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プロフィール
コメント数 271
性別 男性
年齢 57歳
自己紹介 歳をとるごとに趣味と呼べるものがだんだん少なくなり、今では多忙ななか映画を鑑賞することがひとときの楽しみとなっています。
無数の作品の中から良作を探し出すツールとして、本サイトのお世話になっています。

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【製作年 : 2010年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
評価順1234567
投稿日付順1234567
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1.  スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け 《ネタバレ》 感無量のなかで2度鑑賞。 J・J・エイブラムス監督は、世界中で熱狂的なファンを抱えるサーガ最終作のメガホンを取る、という誰もやりたがらない仕事を手がけ、ともかくもキャッチフレーズどおり「すべて、終わらせる」仕事をしてくれたことに感謝したい。 EP6以後のルーク、ハン、レイアの物語や、新世代のレイやフィン、ポーの出自と成長、カイロ・レンの改心、シスの終焉を示してくれた。 前作でのレイアの「手は打ってあります」の意味が、本作のクライマックスで明らかになるのもいい。 全編を通して描かれているテーマは「希望」であり「連帯」であり、出自がどうあれ、血統がどうあれ「人は変われる」というテーマだったのではないだろうか。 そして、ラストではっきりと示される「ライズ・オブ・スカイウォーカー」の意味。 恐らくは、レイを中心に新世代のジェダイ・オーダーが再建され(そこにはフィンや前作ラストシーンの少年もいるに違いない)、新たな銀河の平和が築かれていくだろう。 エピソード全編を俯瞰してみると、全時代を通して暗躍していたダース・シディアスを倒し、フォースにバランスをもたらしたのは、「スカイウォーカー」だったことに気づく。その意味では、EP1で「選ばれし者」アナキンを見いだしたクワイ=ガン・ジンの判断は正しかったのだ。(唯一アナキンの父はわからずじまいだったが) 改めて思うのは、小学生の時にEP4を劇場で観て衝撃を受けてからの41年間、私の人生はスターウォーズと「共にあった」ということだ。 ラストシーンからエンドタイトルの時間、これまで胸を躍らせた思い出が走馬燈のようによみがえり、涙が止まらなかった。 この時代に生きていて本当に良かったと思う。この「遠い昔、はるか銀河系の彼方で」の冒険を見せてくれたジョージ・ルーカスや、素晴らしいスコアを書いてくれたジョン・ウィリアムズ、そして全ての関係者に心から感謝したい。[映画館(字幕)] 10点(2019-12-27 13:56:07)(良:4票) 《改行有》

2.  スター・ウォーズ/最後のジェダイ 《ネタバレ》 「観ている2時間あまりの間、日常生活を全く忘れさせてくれる…」ジョージ・ルーカスが良き娯楽映画をこう表現したことがあったが、本作もまぎれもなくそうであり、SWだった。 正統なSWには、いくつか外してはいけない要素がある(手に汗にぎる宇宙戦、ドロイドやファルコン号の活躍、様々な惑星やクリーチャー、ライトセーバー戦、フォースの哲学、ジェダイ(ライトサイド)とシス(ダークサイド)の戦い、そしてスカイウォーカー家の血縁関係…)これらをきちんと盛り込み、さらにファンが観たいものもきちんと見せてくれた(ルークとレイア、R2―D2との再会、ヨーダの登場、二つの太陽など) 一方で観客をミスリードする展開を多用したり、スノークのあっけない退場、ルークの隠遁の理由がよくわからない、など不満点も残りはしたが、今回は新キャラクター(レイ、ポー、フィン)の成長譚でもあり、希望の余韻を残すエンディングもよかった。 レイはジェダイオーダーを再建できるのか、銀河に再びバランスをもたらすの誰か、カイロ・レンはダークサイドから脱却できるのか そして、レイの血縁は…EPⅨへの期待は膨らむ。 EP4の劇場公開から40年近く経っても、新作を楽しみにできる幸福を与えてくれたルーカスとディズニーに心から感謝したい[映画館(字幕)] 10点(2017-12-26 10:08:11)(良:2票) 《改行有》

3.  スター・ウォーズ/フォースの覚醒 《ネタバレ》 このシリーズはあまりにも思い入れが強いため客観評価が難しい。 作品がジョージ・ルーカスの手を離れてどのようなストーリーが展開されるかを最も楽しみにしていたが、恐らくどの監督も尻込みするであろう困難なハードルをもった作品であることを考慮すれば、J・Jエイブラムスはいい仕事をしたと納得できた。 砂漠の惑星に住む不遇な若者が、いわくつきのドロイドとの出会いをきっかけに冒険に旅立ち、敵の巨大要塞に捕らわれるも、仲間と共に脱出に成功しレジスタンス軍と共に敵の巨大兵器を倒す…というプロットは確かにEP4やEP1とも通じるが、旧シリーズの世界観を踏襲することで安定感を生み出すという選択は正しかったと思う。 CGを感じさせないほどに格段に進歩したVFX、旧キャラクターやファルコン号の登場の仕方も期待を裏切らなかった。チューバッカやC-3POのコメディーパートもそのままに、独創的なクリーチャー、手に汗握る空中戦、そして次第に明らかになる血縁関係…正統なSWの続編を名乗るにふさわしいつくりだった。果たして新たにフォースにバランスをもたらすのは、レイなのか、フィンか、それともカイロ・レンか…、期待は高まる。ジョン・ウィリアムズのスコアも欠かせないものだが、今回は印象的なテーマがなかったのが唯一気になる点。とはいえ78年に衝撃をもって観た作品の続編を、37年経った今も同じオープニングとエンドタイトルで観られる幸せに感謝したい。[映画館(字幕)] 10点(2015-12-20 12:07:54)(良:2票) 《改行有》

4.  ミッション:インポッシブル/フォールアウト 《ネタバレ》 お待ちかねのシリーズ第6作。 今回も大規模なプロモーションが展開され、予告篇や見どころ映像が嫌でも事前に目に入ってきたため、実際の鑑賞での大きな驚きはなかったものの、最初から最後までノンストップのサスペンスアクションは今回も健在だった。 IMAXで鑑賞したせいもあり、特にフランスの街並みを疾走するカーチェイスではリアルなエンジン音が鳴り響く中、「どうやって撮影した?」 と思えるような際どいシーンの連続で目が離せなかった。 いつもどおり観客をも欺く変装トリックや、最新のスパイガジェットも数多く盛り込まれ、ベンジーやルーサー達とのチーム作戦も安定して楽しい。 またクライマックスのヘリコプターアクションも、カメラアングルの妙もあり観客も一緒に体感しているような映像の合間に、地上チームの爆弾解除ミッションが同時進行で進み、最後までハラハラドキドキだった。 他にも「HALOジャンプ」や、有名な「骨折シーン」を含め、アクション俳優としてのトムのプロフェッショナル精神が炸裂している本作は、間違いなくシリーズ最高レベルの面白さだったと言える。 ともかく、劇場での2時間20分の間、ポップコーンを口に運ぶ暇さえ与えてくれない本シリーズこそ、本物の娯楽アクション映画といって間違いない。[映画館(字幕)] 9点(2018-08-15 11:29:03)《改行有》

5.  この世界の片隅に(2016) 《ネタバレ》 原作未読。本サイトでの高評価が気になり鑑賞したが、なるほどその理由に納得した。 本作はジャンルでいえばいわゆる「戦争もの」に入ると思われるが、主人公は題名が示すとおり一介の無名の女性庶民であり、英雄でもましてや兵士でもない。舞台も戦場ではなく、普通の庶民の生活の場である。したがって本作では、庶民の側からみた戦争、本土に住む大半の市井の人々にとって、あの「戦争」とはいかなる体験だったのかが描かれている。その意味ではあの『火垂るの墓』と軌を一にするものの、こちらは悲愴感は控えめに、むしろユーモアや希望、力強さといったポジティブな感情に訴えかけくる違いがあった。 本作にはいわゆる悪人は登場しないし、残酷描写も控えめである。そのため、中高生などの鑑賞にも適していると思われるが、実際にあの時代に生きていた人々は本作での控えめな描写よりもっと大変で過酷であったことは(大人ならば)容易に想像できるはずだ。 おっとりのんびり屋の少女だった「すず」が18歳になり、戦争の暗雲が立ち込める中、相手もよくわからないまま広島から呉に嫁にゆく。 見も知らない土地の中で懸命に働くすず。早朝水を汲み、火をおこし、炊事をし、掃除、洗濯、裁縫…食糧が不足するなかでも、さまざまな工夫をして食卓を彩ろうとするすず。本作ではこうした何気ない生活や街並みなどが丁寧に描かれている。そのすずの狭い世界にも戦争は「少しづつ」影を落としていく。この「少しづづ」の描写が大変秀逸なため、観客も、すず達と一緒に忍び寄る脅威を追体験できる。 のどかな山野に襲い来る空襲また空襲、鳴り響くサイレンまたサイレン。そして、その空襲は、ついにすずの右手と晴美を奪い、さらに8月6日には…. 玉音放送を聞いたあとの、すずが怒りを爆発させ「何も考えん、ぼーっとしたうちのまま死にたかった」と慟哭するシーンは、見る者の心をわしづかみにして離さない。 戦争が(いかなる大義名分があろうとも、たとえそれが正義といわれるものであったとしても)なぜ起こしてはいけないのか。もしわからなくなった人はこの作品を観ればよい。あの時代、何万人、何百万人の「すず」が「晴美」が、浦野家の人々が、北條家の人々が、確かに生きていたこと。そして今を生きる私たちの祖父母や曾祖父母がまさにその人々であったことを、思い出させてくれるだろう。 ただし、本作が投げかけるメッセージは単なる「反戦」などではない。 救いだったはの夫である「周作」の「すず」への変わらぬ愛情が物語のベースにあったこと。 お互いにとってそれは大切な人生の「居場所」だったのだ。 戦争という狂気の時下にあっても、「この世界の片隅に」こうした居場所さえあれば、人はたくましく生きていける。 灯火管制が解除された戦後の町に灯りがともっていく。その光のひとつひとつが愛しく思えた。[映画館(邦画)] 9点(2016-12-04 23:24:11)(良:1票) 《改行有》

6.  レ・ミゼラブル(2012) 《ネタバレ》 同ミュージカルのファンとしては客観評価が難しいが、ミュージカル版と同じく全て「歌」で物語を進行させ、その全てをライブ録音したというフーパー監督のこだわりのおかげで、全く不満のない作品に仕上がっている。そもそもユゴーの原作は、言うまでもなくその深い精神性、物語としてのスケール感、魅力あふれる多数のキャラクターなど、圧倒的な芸術性をもっているところに、ミュージカルはさらに素晴らしい音楽と娯楽性を軸にそれを再構築し、世界のトップミュージカルとして長年各国で上演され続けている。本作はその観客の大きな期待に見事に応え、さらには初めて作品世界に触れる人にも、そのアウトラインを知る機会を提供してくれたことを評価したい。特に、前半のアン・ハサウェイ演じるファンテーヌ「I Dreamed a Dream」の長回しシーンには、心をわし掴みにされたし、中盤の「One Day More」での高揚感はただものではなく、ラストシーンにいたっては、本作のオリジナルとして感動的なフィナーレを創作しており、エンドクレジットと同時に思わずスタンディング・オベーションをしたい衝動にかられた程だ。通常舞台では役者の細かい表情や感情表現を全ての席から観ることは困難であり、さらにセットの構築や場面展開にも限界があるが、本作はそういったミュージカルの限界を映画という手法で見事に打ち破り「レ・ミゼラブル」の新しい地平を観客に提示してくれた。ヒュー「バルジャン」が後半になるにつれ「ウルヴァリン」とイメージが重なってきたりもしたが(笑)、それはご愛敬。1年を締めくくり、新しい年を迎えようとするこの時、素晴らしい作品を鑑賞できた事に、製作スタッフとキャストに深い感謝の意を表したい。[映画館(字幕)] 9点(2012-12-25 14:14:17)(良:2票)

7.  ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル 《ネタバレ》 これぞ娯楽アクション映画の王道をいくシリーズ最新作。今やお馴染みとなった「スパイ大作戦」のテーマに乗って、イーサン・ハントと彼のチームが最高の能力と最新のテクノロジーを駆使して、不可能と思えるミッションに果敢に挑んでゆく。変装や潜入といったお約束もきちんと入り、安心して観ていられる。ブダペスト、モスクワ、ドバイ、ムンバイと舞台を移し、複数の撮影ユニットによる大がかりな撮影がなされており、この点でも豪華だ。トム・クルーズも歳をとったなりに、アグレッシブなアクションに挑戦しており、役者魂を感じる。ストーリーの設定がスパイというより、テロ対策に(CIAよりCTUか?)重心が移っている感は否めないが、これはいたしかたないか。敵の大ボスが学者のくせに妙に手強いとか、細かいことは気にせず、次から次へ展開するサスペンスアクションに身を委ねるのがこの作品の正しい鑑賞法だろう。劇場での上映中、私の近くではポップコーンを頬張る音は全くなく、エンドロールになってから、ようやくポリポリ音が出てきた。こういう映画を素晴らしい娯楽作品と呼んでいいと思う。千数百円の鑑賞料は決して惜しく感じなかった。[映画館(字幕)] 9点(2011-12-20 11:01:37)(良:2票)

8.  インセプション 《ネタバレ》 この監督はいつも発想が違うし、奥が深い。個人的に好きな監督であるが、それは別としても、終始目を離せないスリリングな展開と、階層的な夢の世界観の描写、そして、主人公コブを通した内面世界の葛藤をからめ、大変な秀作に仕上がっていると思う。脳内世界での物語展開という意味では、「マトリックス」等にも既視感があり、決して新しいわけではないが、他人の夢に浸入して、アイデアを盗むだけなら凡庸なストーリーに堕してしまうところ、アイデアを植え付ける、題名どおり他人の考え方の「発端」をつくってしまうという発想は見事という他ない。そもそも夢というものは現代科学でもあまり解明されておらず、その点では本作も「下の階層ほど時間が遅く進む」に代表される自由な設定をつくることができる訳で、SFとはいえ、十分に許容できるし、本作はそれを最大に活用することに成功している。物語中盤で数人が夢の世界を共有するため眠っているシーンで、そこにいた老人が「夢と現実は、本当は逆ではないと誰が言い切れるのか」という趣旨のセリフを言っているが、本作のテーマは、まさにその発想を基にしているのだろう。ラストシーンのコマは、回っているように見えるが、まさにバランスを崩しそうになっているようにも見える。まさに観客にこのテーマを投げかけ、結論を委ねたかったのではないだろうか。[ブルーレイ(吹替)] 9点(2011-05-13 09:40:32)(良:1票)

9.  ヒックとドラゴン 《ネタバレ》 1回目に観た時はストーリーを追って終わってしまったが、たまたま2回目に観た時に、この作品のすごさを実感した。特にその映像クォリティーの高さには驚愕の一言だ。一日の時間帯による陰影の違いや、各キャラクターの表情、ドラゴンの創造性など、アニメーションはもはや役者による演技を超えたかと思わせるレベルに達している。吹き替えの声優もぴったりだったことも申し添えたい。ドラゴンを調教するところなどはアバターに既視感があるが、これも映画館で3Dで観なかったことを後悔させるレベルだった。また、ヒックとトゥースが少しづつ信頼を築くところを時間をかけて丁寧に描いたところも好感がもてる。「となりのトトロ」のように、観客も一緒になって未知の怪物と友達になっていく「子ども心」に同化させてしまう。何より、ドラゴンを最初は「害虫」と紹介していたのに最後は「ペット」として共生してしまうストーリーは、ご都合主義とはいえ、相手を知らないがゆえに恐れ、排除しがちな人間心理に対する一つのアンチテーゼを示しており、メッセージ性も非常に高い。本作といい「トイ・ストーリー3」といい、かつて「冒険活劇」として観客を楽しませた「映画」が再び蘇ったかのようで、素直にうれしかった。本作は2回以上鑑賞することをお勧めしたい。[DVD(吹替)] 9点(2011-01-01 15:11:53)(良:2票)

10.  トイ・ストーリー3 当サイトを含め、高評価の呼び声がなるほどと納得できる、完成度の高いエンターテイメント作品。家族とでも、パートナーとでも安心して観られ、親しみやすい愛すべきキャラクター達と一緒に、ドキドキハラハラ、ユーモアあふれる大冒険を楽しめる。悪役の設定にも深みをもたせ、単なる勧善懲悪モノから超越している点や、誰しも幼少時に遊んだことがあるであろう、おもちゃと人間とのつながりや愛情をテーマにしているところなど、映画としての完成度が非常に高い。ブルーレイで鑑賞したが、ピクサーの画作りここに極まれり、といった映像クォリティーもこの完成度に花を添えている。映画の常道をゆく、誰にでもお勧めできる素晴らしい作品。[ブルーレイ(吹替)] 9点(2010-11-11 16:48:41)

11.  あん 《ネタバレ》 主演の樹木希林と永瀬正敏の名演技が印象に残る作品。 特に樹木希林演じる徳江さんの台詞は、完全に樹木希林さんの「間」になっており、特別なディレクションは不要だったのではと思えるくらい自然な演技で、もはや他の俳優の追従を許さない域に達していると思われる。 わが国におけるハンセン病の隔離(差別)政策が、結果的には大きな誤りであったことは今日では周知の事実だが、それがどれほど人間の尊厳を奪ってきたか…。今後当事者がいなくなるにつれ、その社会認識が次第に薄れていくだろうことを考えると、本作が製作された意義は決して小さくない。 愛する家族とわけのわからないまま引き離され、子どもを授かっても産むことが許されず、人生のほぼ大半を社会と隔てられた施設で過ごさなければならなかった不条理は決して繰り返されてはならないが、だからといって、それらの人々が弱く哀れむべき存在であったかは別であることを、本作の徳江さんが示している。 「どら春」の常連女子中学生達のぼやきに「自由に生きればいいんだよ」と明るく諭す徳江さんに救われた気がするのは、決して私だけではないだろう。[CS・衛星(邦画)] 8点(2023-04-13 10:40:56)《改行有》

12.  男はつらいよ お帰り 寅さん 《ネタバレ》 某BS局で昨年から放映された全作品をコンプリートした後に鑑賞。 まさに50周年だからこそ企画製作された作品だろう。 他のレビューアーもご指摘のとおり、内容については気になる点は少なくない(ゴクミの棒読み、泉の父役の改変など)が、諏訪家とそれを取り巻く人々の「その後」を見たい、懐かしい寅さんの映像も見たい、という欲求にはきちんと応えてくれたと思う。 スター・ウォーズのジョージ・ルーカスではないが、多くのファンをもつ作品ほど、皆が納得できる続編を作るのは難しい。 でも、これは他でもない山田組による続編なのだからと納得するしかない…… 「男はつらいよ」は、極端に一言にまとめてしまうと、フーテンの寅さんが故郷・柴又にふらりと帰ってくるお話だ。 なぜか間の悪いタイミングで帰ってくる寅さんに、とらやの面々はいつも慌てふためいてしまい、なかなか普通に「お帰り」と迎えることができなかった。 だから、今回は観客も含め、みんなで「お帰り、寅さん」と迎えてやろうじゃないか、というのが本作の魂ではないだろうか。 その時、寅さんの横にはきっと「女房」が伴われているに違いない。さくらはどれほど嬉し泣きをするだろうか…… ラスト、歴代マドンナの回想シーンが流れ、合間にあの懐かしい寅さんの笑顔が挿入される。 そうしているうちに、あのテーマ曲が聴こえてきて、渥美清さんの歌声と共にエンドクレジットが流れる。 私はこれでやっとこのシリーズが完結したのだと、瞼を熱くしながら思った。[CS・衛星(邦画)] 8点(2021-03-23 11:20:59)(良:3票) 《改行有》

13.  パラサイト 半地下の家族 《ネタバレ》 観終わって、さすがはアカデミー「作品賞」と感心した。 まずは何と言っても展開の妙が秀逸で、次から次へと展開するストーリーに目が離せない。 具体的には下記のとおり、起承転結において物語の中心となる「転」が文字通り「二転三転」する面白さが印象的。 <以下激しくネタバレ> (起)半地下に住む4人家族の紹介 (承)4人家族が次々に金持ち一家に寄生していく (転①)お手伝いおばさんにより地下室の秘密が明かされ、4人家族の形勢が逆転する (転②)4人家族(のうち3人)が金持ち一家から脱出するも、半地下の家が大雨で浸水してしまう (転③)金持ち一家のガーデンパーティーでの大混乱と意図しなかった殺害 (結)父の行方の謎と、息子の独白によるエンディング そもそもこの4人家族の技能はそれぞれ抜きんでたものがあり、普通に働けばそれなりの暮らしができるはずだし、結果的にお手伝いさんを殺害した形になったお母さんが無罪放免になるのもいかがなものか、とツッコみたくもなるのだが、息子が冒頭で友達からもらった石が大きな伏線になっていたり、「地下」「臭い」といった社会的ヒエラルキーを象徴する言葉がキーワードになっていたり、意外と作りが細かく、そうしたツッコミは無粋と思わせてしまう力を感じた。 さらにその底流には、努力だけではいかんともしがたい格差社会で生きざるを得ない庶民の悲哀が織り込まれており、面白さの中にも静かな余韻が残る佳作だった。[インターネット(字幕)] 8点(2020-08-12 13:48:13)《改行有》

14.  ワイルド・スピード/MEGA MAX 《ネタバレ》 1作目から順に観てきたが、ここに来て一気にエンタメ色が全開になったのが本作。 純粋に面白かった。 オリジナルキャストが久々に勢揃いしたのに加え、彼らを追う連邦捜査官としてドゥエインが加わり、画面の暑苦しさが倍増(笑) さらに今回はドミニクの「ファミリー」が強調され、チーム戦が展開されるのがワクワクして面白い。 そして今回の敵はリオを牛耳るマフィアと汚職警官達だから、遠慮はいらない。 ある意味で「ワイルド・スピード」は、本作から(普通の)ハリウッド娯楽アクション映画に路線が変わったように感じる。 (アウトローだけど技ありなチームが結集し、悪い連中をやっつけ、たんまりご褒美を頂く…的な) とはいえ1作目のようなゼロヨンレースをフューチャーしたりし、パトカーでストリートレースをしたりもあり、本シリーズのメインターゲットである車好きのツボは外していない。 特に終盤の「金庫引きづりカーチェイス」はちゃんと「慣性の法則」をおさえたアクションになっており、ユニークで秀逸なシーン。 リオの特徴あるスラム街を舞台にした逃走アクションも見応えたっぷり。 最後は痛快でトリッキーにマフィアの財産を総取りするハッピーエンドも、幸せ感満開で単純に楽しい。 To be continuedという感じのエンディングもまた良し。[CS・衛星(字幕)] 8点(2020-06-12 10:52:05)《改行有》

15.  ハンターキラー 潜航せよ 《ネタバレ》 本作が劇場公開されていたことも知らなかったくらいマイナーな印象だったが、なかなかどうして最後まで飽きることなく見せ場が続く良作だった。 ロシア国防長官によるクーデターを察知した米海軍が、命がけでロシア大統領を救出するというプロットがまず面白い。 いささか荒唐無稽ではあるが、過去にゴルバチョフを失脚させた彼の国ならばありえなくもないという、ギリギリのリアル感はあるからだ。 途中でロシア潜水艦の艦長を救出したり、敵アジトでロシア大統領のSPを味方につけるという、ストーリー展開欠かせないご都合主義はあるものの、ジェラルド・バトラー演じる艦長とロシア艦長の友情を徐々に成立させていく過程は丁寧に描いており好印象。 また特殊部隊デルタ・フォースの陸戦と潜水艦との連携作戦という展開も新鮮で見応えがあった。 加えて(他の方も言われているように)、潜航時に艦が傾斜する(したがって乗組員も傾斜する)という、考えてみればあたりまえのシーンが恐らく本作で初めて挿入されているところもリアルで新鮮だった。 いずれにしても、潜水艦版「ミッション・インポッシブル」といえるような良質なサスペンス・ミリタリーアクションに仕上がっている本作は予想を超える面白さだった。オススメ。[インターネット(字幕)] 8点(2019-11-07 10:46:39)(良:1票) 《改行有》

16.  湯を沸かすほどの熱い愛 《ネタバレ》 親から継いだ銭湯を営む夫が1年前に遁走し、やむなくパートで働きながら娘を育てる「お母ちゃん」を、宮沢りえが文字通り「熱演」している。 そのお母ちゃんが末期がんと診断されてからの、約3か月を描いた作品。 本作では、どこにでもありそうな家庭の雰囲気を上手く表現している。 洋画に対する邦画のひとつの優位性は、この「どこにでもありそうな」画を通して、観客を作品世界に誘いやすいことだが、 特に家での食事シーンなどは、家族ならではの会話や独特の間などに、俳優や脚本(監督)の力量を感じる。 高校で陰湿ないじめに遭う娘に「今逃げたらずっと逃げることになる」「お母ちゃんにはわからない」「いやわかる」「わからない!」「わかる!」 このやりとりだけで、お母ちゃんもかつていじめを受けていたことが暗示される。 普通なら、戸惑いのなか中途半端な同情から甘やかしてしまうところを「お母ちゃん」は決して妥協せずに娘の背中を押す。 産みの母の迎えを待ち続ける(夫と他人の間に生まれた)子を真剣に気遣い、明るく受け入れるお母ちゃん。 突然家からいなくなった夫を許したのも、すべて自分がいなくなった後の家族を考えての事。 夫婦問題やいじめ、複雑な家庭環境といった不遇な人生を経験した人間なら、彼らの喜怒哀楽が画面の向こうの出来事とは映らないだろう。 (本作では、これらを演じる俳優陣の演技力も相当に高いことも付言しておきたい) そして、物語が進むにつれて、それらのお母ちゃんの愛が「湯を沸かすほどの熱い愛」だったことに気付いていく流れも秀逸。 娘に買ったブラジャーや、毎年同じ日に届く「タカアシガニ」、たびたび食卓に登場する「しゃぶしゃぶ」といった小道具も上手く活用している。 (ちなみにこの「しゃぶしゃぶ」の湯も暗示的ではある) そして、最終盤には、このお母ちゃんにも、はやり不遇な過去があったことが示されるくだりでは、胸が痛くなった。 最後のオチも含め、この家族の行動には現実離れしているところも多いが、私は映画表現として問題なく受け入れられた。 そして観終わった後は、(湯を沸かすほどではないにしろ)自分の心もお母ちゃんにほのかに暖められていたことに気付く本作は、久しぶりに観てよかったと思える作品だった。[インターネット(邦画)] 8点(2019-06-09 20:04:48)《改行有》

17.  カメラを止めるな! 《ネタバレ》 ご多分にもれず、巷の話題に乗せられて鑑賞。 前の日に観た「ミッション・インポッシブル」が約200億円を投入したハリウッド大作なのに対し、本作は無名の俳優オンリーで300万円だとか。 しかし観終わってみると「ミッション…」とは全く違う「面白さ」が確かにあり、その意味では映画の「面白さ」というのは色々なんだと今さらながら考えさせられた作品。 ちなみに本作は、一見私の好きな「ゾンビもの」のように思えるが、その実はB級映画人達の悲喜こもごもであり、家族の物語であったというところでしょうか。 映画好きな人なら観て損はないと思います。[映画館(邦画)] 8点(2018-08-15 11:57:44)《改行有》

18.  ハン・ソロ/スター・ウォーズ・ストーリー 《ネタバレ》 本作は誰もが知っているあのハン・ソロの(EPⅣの)前日譚。 したがって一番のポイントはハン・ソロがハン・ソロに見えるかどうかで評価は大きく変わるわけだが、 自分の場合は残念ながらそういう風に見えなかった。 確かに顔やしぐさはよく似ているが、あの人を食ったような鼻にかかったニヒルな声でなければハンには見えない。 個人を識別するうえで声というのは重要なわけで、(別な声優でアフレコするなど)もう少しなんとかならなかったのか残念。 だがそこを割り切って、ひとつのSF冒険活劇として観れば、最後まで飽きることなく楽しめたのも事実。 チュウ・バッカとの出会い方は意外だったが、ランドは思ったとうりの食わせ者だし、 有名なケッセル・ランのシークエンスでは、本編のスコアが鳴り響く中、我らがファルコン号が大活躍。 そう、本作の準主役はミレニアム・ファルコンであることは論を待たない。 個人的にはEPⅤの名曲「アステロイド・フィールド」がかかった時はアドレナリンが全開になった(笑)。 そして、ファルコンの操縦席にあの二人が並んだ「銀河の名コンビ誕生」シーンが本作のクライマックスだろう。 逆に言えば、その後のシーンは付け足しといっていいほど盛り上がりに欠け、サプライズで用意されたであろう、あのシスの登場も訳がわからなかった。 (アニメシリーズは知っているが、この登場の仕方は消化不良だと思う) とはいえ、映像や音響は大迫力であり、劇場で大好きなSWの世界観に浸ることはできたため、8点献上。[映画館(字幕)] 8点(2018-07-16 16:04:52)《改行有》

19.  パッセンジャー(2016) 《ネタバレ》 原作がない映画としては、ひとえにプロットの妙が冴える作品。 地球からスペースコロニーへの移住を目指す宇宙船。クルーも乗客(パッセンジャー)も人工冬眠状態で、船はフルオートマチック航行で目的地をめざす。到着までは120年だが、30年経ったところで、アクシデントが発生し、一人の男が目覚めてしまう。 船に再度冬眠する設備は搭載されていないなか、1年以上の孤独な生活を経た男が、ある時冬眠ポットで眠っている、とある女性に恋心を抱いてしまう…… 大方のストーリーは事前に知っていたし、ある程度予想できるストーリーでありつつも、丁度いいところで丁度いい出来事がほどよく発生する展開に(ローレンス・フィッシュバーン演じるクルーの出現や重大アクシデントの発生など)、最後まで飽きることなく楽しめた。 様々な伏線もうまく配置され、きちんと回収されている(IDリストバンドや船外活動スーツなど) 特に、宇宙船のデザインや内部の設定、ギミックについては近未来感を上手に演出できていたし(バーテンダーロボやダンスゲーム、ミールサーバー、医療ポッドなどなど)それらを見るだけでも結構楽しめる。(「エリジウム」や「オブリビオン」などが好きな人にはおすすめできる) 誰も経験したことのない主人公ジムの心情をクリス・プラットはほぼ表現することができていたと思うし、ジェニファー・ローレンスも同じく大きな感情の振れ幅を大変魅力的な演技で見せており、こんな女性ならジムの行動に同情できなくもない、と男性諸氏なら思ってしまうかもしれない。いずれにしても、男性の立場、女性の立場で「自分ならどうするだろう」と、それぞれの価値観に訴えかけるストーリーに乗っかってしまうのが本作を楽しむ作法のように思える。 そして最後どういう形で終わるのかも興味深かったが、大半が納得するような上手い終わらせ方だったのも良かった。 もう一つの作法として、本作のような作品はあくまでSF(サイエンス・フィクション)であり、特に「フィクション」であることを前提に観ることで、細かい設定を気にせずに楽しめるはずだ。[ブルーレイ(字幕)] 8点(2017-08-25 11:51:11)(良:1票) 《改行有》

20.  ハドソン川の奇跡 《ネタバレ》 本作は実際にあった航空機事故を題材にしているものの、事故そのものより、重大インシデントの当事者となり一躍有名人になってしまった機長の当惑そして誠実な人格が描かれている。その意味では原題の方が主題をよく表しているといえる。 程度の差こそあれ、どんな事故でも当事者の心理としては、その一瞬(もしくは数秒)の出来事を後から何度も思い出しては「もしこうだったら」と想像したりするものだ。とりわけ旅客機は、一度事故を起こせば多くの乗客に甚大な被害をもたらすため、その命を預かるパイロットの精神的負担は想像するに余りある。 冒頭、窓外に飛行機がNYの摩天楼に突っ込んでいく幻影を見て思わず我を忘れてしまう機長に、そして正常時に50の脈拍が事故後2週間も100前後になってしまったあたりに、その心理的ショックの大きさを垣間見ることができる。 事故後の調査委員会での調査というあまり知られていない事柄をストーリーの骨格とし、観客に事故のシーンを少しづつ見せながら「機長の判断の是非」を浮びあがらせていく構図は、単なる飛行機パニックものとは違う秀逸さを感じた。 「四十数年間たくさんの乗客を乗せてきたが、最後の208秒だけが裁かれるのは妙な感じだ」のような機長のセリフがあったと思うが、長い間の地道で誠実な仕事も、何かのきっかけでその信用が崩れてしまうことがありえる。この機長のように、今日一日の仕事があとからいかに検証されても耐えうるような、そんな仕事を心がけたいと思った。[インターネット(字幕)] 8点(2017-02-17 11:59:51)《改行有》

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