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1. さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち
《ネタバレ》 子供の頃に見て、ショックと感動を覚えた映画です。
だけれども、最近は特攻賛美とかなんとか、今の感覚からする強引な左翼的批判が強いので正当な評価がされにくいんだよね。政党的な評価ばかり目立つ。こういった後付け評価はどうにかして欲しい。映画の中の男女差別批判やポリコレごり押しなんかもやめて欲しい。楽しさ、感動を与える映画でいいんです。思想的な映画はそりゃいいんだろうけど、そういった思想映画じゃない普通の映画を、ポリコレ的観点から批判するのは筋違い。普通の映画をスポイルさせる批判は願い下げです。
本作は、作劇としては、すごく良くできている。特に白色彗星の外形を吹っ飛ばして、巨大惑星帝国潜入から、超巨大戦艦出現と、敵はただ一か所にとどまっているだけなのに、次々と絶望感を与える変化なんか、当時としては画期的だった。
今見ると絵が古臭いとか批判を受けているけど、ヤマトはあの絵がいいんです。なんなら、もっと松本零士風にしたってかまわない。最近のオタクリニューアルヤマトの絵と平和主義とポリコレは、ヤマトには似合わない。
ただ、ヤマトはこれで終われば伝説の作品で終わったはず。拝金主義のために、ヤマト2で結末を変え、続々と自己模倣の続編を作り、最近のリニューアルシリーズまで続いているから、陳腐化もいいところになってしまった。
このアンチテーゼとして作られたガンダムも、ファーストで終わればいいものを、結局延々とシリーズ化して陳腐化。
他の国では・・・と思ったけど、アメリカもスターウォーズからアベンジャーズまで同じことをやっているし、欧州もアジアも・・・結局、どこの国でもこういったシリーズ化から陳腐化への流れは止められないものなんだねえ。
上映当時は沢田研二の曲からなにから楽曲が多すぎて「ミュージカル・ヤマトですか?」という批判があったけれども、覚えている人はいないだろうな。
「軍艦マーチ」に並んで「宇宙戦艦ヤマト」は海上自衛隊の定番となりました。願わくは、漢字艦名の旧海軍から、ひらがな艦名の自衛隊、そして、カタカナ艦名の未来の宇宙船が本当に実現しますように。[映画館(邦画)] 8点(2024-12-11 14:10:07)《改行有》
2. ペーパー・チェイス
《ネタバレ》 日本にも法科大学院が根付いてきました。なので、この映画の理解がしやすくなってきましたかね。この映画は、日本に法科大学院がなかった頃の公開だったため、ロースクールの基礎知識がない人に大量に誤解を生じさせました。というか、今でも誤解している人が多い映画です。これは「大学」ではなく「大学院」の映画です。この辺の予備知識がない人が、アメリカの普通の大学の様子がこうだと誤解しまくったのです。アメリカには、大学に「法学部」はありません。4年制の大学を卒業した人のみが、法科大学院というところで法律を学びます。だから、この映画の学生はみんな歳を食っていたんですね。しかもこの映画の舞台はハーバード・ロー・スクール(HLS)という、「世界で一番有名な法科大学院」。言うまでもなく、HLSは世界の英米法(コモンロー)では最高峰。ここで優秀な成績を収めれば、英米の法曹界のエリートになれるというものです。そういった大学院の内実を恋愛絡めて描こうとした意欲的な作品です。日本にはうまくあてはまるものはないんですが、あえて言えば、東大ローで予備試験に在籍合格を目指すようなものです。だから、普通のアメリカの大学の物語ではないんですよ。
これはアメリカではかなり好評だったらしく、テレビ・シリーズにまでなりました。好評を博しただけに、勉強の映画でありながら、迫力もありスピード感もあって引き込まれ度は高いです。ソクラテスメソッドのやり方や細かいところで「あれ?」と思うところもあるし、One Lなのに、恋愛を絡めた描写などは非現実的かなと思いますが、演技もなかなかしっかりしています。また舞台となるHLSの建物や周辺の情景描写などは美しく、それだけでも楽しめます。「ある愛の詩」と同じキャンパスを舞台にしていますので、比べてみるのも一興です。
なお、「推定無罪」などの原作者スコット・タローが「ONE L」という本を出しています(邦訳は早川文庫)。スコット・タローが実際にHLSに入学して経験した最初の1年を描いてますので、この映画の背景を知るためには最適です。[ビデオ(字幕)] 7点(2008-01-13 20:34:11)《改行有》
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