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【製作年 : 1960年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
1. しとやかな獣 《ネタバレ》 貧しさから這い上がるために人はかくもしとやかな獣になれるものだろうか?人間の業が折り重なって、観ているうちに罪の意識が麻痺してしまいそうになる巧みな脚本です。伊藤雄之助と山岡久乃の飄々とした芝居と小沢昭一の怪演、達者なミヤコ蝶々に若尾文子の堂々たるビッチっぷり。それらが上手く溶け合って、愛すべき一家と小悪党達の化かし合いといった雰囲気で一気に見入ってしまいます。しかしながら唯一の普通人?船越英二の悲劇で一気に現実へ引き戻されます。この映画を単なるブラックユーモアで済ませたくなかったのでしょう。川島雄三が懐に忍ばせた刃を感じました。[DVD(邦画)] 8点(2007-09-17 23:36:31) 2. 明日に向って撃て! 《ネタバレ》 映画を観だした小学生の頃、映画のチラシをまとめた一冊の本を買った。横長のチラシに書かれていたこの映画のコピー。うろ覚えであるが、「明日に賭け、夢を追い、太陽の中で血まみれになって死んでいった若者ふたり…」。しびれた、たったこれだけのコピーに強烈に当時の僕は魅入られた。それから毎月情報誌を買うようになった。レンタルビデオなど無い時代、観たい映画は名画座にしかなかった。小説版を読み、古本屋でパンフレットを買い、部屋中がこの映画のポスターで飾られた。この映画を観るために、知らぬ間に僕はこの映画以外の、あまたの映画そのものに魅入られることになった。思いが叶って、思春期も過ぎた頃、ようやく名画座で合間見えることができた。ラストのストップモーションと何度も繰り返される銃声はこの映画を思い続けた年月を無駄にしないほど、悲痛で、儚くて、胸が締めつけられるほど心が揺さぶられた。今思えば、それは僕自身の思春期の終わりを感じさせるほどの切なさに満ちていた。[映画館(字幕)] 9点(2007-09-01 03:06:00)(良:2票) 3. 冒険者たち(1967) Google Mapで要塞島を探してみた。…まだ取り壊されずフランス沿岸にその姿を見つけることが出来た。子供の頃、初めてこの映画をテレビの洋画劇場で観てから30年以上経つ。子供のくせに何に感動したのだろうか?でもその時、いつかあの島へ行ってみたいと思った。それから成人するまで、いろいろな街の今は無くなってしまった名画座で何度この映画を観たことだろう。決して優れた映画では無いと思う。しかしあの頃から今に至るまで、ずっと好きな映画であり続けている。「好きな映画は?」と聞かれ、「冒険者たち」とは大の男が流石にいささか気恥ずかしい。それでも好きな映画である。以前何度か要塞島行きを計画したことがある。しかし未だに行けずにいる。年老いて時間が出来たら、いつか要塞島へ行けるだろうか?その時まで取り壊されずに海上にその姿を見ることができるだろうか?その時まで「好きな映画は?」と聞かれ、小声であっても「冒険者たち」と答えられる自分のままであろうか?[地上波(吹替)] 10点(2007-08-30 02:29:37)(良:4票) 4. 世界大戦争 《ネタバレ》 これはすごい映画です。SF?人間ドラマ?反戦映画?特撮映画?そのどれもであり、それだけでは収まり切れず、それ故に評価が定まらずに語られることが少なかったのかも知れません。それほど、内容のインパクトに比して、知る人の少ない映画だと思います。核戦争を描いた映画は「博士の異常な愛情」や「未知への飛行」など傑作が多く、そのいずれもが当事者である政治家や軍人を描いた作品がほとんどです。それ以前の今から40数年以上も前に、慎ましやかな下町の人々の暮らしと核戦争、この一見ありえない取り合わせでこんな作品が日本で作られていたとは…驚きです。核を使用した国と使用された国、それぞれが体験し背負ったものの違いが表れているのかも知れません。まずは未見の方は、どれどれSF?特撮?みたいな感じでとりあえず観てみて下さい。ぶっ飛びます。そして、号泣します。[DVD(邦画)] 10点(2007-07-31 00:24:35)
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