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【製作年 : 2000年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
1. 第9地区 《ネタバレ》 予告編も見ずに行ったのもあるけど、不思議な映画。 冒頭からよく分からない。だけれども引込まれる。 意外にグロいなー、と思いつつも展開から目が離せない。ありがちといえばそうなのだけど、憎いラストシーンの数秒。 シリアスさとコメディーっぽい部分とチープなCGがうまく融合して、分類不能な物語になっている。この絶妙な配合具合は(おそらく)狙ってできるものではない。 なので、この作品を差別がどーのとか書いている人を見るとなんか違う気がする。 あえて言うならば全てに対する愛です、愛。[映画館(字幕)] 9点(2010-05-11 19:49:40)《改行有》 2. バタフライ・エフェクト3/最後の選択 《ネタバレ》 うーん。1作目は切ない名作、2作目は気が遠くなる駄作、ときての今作。 悪くはないのです。切なくもありつつ、最後の悪意に満ちた笑み。ミステリー映画として十分だとは思うのだけど、1作目ほどでは、といった感想。 すでに複数の理解者がいて、主人公が能力の使い方を分かっていて、という設定が良くないのかもしれない。1作目があんなにも良かったのは、彼が独りで懊悩しつつもバッドエンドの繰り返しのなか選び出した最善・最後の選択が素晴らしかったからで、今作にはその切れ味がない。そしてスプラッター的な要素は全く必要なかった。 うーん。素材がありきたりだから、よっぽど意外じゃないとどうしても点数としては低くなってしまう。あー、なんだか1作目が観たくなった。 [DVD(字幕)] 5点(2010-01-03 20:24:58)《改行有》 3. 湖のほとりで 《ネタバレ》 イタリアアカデミー賞8部門受賞! という文句に惹かれて借りた。 他の方が言っているように、出だしはとても良い。湖のほとりの小さな町。そこを映し出す青みがかったフィルム。少女の失踪未遂から、美しい死体が見つかるまでの流れは、名画を期待させる出来。 しかし、監督はこの映画をどういうものとして創りたかったのか分からない。ミステリーならもっと衝撃的な秘密が必要だし、ラブストーリーならそれこそ愛が描かれていなければならない。ヒューマンドラマにするならば、魅力的な登場人物をもう少し丹念に描いて、納得するラストを持ってこなければ駄目だろう。 結局のところ、イタリアアカデミー賞の審査員は、この映画をどういう映画と捉え、どの部分を評価したのかが自分には一番分からない。ジャンルがミステリーとなっているのはそういう意味でなのか。あるいは皮肉か。[DVD(字幕)] 1点(2009-12-30 08:52:45)《改行有》 4. エクソシスト ディレクターズカット版 《ネタバレ》 久しぶりに観た。 既にあらすじとか意味づけとか様々なことを皆様書かれているので、自分があれこれ書いてもしょうがないですね。 階段をおよそ人間の関節を無視したポーズで降りてくるシーン、あれはカットして正解だったと思うので、本当の意味でのディレクターズ・カット版足りえるものだと感じました。えーと、以上。[DVD(字幕)] 5点(2009-12-17 22:01:15)《改行有》 5. 青い車 《ネタバレ》 小説、漫画、映画はそれぞれ表現できることが異なっていて、長短あるけれどどれも素晴らしいものである、ということが如実にわかる作品。 原作は、よしもとよしともとの傑作なのだが、あの間、余白、切なさは、当然のことながらよしもとよしともの漫画でなければ描けなかった。 しかしながらこの作品単体で言うとこれはもう素晴らしい。宮崎あおいの笑顔。宮崎あおいの仕草。宮崎あおいの憂いの表情。宮崎あおいの制服姿。宮崎あおいの流れる髪。宮崎あおいの指先。どれを取っても宮崎あおい好きに捧げるプロモーションビデオである。 ああ、最後のあたりが我ながら気持ち悪い。[DVD(邦画)] 9点(2009-11-21 10:50:32)(笑:1票) 《改行有》 6. ソウ5 《ネタバレ》 シリーズの最初から観ていないと、もはや何が起こっているのかすら分からない。最初から観ていても、ストーリーを失念していたり、主役二人の顔が酷似しているため、やっぱりよく分からない。たしかこのページでは連続ドラマのレビューを出来なかったように記憶しているが、まさしくそれに該当しないのか。非常に興味があります。 というような観点で、それでもあえて点数を付けるならばこの点数。[DVD(字幕)] 1点(2009-04-12 19:57:26)《改行有》 7. tokyo.sora 《ネタバレ》 東京に暮らす数人のオンナノコの日常を断片的に描いた作品。日常であるだけに、そんなに大きなことも起こらないし、セリフも少なく、説明もあまりない。観る人にとっては極めて退屈な映画かもしれない。例えが適切か分からないけれど、魚楠キリコの漫画の雰囲気、というのがいちばん手っ取り早いか。 しかしながら、登場人物がこんなに愛おしいと思った映画は他にない。確かに、この映画の中で呼吸している、生きている、ということが画面越しに伝わってくる。何気ない間、何気ないセリフ、そして映し出される東京の空がとても切ない。 小説家を目指している人のエピソードが個人的には一番好きだ。[DVD(邦画)] 9点(2009-01-06 22:37:15)《改行有》 8. バタフライ・エフェクト/劇場公開版 《ネタバレ》 こういう系統の作品は、驚かせた後に、いかに登場人物のその後を想像させることができるか、いかにもう一度観たいと思わせるかが勝負どころだと思うのだけれど、これは見事に成功している数少ない作品。 アイディア自体は数限りない小説や映画で観られるありきたりなものだけど、飽きさせない脚本で見事に物語が動いている。描かれていくバッドテイストなラストシーンの最後の最後に、あんなに切ないエンディングを持ってくるところが白眉。細かい粗を探せばキリがないけれど、僕はこの作品が好きだ。[DVD(字幕)] 9点(2008-12-28 21:22:43)(良:1票) 《改行有》 9. おくりびと 《ネタバレ》 知り合いに納棺師がいて、その実態を詳しく話し聞いているからだと思うのだけど、映し出される映像に新鮮味が全くなかった。というか、どうも実態とかけ離れすぎている。ほとんど腐乱死体やら自殺死体を扱い、あんなに綺麗な死体は稀。家族から感謝されることなど無いそうである。映画には写っていなかったと思うが、死体があった部屋の掃除もメイン業務。 などという前提があったためか、一見汚らしいと感じられるものから美しい部分を抽出して、適当に流れを創り、美しい物語を創りあげるために、このような素材を選んだ感が強く感じられてならない。 当然のことながら、そのようなために納棺師という職業があるのではない。美しい物語を創りたいのなら素材はいくらでも転がっているのに。[映画館(邦画)] 1点(2008-12-16 22:46:43)(良:3票) 《改行有》 10. アヒルと鴨のコインロッカー 《ネタバレ》 原作がとても好きな作品だったから今まで観るのを避けていたのだけど、これは良かった。配役、音楽も素敵なのだけど、一番感服したのが、井坂幸太郎の小説の雰囲気を映画で堪能できたこと。さらっとした語り口で、現実離れしていて、意外なトリックもありつつ、切なく終わる。そういう小説の持ち味を、本当に巧みに表現していてビックリした。 だから、現実離れしているとか、人間の描写が犠牲になっているとかいう批判は、映画だけしか観ない人のものであって、少なくとも僕にとっては的外れなんです。[DVD(邦画)] 9点(2008-02-16 23:39:32)《改行有》 11. 28週後... 《ネタバレ》 ストーリーとか登場人物の気持ちなんかはどうでもいいんです。 そういうのに拘るのなら小説を読めばいい。 荒廃したイギリスの街並みと、無数の虐殺。 廃墟に見られる美しさというか、空虚さを捉えた瞬間が素晴らしい。 褪せた色調、カメラワーク、そしてモグワイのような美しい轟音が一層拍車をかけて、 まさにスクリーンに映しだされた画、でした。[映画館(字幕)] 9点(2008-01-20 21:27:19)《改行有》 12. エレファント 《ネタバレ》 通信販売で銃が簡単に手に入るアメリカ社会の構図だとか、虚構と現実の区別が付かなくなってしまった若者だとか、あっけなく失われていく命の重みだとか、観た人が語るべきポイントは沢山あると思うのだけれども、僕にとってはそんなことどうでもよかった。 学校という場が持つ閉塞感、永遠に思えるざらついた時間、そのとき窓越しに見た空の色。「リリイ・シュシュのすべて」と似た、昔の自分と重なるような、息が詰まる感覚に襲われた。そして、おそらく、その棘は未だ抜けきれていない。[DVD(字幕)] 10点(2008-01-07 20:00:22)《改行有》 13. ゾディアック(2007) 《ネタバレ》 たしかに、フィンチャー監督のキッチリとオチを付ける作品群を見慣れた人たちにとっては、これは致命的な結末なのだけど、でも僕はこれでいいと思った。 なぜ筆跡が合わなかったのか。あの地下室での足音は何だったのか。結局ゾディアックとは誰だったのか。作中では一向に解明されず、エンドロールを見終えた我々に無限の謎を投げかける結末。しかし、そもそも映画とは想像力の賜物であるわけで、結末が曖昧なのは寧ろ歓迎すべきことではないのかなあ。 と、観てからしばらくは思っていたのだけど、やっぱり映画の中で起こった事件は映画の中で何らかの解決をしないと駄目だと思うし、これまでフィンチャー監督はそういった映画ばかり撮ってきたわけで、つまりこれは原作選びに失敗したのではないか。[映画館(吹替)] 1点(2007-06-17 21:04:33)《改行有》 14. ディア・ウェンディ 《ネタバレ》 脚本だけとはいえ、この人が関わっているのは観たくなかったのだけど、つい店頭で手に取ってしまった。 今回は愚かな少年少女たちが射殺されるところを観客に見せつけたかっただけ、映画にしたかっただけ、ただそれだけなんだと思う。意味が通らないストーリーも後付けだからだろう。教訓の込められた映画など大嫌いなのだけど、これほど学ぶところが一片もない映画も珍しい。露悪全開。 と、毎回悪口ばかり書いている自分を、店頭で手に取らせ、エンディングまで画面から離さないだけの才能はあるのだから、そういう意味で毎回勿体ないなあと思うわけです。[DVD(字幕)] 0点(2007-04-30 20:02:09)《改行有》 15. マルホランド・ドライブ わりと毎日吐き気がするので、医者に行って吐き気止めをもらったのだけど、その吐き気止めの副作用に「吐き気」があって、毎日の吐き気は止まったけれども、副作用による吐き気で毎日吐き気がする。どうしよう、と思って医者に行ったならば、「副作用による吐き気なので気にすることないですよ」と言われ帰宅するも、相変わらず吐き気は止まらない、どうしよう、というかんじ。わけの分からなさのなかにも一貫した論理がある。ような気がする。でもわけ分からない。そんなかんじ。 そしてこの文章の意味分かりますか。僕には分からない。[DVD(字幕)] 9点(2007-01-27 22:37:20)(良:1票) 《改行有》 16. Dolls ドールズ(2002) 日本の四季が色鮮やかに移ろう様は特別だ、とよく言われるが本当だろうか。安部公房は「どんな極寒の地にも四季の移り変わりはあって、日本人だけが特別なわけではない」ということを書いていた。でもそれは多分どちらも本当のことで、この映画は、日本人のための四季、それが日本人にとって特別であること、ただそれだけを映し出したフィルム。映像美。[DVD(邦画)] 9点(2007-01-10 18:13:12) 17. ランド・オブ・ザ・デッド 《ネタバレ》 ゾンビ三原則「走らない、喋らない、考えない」を打ち立てた張本人であるロメロ監督が、年月を経て自ら禁を犯す暴挙に出た最新作。ゾンビの魅力はこの三原則に全て凝縮されていると信じている自分にとって、学習し、感情を持ったゾンビなんぞ不要なのである。 それは置いても、ゾンビの怖さは効果音で驚かすオバケ屋敷的なものではなく、ヨタヨタと集団で蠢く中にあるのではなかったか。 加えてテーマが陳腐すぎる。ゾンビ映画に政治的、社会的なアレコレなどは絡めなくてよいのだ。絡めてもよいけど、ゾンビが魅力的であるのが大前提ではなかったのか。 と無茶苦茶書いてはみたものの、それはやはり偉大なる監督に対する期待からであって、スラム街の少年や花火に見惚れるゾンビやら、心奪われるシーンは沢山あった。 次作は原点に立ち返るということなので、もちろん期待していますロメロ監督。[映画館(字幕)] 5点(2007-01-01 00:00:36)《改行有》 18. ドーン・オブ・ザ・デッド 《ネタバレ》 ゾンビがヨタヨタとしか歩けないのは、死後の筋肉がどうのという医学的な理由付け以上に、何とか逃げることができそう、という想像の余地を与えてくれるからである。少なくとも僕はそう信じている。だからこそ各々の頭の中で無数のゾンビストーリーが生まれ、果てしない妄想に浸る楽しみがあるのだ。 その意味で、これはリメイクですらない。ターミネーター並みにダッシュする超人的なゾンビを目にした我々の思考は停止し、単に画面を追うだけの身となってしまうのだ。ストーリーやキャラクターが魅力的なだけに、その致命傷が目立って目立ってしょうがない。[DVD(字幕)] 5点(2006-12-28 23:52:15)《改行有》 19. ドッグヴィル 《ネタバレ》 たしかに下手な偽善よりは露悪の方が良い。この映画における様々な露悪は一つ一つでは理解できるし、ラストは積み上げた露悪を焼き尽くすあの壮絶なカタルシス以外ありえなかった。だけれど納得できない。なぜかと考えるに、そもそもこの監督自体が好きではないのだと気づいた。こういう考え方をして、それを映画に撮り、他人に披露する、そういう人間が僕は嫌いだ。と、これでは映画のレビューになっていないけれど、映画を撮るのが人間である以上、それはしょうがないじゃないか。[DVD(字幕)] 0点(2006-12-27 18:02:50)(良:1票) 20. ショーン・オブ・ザ・デッド 《ネタバレ》 ロメロの名作群を観た人は、「ゾンビの動きを真似すれば、ひょっとしたら襲われないんじゃないか? でもまあ、そんなことないよなあ」などと薄らぼんやり思ったりするのだけど、この映画では主人公たちが愚直なほど誠実にそれを実行する。 全編がゾンビへの愛に満ち溢れていて、でもゾンビへの愛って何だろう、そもそも自分にとってゾンビとは何だろう、そんなゾンビに対する自分の立ち位置の確認をも要求する快作ゾンビ映画。[ビデオ(字幕)] 9点(2006-12-22 20:57:06)《改行有》
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