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【製作年 : 1990年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
1. エントラップメント 《ネタバレ》 意外に厳しい評価が多いんですね。私はけっこう面白いと思ったのですが……。ショーン・コネリーとゼタ=ジョーンズは、二人とも好きな俳優なので、私的にはそれだけで点数がアップしてしまいます。二人の恋愛について賛否両論出ていますが、私のようないわゆるオッサンにとっては、「中高年男にもまだ可能性がある!」という希望を抱かせてくれて拍手です(笑)。まあ、ストックホルム症候群のようなものだったと解することもできそうですが(涙)。 話が進むにつれて、どちらがどちらを騙しているのかわからなくなるような状況設定はよかったと思います。マックの城の外でジンが保険会社に電話しているのを盗聴したのに、マックは特別な行動を起こさず、見ているほうには謎が深まります。また、ドロボーさんの話なので盗みの場面が見どころのはずですが、私にはラストが強く印象に残りました。最後の消え方も、なかなかスマートでよろしいのでは。心地よく楽しめる佳作でした。ちなみに、「プードゥー駅」がロケ地として選ばれたのは、ショーン・コネリーがちゃんと発音できたのはこの駅名だったからという話があるようです(真偽不明)。オッサン万歳![DVD(字幕)] 7点(2008-07-01 11:40:59)《改行有》 2. ギャラクシー・クエスト 《ネタバレ》 おバカ映画のふりをしていますが、脚本がすごくよくできています。宇宙機雷を活用した攻撃方法やオメガなんとかという謎の究極兵器によるドンデン返しなど、「なるほど~!」と快哉を叫んでしまいます。また、泣かせどころもあって、トカゲアタマの弟子が死ぬシーンなど、私も怒りにふるえてしまいました(笑)。さらに、ラストのほうではファンたちのサポートが絶大な役割を果たしており、細かい配慮も怠らない筋書きが見事です。 そうしたスペオペとしてもよくできていますが、本作には「+α」のテーマが込められています。それは「自己再発見」です。最初、「ギャラクシー・クエスト」出演者の面々は、現状に倦み無気力、惰性に流されてイヤイヤやっているばかりでした。しかし、一連の体験を経て、ラストでは見違えるように輝いていており、自分たちに誇りさえ感じられるように変わっています。自分のなかにあった可能性と素晴らしさに気づいたわけです。 サーミアン人たちにしても、あれほどの科学力をもちながら、当初は自主性が欠落していました(このあたりは社会批判とも受け取れる)。ちょっと強い敵にはなぶられ放題で、誰かのマネをするしかできない、ひ弱な花といった存在でした。が、こちらも最後には自分たちのなかに真のリーダーを見出し、雄々しく大宇宙へと旅立っていきます。 つまり、自分を高め、強めてくれるものは、実はもともと自分のなかにあるんだよというメッセージであり、そのため観客も観終えてから、なんとなく勇気がわいてくるような気持ちになれます。本作は、そうした人間賛歌の精神が通底しているがゆえに、観ていて気持ちよく、心温まるものが感じられるのだと思います。すばらしきB級映画ではありませんか! ということで、8点也です。「ギャラクシー・クエスト2」を希望! [DVD(字幕)] 8点(2005-07-06 13:27:39)(良:4票) 《改行有》 3. さらば、わが愛/覇王別姫 《ネタバレ》 夢がうつつで、うつつが夢……蝶衣にとっては、石頭とともに舞台でライトを浴びている時間が人生のすべて。幻想の劇世界のなかに生の証を求めようとする蝶衣の精神は倒錯したものではある。だが、倒錯の世界に埋没するしか、蝶衣は自分の愛を満たすことができない。なんと哀しく、純粋な愛か。そのありさまに気づくとき、観る者は、性差を超え、ノーマル・アブノーマルといった既存の枠組を超えて、激しく心を揺さぶられる。 時代背景は中国が歴史の波に翻弄され、大きく揺れ動いた時期。日本軍の進駐、文化大革命の洗礼……。波乱が訪れるたびに、人心は猫の目のように様変わりし、社会は変貌をとげる。そうした、あらゆるものが不定形で変転きわまりない一方、蝶衣の愛だけは岩盤のように不変なものとして描かれる。その対比が際立つ脚本は見事であり、これほど愛を貫ける人間の凄みといったものが胸に迫る。 最終的には蝶衣の愛は、蝶衣自身をも飲み込んでしまったということになろうか。決して実ることのない愛であったが、いや実ることのない愛であったがゆえに、それに殉じる道を選択した蝶衣の生きざま(死にざま?)は哀れを誘い、私はこみ上げてくるものを止めることができなかった。 レスリー・チャンの美しさはこの世のものとは思えぬものがあり、本作の妖しい魅力をより増していた。あの「ピャラ、ピャラ~」という京劇の切ない笛の音を聞くたびに、私はこの「覇王別姫」を思い出さずにはいられない。3時間があっという間に感じられた壮大な叙事詩に敬意を表し、フルマークを捧げたい。子役も大変素晴らしかったのは、いうまでもない。[DVD(字幕)] 10点(2005-07-01 23:18:40)《改行有》 4. ガタカ 《ネタバレ》 まるで鉄道列車のように頻繁に飛び立っていくロケット、血液照合でIDチェックするゲートやハンディスキャナー……そうした近未来のどこか無機質、どこか醒めた雰囲気が抜群によかったです。テーマ自体は、逆に、古典的といってもいいもので、「努力する者は、たとえ資質で劣っていても報われる」というメッセージ。ヘタをすれば、汗と涙のお決まりの物語になりかねないところを、乾いたタッチで新鮮に見せました。 と同時に、本作が深みを増したのは何といってもジェロームの存在。本来、スーパーがつくほどのエリートであったはずの彼の挫折、大金を支払ってまで自分の痕跡を歴史に刻みたいと欲した強い気持ち。しかも、念願が成就した際に選択した、あの強烈な結末……。正直なところ、凡人の私なんぞには量りかねるものがありましたが、上り詰めた人間には、「堕ちることが許されない」という哀しい孤独な世界があるのだなとは感じました。 かたや資質には恵まれていないものの情熱と努力で夢を手にしたヴィンセント、こなた素晴らしい資質をもちながらも他人を借りねば夢を果たせなかったジェローム。不完全と不完全が補い合って初めて何かを得られるのだというストーリーは、絶対に完全などあり得ないわれわれに、常に「足らざるを知れ」という教訓も残してくれます。 ラストの抜き打ち検査でヴィンセントの正体がバレたときの係官の対応が最高でした。ということで、納得の8点也です。ユマ・サーマン、こういう役はピッタリ。 [DVD(字幕)] 8点(2005-06-22 22:15:08)(良:2票) 《改行有》 5. 初恋のきた道 《ネタバレ》 1回目は父が初めて母の家に行き、「そのときの母さんはまるで一幅の絵のようだった」と語った(と聞かされた)とき。「一幅の絵のようだった」という言葉に心が揺さぶられた。2回目は髪飾りの贈り物を母がもらったとき。明らかに安物なのにこのうえない喜びようの母ではあった。3回目は父が不在中の学校の障子を母が張り替え、その障子に切り絵を貼っていったとき。さぞかし時間をかけてつくったのであろう。4回目は病の床についていた母に父が帰ってきたことが知らされたとき。母はほとんど表情を変えず、ただ大粒の涙だけ流した。5回目は「私」が父の手づくりの教科書で1回だけの授業をしていたとき。以上、最低5回、私は泣いた(家で見てよかった)。 現実には、こんな話はないかもしれない。それは分かっていても、これほど純粋に人を愛し、強い気持ちで思い続けられるとは、なんと神々しいものかと圧倒されずにはおられなかった。その人が食べるものを一生懸命につくる、その人がいる場所をひたむきに掃除する、その人が通る道をいつまでも見守る……いまでは、すぐれた既製品がたくさんあるし、掃除なんかもヘルパーさんを頼むケースもあるだろう。それはそれで便利だし否定するものではない。でも、それだけになお、その人のことを思い、心を込めて手仕事をするというのは他に代えがたい深い意味があるように思える。「愛しているよ」と口にする100のセリフよりも、はるかに真心を伝えてくれる。都会の垢にまみれたわが心を、ひととき清浄にしてくれた名作だと思う。ビジュアルも大変美しかった。 完全に術中にはまったことになるが、この映画に素直に泣ける自分がまだあったことが嬉しい。久々に10点也を捧げたいと思います。イーモウ監督、心理描写も上手じゃない![DVD(字幕)] 10点(2005-04-14 21:32:08)(良:2票) 6. ゴッドファーザー PART Ⅲ 《ネタバレ》 Ⅰ、Ⅱと比べると、かなり落ちるなあというのが正直な感想。マイケルがあんなに喜怒哀楽をあらわにする男になっていたのには、かなりガッカリ。まるで別人で、Ⅰ、Ⅱでのマイケルの面影もない。物語も、3時間かけて、いったい何を伝えたかったのか? 聖と俗の宿業とか因果応報的な神の摂理とでもいうものを描き、オデッセイの世界へ昇華しようとしたのだろうと思うが、実際には何となく話がいろいろとつむぎ出されていただけといった感がある。 結局、Ⅰ・Ⅱとは完全に別物になっていたというのが私の感想。どなたかが「蛇足」と書いておられたが、同感。Ⅱとのあいだに時間が開きすぎたのが凶と出た気がする。Ⅱのラストから、せいぜい数年後を舞台にした「GFⅡ.5」を見てみたい。ということで、6点也です。6点(2004-12-12 00:27:48) 7. スモーク(1995) 《ネタバレ》 ハーベイ・カイテルのタバコ屋は、いい味出してますな。いわゆる社会的な“勝ち組”にはなれなかったけれど、なまじな“勝ち組”ではとうていかなわない人間力を備えているって感じで魅力的です。こういう下町親分をやらせたらピカ一。 ピンポイント写真のアルバムをウイリアム・ハートの作家に見せるとき、「ゆっくり見たほうがいいと俺は思うな」と、さりげなく亡き妻エレンを見つけさせようとするところや、ホントかウソかわからないクリスマス話を語るところなど、じんわり胸に伝わってくるものがありました。いいですね、この役者。 本作の場合、あまり「意味」を「理解」しようとするのは“正しい”味わい方ではないと思われますが、「お金」と「家族」が終始強い意味合いをもっていました。黒人少年が泥棒から泥棒した例の5000ドル、泥棒→少年→(作家)→タバコ屋と“持ち主”を転々と変えていきましたが、結局、誰もただの1ドルも使わないで、可哀相なルディのところへいってます。そして、1ドルも使われずに“持ち主”が変わるたびに、 なぜか“幸せ”を生み出していく不思議! 「家族」のほうは、ルディと娘、黒人少年と自動車工になっていた父の親子関係、ルディとタバコ屋、作家と亡き妻の夫婦関係が作品のなかで一つのアヤをつくっていたように。家族関係がきわめてややこしくなった現代アメリカでも、いや、そんなアメリカだからこそ、か、やっぱり「家族」が最後の寄りしろになるのですね。 と同時に、家族でも何でもない他人同士のあいだにも家族同様、いや場合によったら家族以上の関係が築けるとも訴えているように思えました。ラストのクリスマスストーリーの逸話は、その“まとめ”として受け取れました。カイテルのタバコ屋と黒人おばあさんのクリスマスの1日、「他人」と「家族」があいまいにミックスしたような状態での幸せなひととき。作者は、ここに社会の縮図を織り込んだのでしょうか。ちなみに、最後はカメラを盗んだとしたのは、カイテル・タバコ屋のテレがあったからだと私は解釈しました。 白人黒人、若いの年寄りの、男女……いろんなセクターの登場人物を巧みに取り込み、一つの作品にまとめあげた力量は大したもんです。残念ながら、こういう作品は日本ではとうていつくることはできないだろうなあ、ということで8点也です。 8点(2004-10-31 01:10:30)(良:2票) 《改行有》 8. プリシラ(1994) この手の映画は高得点をつけないと「理解がないヤツ」と思われがちで、点が甘くなる傾向があるような気がするのは考えすぎ? 派手派手な内容のわりには淡々と進むストーリーで、ちょっと物足りなかった。盛り上げるところはもっと盛り上げ、シリアスな部分はもっとシリアスに、というふうに、メリハリの付け方を現状よりも激しくしたほうがよかったと思う。かといって見て損したとは思わないが。バスの屋根に乗ったガイが衣装をたなびかせて、バスがオーストラリアの大地を疾走するシーンが最高でした。ということで6点也です。 6点(2004-09-23 23:35:57)《改行有》 9. フォレスト・ガンプ/一期一会 面白かったけれど、これ以上の点は私にはつけられないです。事前のイメージとは、まったく違う内容で、これは、いわゆる、おとぎ話ですね。 よく比較される「ショーシャンク」ともども、よくできた佳作という印象が共通します。 8点以上つけれらないのは、あまりにも主人公に都合のよすぎる話が連続したからで、ファンタジーにあまりリアリティを求める必要はないのかもしれませんが、荒唐無稽すぎて、本作から何かを得ようという気にはなりませんでした。なお、邦題の「一期一会」は不要だったのでは、とも思いました。7点(2004-07-11 14:09:33) 10. レナードの朝 《ネタバレ》 この映画のレビューは、平常心では書けなくなってしまった。本作を見終えた直後、知人の訃報が飛び込んできたからだ。最悪のタイミングだった。映画によってかきたてられていた感情が、なおさらざわめき立ってしまい、必要以上に衝撃を受けてしまった。 月並みな言い方になるが、健康に一日一日暮らせること、それがどれほど幸せで感謝すべきものを本作は思い知らせてくれる。どんな宝石よりも尊く、どれほどの残高がある貯金よりも大切にすべきものなのだ。私の知人は突然の死によって、レナードたちは原因不明の病気によって、そのかけがえのない珠を否応なく奪い取られたのである。この映画を見た以上、私たちは彼らの無念さを忘れてはならない。忘れてしまっては、映画を見た意味がない。 昨今、自殺する人が増えている。それぞれ、やむにやまれぬ事情があるのだとは思うが、決行する前に本作を見てほしい。そして、ふつうに生きようとどれだけ努力しても、叶えられない非情な運命の人たちもいることを知ってほしい。 映画の後半は切なすぎる。1969年の奇跡の夏が終わりを告げつつあるとき、レナードたちに少しずつ、だが確実に病魔が再びしのびよってくる。何とか抗うため、セイヤー医師はためらいながらもLドーパの投薬量を増やしていく。しかし、それでも病魔の歩みを止めることはできず、レナードはゆっくりと「向こう」へと消えてゆく。 レナードが女性と最初で最後のダンスを踊るシーンと、発作が起こるなか「カメラで撮れ」といい続けるシーンは、こらえきれない。デニーロの演技が過剰という声もあるが、実際、これぐらいの発作は起こることを知ってもらいたい。私には過剰演技とは思えなかった。 最後、ストーリーはセイヤー医師とエレノア看護師に転換して終わる。この部分の評価は分かれるところだろうが、私は蛇足だったように感じた。ちょっと示唆するぐらいで止めておいてほしかった。 脚色や演出に突っ込みどころがないわけではないが、それでもなお本作は、ただ「ふつうに生きる」こと、それが実はどれほど恵まれたことか、健全ないのちの輝きを改めて知らしめてくれる映画史上に残る傑作だと思う。「ショーシャンク」とよく比較されるが、私はためらいなく本作に軍配を上げる。 9点(2004-07-07 00:38:04)(良:1票) 《改行有》 11. ディープ・インパクト(1998) 《ネタバレ》 アルマゲより、私にはこちらのほうがよかった。基本的には彗星激突というパニックものだが、人間ドラマもわりとしっかりと描かれており、冒頭ではティア・レオーニのヒロイン同様、見ているこちらも「エリーとは何なんだ?」と、ちょっとしたサスペンステイストも楽しめた。また、レポーターの父娘の確執、若き彗星発見者イライジャ・ウッドの恋のゆくえ、そしてメサイア号の挑戦と、3つのディメンションで物語が進行する複雑さのうえに最後のドンデンで結末を迎えるシナリオは大変よくできていて感心した。 その一方、彗星激突にいたるプロセスに科学的な緊迫感がもう少しほしかったのと、激突したときのCG映像が思ったより短く、物足りない感じが残った。音楽も、この種の作品にありがちな妙にコケおどし的なものよりも、本作みたいな静かなもののほうがしっくりきてよかった。このあたりは女性監督の感性の賜物か。単なるSFパニックものに終わらない魅力があったと思う。 お決まり的ではあったが、イライジャ親子、あるいはイライジャの新妻の親子の別離シーンではちょっとウルウルしてしまった。それから、メサイア号の目が見えなくなったクルーに船長が『白鯨』を読んでやるシーンもよかった。にしても、ティア・レオーニって、いい女だなあ!7点(2004-06-20 22:08:51) 12. ショーシャンクの空に 《ネタバレ》 当サイトで常に最高の評価を得ている話題作。いっぺん見ておかないと、と前から思っていたのがようやく実現、いい映画だった。長時間にもかかわらずダレることもなく、ドンデン返しもあり、楽しめた。ティム・ロビンスは主人公のイメージにピッタリだし、モーガン・フリーマンの味わいある存在感も映画全体のクオリティをアップさせていたと思う。 でも、こういうことをいうと水を差すようで恐縮ながら、私には10点つけられる、あるいは10点をつける必要がある作品とは感じられなかった。何より、冤罪で投獄された男の“落とし前”が脱獄というかたちで処理された点に最大の違和感が残った。無実だからといって脱獄でOKなのか? ナンだか、肝心なところが誤魔化されたような印象なのである。そこをオミットしての自由や夢の実現といわれても、引っかかりが残ってすっきりと快哉を叫ぶことができない。 また、それが気になるためか、結局、本作を通じて何がいいたいのかもよくわからない。主人公の人間性に触れよというのか、あるいは、ただエンタテインメントとして楽しめばよいのか。巷間、テーマは「希望」だというが、その希望の達成のされ方が脱獄しての大金持ちという描かれ方では、どうにもすんなりと呑み込めない消化不良感にさいなまれる。たとえ、どれだけ時間がかかっても、何らかのめぐり合わせによって、ついには冤罪が晴れ、アメリカ大統領の名で彼の無実がつまびらかにされる――といったものだったら、まさに「希望」がテーマだといえただろうが。 ということで、Aクラスであることには異論はないけれど、Aクラスのワン・オブ・ゼムにとどまるというのが私の評価。超Aクラスとは思えなかった。あ~、みなさんから叩かれそう! 7点(2004-06-20 00:36:28)(良:4票) 《改行有》 13. 北斗の拳(1995) 俺はもう死んでいる。0点(2004-05-06 21:12:12)(笑:7票) 14. 交渉人(1998) 《ネタバレ》 警官が無実を晴らすために人質をとって立てこもるという非現実的な設定。だけど、それを補って余りある内容があった。話のテンポもこの種の作品に適度だし、最後のどんでん返しには虚を衝かれた。よくできたシナリオだったと思う。ただ、“IQ180の駆け引き”とはいえず、宣伝に偽りありの感は残った。『シェーン』をもう一度見てみたい気にも(笑)。7点(2004-05-05 14:25:04) 15. フィラデルフィア 《ネタバレ》 床に倒れる――トム・ハンクスのただそれだけの動作に「名演」を見せつけられた。さすがにハリウッドの底力はすごい。 図書館で司書に「個室のほうがいいでしょう?」と親切ごかしの差別を受け、「あなたはそのほうがいいのか?」と切り返すセリフ、シナリオも光った。 ホモセクシュアルそしてエイズという重いテーマをステレオタイプに訴えるのではなく、映画という娯楽性を十二分に踏まえたうえで、観客に考えさせる。演出、脚本、俳優たちの演技、すべてが高いレベルで結実。これを名作といわずして何を名作というのか、と思わずにはいられない。9点(2004-05-05 11:33:57) 16. ライフ・イズ・ビューティフル 《ネタバレ》 力作であることは間違いない。戦争の現実・悲惨さをちりばめながら、過酷な環境でも貫かれる家族愛が悲しくも朗らかに描かれる。ベニーニも終始熱演を見せてくれる。 が、基本的なところでの違和感が必ずしも作品世界になじみ込ませることをしなかった。それはイタリア人と日本人である自分とのあいだに生じる一種のメンタリティギャップなのだろうか。 誇張されたベニーニの演技、収容所でウソのゲームを続けるという設定、あそこまでドイツ人をコケにする描き方……物語の枠組み自体には共感を覚えても、作品化する際の演出が大味に感じられ、粗っぽい印象につながってしまった。そのためか、私の両目から涙が出ることはなかった(イタリアの人たちは大泣きしたのだろうか)。 不出来な作品だとまでは思わないが、60年代とか70年代のものならまだしも、97年の映画ということからすると、いま少しシナリオと演出に練りがほしかった。 6点(2004-05-04 09:45:15)《改行有》
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