|
プロフィール |
コメント数 |
273 |
性別 |
男性 |
年齢 |
58歳 |
自己紹介 |
歳をとるごとに趣味と呼べるものがだんだん少なくなり、今では多忙ななか映画を鑑賞することがひとときの楽しみとなっています。 無数の作品の中から良作を探し出すツールとして、本サイトのお世話になっています。 |
|
1. 羅生門(1950)
《ネタバレ》 原作未読。
雨の羅生門と猛暑の藪の中、そして検非違使での告白と3シーンにおける、今でいうところのシチュエーションミステリー。
特に京マチ子が顔に汗を浮かべながらの妖艶な演技が印象に残る
ある強姦事件を当事者たちが全く違う視点で供述を展開し、さて真実はいかに…という展開がユニーク。
しかもその全員が自分に都合のよい解釈(つまり都合悪い点を改変している)で告白するわけだが、恐らく最も真実に近い告白をする志村僑(事件の目撃者)ですら、自分に都合の悪いこと(短刀のこと)を隠している。
興味深いのは、結局多襄丸と武士との決闘もお互い「へっぴり腰」だったということ。
本作は戦後まもない時期の作品だが、恐らく戦争での歴史や回想というのも似たようなもので、大本営発表の例を持ち出すまでもなく、また一人ひとりの戦地での回想も自分に都合よく、そして自分に都合悪いことは語られなかったであろう。
しかし、最後はそうした人間の暗部を認めつつ、それでも人間に希望を示して終わるエンディングもよい。
本作は戦後という時代背景も踏まえ、人間存在の本質を焙り出して見せた黒沢監督の力量が光る名作。[地上波(邦画)] 8点(2020-04-27 12:01:02)(良:1票) 《改行有》
|