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性別 女性

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評価順12
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1.  スリーパーズ 《ネタバレ》 話のモチーフは比較的おもしろいし、ものすごい有名どころを何人もキャスティングしているのに、中途半端な出来に終わってしまっている、きわめてもったいない一本だと思う。デ・ニーロとホフマンの初競演作品だというのに、両者の持ち味が半分も生かされていない(本人たち、ラッシュ見て怒らなかったのかな、と心配になるほど)。ブラッド・ピット、ジェイソン・パトリックの起用はどう考えてもミスキャスト。というか、彼らが演じなければならないという必然性がちっとも伝わってこない。このような、有名どころを使いこなせていないという事実は、脚本の人物描写の薄さやずさんな演出と大いに関係していると思う。キャラクター設定(各人の個性)も肝心なところがはっきりと輪郭付けられていないし、さらに問題だと思うのは、各主要人物の苦悩や葛藤がぜんぜん伝わってこないということ。虐待を受けた少年たちの苦悩しかり、デ・ニーロ扮する神父の、聖職者としての葛藤しかり。例外は、看守役のケビン・ベーコンのみ。キャスティングもぴったりだし、人物描写にもある程度の説得力があった。サディスティックな役柄は丁寧に描けているのに、苦悩する人物を描けないなんて、この映画の脚本家自身が本物のサディストなんじゃないかと疑いたくなってしまう。さておき、たぶん一番の問題は、こうした荒い人物描写や心理描写に加え、物語の核となるべき、少年院での虐待のエピソードを、丁寧に演出していないからだと思う。地下室へ向かう廊下を歩くシーンで、隔離された空間で行われる虐待の残虐さや少年たちの恐怖心理を象徴的に描いてみました、ということなんだろうけど、象徴的な描写というよりも、及び腰で取り組んだやっつけ仕事、みたいな仕上がりになっていたと私には思えた。というわけで、役者はいいし、物語のコアの部分も潜在的には十分面白かったにもかかわらず、それらが生かされない仕上がりになってしまった。本当に残念。[DVD(字幕なし「原語」)] 4点(2012-12-31 07:50:56)

2.  ナポレオン・ダイナマイト 《ネタバレ》 この邦題はいかん。主人公の名前("Napoleon Dynamite":原題)とキャラクター設定がキーなのに。しかし、その一方でアメリカでは、高校生が小学生などに交じって黄色いスクールバスで通学することは冴えない行動であると解釈される事実があるので、それを踏まえた上で、主人公の「冴えない奴度合い」を象徴するという意味を込めて「バス男」とつけたのであれば、なかなかやるな、と思える。と、とりあえず好意的にとらえる努力をしてみる。でもやはり、日本向けのタイトルとしては、(「電車男」とシンクロさせたという)タイミング的にまず最悪。それに、高校生のバス通学にまつわるアメリカでの事実が日本で知られているとは思えないので、結論としてはこれはいただけない。 でも、映画自体はものすごくよくできてる。インディーズならではの力の抜け具合で、爆笑は誘われないが何度もクスッとさせられる。主人公のみならず、彼を取り巻く主要人物が皆そろいもそろってイカれているのに、妙にリアルなのが面白い。友人ペドロは、ぼーっとしていてテンションが異様に低く置物みたいだし、エノキタケに顔書いてメガネかぶせたみたいな兄キップは、ネット恋愛中毒の三十路ニート。どいつもこいつも、出てきてただ突っ立ってるだけで、じわっとおかしさがこみあげてくる。また、主人公たちと対極にいる、いわゆる「イケてる」部類に属する人気者グループの生徒たちが、男女問わずそろいもそろってダサいところが、アメリカの田舎の現実を忠実に表現。ドキュメンタリー映画並み。 主人公は冴えないオタク男。というより不思議系妄想男という方がしっくりくる。空想上の動物や中世の戦士などの絵を描くのが好き(でもヘタクソ)。いじめられっこだがプライドが高く、いじめられても結構めげずにやり返したりする。必殺技は「ビンタ逃げ(私が勝手に命名)」=相手にいきなり真正面からビンタを食らわした直後、前のめりになって腕を胴体から離さずに小走りで逃げる。これが、屁で相手を煙に巻いてそのすきに逃げ出すスカンクみたいで、やたらかっこ悪い。 徹底したヘナチョコぶりで見るものを唖然とさせる主人公が、少しずつ好感度を上げていき、クライマックスでその意外な一面を暴発させる。このクライマックスシーンは映画史に残ると思う、マジで。[DVD(字幕)] 10点(2012-07-15 02:43:56)(良:1票) 《改行有》

3.  食堂かたつむり 《ネタバレ》 基本的に映画が好きなので、どんなひどい作品にも0点はつけるまい、と思っていたんだけど、これは例外。どこから批判を始めればいいのやら。表面的な「オシャレ」さをねらったのか、最近はやりの「ほっこり」系の雰囲気をねらったのか知らないが、実際に私が受けた印象は「不愉快」の一言に尽きる。エンターテイメントとしての話の展開は皆無、ところどころにはさみこまれた「小道具」としてのプロットは何のプラスにもなっていないどころか、むしろマイナス。突飛過ぎたり(例:水鉄砲ベビー)、もしくは後味が悪すぎたり(例:ペットのブタに最後に起きること)。そもそも、ペットのブタに襲いかかる悲劇を引き合いに出してぶちかましたかったであろう「食」に対する認識が根本的に間違っている。それを、あたかもいっぱしの「哲学」ででもあるかのように持ってくる神経の太さには呆れる。調べてみたら、原作は小説で、この作品はそれを忠実に再現した映画版なのだとか。ということは、この破綻したプロットの数々は原作者の責任ということになるのか?いずれにしても、不愉快極まりない気分になった。映画見てここまで不愉快な気分になったの、初めて。[DVD(邦画)] 0点(2012-06-26 09:04:40)(良:1票)

4.  笑う大天使 《ネタバレ》 原作が別媒体で認知されているものを映画にリメイクするのは難しい。原作ファンを裏切ることなく、さらに原作を知らない映画ファンをもある程度納得させられるクオリティがないと成功したとは言えない。よりにもよって『笑う大天使』を映画化するとは大胆な…という不安は見事に当たった。何なの、これ。シナリオは、原作を端折れるだけ端折って、というか、めちゃくちゃにブツ切りにしてめちゃくちゃにつなぎ合わせただけ。だから、原作を知っている人はしらけるし、原作を知らない人には伝わるべきものがちっとも伝わらない。原作のあらすじや設定を忠実に再現すべき、と言ってるわけではない。原作の持ち味を生かしたまま、映画の尺にフィットするようなプロットを作るべきである、ということ。本来、映画版へのリメイクってそういうことだと思うし。当然、これには高度な脚本スキル、編集スキルが要求されるわけであるが、残念ながらこの映画の出来にはそういうスキルが全く反映されていない。「ルドルフ」の登場のさせ方や、「若槻俊介氏」や「桜井敦子嬢」の人物設定(主人公兄とのエピソード含む。特に主人公に留学を勧める理由)など、いっそのことなかった方がいいんじゃないの、というぐらい座りが悪い。本来なら、原作の「持ち味」を伝えるにはもってこいのキャラクターたちなのに。(そもそも、「ルドルフ」や「桜井嬢」を、本編の「誘拐事件云々」のエピソードに盛り込もうとするのが失敗。)そうかと思うと、原作にはない余計な設定が付加されていて、しかもこれらが全くいい方向に生かされていない(例:聖ミカエル学園の発祥エピソード。こんなの、物語の後半が「似非チャーリーズエンジェル」になることの言い訳でしかない)。さらに、絵面にも全く魅力がない。ベイエリアの新興ショッピングモールみたいな学園キャンパスには驚いた。中身がしっかりしていないのだから、せめて絵面で勝負してほしかった。この監督は、映画というよりは特撮などの映像畑でキャリアのある人らしいが、その割にはCGの使い方も下手だし、だいいちCG自体がちっとも綺麗じゃない。なんか、がっかりを通り越してびっくり。近年まれに見る駄作だと思う。これ、原作者は怒らなかったのかな。 【追記】数年ぶりに見る機会があったので、原作と直接比較。結果、点数を下方修正。本来0点は付けたくないが、この一本には最低限の敬意すら払えない。[CS・衛星(邦画)] 0点(2007-07-16 01:38:52)(良:1票)

5.  隠し剣 鬼の爪 《ネタバレ》 幕末の侍の葛藤とは、よく考えてみたら山田洋次の好きそうなテーマだ。西へ習えの大潮流に乗り、武士たちを守ってきた封建制という鎧の絶対性が揺らぎ始める。このような時代の侍の苦悩は、簡単に「ヒューマニズム」と結びつけられる。それはいい。しかし、山田監督の手にかかると、このヒューマニズムが「(悪い意味で「女子供」をからめての)お涙ちょうだい」になってしまうのが、殺陣を中心とする侍映画の乾いた様式美(=女子供がからむ「お涙ちょうだい」とは対極にあってしかるべき)を好むあたしのような者には耐えられない。まあ、そういう監督だとわかってたから、別に驚きもしなかったけど。象徴的なのが、松たか子と高島礼子の存在。身分制度ゆえ、主人公の侍と結ばれることの許されない町人娘だの、極刑を科された亭主の命乞いをするため、無駄を承知で自らの身を犠牲にするヨメだの。侍魂、というか、侍のアイデンティティの観点からはある意味邪道とも取れる彼らの姿を描くことで、封建制と共倒れになりつつある主人公の人生観の崩壊を描きたかったんだろう。いや、よく出来た映画であることは否定しない。映像はとてもきれいだと思うし、スタイルも確立していると思う。単に好みの問題で、あたし個人はこういう湿っぽいのは楽しめないクチ、というだけのこと。封建制崩壊と、それと共倒れになる侍、というモチーフ自体が嫌なのではない。映画のヒューマニズムを否定するのでもない。山田監督の手によるそれらの表現が好きになれない、ということ。あ、でも一言だけ内容批判。蝦夷へ向かう主人公がわざわざきえを迎えにいく場面まできっちり撮らなきゃ気が済まないところが、いかにも山田流。そこまで見せんでいいっつーの。妹夫婦と別れる場面の、妹の台詞が、その展開を十分に示唆してたんだから。あの妹の台詞で終わっておけば、うまく余韻を残すことができたのに。というわけで、あのラストシーンは蛇足。しかも「あー言うと思った」という感じの最後の会話が、なんとも・・・。和製オリバー・ストーンか。[DVD(字幕)] 4点(2007-01-04 16:27:35)

6.  ミリオンダラー・ベイビー 《ネタバレ》 アメリカでは、キリスト教右派や保守派の評論家、障害者団体が反発して、ボイコット運動が起こった。その一方で、アカデミーでは高く評価され、4部門受賞に至った。この二極分化された、文字通り賛否両論のリアクションは、まさにあたし個人のリアクションでもある。人物描写、キャスティング、画面作り、プロットなど、映画としてはものすごくよくできた一本であるという気持ちは否めない。しかし、個人的には、高く評価したくない。その理由は、もともと映画にポジティブな娯楽を求める傾向があること。この映画の、特に後半から結末にかけて描かれるテーマは、人生を考える上で無視することの出来ない重要なテーマである。しかし、映画を通してそれを考えたくはない。ましてや、これみたいによくできた映画にそれを提示されると、人物設定や演じる役者が優れている分、現実からは切り離した次元で架空の世界を楽しもうとするあたしの基本姿勢は揺るがされる。いっそのこと、駄作だったらもっと素直に批判的になれるのに、という感じだ。[DVD(字幕)] 5点(2006-10-22 10:40:04)(良:1票)

7.  ハムナプトラ2/黄金のピラミッド 《ネタバレ》 初めから終わりまでクライマックスでできている。1も2も。こういう派手で大味な映画も、たまにはいいよね~、という感じで、1年に一回ぐらい見たくなる。2の見所は、「哀れCGモンスター(しかもサソリとのかけ合わせ)と化すロック様」と、あとはなんと言っても「かわいそうな奴、イムホテップ」につきる。イムホテップは悪役のはずなんだけど、あまりの間抜けっぷりに感情移入する。主人公&スコーピオンキングとの三つ巴線(?)で、すんでのところでおいしいところを主人公にもっていかれる。(主人公の奴もなぁ、飛んでくるヤリをジャンプしてキャッチするかぁ。)そして主人公に肝心の一撃までも奪われ、思わず躍り出てひざまずき、両手を前にのばして絶叫。『ノォォォォォォッ・・・!』。しまいにゃ、5千年のときを越えて再会した恋人に裏切られ、餓鬼たちの炎に身を投じるって。ホントに悪いんだけど、見るたび大爆笑。壮大なる悲喜劇。[DVD(字幕)] 5点(2006-10-13 23:07:50)

8.  妖怪大戦争(2005) 5点ぐらいの出来だろうと予想して見たら、ホントに5点ぐらいの出来だった。びったり当たって気持ちがよかったので、1点上乗せして6点。一言で言うと、いろんな要素を混ぜすぎて収拾がつかなくなったという印象だった。特撮映画、ファンタジー、コメディ、子ども向け映画、大人向けの何かのオマージュ。どこに向かいたかったんだろう?わかんないので、個人的によくできてると思った特殊メイクとキャスティングに注目して見たら、まあまあ楽しめたけど。[DVD(邦画)] 6点(2006-10-09 17:49:51)

9.  乱歩地獄 《ネタバレ》 キャストや予告編の雰囲気などからかなり期待して見たんだけど・・・。とりあえず、乱歩作品の中でも、いろんな意味で難易度の高い短編に挑んだ点は立派、と最初に言っておく。この果敢さを認めた上で敢えて言いたい、やっぱり映像化しちゃいけなかったんだなあ、と。 特に、『鏡地獄』と『芋虫』。個人的に、最も好きな乱歩短編だから、過剰に期待してしまったむきもある、とは思う。原作(のストーリー)を忠実に再現しないこと自体に異を唱えるのでもない。でも、『芋虫』のあのオチは、いくらなんでもそれはないだろう、というレベルの結末だった。そういう話じゃないだろが、などという野暮なことは、本来なら言いたくないのだが、ものには限度というものがある。それに、「怪人二十面相」や「小林少年」に登場されても、正直困る。 また、凝ったであろうカメラワークやアングル、挟み込まれるつなぎの映像なども効果的に働いたとは思えず。むしろ、奇をてらっている、というか、演出力の乏しさを表面(的な「奇」)でごまかしている、という印象だった。「とりあえず、乱歩だし」といった短絡的な発想で、「とりあえず(視覚的に)乱歩的なもの」をちりばめて、安直な映像化に終止した、と解釈してしまった。 ただ、最後の『蟲』は例外。原作の持つ猟奇的な怖さを、「おかしさ(=本来「怖さ」と紙一重である)」の方向へ展開させることで、ひねりのある映像化に成功した。絵的なセンスも感じられたし。『蟲』で主人公を演じた浅野忠信は、その辺の(おかしさと紙一重であるところの)恐怖、というものを、感覚の部分で理解していたように見えた。 したがって、4点はすべて『蟲』に献上。他のには1点もあげません。[DVD(邦画)] 4点(2006-09-26 13:03:18)(良:1票) 《改行有》

10.  御法度 《ネタバレ》 面白かった。衣装も映像も殺陣もよかったし、配役も。特に、トミーズ雅と坂上二郎のリリーフぶりは絶妙だった。松田龍平も、特に美貌というわけではないが品があり、あの役をこなせるだけの妖気もあって、なかなかの逸材だと思った。男色映画としても楽しめたが、謎解きの部分が特に面白かった。湯沢を殺したのは誰か?山崎を襲ったのは?惣三郎の「願」とは?最後にはいったい何が起こったのか?などなど。これらをつなぎ合わせて考えようとすると、意外にも、沖田総司の存在が不気味に疑わしく浮かび上がってくる。ひたすら「(男色は)嫌いです」「私にその気はありませんよ」を繰り返しつつ、随所随所でちらりと見せる妖しげな色気や中途半端な含み笑い。とりわけ、『雨月物語』について、ねっとりと熱く語る終盤の見せ場は、圧巻。これらがすべて、物語全体を支配する、「なにか不可解なもの」の伏線に思えてくる。演じた武田真治という役者を見直した。[DVD(字幕)] 8点(2006-04-23 04:26:56)

11.  オペレッタ狸御殿 《ネタバレ》 相変わらずすごい美学に貫かれているなぁ。期待通りの美しさ、痛快さだった。主立った出演女優がみんな狸顔なのは、やっぱり意図されたものなんだろうけど、中でも由紀さおりが、あんなにユーモアセンスあふれる人だとは知らなかった(美空ひばりの「復活」よりも感動的だった、あたしにとっては)。老いてますます過激な清順翁は、やっぱりすごい監督だ。[DVD(邦画)] 9点(2006-03-21 13:21:03)

12.  ピストルオペラ 《ネタバレ》 映画ってのは「見る」もんなんだ、と思わずにはいられない。構図力(合わせ鏡を使って背後にいる敵を振り返らず射殺!)とか、色彩感覚(雛人形に降り注ぐ花びらの嵐!)とか。視覚を完全に魅了された、という感じ。したがって、江角マキコの台詞まわしが微妙にぎこちなかったのも欠点ではなくなり、むしろ彼女ならではのキレのいい動きと「着物にブーツ」という独特のスタイルを着こなすセンスが強烈な印象として残る。後半、ちょっとダレたけど、それをカバーして余りある美意識に酔いしれました。[DVD(邦画)] 10点(2006-03-21 06:54:29)(良:1票)

13.  スウィングガールズ 《ネタバレ》 「作り物」としての映画のよさを再認識できた。小さな「ありえねー」を積み重ねていくことで、大きな一つの「ありえねー」(=数ヶ月でビッグバンドジャズをマスターする素人女子高生たち)を紡ぎ出す、という手法。おそらく作り手は、この映画を「青春映画」や「音楽映画」などと言った既存の枠にはめたかったのではなく、「ビッグバンドジャズにはまる田舎の女子高生」という具体的なモチーフを使った(もっとシンプルで一般的な意味での)「娯楽作品」を作りたかったんだと思う。何度でも見たくなる爽快感。楽しめました。[DVD(邦画)] 8点(2006-03-21 06:38:27)

14.  Dolls ドールズ(2002) 《ネタバレ》 10点でもあるし0点でもある。素晴らしいような気もするし、全然ダメなような気もする。というわけで間をとって5点。好きか嫌いかで言えば、たぶん好きなのだが、最後、「つながり乞食」の二人は運命の赤い綱のせいで助かったのか、それともオエっとなって死んでしまったのかが曖昧で、どちらに解釈するかで好きか嫌いかも変わってきそうな気もする。レビューになってないですねははは。5点(2005-03-26 15:25:44)(笑:1票)

15.  天上の剣 The Legend of ZU 《ネタバレ》 これは映画じゃなくて実写版ロールプレイングゲームだ。世界をも滅ぼしかねない巨悪に立ち向かう勇者たち、というのが大筋で、プレイヤーは好きな勇者のシナリオでゲームスタート。試練をクリアして強く成長した主人公勇者は、最後に他の勇者たちと全員で力を合わせてラストボスを倒す-。この映画はまさにこの手のゲームの、すべての勇者のシナリオを、めちゃくちゃにつなぎ合わせたもの。それぞれの人物描写も何のひねりもなくて適当だし、人物間関係に厚みもリアリティもない。各人、途中で何がしかのトラブルに遭遇するも、まさかの突飛な展開でそれをクリア、パワーアップする。まさにRPG、マルチシナリオ。それも攻略本なしでは絶対クリアできないやつ。要するに、人格のない、戦力としての主要人物多すぎ。主役は誰だったんだ結局。というのが映画じゃなくてRPGだと結論付けるにいたった一番の要因。そして最後にはパワーアップした全員が力を合わせて巨悪を倒してハイ大団円。ちなみにチャン・ヅイイー扮する孤高の女軍人にいたっては、最後の戦いに直接参加するでもなし、何で登場する必要があったのか全くわからない。そもそも、舞台となっている精霊住まう霊山・蜀の世界観も説明不足で、陰と陽だの、天と雷だの、宇宙の力だの再生の力だの、といった、巨悪を倒すのに必要な力がどう相互作用するのかが最後まで理解できなかった。(あたしのアタマが悪いのか?ていうかたとえホントにこっちがアタマ悪いのだとしても、観客にそれを悟らせちゃっていいのか?)CGを多用した映像は凝っていて見ごたえがあるのに、中身が全く伴っていないので、せっかくの映像美も結局この映画をRPGに変貌させる手助けをしたに過ぎなかった。RPGも嫌いじゃないけど、映画を見たいときに映画じゃなくてRPG見せられても満足できるはずないのである。4点(2004-08-18 15:17:56)

16.  ザ・ロイヤル・テネンバウムズ 《ネタバレ》 深刻さとおかしさの入り交じった独特の雰囲気がすごくよかった。すごいメンツをこれでもか的に揃えて、しかも誰一人無意味に突出させることなく、全体に調和させた手腕は見事。話としては、崩壊した家族が一つにまとまって行く過程を描くと言う、ある意味定番ホームドラマの流れを汲んでいるんだけど、家族が全員天才という、規格外の設定のため、まとまろうとしてもどうしてもおかしな方向へ転がって行く。このくらいのメンツを揃えなければ成り立たなかっただろう。中でもよかったのはグウィネス・パルトロウ。この人が役と一体化したのを初めて見た気がする。美人系よりもこういうひねた役の方がずっとはまる。このオファーを受けたところに、今まで気づかなかった彼女のセンスの良さを見た。見直した。とにかく、見た後の後味が必ずしもよくないホームドラマなんて意外性のあるもんを、よく作り上げたものである。7点(2004-07-27 07:31:31)

17.  ズーランダー 《ネタバレ》 ベン・スティラーとオーウェン・ウィルソンがスーパーモデルという設定からして無茶苦茶だぁと思わされたけど、中身も最後までホントに無茶苦茶だった。(中でも特に、期待を裏切らなかったウィル・フェレル)。でも、これは「良い無茶苦茶」。笑わせ方のスタイルが確立しているので、好みの分かれるところだと思うけど、あたしは笑わせてもらった。理屈でどうこうではなく、力技的に笑いのスイッチをオンにさせられ、その後入りっぱなしになったという感じ。これみたいに、バカバカしさで勝負のコメディって、しかし、成功させるには相当のセンスと知性がいると思う。失敗するとダサくなる。そして、失敗してダサくなってしまった駄作(シャレになっちゃったよ)の方が世の中にはずっと多いはず。ダサくなる一歩手前のところでうまく全体をまとめることのできるコントローラーとしての知性は、誰しも持ち合わせているもんじゃない。ベン・スティラーの凄いところだ。8点(2004-07-27 07:11:37)(良:2票)

18.  キル・ビル Vol.2 《ネタバレ》 クエンティンのスタイルは立派に確立されていて、それはそれで高く評価されているし、個人的にも面白いとは思う。(ただ、「現代アジア映画をアメリカに紹介した男」みたいに、関係ないアジア映画のDVDにまでウンチクたれに出てくるのは、ホントにやめてほしい。「アジアってすごくね?かっこいくね?んでもって、それをアメリカに紹介したオレ!すごくね?」という声が聞こえてきそうですごくいや。)しかし、最初は斬新に思えた彼独自のスタイルも、ここまで繰り返されると飽きる。だから、新鮮な気持ちで作品として楽しむというより、クエンティンのやつ、次に何したいんだろうなぁ、などと考えながら見ることしかできなくなった。作品のスタイルには、とうの昔に飽きているが、話題性だけにひかれてふらふらと見に行っちゃった、という感じで、見に行ったことを恥じたいという気にすらなった。今でも話題をさらえるのはすごいと思うけど、作品の質というよりはこの根強い話題性に頼っての興行という感じがした。映画界の寵児、というよりはもはや映画界にスポイルされた男と呼ぶほうがしっくりくるクエンティン。このしぶとい話題性が吸引力を失くす時のことを考えて、まともに作品作りしたほうがいいと思うよ。「映画監督」なんだから。[映画館(字幕)] 4点(2004-05-23 16:24:21)

19.  私立探偵・濱マイク/我が人生最悪の時 《ネタバレ》 濱マイクのキャラクター設定はすごくいいと思うし、ぜひシリーズ化してほしいとも思うんだけど、実際に映画としてみてみるとはっきりいっておもしろくない。ストーリーは平凡すぎで先が読めるというか、パンチに欠けるというか。白黒映像で、ノスタルジックなスタイリッシュさを狙ったんだと思うが、成功したとは思えず。表層的なところだけをかっこよく見せかけて中身が薄いのをごまかしている姑息な技(しかも成功していない)でしかなかった。アイディアとキャラ設定がいいだけに惜しい。4点(2004-05-23 16:18:12)

20.  HERO(2002) 《ネタバレ》 実は、見るまではあんまり期待してなかった。イーモウが始皇帝暗殺の物語を撮るって聞いて、はぁ?と思った。この人は、(中国第五世代の双璧のもう一人、陳凱歌と比べると)歴史的大作のダイナミズムよりは文芸的カホリで勝負する人だと思っていたから。でも、見てびっくり。思っていたよりずっとよかった。秦王と刺客の物語というからには、武侠ものなんだろうと思ったのが間違いで、これは武侠もの、アクションものというよりは、リアリティを無視して視覚的美しさで勝負を狙った芸術性の高い作品だ。イーモウらしい。見せ場はやっぱり、剣を使ったアクションにあるんだと思うけど、アクションというよりは剣舞という感じ。体の動きがすごくキレイだし、重力の存在をまるで無視したワイヤーアクションも、武侠のリアリティではなく、視覚的美しさに重点を置いて撮られたものだと思う。あと、『羅生門』パターンで繰り返される、残剣と飛雪のエピソードがバージョンごとに違う色を前面に出して描かれるが、どれも思わず息を呑む。これはマジで一見の価値アリだと思う。9点(2004-05-23 12:37:38)

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