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【製作年 : 2000年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
評価順12
投稿日付順12
変更日付順12

1.  ビッグ・フィッシュ 《ネタバレ》  映画なんて結局はただのつくりものなんです。それは観てる人も、創ってる人も、配給してる人も、映写してる人も、宣伝してる人もみーんなわかってる最低限の了解事項なんです。だからこそ僕らは、二時間ばかりの間、楽しい思いやら、切ない感じやら、純粋な怒りやら、底知れない悲しみやら、感電するほどの喜びやらの感情に身を任せて、暗闇にぼんやり浮かび上がるスクリーンに安心して身を委ねていられるんです。その安心感。映画が終わって灯りがついたら、僕らは、僕らが人生、とか、生活、って言ってる、一見単調でつまらないモノに戻って行きます。でも、その暗闇で僕らが感じた、ある確かな想い、みたいなものはつくりものなんでしょうか?いや、その確かな(けどあやふやな)想い、みたいなものこそが、頼りないかもしれないけれど、僕らの生きて行くことの本当のど真ん中に在り続けているんだと、思うんです。物語。映画。遥か古代から、たき火の前で語られて伝えられてきた物語。残り続けた物語はやがて神話って呼ばれることになるんでしょう。父親から息子へ。そうあれかし、と思うものが伝わって行く。確かにその想いを受け取ったことを最後に息子は物語ることで父親に証明します。そうして父親を永遠に生き続ける物語に送り出します。最後に、物語が実は確かな事実に基づいていたことを知らされます。こうして物語と現実は遂に幸せに一つのものになります。生きて行くことと物語を紡ぐことの幸せな融合を見せられる二時間のつくりもの。ティム・バートン万歳!お話の力!ホラ話のはばたき!最高なんです!10点(2004-11-18 04:21:00)

2.  ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還 《ネタバレ》 もう二十年近く前からの原作ファンとしたら、遂に完結したこのシリーズに関わったスタッフキャスト全員にほんとにただただありがとうを言って廻りたいと思います。もうね、いちいち号泣。もちろん僕が思うのと違うシーンだってありますよ。特に、ファラミアとデネソール親子とかね。あれはどうかと思うんです。でもね、やっぱり全編にわたって原作に対するすごく真摯な愛情を感じました。いろんな映画的な脚色はすごくよかったな、って思うんです。結果的には。いろんな評価を見て思うのは、原作を読んだこと無い人たちが、すごく楽しんでくれてて、それがなんだかすごく嬉しいんですよね。原作ファンだけの自己満足で終わらずに、ちゃんと、(まあ、三作全部見ないと着地しないんだけど)映画としての完結を、これ以上無いぐらい果たせてるのが、嬉しいんです。大きな、とりわけものすごく大きな物語が語る、すごく小さな想い、”指輪”ってつまりそういう物語だと思うんです。そうやって終わってくれただけで、僕はピーター・ジャクソンにありがとうを言いたい。「おら、しなきゃなんねえことをするだ、わかってくださるだか?フロドの旦那?」フロドって結局なんにもして無いじゃん。弱いじゃん!ゴラムって最後もなんなの?っていうか最後意味わかんなーい!最後長くない?そんな感想が多いのはわかります。でも違うんです。あのラストは、ああじゃなきゃだめなんです!ああやって終わる指輪物語が、僕たちは大好きなんです!「今、帰っただよ。」ああ!もう!終わって欲しくない物語の終わる瞬間!きっと映画だけで楽しんだ人は、ひどく駆け足だったでしょう?だから僕は、映画としての評価はきっと出来ないんです。でもやっぱり、満点をつけちゃいたくなるんです。至福の時間が、束の間過ごせたから。 [映画館(字幕)] 10点(2004-03-13 01:45:48)(良:2票) 《改行有》

3.  ミスティック・リバー イーストウッドって本当に上手な監督なんだなあ、ってちょっと空恐ろしくなってしまいました。それに脚本のヘルゲランドも。(LAコンフィデンシャルも原作を素晴らしく上手に脚色してました)これはとんでもないほど完成度の高い映画でした。僕はたまたまちょうど一年前にルヘインの原作を読んでて、その時の読後感、というのか、ストーブの灯油が切れた寒い部屋で感じた、物語ることだけがもっている、癒される事など恐らく無いであろう悲しみと一緒にのせた人の想いの行き場のなさへの限りない肯定と同情、というか、なんて言えばいいのかはさっぱりわからない、あの高揚感だか、絶望感だかさえわからない圧倒的な心の震え、のようなものをもう一度味わってしまった、というのがものすごい驚きでした。今まで何本も原作を読んだ後映画を見たり、映画を見た後原作を読んだりしてきました。でも、こんなに原作を読んだ後と映画を見た後に感じる、確かに残ってく想い、みたいなものがシンクロした映画や小説はなかったんです、自分の中で。これはとんでもない事だと思うんです。たとえ僕個人の中でしか起きていない事なのだとしても。原作を読み終わった後のあの感じ、あの時の部屋の寒さと心の狂おしさ、みたいなものがもう一度そっくりそのまま甦ってきた驚き。映画は時々奇跡を見せてくれます。僕らは奇跡が見たくて映画を見続けるのかもしれません。でも、本当にすばらしい映画は時に、奇跡が自分自身の身にだって起きるんだ、って信じさせてくれます。僕にとってはこの映画がそんな映画になった気がします。とにかく観てほしい。三人の男優がすばらしいのは言わずもがな、何よりすばらしいのは、マーシャ・ゲイ・ハーデン!僕は彼女がショーン・ペンの家から帰る時にそっと開いている戸棚を閉めながら帰るところだけで訳も無く涙が溢れてしまって、ものすごくびっくりしました。何気ないシーンのなんと完璧な事か!空恐ろしいくらいです。死にたくない、そう思うんなら、僕たちはただただ生き続けるしか無い。たとえ何があろうとも。勇気がないと思っている普通の人間が持っているほんとうの勇気についての物語。二本の足で、二つの目で、一つしかない頭で、たくさんの想いをずっと先まで運んで行く事。正直僕は打ちのめされててまともに感想なんて書けません。観てほしいです。原作も読んでほしいです。10点(2004-01-28 04:17:53)(良:2票)

4.  チョコレート(2001) 《ネタバレ》 これはね、決してテーマは、ラブストーリーでも人種差別でも死刑制度でもないと思うんです。そういう頭で観てしまうと、いろいろ文句のつけどころがいっぱいあるような気がします、確かに。だからこんなに評価が割れるんでしょう。“たかが愛の代用品”って最近じゃ珍しく、見事なコピーだと思いましたよ、観終わって。配給元に、そうはいってもちゃんと映画を観れてる人がいるんだな、って。つまりそういう映画なんですよ。失いたくないのに不意に失ってしまうもの。失ってしまってはじめて気付く絶対的な喪失感。失ってからようやく、それを本当に本当に愛おしいと思っていたのかどうかの疑念に苛まれる罪悪感。死刑になった夫。目の前で自殺した、同じひとりの娼婦を呼んでいた気弱な息子。目の前で事故で死んだ、愛情の欠落を埋めるようにチョコバーを隠れてむさぼる息子。愛した妻で息子の母親である女性を蔑む独善的な差別主義の父親。愛したかったのに全身で愛しきらなかった愛おしい人々。喪失感、ってもしかしたら、もともと持っていないのにずっと持ってるって勘違いしていたものを、自分が本当は持っていないんだって事実に気付かされた時に感じる感情なんだろう、そう思いました。でも、それでも、絶望的な事実に気付いてしまった後でなお、もし、そばにいてくれる同じ喪失感を抱えた人が一匙の甘くて冷たいチョコレートアイスを無邪気に差し出してくれたら。にっこり笑って、いや、なんとか笑顔を作って、差し出してくれた優しさにそうっと寄り添うようにスプーンの上の生温く解けた甘いものを受け止めるんでしょうか。もしそれを受け止めてくれたら、無邪気な喪失感を抱えた哀れな男は、もう一度、ゆっくりと、生きていくことにむかっていく、なんだか勇気に似たものを自分のなかに持てるのかもしれません。男って常にバカ。女の人って常に現実的。何一つわかりません。でも。その瞬間に二人に通う優しい想いと、馬鹿みたいに綺麗な星空はきっと、その瞬間だけの真実なんです。きっとこの二人はうまく行かないんです。この先は。そんなの関係ないんです。訪れる優しい瞬間の素晴らしさ。生きてる意味の向こう側で輝くなにかをなんとか閉じ込めようとして、半ば成功していると思うんです。すごく好きです。そして痛々しい。あんなに興奮しないベッドシーンって。あんなに美しい人が演じてるのに。だから素晴らしいんでしょう。9点(2004-04-14 03:02:46)(良:3票)

5.  シティ・オブ・ゴッド 《ネタバレ》 ものすごい映画をよくもまあ撮ったもんです。子供が笑って子供を殺す。救われない、暗い映画に、あるいは、辛気くさいメッセージ臭ぷんぷんのお説教映画にいくらでもなりそうなのに、このバイタリティ!この躍動感!このダイナミズム!この乾いたユーモア!見事!ぐいぐい引き込まれて興奮しながら見られる(こういっては不謹慎だと怒られるかもしれませんが)素晴らしいエンターテイメントに仕上げながらも、観終わった後には確実に、絶対的な貧困にまみれたスラム街を抱えてしまっている社会の重たい現実がずっしりのしかかってきます。同時に暴力の連鎖が一つの世界に蔓延していくプロセスを実はものすごく冷静に見つめてもいて、決してリオのスラムの惨状を告発するだけではない、すぐれて今現在の世界に向かって開かれた映画にもなってます。それよりなにより、やっぱり極上の青春映画なんです、これは。誰の手にも銃が握られてて、しかも日常的にそれが他者にむかって向けられ、発射されるコミュニティだって、生活があって、恋愛があって、そこから抜け出して何者かになろうとする初々しい葛藤がある。そんな当たり前なことを当たり前でないコミュニティならではの描写で描くこの手腕。おもだったキャストのそれぞれがやっぱり今の自分の立ち位置から抜け出して、何かもっと高いところへ行こうともがいてる。その圧倒的なバイタリティをそれにふさわしいスピード感溢れる、見事なカメラワークで追いかけます。また時々挿まれる静かなロングショットの美しいことといったら!シーンがわりの鮮やかな手際といったら!ハンディカメラの生々しさと大俯瞰の見事な対比!彼らと一緒にすれすれの死に怯えながらも興奮してスラムを猛スピードで走り抜けたような、奇妙な疲労感に襲われた気がします。それに60・70・80年代 を年代ごとにきっちり色を変えながら、断章でつないでいく、キレのいい連作短編小説のような構成の妙にもうならされます。見事なクロニクルになってます。幼い子供が殺しあう、残酷なクロニクルに。見事です。悲惨で、救いのないことを、こんな形で世界に示すことの出来る才能があるなんて。驚きと羨望を感じてしまいます。9点(2004-04-13 01:08:26)

6.  太陽(2005) 《ネタバレ》 イッセーさんてなんて勇気のある人なんだろう。ただただ感嘆するばかりです。まさかロシア人監督が描く昭和天皇の映画で、まさにその昭和天皇の役を演じるなんて!しかもその描写と行ったら、もう。僕の見方は間違っているのかもしれません。でも僕にはそうとしか見えなかった。この映画で描かれているのは多分、その器もないのに神と等しい位置にまで祭り上げられてしまった一人の哀れな男の姿です。そしてこの、本来もの静かで知性も備えた、現人神でいるにはあまりにも我の強くない男はその重荷に耐えきれずに半ば精神に変調をきたしかけています。僕は観てて本当に戦慄が走りました。”これじゃイッセーさん右翼に殺されちゃう!”て本気で思いました。特にマッカーサー登場までは。この内容を徹頭徹尾リアルな映画として撮ってしまったとしたらほんとに政治問題や国際問題になりかねないな、って思いました。ところがこの映画はそんな愚をおかすことは決してしないで、美しくもグロテスクなイメージを重ねつつ、あくまでファンタジィの側で踏みとどまります。これは現実の皇居で起きた現実のことではない。どこか観ている僕らにはその確信がある。その上でこそあのイッセーさんのすばらしいお芝居が輝きます。その緻密さ。連合軍のジープに乗せられて去ってゆく現人神の庭には丹頂鶴が憩うている!しびれます。太陽と崇められた男の心はしかし崩壊の手前で踏みとどまります。そして月光の下で一人の小さな人間としての悲しい再出発を決意する。この先の人生が苦い苦いものになるであろう予感を含んで。やがて太陽は昇る。今日もゆっくりと。[DVD(字幕)] 8点(2007-05-30 03:56:16)(良:1票)

7.  マッハ!!!!!!!! 《ネタバレ》  うわぉ!いっってぇ!まじで!あっぶね!死ぬってば!の連続。トニー・ジャーのアクションはホント人間離れって言葉がふさわしいものすごさ。キレてまーす!僕は格闘技にはまったくうといので何がムエタイ由来のすごさで何がこの映画独自の動きなのかはわかりませんが、とにかくすごい!そして痛そう。僕が一番感心したのは、でも痛そうな格闘シーンよりも前半の逃走シーンのわくわく感でした。ジャッキーチェンに(プロジェクトA!) 対する最大限のリスペクトを捧げながら、それを超えてみせるんだ!ってものすごい熱意を感じました。(お楽しみのエンドロールのNGシーンの茶目っ気も素敵)その熱意と生身の人間の筋肉の躍動感とがシンクロしたようなキレキレの追いつ追われつの楽しさったらなかったです。映画全体としてみれば、 意あって力足りず、というか、意あって予算足りず、みたいなところもあって、大傑作とは言えないのかもしれません。カメラかフィルムかわからないけど、パカパカ色やトーンが変わるところとか。でも、とにかく現場の熱気というか、こんなすごいのを俺達はみんなに見せたいんだ!って意気込みがびしびし伝わる創りにはついつい甘い点数をつけたくなっちゃいます。お話はたわいないし、人物造形も類型的。主人公のキャラの地味なこと!でもそんなの吹き飛ばす輝きがあるでしょう?デジタルだCGだってうるさい映画の世界はそれでもやっぱり、アナログ全開なフィルムの濃密な質感だったり、生身の筋肉のみずみずしい躍動感だったりに結局は寄りかかってるんだろうな、ってちょっと安心しましたよ、大げさにいうと。頑張れ!トニー・ジャー ! しーじーとワイヤーとグリーンバックに飛び膝蹴りだぜ!8点(2005-01-07 01:34:17)(良:2票)

8.  インファナル・アフェア 《ネタバレ》  香港映画というよりは、少し前のすごくよく出来たハリウッド製のサスペンス映画を見てるようでした。設定や小道具は古典的にして基本的。よく考えたらあり得ない話ではありますが、丁寧な演出と脚本でそんな事を気にさせる事なくラストまで見事に緊張感を持続していきます。熱心な香港映画ウォッチャーではないぼくは、きっと最後は二人が拳銃の残りの弾なんて気にしないようなありえないけどかっこいい銃撃戦でも繰り広げて、お互いに撃ち殺しあって果てるアクションものなんだろうなあ、なんて観始めました。どうしてどうして! 冒頭の真空管アンプのシーンでもうわしづかみ。すごく好きです。その後の悲劇を予感させて。それまでは若い二人がどっちがどっちかわからなくて混乱してましたが、そこからはラストまでぐいぐい。バッドエンドではありますが、後味の悪さよりは悲しみの方が募ります。8点(2004-12-15 01:39:33)《改行有》

9.  MUSA-武士- 愚かな男達が愚かさに殉じて死んでいく。そんな話です。でもそんな話にやっぱりしびれてしまいます。『七人の侍』はもちろん、たぶんそれよりもっと『ワイルドバンチ』に対する深い想いを感じた映画でした。死んでいった男達が想いを傾けていたものの善し悪しを生き残った者の価値観で評価することを頑として拒否する。そんな映画です。理不尽でも時代遅れでも間違ってても傲慢でも、何かを頼んで絶望に向かう。その行為をうたいあげない。けれど、絶望に立ち向かうちからが沸き上がる瞬間の訪れをしっかりとらえる。ゴロッと重たいまま転がしたような重量感のあるアクションシークエンスは素晴らしい作りだと思います。ただ、音楽はちょっと上滑りかな。それは残念。一歩間違ったらものすごく理不尽なお話ですが(というか十分理不尽なお話なんですけど)ぎりぎりでチャン・ツィイーの魅力で踏みとどまってる感はあります。彼女に魅力を感じられないと、なんでそうなるのよ!って話になりかねないんですけどね。幸い僕はある程度この映画の時代背景を了解していたのですんなりいったんですけど、予備知識ゼロで乗り出すとこの微妙な三つどもえ感はいまいち実感できないまま進んでしまうかもしれません。でも僕はすごく血がたぎりました。雄叫びをあげて突進する。たとえもう遅くても。その無意味な輝きをやっぱりどこかで追い求めてしまうのです、男の子は。8点(2004-11-21 02:50:07)

10.  NARC ナーク これは、ちょっとすごいなあ。見事。タイト。クール。そして画が素晴らしい!慎重、かつ繊細。最後まで絶対に緊張感を失わないんだ、っていう強い決意と確固たる目線が厳然とあって、いろんな手練手管が(見る人によってはあるいはうるさく見えるのかもしれませんが)きっちり機能してて、描きたかったことをきちんと描ききってます。レイ・リオッタもジェイソン・パトリックも素晴らしい!痛みと優しさ。仕事と家族。プロフェッショナルでいつづけることの苦悶。許せることと許せないことの紙一重の間でもがく男達の苦悩を、あくまで冷え冷えとした画で観せながらも、熱く熱く描ききるこの手腕!すごい!ひさびさに、沸々と熱いものが湧いてくるいい映画でした。それが正しくなくたって、人にはいつも命と引き換えにしても守りたいものがある方がいいんだ、すべての痛みの向こう側で生きることの駆動力になるのは、その妄念だか執念だか執着なんだ、きっと。そんな風に思いました。ほんと、画が、というかそのトーンの揺るぎない感じが素晴らしいです、この映画は。8点(2004-04-04 01:10:07)(良:1票)

11.  過去のない男 《ネタバレ》 カウリスマキ万歳!このゆるさ。このトホホ感。なのにこんなに優しい気分になれる。この人にしか出来ない荒技があるんでしょうが、それをうまく言葉にはできそうもありません。魔法が使えるとしか思えない。たこ焼きの材料しか使わずにとんでもなくおいしいフランス料理のフルコースが作れてしまうような。いや逆かな、フルコースに使う食材を全部使って、夏祭りで食べたあのたこ焼きの懐かしい味を再現してしまうような。出て来る人がもういちいちみんなにこりともしないで最高にイカす(!あえて、イカすって言いたいのです!)会話を交わす感じがたまりません。警備のおっさんと強盗社長がとくにいいなあ。でもそうはいっても実はとってもかわいいラブストーリーでもあって、それはそれでにやけちゃいます。”おもしろうて、やがてかなしき”そんな言葉を思い出しました。アイデンティティーと幸福なんてほんとは何の関係もないのかもよ、そう、アイデンティティーみたいなものと日夜格闘してる、自分や自分のまわりの人たちに言って歩きたくなりました。未払いの給料を配り歩くみたいに。みんな頷いて、黙ってそれを受け取ってくれたらいいのに。ね。 音楽も最高!まさかフィンランドの映画で、ブラインド・レモン・ジェファーソンとクレイジーケンバンドが両方聞けるとは!こうやってふいに自分の好きなものが重なりあうのって映画の楽しみの一つな気もします。8点(2004-03-29 03:45:23)(良:1票)

12.  25時(2002) 《ネタバレ》 優しい映画だなあ、そう思いました。スパイク・リーがどこまでも優しくニューヨークを見つめながらモニターの前で座ってる感じがして、なんだか切なくなりました。鏡の前でノートンがニューヨークという街自体に、罵詈雑言を叩き付けるシーンがなんとも切なくてやるせなくて、愛情に溢れてて、たまらないです。自分をここまで育ててくれた街に、自分ならここまで想いをぶつけられるだろうか、そんな風に思いました。あのシーンと、友人二人のグランドゼロを見つめながらの長回しが、この映画の肝だった気がします。最後の最後で、本当はそうありたかったはずのアメリカが限りなく美しく描かれます。でもそれであぶり出されるのは、力に満ちあふれてるからこそ、その力の使い方を見いだせずにもがいてるほんとのアメリカなんでしょう。傲慢なこともほんとはわかってる、でも傷ついてることを誰かにわかっていて欲しい。永遠に傷ついてしまったニューヨークという街の正直な叫び。スパイク・リーはとても正直な立ち位置に立ててるなあ、この場所から声を発し続けて欲しいなあ、そこから発する声はきっと世界に届いて行くんだろうなあ、そう、思いました。 8点(2004-03-28 02:02:52)《改行有》

13.  バーバー こういう、身につまされて笑えない滑稽さ、みたいなのを不気味な話に仕立てるのが、コーエン兄弟はほんとに上手ですね。ものすごくグロテスクなのに、ものすごく詩的で、下手したら神話的とさえいえるぐらいな描写をしながら、なおかつ、小馬鹿にされてるような、笑うぎりぎりで脇腹をくすぐられてるような感じがたまらないです。この余裕が多分だめな人はだめなんでしょうけれど、僕にはいつも他の誰も与えてくれない、人生についてのある視点、みたいなものを見せてくれてるような気がして、すごく心地よかったり、逆に生きてる事自体の居心地の悪さを思い出させてくれたりして彼らの映画から離れられません。それになによりも、ビリー・ボブ・ソーントンって、ほんと何をしてても、いや、何もせずに画面に居るだけで、なんだか何時間でもだまって観ていられる、そういう人なんですよね、僕にとっては。それにカメラ!ディーキンス!素晴らしく美しい!震えるほど美しいカットが満載です!救いの無い悲劇を喜劇としてみせられる、その凄みを感じるいい映画だと思います。8点(2004-03-11 02:06:32)

14.  グッバイ、レーニン! 《ネタバレ》  生真面目な、けれどすごく可愛らしいファミリードラマでした。きっと旧東ドイツで育った観客はうんうん、にやにやとしながら観たんでしょうねえ。小ネタのきいた微笑ましいエピソードを積み重ねていくうち(ピクルスの瓶探しがかわいいなあ、特に)、やがて息子が母親のため、っていう元々の行動原理を超えて、自分自身が不意に失ってしまった、安心して将来を委ねてきた社会主義の理想像を自分の手で語る事にのめり込んでいきます。最後にうそニュースでかれだけの輝ける東ドイツの指導者となる彼の元ヒーローの口を借りて語られる理想はけれど、社会主義も資本主義も超えて、若い優しい男のもっともっと素朴な理想像のキラキラ輝くスケッチです。それを優しく見守るすべてを理解した母親の優しい笑顔にはやはりほろりとさせられます。けど、何より素晴らしかったのはやっぱり、あのレーニン像のシーンです。取り払われた旧世界の理想のイコンが太陽に照らされて輝きながら優しく手を広げて新しい世界の訪れを告げる。滑稽なんだけどかなしい、厳しい世界をまざまざと見せながらも優しく受け入れる。何となくみんなのなかに印象的なニュース映像としてあったあの画をなんと鮮やかに甦らせたことか!あのシーンがラストシーンでもよかったのに、とさえ思っちゃいました。あれを思いついた瞬間がこの映画の創り手の勝利の瞬間でしょう。映画全体のなんとなくのぎくしゃく感を忘れる素晴らしいシーンだと思います。あ、あと。えー、ララちゃんかわいいっす。惚れたっす。7点(2004-12-19 03:43:53)(良:2票)

15.  キル・ビル Vol.2 《ネタバレ》 ちゃんと映画撮ってやんの、タラさんたら。vol.1ほどぶっ壊れずに、割と普通にお話を追ってて、これは前作を受け付けなかったひとも割とすんなり楽しめるかも。爆笑度は前作より減ったけれど、にやにや度はアップしてます。タラさんやりたい放題。パイ・メイのチャプターなんてもう。早いズームインと、ヒゲをさすって”ひゅん”ってSEが入る度ににやにやしてました。もうこの微妙なまったり感は『ジャッキーブラウン』を思い出しました(実は大好きなんです、僕)。会話のやり取りがすごく心地いい。お話としてうまく着地できたとは決して思えないけど、楽しませていただきました。でも僕ちょっと閉所恐怖症なので、あのシーンは厳しかったです。トラウマになりそう。音がね、もうすごくヤなわけです。ダリル・ハンナはしかし最高だなあ!前回アイパッチに赤十字で悶絶したのに続いて今回も!かっこいいぜ!憎々しいぜ!マメにメモだぜ!あと、ユマ様!それは日本じゃ北斗真拳っていうんですよ!いつユマ様が”オマエハモウ、シンデイル!”って言うかと思ってドキドキしたじゃないですか!7点(2004-04-27 00:37:10)(良:1票)

16.  小さな中国のお針子 《ネタバレ》 なんともかわいらしい。お針子も、おじいちゃんも、村長さんも、メガネも。もちろん、下放政策って現実にはもっと厳しい側面もあったんでしょう。でも、十九二十歳の生意気で血気盛んで変に知恵と知識がついて芸術と西洋文化に理想と憧れを持った、都会の若者ふたりが、車も通れないような山村でしなやかにたくましく笑って生きている美しい少女に出会ってしまったら。もちろん一生忘れられない恋に落ちてしまうでしょう、二人とも。エピソード一つ一つがすごく可愛らしくて微笑ましくて、いかにもフランス映画的ですが、風景や小道具の仕掛けは濃厚に文革当時や今現在の中国を映し出してて、その微妙なずれ、みたいなものがファンタジックだったり、ノスタルジーを醸し出したりして、いい感じでした。一度でも友達の彼女に惚れてしまったことのある男の子は身につまされるかも。女の子って時に残酷。でもだから好きになるんだよね。たくましいのはいつも旅立っていく女の子で、僕らは呆然とそれを見送ってなんとか想い出を美しくするのに必死になるのが関の山なんです。何も知らないのは結局頭の中を本の知識でいっぱいにした僕らの方なんです。でも、読んだことないバルザックを読んでみたくなったかな、少しだけ。ホント言うと、お針子が、10年前好きだった娘にすごく似てて、なんだかざわざわしっぱなしでした。いやはや。7点(2004-04-04 23:39:58)

17.  ターミナル 《ネタバレ》  うーん。観ている間はよどみなく楽しめたコメディの小品でした。これを小品、なんて言ってしまえるのはスピルバーグだからでしょうけど。ハンクスは若かりし頃のように楽しげにコメディを演じてるし、ゼタ・ジョーンズはちょっと驚くほどなんともキュート。脇役のみなさんもお約束かもしれないけれどそれぞれうまい位置で生き生き描かれるし。でもね。04年のアメリカ映画なんです、これ。その映画がです、ニューヨークの大空港を舞台にこんな能天気でファンタジックなハートウォーミングコメディの形をとることに感じる違和感。もちろん、映画はその映画そのままの大きさで楽しまれ、語られるべきでしょう。映画が語るものをいたずらに大きくしていくことは僕もいいことだとは思いません。そうやって語られる映画はものすごくつまらないですもんね。それに社会性、みたいなものと映画をあまりに強く関わらせていくのは危険だと思うんです、僕。いや。きっとスピルバーグは、今だからこそあえて、ニューヨークの大空港を舞台にこんな映画を創りたかったのかもしれません。そうすることで、アメリカが失おうとしている何かをもう一度取り戻したいのかもしれません。でもね。やっぱり僕には、あまりにものんきで、あまりにも内向きにすぎるように思えるんです。主人公の”約束”が慎ましいものであること、彼の求めた愛が結局は報われないこと。その選択はすごく素晴らしかったと思います。小さな物語にしようとして、実際小さな物語になってます。でもそこに込められたであろう思いまでもが小さく、内側に向かって閉じたものになってしまってる気がします。スピルバーグが描くアメリカは、今もまだ、世界中が淡いあこがれと苦々しさを同時に抱いてる若い20世紀のアメリカです。素晴らしかった頃のアメリカの良心。のんきすぎるんです、それでは。父と子の小さな物語が、世界とひとりひとりの人間との対話につながるようなもっともっと開いた物語を、スピルバーグには描いて欲しい。この手腕と予算があるんだから。そう思っちゃいました。ディテールが素晴らしいだけに余計に。 あ、吉野家ってほんとにJFKにあるのかな?あのセットどれくらいそっくりなんでしょうかね?行ったことある人に聞いてみたくなりました。丸ごとセットだってんだからすごいよね。その力を有効に使って欲しいとアジアの片隅で切に思う訳です。6点(2005-02-07 03:37:14)

18.  レジェンド・オブ・メキシコ/デスペラード 《ネタバレ》 はじけきらなかったなあ、残念ながら。意外と生真面目なんだな、ロドリゲスさん。どうせなら、もっともっとバカ銃撃戦をみたかった。お友達のタランティーノ(どっかに出てましたか?僕はわかりませんでした)ほどはじけきれなかったなあ。意外と話がしっかりしてて、割と丁寧に話を追ったりしちゃってくれて、しかも話しの軸がいくつかあるのをきっちり見せるので、バンデラスの決めポーズを期待して見に行った僕としては消化不良です。でもそうはいってもやっぱり、ロドリゲスとバンデラスはいい!ほんの少しぎこちないのを残したままの荒唐無稽でけれん味溢れるアクションシークエンスにはしびれちゃいます。でもやっぱり、僕のような見方をしてると、ジョニー・デップはどうだったのかな、と思わずにはいられません。かっこいいのは一人でいいじゃないですか、ロドリゲスさん。しかもあんなにかっこよくてあんなくせ球放る人入れたら、そりゃかすみますよ、主人公が。すっかりデップさん楽しんじゃって、おかげでバンデラスさん無駄に真剣に復讐にいさんでるみたいに見えちゃって、すっかり浮いちゃったじゃないですか。たまにきらめくロドリゲス節を楽しんで、にやにやしながら観れたのでいいんですけど。二発しか撃てないショットガンの弾を込め直すバンデラスがいちいちかっこいい、みたいのが肝だったはずなんですよね、このシリーズ。ちょっと残念。残念と言えば、やっぱり最近エンドロールで席を立つお客様が多すぎませんか?観てあげましょうよ。最近のエンドロールが長過ぎるのも悪いけど、それでもねえ。最後に何か待ってることもあるしね。この映画は特にロール中も、何回ロドリゲスの名前が出てくるのか観てるだけでなんだか楽しいですよ。とにかく何でもやってんだ、このひと。笑っちゃいますよ。アフレコのミキサーとか。やんねえだろ、ふつうそこまで。6点(2004-03-11 01:41:03)(笑:2票) (良:2票)

19.  ラスト サムライ 《ネタバレ》 意外と面白くてびっくり。でも好きかと聞かれたら、好きじゃないです、ってはっきり言える。そんな映画でした。きっとすごくいっぱい日本のことも勉強して、脚本も練って、美術も凝って(美術は特に素晴らしかったと思います)、きちんと作り上げてるのはわかるんです。でも好きかって言われたら、好きにはなれない。なんでしょうね。うまく言えませんが、武士道って絶対にこういうことではないと思うんですよ、僕は。この映画で描かれる武士道って、どこかで滅びの美学、みたいなものにすり替わってる気がするんです。そしてすり替わってしまった武士道が、自己犠牲を美化してて、何かに殉じて死んでいくことを称揚している気がするんです。それって全然武士道ではないと思う訳です、僕は。武士道って、そんなことだと履き違えるからこそ、滅びてしまった概念だと思うんですよね。いかに生きるかをがむしゃらに突き詰めていったはずの考えを、滅びていくものへの哀惜みたいなものに巧みにすり替えてしまうことへの違和感が最後まで拭えませんでした。滅びる事への限りない哀惜はたとえば、「ワイルドバンチ」(最高に好きな映画です)みたいな形でしか現れないと思うんですよ。つまり何かに殉じて死ぬなんて何の意味も無いばからしいことだ、そんなのわかってる、それでもそれを全部わかった上であえてその醜さにに踏み込んでいく。滅びていくことってそういうことだと思うんです。この映画で肯定されて、美しく描かれているものって、大げさかもしれないけど、結局、アメリカが振りかざす正義とか、アルカイーダやオウムやパレスチナのテロリストが振りかざす正義につながってしまうものだと思うんですよ。美しさと正しさを、それと気づかずに混同してしまうことはやっぱり僕は違うと思う。まあ、そんなでかいこと言わなくたって、細かく言えば笑っちゃう突っ込みどころ満載なんですけど、この映画。いや、しかしトムクルーズ。彼がいなきゃこの企画自体成り立たなかったんでしょうけど、それにしたって、彼のポジションはあくまで狂言回しなんだから、それに徹して欲しかったです。チューすんなよ!小雪ちゃんと!最後も予感で終われよ!顔で終わんなよ!それじゃただのスター映画だろ!結局この映画のほんとのサムライは渡辺謙さんでも真田さんでもなく、日本一の切られ役、福本さん(ボブ!)だったなあ。そう思っちゃいます。5点(2004-03-12 23:48:26)(良:2票)

20.  デビルマン 《ネタバレ》  遂に観てしまいました。しかも記念すべき2006年の一発目です・・・。ものすごく後悔。いろんな評価を観て、きっと史上最低レベルのバカ映画として、気軽に笑い飛ばしてしまえるかな、って思ったんです。忙しい上に寂しい新年のもやもやをまぎらわせるのに最適かな、って。暗澹とした気分です、おかげさまで。バカ映画ですらなかった。一言でいうと、ものすごく不憫な映画です。僕は正直、原作にしろテレビアニメにしろ、何の愛着もないですし、この監督さん(というかこの監督脚本夫婦)の映画もこれ以外一つも観たことがありません。だからこそ、一つの映画作品が、というか、もっと大きくいうと、ある程度巨額の予算をかけて造り上げられようとしている一つのプロジェクトが、自らの重さでがらがらと崩れていく様を見せられているような、寒々とした同時にものすごく腹立たしい気持ちになるばかりでした。きっとそれぞれのセクションの人間は、このプロダクトをなんとかいいものに仕上げようと頑張ったんだと思うんです。少なくともこれに関わった大部分の人たちは、多かれ少なかれ、各分野のプロだと思うんです。けなすのは簡単です、脚本も演出も演技も撮影もCGも照明も編集も音効も何もかもなんだかどうしようもありません。とりわけ脚本はまったくひどい。もうどうしようもなくひどすぎる。でもね、このあまりのひどさの出発点はきっと、監督や脚本家の能力のなさだけではないと思うんです。どうして各部門で、この程度のレベルのものでOK が出て、一つの作品が完成してしまうのか。ものを創りあげようとする”熱”みたいなもののここまでの欠如はいったいどうしたことなのか。「出来るなら俺だってこんなのには関わりたくないよ、でも関わっちまったからには、最低限俺は出来ることをやるよ」、そんな声が、映画全体から聞こえて来るようです。あまりに不憫でしょう。マーケティング、アドバタイジング、コンテンツビジネス、トレンド、損益分岐点、そんなうつろな言葉しか、この映画からは聞こえてきません。どうしてこんなものに嬉々として原作者が出演してるのか。映画という産業の、旧来からあるものと新しく興きてきたものの両方の悪しき部分だけが、結びついてしまったような印象があります。不憫。かつ、この上なく不愉快。一点は一生懸命さだけが伝わるふたりの若い女優さんに。かわいそうすぎる。もちろん、富永愛はのぞく![DVD(字幕)] 1点(2006-01-03 07:48:37)(良:6票) 《改行有》

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