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1. 桑の葉
《ネタバレ》 『情事』『スキャンダル』で、中年女性の美しさを印象づけたイ・ミスクの若き日の作品。
コリアンエロス、という紹介のされ方をすることが多いようだが、セックスシーンはすべて間接描写で、たいした露出もない。じゃあどこがエロスなのかというと、これはイ・ミスクの肉体それ自身につきる。枯れきったような長老様を含めて、彼女を見た男という男が、ハァハァしちゃうようすが、実におかしい。
生まれ持った美貌と、貧しさのゆえに男の欲望の犠牲になって、という面もあるにはあるのだが、それを逆手にとった主人公のしたたかさもかなりのもので、このあたりの人物造形も説得力がある。
近所の人総出の農作業のようすや、川の洗濯場に女たちが集まっておしゃべりに花を咲かせる風景など、むかしの朝鮮の農村の、のんびりムードの中での艶笑譚である。音楽も伝統的な曲が使われている。
舞台は日帝時代で、主人公の夫を日本の憲兵が尾行していて、ばくち打ちということになっているこの男が、実は抗日の志士だということを暗示しているのだが、そのへんは点景にとどめているところも、からっとした印象につながっているようだ。[DVD(字幕)] 6点(2007-07-27 17:50:48)《改行有》
2. エリック・ザ・バイキング
ファンタジーとしての映像のちゃちさが、今見ると笑いどころになってしまっているというのが、なんともはや。まあ、それも含めて、気楽なコメディーとして、楽しく見られるけど。
マッチョさのかけらもないティム・ロビンスが、バイキングの長の息子、というミスマッチがまず笑える。脇役も存在感のある役者ばかりで、決して子供だましではない。けっこう好きかも。[DVD(字幕)] 6点(2007-07-27 17:26:40)《改行有》
3. エレンディラ
ガルシア・マルケスの世界の見事な映像化。
美術、音楽、演出、演技、どれも、あまりに自分にとってツボで、だれかに頭の中をのぞかれたかと思うくらい。
怪演というほかない、イレーネ・パパス、あくまでも可憐なクラウディア・オハナ(むかし、時計の CM かなんかに出ていたんだが、覚えている人は年がばれますな(笑))、どちらも別の意味で美しかった。[ビデオ(字幕)] 10点(2007-07-25 16:03:54)《改行有》
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