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【製作年 : 1990年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
1. ショート・カッツ ものすごく豪華キャストなので、長いとはいっても、それなりに楽しめたが、カーヴァー的世界が目の前で繰り広げられると、映像を見てるのに、不思議なことに村上春樹の文章がちらちらして、妙な気分だった。村上春樹訳でカーヴァーを読んでいるのだから、不思議でもなんでもないんだけどね。 ごひいきのティム・ロビンスのうそつきぶり、身勝手ぶりが、やっぱりよかった。[DVD(字幕)] 7点(2007-12-30 16:54:35)《改行有》 2. ニードフル・シングス キング作品の映画化は、あまりいただけないものが多いのだが、これは思ったより楽しめた。というのは、渋い役者がそろっていて、とくに悪魔役のマックス・フォン・シドーの堂々たる紳士振りがよかったから。音楽が安っぽくなかったのも、B級ホラーにならずにすんだ理由だろう。しかし、なにせ長い話を2時間にしてしまったので、人間心理を掘り下げるヒマもなく、やたらとばたばたしている。悪魔の策略がすぐれているというより、この町の人間って単細胞ぞろい、としか見えない。まあ、凡作ですな。[DVD(字幕)] 5点(2007-08-20 00:02:54) 3. ナッシング・トゥ・ルーズ ティム・ロビンスとマーティン・ローレンスの芸達者ぶりが見所。あははと笑って楽しめばよく、ごちゃごちゃいってもしょうがないので、下記は蛇足だが。 小心者ほどキレるとヤバイ、というか、小心者だからこそ歯止めがきかなくなり暴走してしまう、というのを、ティム・ロビンスが楽しそうに演じている。最初の車の暴走にはじまって、そこまでやるか、の連続。しかも、悪漢にライフルをのど元につきつけられても平然としてるのに、その直後、相棒が撃った流れ弾にあたり、かすり傷を負うと、ひーひーと泣かんばかりの大騒ぎ。豹変振りがおかしい。 マーティン・ローレンスのほうも、ホールドアップするような人間だから、さぞすさんだ暮らしをしているのかと思いきや、家に行ってみると、貧しいながらも居心地よくしつらえられた部屋、しっかり者の妻、かわいい子供たち、ついでに、息子をすぐにひっぱたく肝っ玉かあちゃん、とぞろぞろ出てくる。 このあたりから、映画は前半のドタバタから人情話に変わってくるのだが、手堅くまとめた、という感じ。いくらでも社会派になりそうなネタだが、その部分は徹底的に切り捨てて、コメディに徹したのが、まとまった理由でもあるだろうし、小粒に終わった理由でもあるのだろう。 踊る警備員は監督だそうだ。[DVD(字幕)] 7点(2007-07-27 18:35:24)(良:2票) 《改行有》 4. 星に想いを 1994年の映画で、メグ・ライアンが主演、さらにこのクサイ邦題、とくれば、見なくても内容はわかりそうなもんである。だが、ティム・ロビンス強化中なので、やっぱり見る。 舞台は1950年代前半で、映像もまた、そのころの映画をほうふつとさせる。ぺったりとなにもかも均等に照らし出す照明、花は咲き乱れ、芝生は緑、プラネタリウム真っ青の星空、まるで書割である。そしてヒロインはブロンドで、世間知らずでキュート。 ティム・ロビンスの立派なオデコについ目を奪われてしまうが、それ以上におもしろかったのが、アインシュタインに扮したウォルター・マッソー。往年の名脇役で、けっこう強面のイメージがあったのだが、この映画では、とぼけた味がとてもいい。実在の人物はアインシュタインだけでなく、アイゼンハワーのそっくりさんまで出てきて、「ソ連に対抗するために、宇宙船の開発を!」とくる。繁栄のただなかにある、能天気なアメリカの50年代は、また冷戦の時代でもあったことを、ちらりと見せるのが隠し味である。 しかし、メグ・ライアンはやっぱり優秀な数学者には見えないよな。頭脳と美貌は両立しない、なんて俗説に毒されてるのかしらん。[DVD(字幕)] 5点(2007-07-27 18:33:44)《改行有》 5. われらの歪んだ英雄 寓意がはっきりしすぎて、予定調和的におさまってしまうのがつまらない。2時間というのも長すぎる。チェ・ミンシクはいったいいつ出てくるんだ、と思いつつ、つい最後まで見ちゃったという感じ。 いまではくたびれた中年男の役がよく似合うチェ・ミンシクだが、この映画では、理想に燃えた若い教師役をさっそうと演じている。 子供たちの演技は、ほんとうに自然で、「子役臭さ」がない。『大長今』の子役たちの演技にも驚いたが、この映画もすごい。 『蝿の王』といいたいところだが、40年以上前の田舎の小学校で、子供たちはみないがぐり頭、当時は、男女別クラスだったようで、ほとんど全編小汚い少年たちの勢力争いなので、サル山を見てるような気分になる。まあ、おとなの勢力争いだって、サル山とどう違うんだ、といえばそれまでだけどね。 体罰をする側もされる側も、体罰というものになれきっている様子がありあり。韓国の映画やドラマを見ていると、なにせすぐ手が出るし、男は力だ、といわんばかりのシーンが多くてうんざりするのだが、こういう教育を受けていればそれはそうなるよね。 『八月のクリスマス』『サンドゥ、学校へ行こう』などなどでおなじみのシン・グの無気力教師ぶりは、よかった。つか、ふつうに授業をやっていて、子供の能力もわからない教師っているんだろうか。[DVD(字幕)] 5点(2007-07-27 18:26:17)《改行有》 6. ホワイト・バレンタイン 映画の内容は、チョン・ジヒョンかわいいね、で終わっちゃう程度のものだった。韓国の地方都市のなつかしいような風景の中で、淡々と話が進み、淡々と終わる。つまんないわけではないけど、盛り上がりもない。 パク・シニャンの酔っ払いシーンの演技があまりにもおおげさで笑えた。それじゃコントだって。オーバーアクションっていうのは、このへんのことなのかな。回想シーンでスーツ姿も披露しているのだが、ほんとに有能なサラリーマンに見えるよ。後のキジュだね。 チョン・ジヒョンが住んでいる建物は、1階が書店で2階が住居になっているのだが、ちょっと不思議な形で、とてもすてきだった。 チョン・ジヒョンに思いを寄せる近所の青年の役でヤン・ドングンが出ていて、最初はっきり顔が映らないうちから「あれ? ヤン・ドングン?」と気づいたのだから、この人もちょっと尋常じゃないオーラが出ている感じがする。[DVD(字幕)] 5点(2007-07-27 18:21:41)《改行有》 7. ハッピーエンド 韓国版のため字幕無し。 本編が始まって3分もたたないうちに、いきなり激しいセックスシーンで驚く。チョン・ドヨンがなんでここまでやるかなぁ。 情けない夫のチェ・ミンシクに対して、顔よし、体よしのチュ・ジンモのはずなんだが、どうもチュ・ジンモがかっこよく見えない。チェ・ミンシクのほうがずっとセクシーじゃん。という、わたしの好みは偏ってるんだろうね。 ロータリーを囲んで円形に建っているマンションのデザインがおもしろかった。[DVD(字幕)] 5点(2007-07-27 18:19:51)《改行有》 8. ペパーミント・キャンディー ソル・ギョングのカメレオンぶりは、評判どおりすごいよ。妻役が、『大長今』でチャングムの師匠、医女長徳役の人だったのでへーという感じ。主人公の年齢設定は、わたしより2歳くらい上で、光州事件など、この時代と青春時代が重なっている人間にとっては、いろんな感慨を禁じえない。大学時代よく歌った「アチミスル(朝露)」という曲も、劇中で使われている。[DVD(字幕)] 8点(2007-07-27 18:13:08) 9. キャデラック・マン 期待はしてなかったけど、前半のロビン・ウィリアムスのもてもてぶりと、リストラ寸前の状況を説明するための描写が、長くてだらだらしてて、危うくリタイアしそうになった。しかし、目的は、ティム・ロビンスを見ることだったので、がまんがまん。 それにしても、ティム・ロビンスは、どうしてこう、衝動的で、それでいて、肝っ玉の小さい役が似合うんでしょうか。しかも、この映画では、絶望的に頭が悪いと来ている。逆上してマシンガンをぶっぱなし、あせりまくり、あわてふためく、テンション高い芝居が見物。 主役二人はおもしろい顔合わせだったのだが、それだけかな。あれこれよそ見しても、けっきょく夫婦の絆が強調される、という結末も、お約束通り。[DVD(字幕)] 4点(2007-07-27 17:42:30)《改行有》 10. オルランド 《ネタバレ》 見ていると、ティルダ・スウィントンの大きな瞳に吸い込まれそうである。性も年齢も感じさせない、彼女の不思議なキャラクターなくしては、成り立たない映画かも。 何百年も生き続けたり、途中で男が女に変わったり、しかもまわりはそれを不思議がることもなく、そういうものとして受け止めている。そもそも人を食った話なのだが、まじめな顔で与太とばすようなおかしみが全編に漂っている。 衣装や美術も楽しめた。[DVD(字幕)] 7点(2007-07-27 17:37:45)《改行有》 11. 妹の恋人 お兄ちゃん役のエイダン・クインが、実にいい男で思わぬ拾い物。印象的なブルーの瞳がいかにもアイリッシュ。この映画、ジュリアン・ムーアも出てたんだ。 妹役のメアリ・スチュアート・マスターソンは、どうもこの髪型とこの性格だと、柳美里を連想してしまう。不吉な長い顔。 映画としてのできは、退屈はしないけど、それほど感動作でもないし、といった小品。ジョニー・デップ演じるサムのキャラクターが現実離れしているので、なんとなしにおとぎ話めいた印象が残る。[DVD(字幕)] 6点(2007-07-25 15:21:37)《改行有》 12. ナインスゲート 主人公があまりに受身で、いいところなし。女二人、いや、三人か、に押されるばかりなのである。しかし、ジョニー・デップは、いかがわしい役もよく似合うなぁ。 中世の砦が、夕闇迫る空をバックにまがまがしくそびえたっている絵などは、実に美しかった。 エンディングの曲はチョ・スミが歌っている。[DVD(字幕)] 5点(2007-07-25 15:19:44)《改行有》 13. ノイズ(1999) 《ネタバレ》 シャーリーズ・セロンのブロンドのショートカットは、やっぱりミア・ファーローを意識してるんだろうか、と思ったら、Amazon のエディターレビューに同じことが書いてあった。ということからも明らかなように、『ローズマリーの赤ちゃん』の宇宙人版、というだけの映画である。 しかし、宇宙人の侵略方法というのがあまりに気が長く、この地球上でたった一組の双子を使ってなにをしようというのかはっきり描かれないため、あまり怖くない。いや、愛する夫がいつの間にか他者と入れ替わり、喜ばしいはずの妊娠も怪物を生む恐怖に取って代わるのは、十分怖いじゃないか、という見方もあろうが、別に宇宙人を持ち出さなくても、結婚とか出産にはその手の恐怖はつきものなので、それを増幅して見せる仕掛けが弱いということなのである。 シャーリーズ・セロンが苦悩の表情まで実に美しく、珍しくクルーカットで neat なファッションのジョニー・デップも魅力的である。彼らふたりの美貌のおかげで、しょうもないストーリーだが、飽きずに最後まで見られた。しかし、つい感情移入してしまうのは、美しいヒロインの不細工な妹だったりする。クレア・デュバルが、姉への複雑な感情を嫌味なく見せていて、うまい。[DVD(字幕)] 5点(2007-07-25 15:17:43)《改行有》 14. ドンファン(1995) 《ネタバレ》 美しい妄想だとばっかり思っていたら、話が現実離れすればするほど、それが現実だという傍証が出てきて、物語自体がファンタジックになってくる、という、凝った仕掛けの話である。 ファンタジックなのはいいけど、マーロン・ブランドの巨体は、往年の彼を知っている人間にとっては、ほとんど悪夢の域だな。最初は、これって特殊メイク?と目をこらして見たが、どうも本物だったらしい。着ぐるみのような体つきに、若い頃と変わらぬ青灰色の瞳が、なんともミスマッチで、なかなか不気味だった。 フェイ・ダナウェイが、けっこう愛嬌のあるもうけ役。 デップ様は、彼独特のうさんくささとロマンチックさが、見事にはまっていた。最後に、正気に戻ったと判事を納得させるシーンでは、いままでのスペインなまりがウソのようにふつうの英語になっていて、笑えた。 身近にいた青い鳥をつかまえるには、ここまでややこしい妄想が必要なのだと思うと、そんなに気楽には笑えないのだが。[DVD(字幕)] 8点(2007-07-25 15:15:04)《改行有》 15. 情事 an affair(1998) イ・ミスク演じる主人公が、鏡に向かって「ミッチョッソ…」とつぶやくシーンがある。字幕は「どうかしてる」と出ていた。直訳すると「狂ってる」ということなのだが、この言葉は、精神的にちょっと普通じゃない状態を表すものとして、日常的によく使われる。 恋というのは狂うものだし、いかにふたりの男女が狂っていくかを見せるストーリーだから、これでもかとセックスシーンがあるのはいいのだが、小学生の息子のバスケットの試合を応援しに来ていて、その場に不倫相手の男を呼び寄せ、だれもいない理科室でことに及ぶ、というところまでいっては、見ているほうが「ミッチョッソ?」とつぶやくしかない。 デキてしまうまでは、男もよくしゃべるし、なかなかかわいいところもあるなぁ、と思えるのだが、いったん体の関係ができると、抱き合うばかりでセリフはぐっと減り、たいくつになってくる。気持ちを確かめ合うまでのたゆたいが恋愛の醍醐味だとしたら、それはこの映画だけの咎ではないが。 主人公の衣装は紺かグレーで、ごくかっちりしたデザイン。地味な化粧に落ち着いた話し方。これでもセックスアピールを感じさせ、若いイ・ジョンジェが夢中になるという設定に無理がないのだから、イ・ミスクの演技と美貌はすばらしい。イ・ジョンジェは、年上の女をまっすぐに見つめるまなざし、引き締まった体はいいのだが、どうも中身が空虚に見える。というか、ふたりとも中身など空っぽなほうが、役柄にあっているのかも。 主人公の夫は建築家という設定で、住んでいる家はモノトーンに統一され、まるで生活感がない。都会と湖の対比など、風景の内面への誘導の仕方がきれい。また、ドアにあいた穴や、水槽にまつわるシーンなど、伏線がいくつも気持ちよく回収されていって、きちんとまとまった脚本ではある。[DVD(字幕)] 6点(2007-07-24 17:04:57)《改行有》 16. ジャイアント・ピーチ 両親を失った主人公の少年は、ふたりのおばさんの住む丘の上の家にひきとられる。カメラがその家を外側から写すと、ティム・バートン印がぺったり押してあるのがわかる。 このおばさんふたりの悪趣味さ、悪辣さが実によい。孤児が無慈悲な親戚にひきとられる、というとハリー・ポッターだが、そもそも定番のお話でもある。『エレンディラ』のイレーネ・パパスの怪演には及ばないものの、このふたりの存在がなかったら、ただの子供向けの人形アニメになってしまうところだった。わたしには、虫たちより、実はこちらのほうが重要な登場人物に思える。 クモのビジュアルが『バグズライフ』に出てくるクモに似ているのだが、こういうエキゾチックでセクシーな美女、というイメージが一般的なのだろうか。 うちのふたりの息子たちにも、たいへん受けていた。『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』が大好きな子達だから、十分予想されたことではあるが。毒が薄い分、『ナイトメア~』より、幼い子に見せても、夜中にうなされる危険は少ないかもしれない。[DVD(吹替)] 7点(2007-07-23 15:49:29)《改行有》 17. エド・ウッド 軽薄で挙動不審なデップが最高。ビル・マーレイもよかったし。[DVD(字幕)] 7点(2007-07-22 17:20:41)
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