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プロフィール |
コメント数 |
1274 |
性別 |
男性 |
年齢 |
44歳 |
自己紹介 |
嫁・子供・犬と都内に住んでいます。職業は公認会計士です。 ちょっと前までは仕事がヒマで、趣味に多くの時間を使えていたのですが、最近は景気が回復しているのか驚くほど仕事が増えており、映画を見られなくなってきています。 程々に稼いで程々に遊べる生活を愛する私にとっては過酷な日々となっていますが、そんな中でも細々とレビューを続けていきたいと思います。 |
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1. 七人の侍
さすがは日本映画界の最高峰だけあって、本当に凄い映画でした。本物にしか見えないオープンセットと俳優達の迫力、アクションのみならず男の友情・ラブストーリー・コメディに階級闘争までがパンパンに詰め込まれた異常なまでの情報量と、それらをひとつの物語にまとめてみせた脚本の素晴らしさ。映画のあらゆる要素が網羅された奇跡的な作品であり、傑作の中の傑作であることは間違いないと思います。
ただし、本作のようなマスターピースは後世にて徹底的に研究され、模倣され尽くしているために、鮮度はめちゃくちゃに落ちています。特にスピルバーグは『ジョーズ』や『プライベート・ライアン』など「チームを結成してミッションを遂行する」という本作のアップグレード版を多数制作していることから、それらの後発作品を見てしまうと、どうしても本作のインパクトは落ちてしまいます。
また、七人という人数が集団アクションにおいては適正な数字とは思えなかったことも、ちょっと気になりました。二つのグループの橋渡し役とコメディリリーフは通常一本化されるし、リーダーの女房役と参謀役も一本化されることが多いのですが、本作ではそれぞれを別のキャラクターにしていることから、菊千代と平八、五郎兵衛と七郎次のポジションが重複しているように感じました。
さらに、敵である野武士の描写がスッパリと切り捨てられており、思考も感情もなくただ飛び込んでくるだけの存在になってしまっている点も、てんこ盛りにされた他の構成要素と比較すると味気なく感じられました。村に一騎ずつ誘い込んで徐々に兵力を切り崩していくという主人公側の作戦に引っ掛かり続ける様などは、もうちょっと何とかならなかったのでしょうか。[DVD(邦画)] 7点(2017-11-15 23:56:59)《改行有》
2. 羅生門(1950)
《ネタバレ》 殺人事件が起こったが、当事者全員(イタコを介して霊界からお話している被害者当人を含む)が「殺したのは自分だ」と主張しているという、なんとも不可解な裁判。
多襄丸:真砂を巡って金沢と正々堂々決闘し、自分が勝った。
真砂:多襄丸に傷物にされて自分を見る夫の目が変わったため、後追い自殺をするつもりで金沢を殺した。
金沢:多襄丸の女になろうとした真砂の裏切りに失望し、自害した。
しかし、第三者が目撃していた真相とは、レイプで傷物になったことを金沢に責められた真砂が逆上し、二人の男を煽って決闘させたが、決闘に不慣れな侍と盗賊はへっぴり腰の泥試合を演じた後に、ギリギリ多襄丸が勝利したというものでした。
本作が優れているのは、通常は無罪を主張して当事者達がウソをつくという法廷劇の構図をひっくり返し、全員が「我こそが犯人」と主張するという捻じれた物語を作り上げたことと、その風変わりな構図から、人間には罪を被るという実害よりも優先したいほどの強力なプライドがあるという普遍的な物語を描いたことでしょうか。
さらに、本作は俳優陣の熱演もあって登場人物3人が誰もウソをついているようには見えず、各当事者にとっては、本当にそのように物事が見えていたのかもしれないという解釈も残します。人は、自分にとって都合の良いように物事を認識し、記憶するという性質を持ちます。多襄丸は豪快な盗賊としての物語を、真砂は最後まで夫に忠実な良妻としての物語を、金沢は妻を守れなかった自分の落ち度を隠す(=そもそも真砂は守る価値のない女だった)物語を求め、それぞれの物語に合うように事実を歪めて記憶していたのではないか。そうした解釈の余地が、さらに本作の意図を深めています。
本作を最初に見たのは中学生の頃でしたが、正直言って当時は全然ピンときませんでした。内容の複雑さに加えて、セリフの聞き取りづらさもあったのですが、今回はリマスター版で音声も改善された上に日本語字幕による援護射撃もあって、「この映画はこれほど高尚なことを語っていたのか」とひたすら感心させられました。
これは黒澤映画全般に言えることですが、録音機器の問題でセリフが聞き取りづらい上に、口語では分かりづらい難解な表現も多用されるため、日本語での鑑賞がかなり困難という厄介な代物となっています。本作や『七人の侍』が国内よりも海外で評価されたのも、字幕で鑑賞している外国人には、原語で見ている日本人よりも的確にセリフの意図が伝わったからではないかとすら思ったほどです。
あともう一点難を言うと、「レイプされた女は自害すべき」という価値観が登場人物全員の口から出てくる点には、ちょっと馴染めませんでした。これは時代の問題でもあるのでしょうが、第一の被害者であるはずの真砂の扱いがあまりに酷すぎないかと。[インターネット(邦画)] 8点(2017-11-10 18:43:47)(良:3票) 《改行有》
3. 突撃(1957)
傑作。キューブリック作品ではもっともよくまとまっています。しかもキューブリック作品でもっとも人間らしいし。ここまで感情的な作品って、キューブリック作品では例外的ですよね(「スパルタカス」はキューブリック作品ではないと見なして)。しかしラストではあっさりと死刑を執行してみせ、ここで彼はヒューマニズムと決別してみせます。この映画を象徴する展開であると同時に、その後のキューブリックの作風をも示唆する映画史上の重要シーンだったわけです。9点(2004-06-09 22:04:49)
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