 7点(2006-03-19 01:13:05)《改行有》 4. タナカヒロシのすべて 主人公・タナカヒロシは平凡な生活を送る32歳独身。セリフは最低限しか吐かず、態度も一般的。まさに「観客の感情移入先はこちらです」と案内されているようなものだ。まんまと思いっきり感情移入させられた。で、ストーリーが進むにつれ、それまで空気のようだった周りの環境がガラガラと音を立てて崩れ始める・・・。誰しもが直面するだろう”ちょっと不安だけどあまり考えたくない”未来を赤裸々に描いていて、どきどきした。やがて人は孤独になっていく・・・なんかタイムテレビで未来の自分を見せられた気分になった。主人公が最後の砦であるネコを必死で守ろうとするのもまた切ない。彼にとっては、ネコが心の最終ラインだったのだろう。自分にとっての最終ラインは何だろう?と考えてしまう。ラストはとってもさわやか。あと、脇役が豪華でびっくりした。監督のセンスのおかげか、いいところをそろえている。久しぶりにキラリと光る小品だった。[DVD(字幕)] 7点(2005-12-11 00:36:31) 5. バタフライ・エフェクト/劇場公開版 《ネタバレ》 『世にも奇妙な物語』の拡大版みたいな不思議なお話だが、いろいろな伏線が美しいまでにきれいに回収されていく様はカタルシス。一回も眠くならなかった。藤子・F・不二雄テイストが満載で、私はとても好きだった(『未来の思い出』という話によく似ていた)。過去を変えて誰かを救うと、誰かがひどい目に遭ってしまうというのも面白い。これを観ていて、「人間って自分だけじゃなくて他の人も救いたいと思うのが自然なんだな」と素直に感じられた。それにしても、あんなに簡単に日記読むだけで過去が変えられるなら、明日からでも日記つけたい。あと、アシュトン・カッチャーかっこいい。あんまり特徴無いけど、シンプルな機能美って感じ。[DVD(字幕)] 8点(2005-10-30 00:15:57) 6. サイドウェイ 《ネタバレ》 この監督、まだ若いのに皮肉っぽくて、それでいてセンチメンタルな作風で好きだ。細かな人間観察が上手で、それでいてキャラクターを捨てない(まるっきり思いこみなマンガ的性格描写をせず、よりリアルな性格を描く)ところがいい。主人公の男2人、ちょっと強調して描いてはいるけれど、なんとリアルなことか(特にダメ男の方)。男って、もともと本音はこんな感じ(ダメ男みたいな性格)だと思う。この2人の友情が熱い。特に本能男の忘れてきてしまった大事な財布をダメ男が取ってくるところとか、微笑ましい。本能男もなんだかんだで情に厚くて、なんかいいやつだなぁ。この2人の描写は、もしかしたら男しか本心からの共感はできないかもしれないが、とても良かった。演出もあだち充みたいな雰囲気があって好みだった。 [DVD(字幕)] 9点(2005-07-30 03:20:04)《改行有》 7. スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐 《ネタバレ》 なんだかファンムービーになっていて、旧3部作のようなロマンも壮大さもなかったです。ファンが観たかった映像をただ作っただけという感じでした。魅力あるキャラクターもいないし、驚愕の展開もない。エピソード4への辻褄合わせになっていて、ぎくしゃくしてました。確かにCGは大幅にレベルアップしていてすごかった。ディテールにこだわりを感じます。ライトセーバーの戦いも最高級。ただ、ヨーダvs.皇帝とか、やっちゃいけない気がします。確かに満足はしたけれど、一気に下品になりました。映画自体が「ファンの期待に応えよう」としてダークサイドに落ちています。残念。[映画館(字幕)] 6点(2005-07-17 13:06:58)(笑:2票) (良:1票) 8. 宇宙戦争(2005) 《ネタバレ》 途中までは良かった。突如始まった理不尽な攻撃からただ逃げる恐怖、パニックになった人々の恐怖がリアルに描かれていた。本当に怖い。宇宙人よりも人間のパニック行動の方がよほど恐怖だ。冷たい演出+ダコタ・ファニングの名演技もあって、鳥肌が立った(ただ、この子は大人になったら落ちぶれちゃうかもなぁ、すでに老け顔だもんなぁと観てる間に思った)。特に前半の宇宙人襲来シーンは人間が無感情に次々とやられていき、”夢と希望のスピルバーグはどこへ??”とあっけにとられていた。 でも、ラストがグダグダ。どうしても人間、というかアメリカが勝たなければいけないのか。スピルバーグ監督久々の駄作。『ジュラシック・パーク2』以来だと思う。原作と違うオチにするくらいの気概を見せて欲しかった。 [映画館(字幕)] 7点(2005-07-04 00:56:01)(良:1票) 《改行有》 9. バットマン ビギンズ バットマン史上、最もダークかもしれない。両親が殺されたトラウマ、根本的な恐怖が全編に渡って通奏低音となっていて、震えた。”悪”と対峙する主人公が描かれていて、ただのヒーローものに終わらないドラマがあった。悪を知るには悪になる。人は、理解できないものを恐れる。これらのテーマがしっかりしていてヒーローが魅力的になった。悪役の精神科医がこれまた本当に悪そうで、あのマスク本気で怖い。ラストまでド派手なアクションが持続し、車などの小ネタもちりばめて飽きさせない。音楽も地味ながらハンス・ジマーの悲しげなメロディーが盛り上げる。最大の魅力だったのが、幼なじみのレイチェル(ケイティ・ホームズ)。これがまたかわいい。どことなく陰があって、思い詰めた感じ。「人間は中身より行動で見られるのよ」とか、吐く台詞も辛抱ならん!毒ガスを食らったレイチェルを車で助けるシーンはたまらなかった。ストーリーでは”ダークヒーローはヒロインとうまくいってはいけない”という鉄則をしっかり守ってブルースとすれ違うが、ラストで一気に泣かされた。面と向かって、あんなセリフは切なすぎる・・・しかもキスの後に。クリストファー・ノーラン監督、いいぞ!徹底して暗くしたところがすばらしかった。[映画館(字幕)] 8点(2005-06-19 02:29:55) 10. フォーガットン もうちょっと馴染みやすい邦題つけるとか努力しようぜ、という感じのタイトル。ジュリアン・ムーアが出ている時点で見に行ってしまった。ゲイリー・シニーズやアンソニー・エドワーズなど脇役も渋くて、なかなかのサスペンスかなと思っていたら・・・トンデモに次ぐトンデモが待ちかまえていた。確かに、ジュリアン・ムーアが国家保安局に追われて逃げおおせたところで、空をふっと見上げたときに「なんかおかしいぞ?」とは思ったが、まさかそんなオチとは。古すぎるー!あまりにブッ飛んでいて、逆に爽快だった。この映画にテーマがあるとすれば多分”親子の絆”なのだろうが、逆にジュリアン・ムーア以外の親はダメダメだということなのか。しかしながら、映画館を出たときになぜか晴れ晴れした気持ちになれた。眠くなってきたときに適度にビックリさせてくれるし、割と親切な映画だった(車内で話しているときに横から車がぶつかっててくるのは新しかった)。 [映画館(字幕)] 5点(2005-06-14 00:32:04)《改行有》 11. デビルマン 《ネタバレ》 この映画は、観客がどこで一度DVDの電源を切るか(あるいは映画館の席を立つか)でその人のセンスがわかる”試金石”のようなものだと思う。私は、美樹ちゃんがミーコに口紅をつけてあげるシーンで「今まで頑張ってきたけどもうだめだ」とつぶやいて、落ちた。人によっては美樹ちゃんのコック帽だったり、”半人間状態”のデビルマンが常に右手を前に出して構えるという設定だったり、了の髪が平気でプリンであるというやる気のなさだったりするだろう。この映画に対峙するとき、その時がまさにあなたのこれまでの映画経験が試される、”試練の時”だ![DVD(吹替)] 0点(2005-04-24 01:32:49)(笑:1票) (良:1票) 12. 誰も知らない(2004) 子供は子供の世界を持っている。明を中心とした4人は、周りの大人に助けを求めたりせずに自分たちだけで必死に生き抜いていこうとする。確かに子供の頃はこんな風に行動するかもしれない。別に親を始めとした大人への侮蔑とか、プライドとかが原因でこういう風に行動しているわけではなく、子供なりの世界との折り合いの付け方というものがあって、それに従っているだけだと思う。そこが大切にされていて、自分の子供時代を思い出さずにはいられない。それにしても話題となった柳楽くん、なかなかするどい目をしている。あんまり笑わないので、たまに笑うとドキっとする。母親がYOUというのもうまい。普通の女優だったら母親=悪のイメージが強くなってしまって観ている間ずっと母親を憎んでしまうが、YOUならただ身勝手なだけという感じがして映画のバランスをとってくれる。それにしても謎だったのがセーラー服の女の子。どうしてこの4人に付き合ってるんだろう。明が好きだったのか(それはないと思う)、それとも世界に自分の居場所が見つけられなくて、自分と同類の4人に引かれていったのか。音楽が透明感あってとても良かった8点(2005-03-27 02:44:33)(良:1票) 13. CUTIE HONEY キューティーハニー 何をどう考えても面白くなかった。冒頭の媚びたお風呂シーンから、おもしろいだろ?と言わんばかりのムードを放っていて付いていけない。特殊効果も心地よいチープさを通り越して、ただの力不足に感じた。女刑事の「今まで自分一人で精一杯強く生きてきたけど、振り返ればちょっと寂しい、理解して欲しい」みたいな設定も疲れてしまう。庵野監督は、強烈な個性=”作家性”を持っている人だとは思うが、普通の観客を気持ちよく映画の世界に誘うような、プロとしての技量が伴わない人でもあると思う。それだけに、ドロドロした濃い世界が魅力的ではあるが・・・実写はイマジネーションの表現に強い制約が伴うだけに、厳しいと思う。2点(2005-01-21 00:07:00)(良:1票) 14. A.I. 《ネタバレ》 とてもいいと思う。”愛”の不気味さのようなものが良く出ていた。(以下ネタバレ!)一途に、そして執拗に、母親だけを追い求めるデイビッドを不気味と思うのはなぜか。たとえ何千年も経って世界が滅んでも、好きな人を一日だけ生き返らせたい・・・その姿は客観的に見るとおぞましいけど、実は人間のエゴが鮮明に反映されてしまっているのか。ラストシーンも美しいけど恐ろしい。やさしい音楽が余計に煽る。そういえばこの映画の感想で「いきなり何千年も経ってしまうのはあまりに猪突」というものがあるが、私はそうは思わない。これはどちらかというとおとぎ話だし、お話の上でも必要だったと思う。ラストにデイビッドが母親のためにコーヒーを淹れるシーンが好き。8点(2005-01-13 00:16:08)(良:1票) 15. ハウルの動く城 「ですよねー、やっぱりヒロインの髪はショートですよねー宮崎さん!」みたいな映画でした。6点(2004-12-23 21:46:44) 16. いま、会いにゆきます とても純粋だけど、良かった。中でも一つだけ、素晴らしいシーンがあります。それは終盤、竹内結子が都会の雑踏を歩いて行くシーン。不意にスクランブル交差点で立ち止まり、「もしここであなたに会いに行かなければ、私は別の人と結ばれてしまうだろう」という独白。クサいし手垢にまみれた表現だけど、ここが良かった。何十億もの人がいて、その中からたった一人、という切なさがこの映画のお話、不思議な雰囲気と合わさって泣かされました。私もスクランブル交差点の真ん中にで立ち止まるのが大好きなので、単純に共感しました。 8点(2004-12-21 00:52:43)《改行有》 17. CASSHERN 《ネタバレ》 多分、この映画の制作者は「愛」という語に、互いに相反するイメージが込められているという”当たり前”のことの意味をあまり良く考えないで映画を撮ってしまったのでしょう。人間の「俺は○○がしたいんだー」という”エゴ”は”共存”などと無縁です。矛盾しています。しかし、だからといってこの映画を「おぃ中学生かよ!」と笑い飛ばせるかというとそうではありません。恥ずかしながら、ラスト付近の回想シーン?ではちょっと考えてしまいました。支離滅裂で思考停止させられてしまう映画ではありましたが、よーく考えると誰もが軽い絶望感を覚えるのではないでしょうか・・・とにかく、この映画の監督さんは自分の主張を短い映像で表現する(「語る」)ことに長けていると思います。色彩感覚も赤とか緑とかがちりばめられ、まるでジャン・ピエール・ジュネ監督のようです。ナイーブな感性と映像感覚を武器に、これから映像のストーリーテリングの技術を覚え、これから少しでもいい映画を撮ってもらいたいです。発狂しそうになりましたが、最後には制作者を応援したくなる不思議?な映画でした。4点(2004-11-11 23:24:58) 18. ドラえもん のび太のワンニャン時空伝 《ネタバレ》 初めてタイトルを聞いたときは、ドラ映画も地に落ちたかと愕然としました。しかし、いざ映画館に行ってみると子供たちでにぎわっていました。半信半疑ながら観てみると 、これが意外に面白かったです。内容は最近の勧善懲悪路線から、のび太とイチの「友情」に主軸がシフトしており大人の観賞にも耐えます。中でもイチとの交流は丹念に描かれ、ラストはついホロっとなりました。オープニングからの伏線など、「どういうことだろう?」とお話を追う楽しさもありました。確かに、映画としては中だるみになったり、話の複雑さから説明的になってしまったところもありました。でも原作からイメージが広がっていく藤子ワールドはまだ健在だったと思います。時代の流れで作風は大きく変わっても、SFチックな要素や小粒でもピリリと辛いアイディアにふれることが出来たので良かったです。今後はもうちょっとワクワクする秘密道具が見てみたいです。7点(2004-11-08 20:13:43)《改行有》 19. グッバイ、レーニン! 「レーニン」と言っておきながら、実はドイツ映画。宣伝やパッケージなどからちょっと気取ったおしゃれ映画なのかと思いきや、東西ドイツの統合をダシにした家族ドラマでした。はっきり言ってお話は幼稚だし、無理に感動させようとか面白くしようという意図が見え見えな映画でした。別に東西ドイツ統合を使わなくても十分描けたテーマで、奇をてらったいやらしさがありました。父親の存在がまるでピンぼけだったり、中途半端な資本主義の皮肉が入っていたりと、うっとうしいです。”家族の団結”、”母親の秘められた父親への愛情”といった話も、打ち上げに失敗したロケットみたいにどこへやら。主人公の感情の描き方も実に浅い。「実は母親と一緒に自分の世界に閉じこもりたかったんだ」みたいな描写がもう少しあってもいいんじゃないか。ララもかわいくない。大体、遺灰をそんな風にしちゃっていいのか!?もう訳がわかりません・・・と言いつつ、ドイツ映画ってこんなクサい話を実に不思議な暖かみをもって描くことが多い気がします。どこかほんわかとした温もりがあって、割と好きです。この映画もストーリーはボロボロなのに、あまり個性のない俳優さんがぽわっと演じていて、つい見ちゃいました。4点(2004-10-18 23:41:59) 20. 華氏911 「それは自由が燃える温度」。なんだかプロパガンダ映画を見せられているようで、どこか納得がいきませんでした。しかし、編集が抜群にうまい!うそは言ってないんだろうけど、作り手の思うがままに話が運んでいました。映画の前半は圧倒的な情報量で、観客に自分の立場で考える隙を与えません。石油利権や献金絡みの込み入った政治的なつながりをまくし立てて、それでいて明確には答えを述べません。だから「これは当然ブッシュが利権を得るための戦争なんだ」と自然と考えさせられてしまいます。時々入るパロディやちゃちゃも上手(選曲も見事!)で、批判的な眼力はすごいなと感心しました。後半は観客の感情に訴えかけてきます。わが子を市街戦で失ったイラクのお母さんが何度も「神よ!神よ!これはなぜですか?」と天を仰いでいたのは涙を誘います。そこからだんだんアメリカの階級問題にまで話が膨らんでいき、ベトナム戦争を彷彿とさせます。常に貧しい階層が戦場に行き、富めるものは利権を掴み取る・・・懲りないのでしょうか。 もちろんプロパガンダ映画なので、編集の力が存分に使われていることは確かでしょう。でも民主主義って何だったのか、と考えさせられてしまいます。民主主義って、結局いいとか悪いとかの合理的な原理は関係なく、民衆の感情とか上層部の思惑で動いてしまうものです。クラスのいじめと同じで、リーダーが始めるとみんなが自分の損得で流れていき、客観的な判断や倫理(と思われるもの)はそっちのけです。ギリシャやローマがその昔陥ったハマリパターンなのかもしれません。循環史観・・・歴史は繰り返すのでしょうか。結局のところ、階層社会の上層部に行かなくちゃ!と強く思わせられた映画でした。7点(2004-10-17 00:29:07)《改行有》
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