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1. 悪魔の手毬唄(1977)
横溝正史の探偵小説の映像化ですが、単なる原作を映像化しただけでなく、一つの映画作品としてもかなり高い水準にあるかと思います。
うらぶれた農村、複雑な血縁関係、着物姿の金田一耕助といった、多くの人が描き、またドラマで何度も再生産されてきた横溝正史のイメージが、実はこの映画で始まっていることに気づかされます。そしてそれは、日本人にとっての原風景でもあるのです。
冬枯れした村の映像は勿論ですが、出演している人物の誰もが、謎解きのための駒ではなく、それぞれ個性を持っていることもこの作品のすばらしさの一つでしょう。特に磯川警部を演じる若山富三郎は、退職間近の老刑事の哀愁、大人のほのかな恋というものを一貫して出してくれています。
今やサスペンスドラマはテレビの二時間サスペンスを含め余りに量産されていますが、それらとは一線を画す逸品でしょう。[DVD(吹替)] 10点(2005-12-29 10:47:59)《改行有》
2. 吾輩は猫である(1975)
最も有名な夏目漱石の作品。粗筋らしい筋はないのに、原作の文章を巧みに取り入れ、一つのストーリーを作っている。ユーモアの中に明治の知識人の不満というものがにじみ出ている。
何よりもキャストがいい。仲代達矢、伊丹十三、左とん平らが余りにも原作どおりのイメージではまっている。また主役の猫もいい表情を出している。
音楽にはバッハの曲を使用。これがまた映像、ストーリーに見事にはまっている。最後の一言はほっとする。[ビデオ(吹替)] 7点(2005-11-20 18:33:20)《改行有》
3. 病院坂の首縊りの家
《ネタバレ》 最後の人力車に乗ったまま佐久間良子が死ぬシーン、それに金田一耕介が坂を去っていくとこ、切なくてジーンとします。サントラ盤であの場面の曲、何回も聞いてます8点(2003-05-03 18:51:40)
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