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【製作年 : 1970年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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1.  砂の器 《ネタバレ》 公開時は未見。なんせ9才だったから。翌年?にテレビ放送すると知った8歳上の姉が、家族に「砂の器、テレビでやるよ!」と騒ぎ始める。いつそんな映画見てたの?という母のツッコミも「とにかくいい映画だから見て」といつもと違う圧を感じた家族はテレビの前に。そして鑑賞…家族全員打ちのめされました。 時は変わり、私も大学生。親しかった友人が未見と知り、感動する友人の顔を見たさに我が家に招き鑑賞スタート。友人の観賞を邪魔しないようにやや背後に位置取りして黙っていました。友人の後ろ姿を見ながら、そろそろコンサートシーンが始まる…と期待していたところ、いつの間にか友人の存在を忘れ画面に見入ってしまい、友人の前で嗚咽していました。 さらに時は流れ、めでたく結婚し娘が生まれたころ、テレビでまたも「砂の器」。それまでにも何度見たことかわかりません。しかし、その時の感動が以前とは違っていました。私の目線は秀夫の父・千代吉(加藤嘉)でした。病を患いやむなくとはいえ幼い子供を辛く厳しい逃避のたびに蜜連れにしてしまった悔恨、ささやかな食事を嬉しそうに食べる息子の笑顔に癒されるひととき、心を鬼にして息子と別れる思い、一時も再会を望まない日はないなかで、容疑者として息子の面影を見せられたときの絶望感… もちろん、過去の観賞でもそれは十分に時感じていたつもりでしたが、現実に子供を授かったときは、その千代吉の気落ちが逆流して押し寄せてきました。 私にとって「砂の器」は、見るたびに感動ポイントが変わるのではなく、増幅される映画でした。 そして私にとって譲れないポイント。亀嵩のとある神社。騒ぐ子供たちに促され石段を駆け上がり、走り去る浮汚れた着物の子供(秀夫)の後を追う三木。拝殿裏に逃げ込み親であろう浮浪者(千代吉)に抱きつく子供。覗き込む三木に、千代吉が顔を向ける。その顔を見たときの三木…シナリオ上では「思わず息をのむ」と書いてありますが、その時の緒形拳の表情が素晴らしい! 緒形拳さん史上(そんなもんないか)最高と断言したい。 単なる行き倒れの親子と察知したのもつかの間、千代吉の顔を見て、この親子の味わった苦難が一気に押し寄せ圧倒される…。三木がなぜ職務以上に親子を想い気遣ったのかがこの表情ですべて表現されている。 名脚本、名監督、名音楽、そして名優そのすべてがこの作品を傑作にしたといつも感じています。[地上波(邦画)] 10点(2025-02-21 23:06:41)《改行有》

2.  スカイ・ハイ(1975) 《ネタバレ》 この映画は当時よりも数年後に見返したほうが感慨深い。 まず、冒頭のエアーズ・ロックの麻薬の売人と地元刑事の追跡&格闘シーン。売人は若きサモ・ハン・キンポーだ。「マッドマックス1」のラスボス・トゥーカッター役のヒュー・キースバーンが豪州地元刑事。香港とオーストラリア合作の妙がたまらない。そして組織のボスが、007シリーズ最高傑作(当時)の呼び声高い「女王陛下の007」1本のみのボンド役、ジョージ・レーゼンビー。そしてあのイントロが…。 私自身、この映画でこの曲を知っていたので、マスカラス登場のたびに、ほとんどの人はこの映画知らないんだろうなあ、なんて思ってました。この「スカイ・ハイ」は一般的にはフェイドアウトして終わるのですが、作品内では、通常バージョンと違って1分長いロングバージョン。トランペットによる間奏部分が実にかっこいい。ジミー・ウォングが警察学校で複数の隊員たちをピックアップして、カンフーでバッタバッタと薙ぎ払うというカンフー指導シーン。 ブルース・リーによって世界的大ヒットとなったカンフー映画に乗り遅れたジミーの意地を感じます。 映画を見て以来どうしても気になるロングバージョン。ネットで探し出して何とかゲットしたときは、感涙ものでした。 冒頭からOP曲で10点!あとは3点。トータルで6点ぐらいかな。 ヒュー・キースバーンは、怒りのデスロードでも激しいメイクだったので、この作品は素顔が見れる貴重な一本ともいえます、ハイ。[地上波(吹替)] 6点(2021-08-21 23:33:45)《改行有》

3.  天国から来たチャンピオン 《ネタバレ》 かつて2本立て、3本立ての名画座にラインナップされると必ず見に行っていた作品。「幽霊紐育を歩く」をリメイクしたいビーティがカシアス・クレイ(古いね)らに主演を依頼するが断られ、おまけに監督の人選も難航。それなら自分で撮って演じるしかない、とプロからスカウトの声もかかった腕を持つアメフトに置き換えて、新米天使役のバック・ヘンリーとともに作られた奇跡の一本。音楽は数多くの名曲を繰り出してきたデイヴ・グルーシン、ソプラノサックスの軽妙でコミカルなメロディをベースに、これぞ映画音楽というようなやさしい旋律をここぞで使う完璧なスコア。コーチ、悪妻や秘書役にも名優を揃え完成度はこの当時ピカイチだ。名優が荒削りなシーンの行間を埋め、キャラを補完してくれるからだ。おそらくプロデューサーの力と、様々な困難の末に映画化にこぎつけた初監督のビーティに協力したいという俳優ばかりなのだ。それにしてもなんて優しい映画だろう。ファンズワースに入れ替わったあとの執事たちにに見せる一言や優しさなども何回も見ると泣けてくる。ラスト近く、ジャレットになりきった主人公に置いてきぼりをくうコーチに切なさは残るが、今思えば、ヒロインがジョーの何か感じてジャレットと付き合い始めるその後を考えれば、彼女はコーチにその思いを伝えるはず。きっとコーチも納得するだろう。そんなことまで思いを馳せる映画はやはり名作だ。幽霊や天使が登場するからファンタジーではなく、初対面の選手らしき人に「もしよかったらコーヒーでも」と言われただけでクオーターバックと察する出来事がファンタジーなのだ。この映画を作ってくれただけでもビーティに感謝したい。 映画好きにはたまらない1本だ。[映画館(字幕)] 10点(2013-12-29 11:05:42)

4.  スーパーマン(1978) 何度見たことだろう。サントラを何度聞いた事だろう。映画少年になりたてとしては最高の教材だった。クリストファー・リーブのそのまんまの容姿にアメリカンコミックの映画化に対する情熱を感じ、CGもない時代にピアノ線であそこまでスムーズに離陸させる技術と俳優魂に敬意を送ったものだ。話題と見所満載の映画だったが、私のお気に入りはなぜかクラーク・ケントの青年時代。実力を隠しながらアメフトの雑用係で過ごす姿、わずかな恋心を同級生に抱き交わす会話がなんとも切ない。そのあとに来る養父の「きっとお前はなにかの目的のためにその力がある。フットボールのためじゃない」というセリフも素晴らしい。そして特に好きなのは、クラークの旅立の日のシーン。網戸から見つめる養母の切なくも暖かいまなざしは、クラークからの告白を聞かずとも彼の旅たちを悟っている。そして草原に一人立つクラークの下に歩み寄る養母。音楽もジョン・ウィリアムスの真骨頂、コントラバスとチェロの低音弦楽器から徐々にバイオリンへと引き継がれるストリングスも完璧だ。アンドリュー・ワイエスの「クリスティーナの世界」を思い出す叙情豊かなシーン。単なるアメコミヒーロー映画のはずがそこに垣間見る絵画の世界、30年以上たってもこの映像が忘れられない。そしてラストのエンドテロップ直前に地球から宇宙空間に飛んできてカメラ目線でにっこりするスーパーマン。何度見ても思わず嬉しくなってしまう。数多くのアメコミヒーローの映画がある中で、このスーパーマンだけは最も心の奥にあることを実感せずにはいられない。[映画館(字幕)] 9点(2012-08-30 17:28:18)(良:3票)

5.  オーメン(1976) 今から20年以上前のテレビ放映。50半ばの父親が、私に付き合ってこの映画を見た。見終わって父親が「実はこの写真だが…」と私に一枚のスナップ写真を見せた。そこには笑顔の父親と、その首を横切る黒い影。大正生まれのオヤジがなんだかんだ言いながらこの映画の描写を怖がっていたことが懐かしい。それほどインパクトが強かったのだ。 もちろん公開当時も、カメラマンのクビチョンパ(これまた古い!)と、男女の怖いコーラスも後世の映画にどれほど影響を与えた事だろう。「ジョーズ」を見て海に入りたくなくなったと同様に、6月6日6時に特別な思いをもたらすほどこの映画のパワーは絶大だった。有名俳優に「ダミアン」という名前がいないのも、アメリカもなんだかんだこの作品に影響を与えられているのでは?などと勝手に想像してしまう。それほどまでにエンターテインメント性のある正統派ホラーとしてこの点数はつけたいと思う。それにしても、シリーズを通し一番怖いのはなぜかこの作品最初の乳母の首吊りシーン。どの描写よりもゾッとしてなんかしゃれになっていないような気がするほど衝撃的。今でも何度観ても心臓に悪い。[試写会(字幕)] 9点(2012-08-30 16:33:14)《改行有》

6.  エクソシスト この映画は深い。冒頭のイラクの発掘現場からすでにいやな予感的演出。当時43歳のマックス・フォン・シドーの特殊メイク&演技力は、健康に不安を抱える老神父として、その後の悪魔との対決に不安を覚えさせるには十分の説得力。犬の噛み付き合う姿や、片目のつぶれた現地人などの被写体はボディブローのように徐々に効いてくる。このイラクパートの極めつけは柱時計だ。会話中に急に振り子が止まってしまうのだ。偶然と言い切れない「何か」がすでに漂っている演出。「全部見せてしまう」ハリウッド的ホラーとは一線を画し、Jホラーに限りなく近い。「そのもの」を見せず周辺の事象だけで前半の恐怖を描いているあたりが、スピルバーグにも影響を与えているのだろうか? またリーガンパートでは、いくつか不思議な描写も用意されている。水道水の聖水に苦しんだり、呪文と思いきや逆さ言葉だったり。幽霊否定派の方は現代に潜む閉塞感や不安によるヒステリーを「悪魔」という第三者に見立ててお祓いすることで正常化するという現代社会の暗部と捉えてもいい。カラス神父の母などは彼にしか見えない幻であるからだ。頭が180度回転したのも、極限状態で観た集団ヒステリーと解釈してもいい。一方、ホラー映画として考えた場合、水道水に苦しんでいるのは明らかに悪魔のマヤカシだ。神父たちを低級な悪魔と混乱させあざ笑っての演技なのだ。これほどたちの悪い「悪魔」はいない。心の隙間のもっとも弱い部分を攻撃するのだ。人間ドラマであり超一流のホラー映画であるこの2面性がこの作品を名作たらしめているのではないだろうか?人間ドラマも素晴らしい。カラス神父のクライマックスは手を動かすだけなのに泣ける。さらに、何も覚えていないリーガンが、神父の証である襟元をじっと見つめ抱擁するなど、感慨無量なシーンで締めくくられる。よく「説明不足」という意見も目にするが、このころの映画は個々の想像力と解釈があったから必要なかったんだが。 [CS・衛星(字幕)] 10点(2011-04-15 22:38:41)《改行有》

7.  犬神家の一族(1976) 《ネタバレ》 当時、湖面ににょっきり出た足二本&スケキヨマスクは反則に近いほどの衝撃を日本国中に与えた。当時小学生だった私は、まず「フォワアア」と叫びながらドラゴンキックしてプールに飛び込み(アチョーじゃないよ)、「犬神家いきます!」と吠えながら水中で逆立ち&水面に足2本を出してた。そして思春期になるとスケトモがいいのかスケタケがいいのかという最低の選択を悪友同士で議論したり、もちろんゴム製の白いヘッドキャップに穴をあけ、しゃがれ声で「かあさん、僕はスケキヨじゃないよ」とかもやったなあ。現在40歳以上の男子に少なからず影響を与えた作品。まさにエンタテインメント [ビデオ(邦画)] 8点(2010-06-11 18:46:10)《改行有》

8.  俺たちの交響楽 《ネタバレ》 ご存知、寅さんの名脚本家・朝間義隆氏が監督したベートーベンの第九を目指す市民コーラスのストーリー。山田洋二組のメンバーを中心に川崎の労働者たちを中心に描いた「まじめな」映画である。彼女がほしいという浅はかな工場づとめの青年(武田鉄矢)がコーラスメンバーの勧誘をしている友里千賀子や森下愛子に惹かれつい、仲間を誘い参加するところから始まるのだが、メンバーそれぞれが抱える悩みを丹念に描き、女目当てで参加した武田が徐々に自分を見つめなおす過程をやさしく描く、まさに「朝間」節の作品。時代性を否定せず、高度経済成長の終焉を醸しながら、小市民のささやかな輝きを描いている。 「同胞」と相似する何かがある作品。[地上波(邦画)] 7点(2009-10-29 23:17:49)

9.  オー!ゴッド 《ネタバレ》 キリスト教でも様々な宗派が存在するアメリカでよくこんな達観した映画ができたのかと感心する。無宗教、多神教の日本人でもなぜか納得できる内容は見事だ。ジョン・デンバーの素朴さも適役だが、ジョージ・バーンズの神様も素敵だ。軽妙かつ明るくそしてやさしい映画は数少ない。テリー・ガーもポール・ソルヴィノも巧い。悪役だろうがこの映画を理解して出演していることがうれしい。憎々しい宗教家を演じるからこそ、公判の結末で、より一層の爽快感が増すことを理解しているのだ。そして最後の神様のねぎらいと励ましの言葉に心を打つ。この映画自体がモーゼのメッセージに匹敵するのではと思える逸品だ。[地上波(吹替)] 8点(2009-10-18 04:34:50)

10.  JAWS/ジョーズ 《ネタバレ》 今作ればもっと本物っぽく、鮫の目線やもっと緊張感ある視点で表現できるかもしれない。でもそれはあくまでCG。機械っぽく動こうが動きが緩慢だろうが公開時の人にはそれを補う想像力があったように思う。船からみた鮫のでかいこと!これだけで十分なのだ。また、鮫を弱らせるための樽も一瞬「これで勝てるかもしれない」と思わせながら、それをつけながらもぐってしまう半端ない鮫の体力に絶望感を味わせる見事な表現。しかもそれは後にその樽そのものが鮫の出現を意味する演出。スピルバーグはどこまで冴え渡っているのだろう。彼は静と動の使い分けもすごい。樽の再出現直前で交わされる3人(2人?)の傷自慢から船長の大戦時の忌まわしい記憶、そして鮫が襲うときに見せる一瞬の白目のエピソード、静かな恐怖も観客にしっかり刷り込んでいるのだ。当時のポスターデザインも秀逸。CGのない時代に作られたからこそできた名作かもしれない。[映画館(字幕)] 10点(2009-03-02 02:19:15)(良:1票)

11.  未知との遭遇 《ネタバレ》 仕事を捨て家族を捨て、ひたすらUFOの謎を追い続ける主人公にどれほどリアリティがあるのだろう。DVD特典映像に収録された最近のスピルバーグのコメントも自身の思い入れによる『若気の至り』というほど直線的なキャラだ。映像もいくつか?シーンが存在する。デビルズタワーの背後から現れそれを乗り越えるマザーシップは高度が低すぎるし、最後に交流する異星人も機械的でぎこちない。最初に姿を現した手足の長い異星人と主人公にまとわりつく異星人が同一かどうかも判らない。滑走路を覆いつくすマザーシップの影の大きさや速さも気になる。特撮技術も、UFOの輪郭近くの方が、かえって背景の星がはっきり見えるなど粗は多い。CGで何でも出来る今となっては目を見張るものはないかも知れない。でも…当時もわかっていた。そんなモンはこの映画に関してはまったく問題ではないのだ。ウルトラマンの背中にファスナーが見えていても彼は私のヒーローであったように、この作品も依然としてベストワンのままだ。家族を捨てるほどの衝撃を与えた「何か」に打ち震え、自分にもそんな「何か」くるのかと期待で胸が膨らむ。主人公がマザーシップの乗り込む瞬間、見納めかもしれない「地球」を振り返る表情に羨ましさを覚える。そしてギクシャクした動きの異星人は文明の差を越えた「微笑み」と「ハニカミ」だけを表現したいこだわりに感動してしまう。当時のマペット技術の限界を知りつつ、この「笑顔を交わす」にこだわる思いに泣けるのだ。宇宙人は地球侵略目的でやってくる、宇宙船は銀色でのっぺり、と誰もがイメージしていたものを、これほどまでに価値観を変えた意義は大きい。「ジョーズ」本作、「E.T.」と、前半はそのものを見せず、現象や事件だけで期待感を煽るお得意の構成。そのエピソードも端的で素晴らしい。当時新進気鋭と呼ばれたまさにスピルバーグ節。そしてクライマックス。今まで現れたUFOが一斉に登場すると思いきや、あれほど巨大なマザーシップとは!旧有楽座の巨大スクリーンで初めて見たとき思わず息が出来なかった。絢爛豪華な装飾と、着陸時に天地が変わる発想を含め、これほど予想を上回るクライマックスは彼の作品の中でもピカイチだ。ラストの地球を離れ5音階をオーケストラが奏でる時にマザーシップに重なるようにまず最初に出てくるスピルバーグのテロップを見るたびに敬意と感謝と祝福の気持ちが沸き起こる。[映画館(字幕)] 10点(2009-02-21 00:01:30)(良:2票)

12.  悪魔が来りて笛を吹く(1979) 《ネタバレ》 尺八奏者作曲のマイナーコードのテーマ曲と平積みになっていた原作本の帯やポスターに載っていた悪魔(耳が尖り、ツルピカ頬コケ)に惹きつけられたおかげで、「この映画のどこがいいの?」といわれ続けるハメになってしまった。人情探偵と化した西田金田一、見てるとイラつく斉藤とも子のヒロインとビミョーな要素はあるものの、横溝作品の隠微な世界はそれなりにかもし出されていたように思う。オープニングに登場する悪魔(等身大人形?)が少し前のめりのような気が…。砂地でうまく立たせることができなかったのか、と30年間気にしている自分は本当に人間的に小さく思える。 [映画館(字幕)] 6点(2009-02-01 03:15:28)(笑:1票) 《改行有》

13.  大陸横断超特急 良質のコメディ&サスペンス!もちろん、吹替え版がベスト!ジーン・ワイルダーの広川太一郎、ジル・クレイバーグの小原乃莉子が完璧!特に、何度も列車から放り出される時の主人公のセリフは最高です。普通なら「またかよ!」「いい加減にしてくれ!」などのセリフになりそうですが、広川氏のセリフは「まただもの!」洋画に色を与え、本作以上に映画の面白さを伝えた広川氏のご冥福をお祈りします。[地上波(吹替)] 8点(2008-03-11 16:15:50)

14.  アニマル・ハウス 《ネタバレ》 おバカな映画大好き。1983年に録画したVTRを最近引っ張り出して再鑑賞。やはりおバカだった。吹き替えも素晴らしく、ティム・マシスン(古川登志夫)、ジョン・ベルーシ(佐藤B作)、ピーター・リーガード(中尾隆聖)、その他、野島昭生などベテランだらけ。中でも、「アマデウス」でモーツァルト役のトム・ハルスの吹き替えは「デビルマン」不動明役の田中亮一。天使の声と悪魔の声はたまらない。とても大学生には見えない彼らが巻き起こすハチャメチャ振りが、「奥様は魔女」でアメリカの巨大な冷蔵庫を憧れたごとく、「アメリカの自堕落な学園生活」をうらやましく思えたことが懐かしい。[地上波(吹替)] 8点(2008-01-22 11:54:46)

15.  マッドマックス 逃走車両の警察無線を聞きながら、ゆっくり身支度を整える男。この俳優のその後の成功を思い巡らすたびに、この登場シーンは鳥肌が立つ。特別に演技が上手いわけでも、セックスアピールするタイプでもない。ましてや女性を虜にするジャンルの映画でもない。でも彼は羽ばたいた。ジョージ・ミラーとの出会い、オーストラリアへの移住などまさに偶然かもしれない。だからこそ、この登場シーンは星の誕生に立ち会った気分になるのだ。この気分は「燃えよ!ドラゴン」の練習試合シーンにも通じるのは私だけであろうか。[映画館(字幕)] 8点(2007-11-26 19:13:01)

16.  トム・ソーヤーの冒険 《ネタバレ》 そうかぁ、8歳か9歳で見たんだなあと思いだしつつ、覚えているのは、叔母さんに罰として言いつけられたペンキ塗りを、友達に手伝わせるところ。トムの親友のハックルベリー・フィン役は、「スーパーマン(1978)」で若き日のクラーク役もやっていたジェフ・イースト。そしてなんとトムの妹役は当時のCM出演で抜擢されたジョディ・フォスター。遠い記憶ではありますが、あの当時から顔は変わっていないような気が…。内容はいい意味で子供向きの作品。[映画館(吹替)] 5点(2007-09-03 14:16:17)

17.  タワーリング・インフェルノ 《ネタバレ》 やはり1974年当時に映画館で見た人とDVDやテレビ(短縮版、おまけに間にCM入り)で見た人とのギャップは相当あるようですね。当時ワーナーブラザースと20世紀フォックスという2大映画会社がP・ニューマンとS・マックイーンというこれまた2大スターを競演させた恐るべきパニック大作です。二人主役ゆえ、テロップの出し方が左下と右上という不思議な配置。というのも、格の優劣を避けるため左上隅から見て等距離という、珍しい表記で乗り切ったというエピソードを思い出します。内容的には、最近の映画に慣れてしまうとこのグランドホテル形式のストーリーはやや冗長気味に思われるかもしれませんが、地上138階、逃げ場のない地獄に閉じ込められた人々を、映画館という閉鎖的な空間で見ていると、自分もいつしかビルの中に閉じ込められてしまった気持ちになったものでした。そういう意味で、確かに中だるみ的なシーンもあるかもしれませんが、遅々として進まぬ救援活動、徐々に迫り来る炎など、見るものに確実にプレッシャーとなっていく展開は私にとっては必要不可欠のものであると思います。見終わり映画館から外に出たときに、助け出された客たち同様の気分だったことを思い出します。それにしても、P・ニューマンはもちろん、消防服からネクタイ姿になるS・マックイーン、政治家といえば悪の権化が一般的なっていた中でのR・ボーンの正義感ある政治家、救助に向かう二人の消防士など惚れ惚れするキャラクターたちが見事。R・ワグナーと秘書の人知れずの恋と想いやるゆえの電話の嘘、市長夫婦の子を想う会話、バーテンダーの子供へのパフェなどさりげなく極限状態に置かれながらもにじみ出る人間性は泣けてきます。「慕情」でカップルだったW・ホールデンとJ・ジョーンズの配役の妙、R・チェンバレンの当時としては珍しい悪役振りと見所満載。「ポセイドンアドベンチャー」と並ぶパニック映画の金字塔です。ススによってしわがくっきり刻み込まれるP・ニューマンとマックイーンのあきらめないブルーアイズの目力も実に印象的。それにしてもヘッドフォン型ラジオはそこそこの音量で聞かないといけないと痛感した映画でもありました。[映画館(字幕)] 10点(2007-09-01 00:48:46)(良:2票)

18.  ゴッドファーザー・サガ<TVM> 《ネタバレ》 onomichiさん同様私もしっかり見てました。年代順・時系列に並べなおしたのもさることながら、4話完結のためにコッポラ自らの編集演出がたまりません。映画ではパートⅠ、パートⅡとそれぞれ独立した作品ですが、テレビでは4週(夜?)連続でしたので、番組最後に次回の予告編が入ってきます。ふつうは「1話終り」や「つづく」などエンドマークが明示されて、その後に予告編がテロップ表記されながら放送されるのですが、この作品は違いました。なんと本編からそのままテロップ明記なしに予告編へと入っていくのです。本編が終了すると、かすかなバイオリンのストリングスが聞こえ始め、次回の印象的なシーンが次々とフラッシュしていきます。はじめはあまりにも違和感の無い映像の積み重ねなので、本編がそのまま続いていると思いましたが、ストリングスが徐々に大きくなっていくあたりから、明らかに期待感をあおる名シーンが出てくるので「?」と思い始めると、もっとも美しく感動的な旋律でラストを締めくくるのです。そのラストカットが完璧なチョイス!ちなみに第4話の予告編に使用したラストカットは不信感を抱くフレッドに無理やり口づけするマイケルのあのシーンでした!予告編のたびに鳥肌状態。本作で10点なのにそれ以上つけたくなる演出、いやはや参りました![地上波(字幕)] 10点(2006-11-16 20:44:17)

19.  パラダイス・アレイ 《ネタバレ》 やはり隠れた「迷」作か。ロッキーで大成功を収めた後、野心を持ってスタローンが初監督した作品。イタリア系移民の3兄弟の絆と友情そして賭けプロレスをテーマに描かれている。スタローンは2番目の兄弟で、兄役はアーマンド・アサンテ。スタローンが抜擢したといわれているがその後「探偵マイク・ハマー 俺が掟だ!」などコミカルな役もこなし、「ジャッジ・ドレッド」で久しぶりにスタローンの敵役として再共演もしている。弟役は確か、本当はボクサーだったような記憶。映画ではその体格を生かし、テリー・ファンク・ジュニア扮する悪役レスラーに戦いを挑む。ちなみに本作のテレビ放映で弟の吹き替えはタイガー・マスク(佐山聡)。「気は優しいけどすこしおつむが…」という役どころが妙にはまっていた。珠玉の名作「ロッキー」の脚本はスタローンでないのではと疑っていた当時、本作を見てその疑念が晴れた気がした。この作品にも、つつましい生活がさりげなく描かれ、ロッキーのテイストがどこかしら漂っていることは間違いない。 フランク・マクレー扮する老いたレスラーがスタローンと親しくなり酒を飲んだ後、「久しぶりにいい気分だ。だから一番いいときに死にたい」とあっという間に夜の川へ飛び込んでしまうシーンはかなり切ない。小さな幸福を大事にしたいやるせなさが妙に胸を打つシーンだ。初見から20年以上たつ作品だが、なぜいまだにそんなことを覚えているんだろう。不思議な作品だ。 ちなみに主題歌はスタローン自ら熱唱、ちょっとゲイっぽい感じが「?」。やはり隠れた「迷」作だ。[地上波(吹替)] 6点(2006-05-25 16:21:50)《改行有》

20.  やさしいライオン おそらく観たのは幼稚園の頃かな。体育館で座りながら見てた記憶が。それにしても、切ない話です。小さいときのおとぎ話はなんだかんだ言いながら、教訓めいていたり、いましめ的だったりしますが、この作品は別。幸せな日々が悲劇で終わる展開は子供心としては大ショック。「泣いた赤鬼」「マッチ売りの少女」と肩を並べ、思い出しただけで泣きそうになりました。あの頃、家族が使った物をこっそり形見として自分の秘密の箱に保管していたなあ。私の自己形成に大きく影響をあたえた作品なので、満点とさせてください。[試写会(吹替)] 10点(2005-10-31 17:15:47)

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