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1. 東京の宿
荒涼とした原っぱに立ち並ぶガスタンクが強く印象に残る。そんな風景の中で幼い兄弟二人が朽ち果てたケーブル・リールの上にちょこんと乗って岡田嘉子親子を待つ絵がとてもいい。それにしても、あの兄弟二人はチャンのした行為を理解して許すであろうか?あの後二人は世間から後ろ指を指され、可なりキビシイ人生を歩むであろうと予想される。それでも私は彼らは理解して許すと思います。そんな切なく優しい映画です。時折、寂しい微笑を浮かべて疲れた艶っぽさを湛えている岡田嘉子が素晴らしい。惚れちゃった。6点(2004-05-08 10:53:03)
2. 非常線の女
主演の岡譲二の顔に象徴される様に頗るハイカラで硬質な作品。ダーティーで危うい世界で生きるヤクザとズベ公。二人の生活は見掛けはハイカラで洒落ているが虚飾に満ち溢れている。二人はその生活というものが丁度、譲二が田中絹代演ずるズベ公にプレゼントしたネックレスと同様偽物であることを、地道に真っ当に生きて居る一人の女性の出現によって気付いてしまう。レコード屋に勤めるその女性の慎ましくも美しい気高さに感化されてジタバタし始める二人。その証拠に譲二は思わず「音楽って奴は神様が作った物の中でも出来のいい方だぜ」と呟いてしまう。この台詞だけでもこの映画は買いだ!!(サイレントですけど)。それにしても、小津や当時の日本人の美的センスの好さには感心させられる。ギャング達が被るソフト帽がメチャクチャカッコいい!!7点(2004-05-02 10:54:30)
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