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【製作年 : 1990年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
1. ビッグ・ダディ アダム・サンドラーの映画なのにブシェミ一発で笑いを取るというやり口に爽快なヤラレタ感がありました。一応ジャンルとしてはファミリー映画なんでしょうが、どちらかというと「オトナの事情」の方にシフトしているあたり、やっぱりアダム・サンドラーなのかなと。いつものメンバーでいつものようにやってるところにたまたま小道具としての子役が放り込まれたようなものなので、彼らのノリを理解してない人には中途半端に見えると思います。そういう意味では、決して高い評価をあげて良いものではないと思いますが、アダム・サンドラーをはじめ常連メンバーのキャラクター設定が一番ツボってるなーと思えたので、彼のこれまでの作品の中では正直一番好きかも。もう少しサンドラー自身で笑いを取っても良いんじゃないのかなーという食い足りなさは残りますが、実はブシェミの使い道を一番良く心得てるのって不思議にアダム・サンドラーとジェリー・ブラッカイマーだったりするんですよね。さりげなくトイレのホモネタとかけっこう笑えました。子役はなかなか達者な上に必要以上に可愛いです。気楽に見るにはなかなか楽しい作品だったと思います。 (追記)クリスティ・スワンソン全くわかりませんでした。歳月ってムゴいですね^^;[DVD(字幕)] 8点(2007-04-14 02:36:31) 2. ウェディング・シンガー 今ごろこんなの突然見ているわたしもわたしなんですけど。アダム・サンドラーはかなり好きな役者でけっこう見ているつもりだったんですけど、灯台下暗しって感じですね。この映画の彼はとっても普通のハンサムみたいで、それなりに芸風はかもし出してますけどむしろそちらの方が浮いてる感じ。映画全体がネタなんだと思えばなんとなくそうとも見えますけど。これ見て「アダム・サンドラーってかっこいい」なんて思ってうっかり「リトル・ニッキー」なんか行っちゃったらどうするんだろう、なんて余計なお世話なんですけど。ドリュー・バリモアはすごく苦手なんですけどこの映画では性格の良い女の子を好演していると思います。泣き顔やしかめっ面の可愛い人ですね。ブシェミの友情出演とか、現ベン・スティラー夫人のクリスティン・テイラーとか、アットホームなキャスティングも楽しめると思います。普通に楽しめる普通の映画ですが、実はそういうオーソドックスなものを飽きさせずにちゃんと見せることの方が難しいとわたしは思っているので、そういう意味では非常に良く出来ているのではないでしょうか。それにしてもアダム・サンドラーとドリュー・バリモアってホントに良く似合いますね。[DVD(字幕)] 8点(2007-04-04 01:41:33) 3. メイド・イン・アメリカ(1993) 精子バンクって当時としてはかなりインなネタだったんだろうな~、とか思いながら普通に楽しく見ました。普通に楽しい映画として、文句のつけようのない出来だと思います。あくまでも普通ですが、安直でわかりやすく、観客の期待に応えられるストーリーにこそ普通のカタルシスがあるのだということを見事に実証しています。実はこのプロットを思いっきり退屈でどこかで見たような映画にする方がずっと簡単だと思うので、そういう意味ではひそかな傑作と言えるのではないでしょうか。細かいエピソードが意外と自然に良く練り込まれていると思います。ウィル・スミスやニア・ロングといった後のスター俳優の駆け出し時代が見られるのも楽しいですね。人種を超えた恋愛や結婚というヘヴィなテーマを扱いながら、それこそが「メイド・イン・アメリカ」なのだとコメディ・スタンスで白人社会に突きつけた意義は大きいと思います。ブラック・ムービーの一つの転換期とも言えたこの時代、「1つになろうよ」と敢えてベタに呼びかけたこの映画の肯定的な世界観は、アメリカの人種問題の次なるステージを示唆していると感じます。[DVD(字幕)] 8点(2007-03-31 03:04:54)(良:1票) 4. 好きと言えなくて ベタなストーリー、ありがちな展開、先の読めない人は滅多にいないと思いますが、キャスト先行型の作品だと思うのでこれはアリかなと。ジャニーン・ギャロファロのファン以外、どんな人が見てもたぶんつまんないですよね、これ(笑)。そういう意味ではいわゆるタレント物とかにあたるんじゃないでしょうか。残念ながら役柄ほどには頭悪そうに見えないユマ・サーマンがちょっと輝き過ぎているような気はします。アビーの抱えている外見へのコンプレックスも、ノエルの知性へのコンプレックスも、女性ならとっても共感しやすい部分が多いので、あらゆる意味で女性限定映画だとは思いますが、敢えて好き嫌いで評価するならわたしはこれ大好きでした。残念ながら映画として評価がどうのとか言うようなものではないと思います。愛するジャニーンに全点(笑)[DVD(字幕)] 8点(2007-03-31 02:50:20) 5. シビル・アクション 実話を映画化する以上、小説よりも奇なる部分を求めてしまうのは仕方のないことだと思うので断腸の思いで減点。でもこれはなかなか良く出来た作品だと思います。カネになる訴訟を探して企業相手の環境汚染訴訟に関わりあった主人公が、思いっきり情に流されて泥沼にハマッて行くみっともなさが良い。人生カネより正義なんだぞ、といういかにもアメリカ人好みのアンサクセス・ストーリーですが、どこまでもビジネスライクに訴訟社会を泳ぎ切る意気込みに溢れた上昇志向の中堅弁護士から、被害者の心情に巻き込まれて良心の囁きに耳を傾け始める、どこかで善良さを捨て切れない主人公像にジョン・トラボルタの個性が圧倒的にハマりました。トニー・シャローブ、ウィリアム・H・メイシー、彼らの存在感は物語の不透明感を際立たせると同時に、どちらかと言えば陽性で浮世離れしたトラボルタの個性を現実の世界に引き戻す重要な役割を果たしていると思われます。96~99年はジョン・トラボルタの当たり年で、この機を逃すまいと彼は俳優であれば一度はやりたかったであろう役を山ほどこなしました。これは彼なりの「セルピコ」だったんだろうと思いますし、アメリカ人俳優なら誰でも一度はやってみたいであろう理想と真実に全てを賭ける男の物語です。そのファンタジーにどこまでつきあえるかが好き嫌いを分ける鍵となるでしょうが、私は基本的にこういうバカは大好きなので。社会派と言うには今いちキレが悪い気もしますが、たまにはハリウッドにこんな映画があっても良いのではないでしょうか。9点(2004-10-09 02:18:55) 6. 奴らに深き眠りを ローレンス・フィッシュバーンって私は「マトリックス」で初めて存在に気づいた大バカ者なんですけど、この作品の彼は一見の価値がありますね。黒人スターで正統派のギャング映画をやっちゃおうというコンセプトも素晴らしいですが、チャーリー・"ラッキー"・ルチアーノをアンディ・ガルシアが演じるというのも鳥肌モノです。私は基本的にマフィア物が大好きなんですが、これは「グッドフェローズ」と並べても良いくらいの傑作だと思います。全体的にフィッシュバーンの存在感に頼るところが大きいですが、その存在感が図抜けているのでOKかと。ある程度時代背景などがわかっていないと苦しいと思いますが、こういう世界が好き~っ、という人しか見ない作品だと思うので、好きな方には力一杯お勧めできます。ダサさに徹したティム・ロスはやっぱり異常に上手いですし、ルチアーノ役のアンディ・ガルシアもハマり役です。ルチアーノがアメリカ・マフィア史上いかにずば抜けたスーパースターか、ということがわかっていて初めて理解できるバンピー・ジョンソンの大物ぶりだと思います。ちゃんとお約束の機関銃乱射もあったし、ギャング映画のツボはきちんと押さえた作品です。フィッシュバーン、上着の第一ボタンをちゃんとはずしてますし、細かいところに手を抜いてない、きちんと丁寧な作りに好感が持てました。オーソドックスなギャング映画であり、ブラックムービーでもあり、古き良き時代のキネマの香り漂う品格があり、観ていて非常に痛快な映画でした。しばらく我が家に「マフィアの時代」が再び台頭するかも知れません。10点(2004-10-06 02:39:25)(良:1票) 7. デンバーに死す時 すごいなあ。これ、どう考えても配給元の勘違いですよね。いきなりこんな大仰な邦題つけちゃって、これが確信犯だったら相当スゴいと思うんですけど。うっかり間違えちゃう人が多いと思うんでハッキリ言わせてもらいますけど、これはコメディです。そこがわかるのとわからないのでは大違いだと思います。たぶん一番の大失敗はガブリエル・アンウォーを引っ張って来ちゃったことだと思うんですけど、彼女はちょっとシャレになるキャラじゃないんで、そこで必要以上に真剣味がクローズアップされてしまった。よくよく落ち着いて見れば、舞台がデンバーだってところで既に笑いが取れてるはずなんですけど。これは田舎のなりそこないチンピラたちがポカをやらかして右往左往する、微妙にハズしたコメディなんです。ケチな田舎町の小金持ちに、「世界の果てまで追い詰める」なんて力があるワケないでしょう。ウォーケンが本気でやるから笑えるの。たぶんタランティーノみたいにやりたかったんですよ。バカつよいブシェミとか、ツボれば爆笑できるところかなりあったんですけど、何しろ邦題が「デンバーに死す時」なんで・・・こりゃあ絶対わかりっこないですよね。私はツボッてしまったんで大いに笑いました。惜しいところでコケてますけど、見方を間違えなければ笑える映画だと思います。私はこういうの大好き。8点(2004-10-06 02:24:12) 8. ジェニファー8(エイト) 私にとってアンディ・ガルシアはハリウッド最大の謎の一つである。これほどまでに魅力的で、イタリア男の魅力の全てをあわせ持ち、アル・パチーノの持っているものなら何でも持っている上にアル・パチーノに足りなかったものまで全て持っている彼が、いったい何故これほどまでにぱっとしないのか。残念ながら生まれて来る時代をほんの少し間違えてしまったことと、役選びのセンスが余りにも無いことが、彼に不遇の人生を歩ませてしまっているように思えて仕方がない。しかし何はなくてもアンディ・ガルシアである。残念ながらユマ・サーマンと並んで歩くとほんのちょっぴり身長が足りない。それでもやっぱり彼の持っている不思議なオーラは、この陳腐な三文ミステリに、いかにも何かありそうな雰囲気を醸し出すことに成功している。健常者役をやっていてもどこを見てるんだかさっぱりわからないユマ・サーマンの外斜視は盲人役にうってつけだし、晩秋からクリスマスにかけての美しい田園風景は、どこまでも美しい二人の背景にぴったりである。ストーリーは、これ以外にも2000本ぐらいあるこの手のミステリとだいたい同じ。ランス・ヘンリクセンとジョン・マルコビッチがリレー式に重要な脇役を務めているのもオイシすぎる。雰囲気一発のベタな作品だが、ストーリーとかあんまり気にしない、という方であればそれなりに堪能できると思う。関係ないけどパーティの途中でユマ・サーマンのマニキュアが無くなったりしていた。テキトーにスルーしていい作品だと思うけどアンディ・ガルシアが珍しくハマリ役だったので点数甘め。それにしても彼ってホントにいったい。 【追記】わすれな草さん>アンディ・ガルシアはカリビア~ンですか^^;そういえば苗字がガルシアだ(爆) FSSさんのめった斬りおもしろすぎです。7点(2004-10-03 04:24:24)(笑:2票) 《改行有》 9. トレマーズ オモシロイッ。完全にアホ映画だけど誰一人アホ映画をナメてない真剣味が良いですね。一度もステキと思ったことのなかったケビン・ベーコンが思わずステキに見えてしまいました。降って湧いた異常現象に身近なモノで戦う、っていう発想がステキです。武器マニアの夫婦最高です。とりあえずみんな屋根の上に上っちゃう、っていう展開も楽しすぎます。あまり難しいことを考えず、安直にこの展開が「楽しいっ!」と思えれば、こんなに幸せな映画は滅多にないと思います。だいたいあの怪獣、どこから来て何のために暴れてるんだか、さっぱりわからないあたりが最高です。しかも州兵とか全然出て来ません。突然現れた宇宙生物と、地元の農民がブルドーザーで戦う映画です。このスケール感、問答無用の展開、小ざかしい理論を取っ払ったありのままのバカバカしさが、いかにもフツーの田舎のお兄ちゃんなケビン・ベーコンを燦然と輝かせる、ただそれだけの映画ですけどわたしは惚れました。思いっきり確信犯的Bです。シャレのわかる人にだけお勧めします。8点(2004-09-27 18:46:49)(良:1票) 10. ハピネス(1998) いいなあ、これ。ずばり「ハピネス」=「射精」と言い切ってしまった率直さに感動しました。こういうのを見ると、様々な屁理屈とか、美しさを装った物語の数々にオトコたちが必死で隠しておこうとしたモノが剥き出しにされた感じがします。この世に起こる数々の悲喜劇は、結局のところオトコたちが繰り広げる「その瞬間」に至るための哀しいまでの努力、突き進む欲望が発端になっているんじゃないの、という極めてシンプルな結論をココまであからさまに描いた作品は珍しいでしょう。あり得ないほどデキすぎた展開や、映画ならではのファンタジーを極力排除し、むごたらしく現実をつきつける手法は前作の「ウェルカム・ドールハウス」と同じです。現実版「マグノリア」という感じがしてその実直さ、ストレートな物言いに感心しまくり。この作品が男性監督から出て来たという点について、極めて高く評価したいと思います。わたしはウディ・アレンの初期の作品が好きですし、スパイク・リーの作品が好きです。この作品は彼らの描いて来た世界にある種圧倒的に通じるものを感じます。たぶん自らのカッコ悪さを思いっきり笑い飛ばす彼らのふっ切れた部分に例えようもない潔さを感じさせてくれるのだと思います。ペーソス、と一言でまとめてしまうのは簡単なのでしょうが。9点(2004-09-27 18:11:13)(良:1票) 11. ツイスター なんとなく頭の悪い映画が観たくなったので。たぶん竜巻がスゴいんだろうなあ、牛が飛ぶんだとか言ってたな、なんてぼんやり観ていたら牛どころではなくタンクローリーまで飛んでいたのですっかり嬉しくなってしまった。この手の映画を個人的には「大盛り」と呼んでいるのだが、要するに量だけスゴくて奥行きもへったくれもなく、ただもうスケールのデカい天変地異だけを見せるために作られた、あってもなくてもどうでもいいようなストーリーとしては、離婚届にサインするばかりの夫婦とその夫の新しい婚約者という組み合わせは(あくまでも、この手のモノとしては、だけど)なかなかひねりが利いていて良く出来ていたのではないかと思う。わたしはヘレン・ハントが大嫌いだし、ビル・パクストンは大根中の大根だと信じている。にもかかわらずそれなりにおもしろくなったのは、この二人が主役を食おうなんてバカな気を起こすにはあまりにも影が薄いから。だいたい予想通りの映画だったが、この種の作品でこれぐらい期待に応えてくれればまあ合格点と言えるのではないだろうか。ひまつぶしにはもってこいのほどほど感と、見る前からわかっていたような安心感が良い。大画面向き。あくまでも大盛り。6点(2004-09-23 01:34:07)(笑:3票) 12. ウェルカム・ドールハウス 凄いです。苛められっ子が、ひたすら苛められ抜きながら夢も希望もない毎日をただ送る、って話なんだけど、そこに出て来るドーンの痛みが、ちゃんと笑いに昇華している。何故彼女が苛められちゃうのか、観ている人にはちゃんとわかることなんだけど、教えてあげようにも彼女はスクリーンの中。のっけから凄い衣装でどうなることかと思ったけど、後半に行くに従ってどんどんヒートアップして行きパーティのシーンではとてつもないことになってしまっている。あの衣装だけでも相当なセンスですよね、狙って簡単に出来るものではないと思います。実はこの映画で一番大事なことは「2年生は、1年生よりもいい?」というドーンの台詞じゃないかな、と私は思っているのですが、子供の世界って本当に狭いから、学校で嫌われちゃったらもうこの世に居場所はないと思ってしまう。ドーンのように家でものけ者にされていたら、本当に庭のクラブハウスしか居場所がない。でもNYがあるじゃない、っていう映画なんですよね。複雑な家庭に育った問題の多いブランドンはNYを目指す。留年スレスレのハンサム高校生スティーブもNYを目指す。それがドーンの人生に小さな突破口を与えてくれるわけです。今は八方塞がりでも、あと何年か耐えていれば自分も街を出て行けるかもしれない、って大人なら誰でもわかることなんだけど中学生が気づくのは実は大変難しい、世の中はけっこう広いんだよ、ということを再確認させてくれるという意味で、日本の苛められっ子にも是非見てもらいたい作品だと思いました。変わった作品ですし、笑いの質は暗いですが、なかなか面白い映画だと思います。9点(2004-09-12 15:39:26) 13. ケープ・フィアー 私は格段にマーティン・スコセッシに点が甘い。というかほとんど盲信していると言ってよい。だからこの点数も大幅に割り引いて考えてもらった方がいい。何しろスコセッシのやることなら、大抵のことは許せてしまうんだからこの作品ももちろん傑作だ。しかし主演がデ・ニーロ、周りを固めているのがニック・ノルティにジェシカ・ラング、子役がジュリエット・ルイスというのはいくらなんでも濃すぎるんじゃないだろうか。まるでコテコテのお好み焼きとクリームたっぷりのパスタ、天ぷらとうなぎをまとめて出されたみたいである。果たしてこんなんで本当に映画になるのか、と危ぶんで見れば不思議なことにちゃんと映画になっているからスコセッシって凄い。さりげなく脇役で登場するのがロバート・ミッチャムにグレゴリー・ペックって、このキャスティングの物凄さはもうほとんどお笑いの領域に達している。普通、デ・ニーロ主演っていうだけで充分濃いと思うが。内容的にはどの監督も一度は手を出してしまう魅惑のジャンル、ヒッチコック万歳映画なんだけど、やはりスコセッシ/デ・ニーロ組だからそれなりに泥臭くはなっている。どちらかというとストーリーにのめり込むよりは配役の妙に口をぱくぱくさせているうちに終わってしまういろんな意味でかなり物凄い映画。でも楽しいし一見の価値はあると思う。私は好き。9点(2004-09-06 02:07:01) 14. ウワサの真相/ワグ・ザ・ドッグ たまたま大統領選挙も近いし、と思って観てみました。正直もう少し辛口かな、と予想してたんですが、実際のところはこれで限界でしょうね。デ・ニーロはやっぱり凄いいい味出してますし、わたしは基本的にダスティン・ホフマンって大根だと思ってるんですけど、こういう風にハマると凄いのがこの人の唯一の良さなんじゃないでしょうか。ストーリー的には後で火を吹きそうな地雷を山ほど仕込んだ割には尻すぼみ感は否めませんが、どれが火を吹くか?とワクワクしてたら思わぬところから足元を掬われるみたいな仕掛けに心地よいヤラレタ感がありました。配役とプロットからどうしてももう少しハードなものを期待してしまいやすい作品ですが、運びもタイトだしきちんと良く詰めた作品ですよね。長年、バリー・レビンソンだけは信用しないと心に誓って来ましたが、やれば出来るじゃない、って感じでした。なかなか面白かったです。9点(2004-09-05 03:50:52) 15. TAXi 今までリュック・ベッソンの作品で観て良かったと思ったのは「ジャンヌ・ダルク」1本だけ、残りは全て「観るんじゃなかった」だっただけに今回の収穫感は大きい。よって著しく点数が高めに歪められた可能性はあるが、これはけっこう面白いんじゃないかと私は思った。主人公の微妙な不細工度が非常にちょうど良く、けっこうこの好感度に依存しているような気はする。他の車がボコボコになって行く中でサミー・ナセリのプジョーだけがどんなに突っ込んでもピカピカのまんま、というのが泣かせる。ホームドラマと刑事物のかなり無理目なバランスもフランス映画ならではの良い味出しているし、フランスのおバカなコメディに抵抗のない人ならわりと素直に楽しめるんじゃないだろうか。ハリウッドよりこっちの方が似合う監督なんだろうな、きっと。8点(2004-07-30 00:48:45)(良:1票) 16. ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク 全く期待しないで観たせいか、前作よりずうっと面白く感じてしまった。前作で強調されていたファミリー映画色はかなり後退し、かなりハードなパニック映画寄りに変貌。ジェフ・ゴールドブラムのキャラが変わりすぎているとか、彼女役がジュリアン・ムーアなんてちょっとオイシすぎないか?とか、仮設施設の屋根にわざわざ瓦まで乗っているとか、恐竜しか住んでないはずの島に道があるのはなんでだ?等、ツッコミどころは山ほどあるし後半は何を観てるんだかよくわからないほどの大仕掛けな怪獣映画ぶりだが、中盤の戦争映画風仕掛けの楽しさと恐竜の子供奪回&復讐劇という単純きわまるストーリーが意外にオトナ向けと感じてしまった。私は基本的に派手で単純、おバカな映画は大好きだ。否が応でも3作目への期待が高まる。やばいかも。9点(2004-07-20 01:52:15) 17. ジュラシック・パーク はっきり言って「おもしろいに決まっている映画はわざわざ観ない」という方針からこの映画を一度も見ていなかったのであるが、「ドーン・オブ・ザ・デッド」で燃え尽きてしまい観るモノ全てが精彩を欠く有様となったためリハビリの一環としてチャレンジしてみた結果、当然のようにごく当たり前におもしろかったので「どうせおもしろいに決まっている」という私の予想は完全に当たり、要するにわざわざ観るほどの映画ではなかったという脱力感から麻痺し切っていた私の感性は多少なりとも通常モードに近づくことができた。しかし普通、世間一般の人々はもちろん映画にある程度のおもしろさを期待していると思うので、そういう期待には十二分に応える良作の一つであると思う。スピルバーグ・ブランドはダテではないとわたしは思うし、特に何人の人生観にも大きな影響を与えることはないという意味では毒にも薬にもなり得ない凄さというのはあると思う。ここまで「ただおもしろいだけ」な映画って、やっぱり普通のセンスじゃ作れないですよね。個人的にはよっぽど心がヨワッてる時でもないと、これでへらへら喜んでお終い、というワケにはいかないように思うのですが。毒が必要な人間も居るってことね。子役時代のジョセフ・マッツェロは非常に達者です。ブレイク寸前のサミュエル・L・ジャクソンも予想外に大きな役でした。(予想が低すぎたんだけど。) 8点(2004-07-19 01:26:16)《改行有》 18. クアドロフォニア 多重人格殺人 キャスティング一発なのかも知れませんが、オーウェン・ウィルソンがサイコキラーを演るというのは一つの実験であり意外性は抜群だと思います。カップリングがジェイニーン・ギャロファロというのもスゴいです。日本ではコメディ女優として有名ですが、彼女本業はスタンダップ・コメディアンですので、この人が連続殺人モノのヒロインをやるというのはオーウェン・ウィルソン以上に大事件ではないかと思います。さらに最初の犠牲者を演じるのが当代きっての人気歌手シェリル・クロウというのもスゴいです。(たぶんこれが唯一の映画出演ではないかと思います。)この仕込みだけで食い付きは抜群だと思うのですが、驚いたことにちゃんとミステリーにもサスペンスにもなっています。はっきり言って素人集団的なキャスティングの中に、ブライアン・コックスを加えたことで全体のクォリティが数段上がりました。こういうのを、キャスティングの妙と言うのだと思います。どうしてもベン・スティラー抜きのベン・スティラーファミリー、チャレンジング サイコサスペンスという図式は否めませんが、はっきり言ってスター隠し芸大会的な楽しさが決して悪い方向に働いていないように思います。プロットもなかなか良く出来ています。気になる役者が出ていたら、押さえておいて損はない作品だと思いました。7点(2004-06-14 03:43:39) 19. バディ・ボーイ ヒッチコックへのオマージュは数あれど、これほどベタでありながら異質なスリラーに仕上げた作品は少ないだろう。裏のアパートの一室を夜な夜な覗く孤独な青年、足が不自由で身動きのままならない母親、おそらく意図的にであろうが青年はかのノーマン・ベイツそっくりだし、覗き穴から見える光景は「裏窓」そのもの。さらに母親をかついで青年が上り下りする階段は俯瞰がお約束、ここに菜食主義者の恋人や、行方不明の少女の写真が絡んで物語は異常なテンションのまま戦慄の後半に突き進んで行く。近頃流行りのサイキック・スリラーのスタイルを取りながら、人の心の奥底に潜む闇に堂々と向かい合って行くストーリーは秀逸。明快なプロットと複雑なディテール、趣向を凝らしたムード作りと全編に散りばめられたファン心をくすぐるアイテム。妄想と現実の世界を行き来する主人公の悲痛な心の内と、のしかかって来る閉塞感、お決まりの泥沼的展開。丁寧な作りと無名ながら実力ある登場人物たちに好感度大。これはなかなかの掘り出しモノであったと、思わずほくそえむ一作でした。ジョン・ウォータースの異色作「クライ・ベイビー」のスーザン・ティレル大・熱・演。8点(2004-06-05 05:16:55) 20. 未来は今 この映画のツボは「とてつもないバカバカしさ」、この一語に尽きます。どう考えても普通の人より数段抜けてる主人公が、大企業の郵便仕分け係から社長にまで出世するドス黒い笑いに満ちたお話。どこまでも悪役に徹したポール・ニューマンのいまだかつて類を見ない冷酷非道の悪役ぶりと、間抜けさゆえに人を疑うこともなく、蹴落とすことにも興味のないシンプル一筋のティム・ロビンス。強烈なしたたかさで特ダネ求めて突っ走るジェニファー・ジェイソン・リーの「コピー!」の声にシビれて下さい。何もかもが必要以上に大がかりで、やりすぎ。だからこそこのイヤな笑いがシニカルにアイロニカルに人の心の醜さを暴き出します。悪はどこまでも悪、善はどこまでも善、そして神様は意外と何でも知っている。バカバカしいまでにファンタジックで、どぎついほどにリアリスティックな、この矛盾と破綻に満ちたストーリー展開にノレた人なら、コーエン兄弟にどこまでもついて行くことができるでしょう。個人的にはコーエン兄弟のベスト作品と思っているのだが、非常に残念なことにティム・ロビンスとジェニファー・ジェイソン・リーの踊る「カルメン」がちょっぴり長く感じられるので涙を飲んで1点減点。でもおもしろいです。これはおすすめ。 10点(2004-04-18 03:01:36)(良:2票) 《改行有》
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