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プロフィール
コメント数 109
性別 男性
自己紹介 2008 7/22みんなのシネマレビュー登録

ぼちぼち復活。

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【製作年 : 2000年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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1.  第9地区 《ネタバレ》 なんと志の高く誠実な作品。「観客に不快感を与えようとした」という“エビ”エイリアンの造形。そしてグロテスクな彼らに感情移入させる演出。社会派SFからバディムービー、そしてアクションになだれ込む怒濤の展開。そして決して安易でない清々しくも切ない決着のつけ方。最高。 差別に反対する者ではなく、かと言って積極的な差別主義者でもない、極めて平均的な人間ヴィカス。華のない顔ながらも憎めないこの男がいい。上司の婿養子ってのもなんだか切ないね。ドキュメンタリータッチでアパルトヘイトなど社会問題を背景にブラックなネタを仕込みながらも、そこは主張せず、ヴィカスとクリストファー親子の相互理解、友情をブレずに中心に据えているからこそ切ない。自分の暮らしていた世界に裏切られ、剥がれ落ちた体と心を通して見えるものが変わってくる。が、とは言え変わりきれないのが人間。協力してくれたクリスをぶん殴るわ見捨てるわの扱い。あくまで利害の一致でしかない。しかし、だから「俺の気が変わる前に行け!」に泣き、クリストファーたちを助けてやりたい一心のあの素晴らしいパワードスーツでのやけくそ大暴れに燃える。 司令船が地上に浮き上がるシーン、パワードスーツのミサイル掃射シーン、母船へと帰還する司令船を見上げるヴィカスの表情と涙、ラストショット、せっせと鉄くずの花を作るエイリアンにもまたまた泣く。胸を締め付けられる。泣いてばっかだな。いや、溢れんばかりのセンス・オブ・ワンダー、血湧き肉躍る魂、ロマンスまでもが炸裂しているのだから仕方がない!大傑作![映画館(字幕)] 10点(2010-04-10 22:50:14)(良:7票) 《改行有》

2.  デビルズ・リジェクト~マーダー・ライド・ショー2~ 《ネタバレ》 10点にしてもいいくらい、す~ごい作品。前作が吹っ飛んじゃうくらいの素晴らしい出来。 法律、倫理、世のあらゆる規則を無視した、まさに狂人と狂人の対決。 前作から(一応)地続きなので、前半はもう変態一家の不条理な暴力にひたすら怒りが募るばかり。誰かこの鬼畜どもをぶちのめしてくれ~、と心の中で叫んでいた。 ワイデル保安官が遂に一線を越え、一家の母親を刺し殺すシーンには来た来た来たぁ!と燃え始め、一家をとっ捕まえ拷問にかけるシーンでは拍手喝采!保安官のやっていることはもはや一家と同じなのに、強烈なカタルシスを感じた。しかし一転してあのラスト。終始死んでしまえ~、とばかり思っていたあの変態一家に何故か寂しさ、哀れみ、彼らの家族愛すらも感じてしまうあのラスト。そしてアメリカン・ニュー・シネマよろしく警官隊に蜂の巣にされる。またエンドロールの延々と続く道を流れていく空撮も素晴らしく、狂った人間たちが自業自得で破滅していっただけのはずなのに、どこか崇高な風格すらも漂わせ、危うく涙がこぼれそうになった。まさかあんな奴らから‘人間’について考えさせられることになるとは。 あらゆる方面から感情を揺さぶられ、前作は何だったんだ!?(あれも好きだけど)ぐらいに思わせる大傑作。[DVD(字幕)] 9点(2010-03-28 01:04:33)(良:2票) 《改行有》

3.  シャーロック・ホームズ(2009) 《ネタバレ》 アクションパートは勿論、推理パートまでもオマケになってしまう程ホームズとワトソンのキャラ押し映画。 劇中の推理はほとんどが”時間を巻き戻して解説”パターンで、じっくり謎を解いていく楽しみもないし、そこまで感心したもんではなく、2人のキャラでこの映画の楽しみを7割近く占めちゃってる気がしないでもないんだが、これがとっても魅力的なのでしょうがない。ダウニーJr.のやさぐれキャラはそれだけでも2時間観ていられるほどやっぱりイイ。とにかくイイ。ジュード・ロウもダウニーJr.としっかり張り合っているし、レストレード警部もいい顔している。 また19世紀ロンドンの再現も素晴らしく、おかげでたっぷり世界観に浸れる。 ややセンスばかりが先行しがちなガイ・リッチー演出も今回は抑えめで、古き良き世界観の中にアクセントとして効いている。イメージで予告した後、実践というアクションも格好いい。ただこのアクションは何らかの形でクライマックスに生かせたんじゃないだろうか?殴り合いのシーンじゃなくとも、アイツが動いたらこれを使って、と思ったら予想外の動きに出て・・・みたいにしても面白かったと思う。まぁ同じ手を使っては飽きてしまうから控えたんだろうけれど。 ガイ・リッチー作品の中では作品全体と演出の調子が非常に整った、バランスのいい出来で、弱点はありながらも、物語、美術、世界観、演出、全て「シャーロック・ホームズ(とワトソン)」という人物を楽しもう!といった趣で、その点映画としては勝ちの作品で、しっかり楽しませてもらいました。[映画館(字幕)] 8点(2010-03-15 02:09:50)《改行有》

4.  パブリック・エネミーズ 《ネタバレ》 正直観ている間はあまりノレず、ちょっとウトウトしかけた所もあったが、思い返すたびにいい映画になっていく。というのも印象的なシーンが非常に多いので。冒頭の脱獄シーンやパーヴィスの登場シーン、特にウィンステッドら3人の捜査官が駅に到着するシーンなんて西部劇みたいで非常にワクワクした。 またちょくちょく挟まれる銃撃戦も相変わらずのマイケル・マンで、暗闇にトンプソンやらBARやらこだわりの銃声が響き、木片がバラバラと飛び散る映像のこだわりようはどうしたって楽しい。これだけでも充分観た価値があった。 ラストの映画館前のシーンの空気も何とも最高で、捜査官たちの姿、デリンジャーの最後のひと睨みから絶命の瞬間、そこからのウィンステッド捜査官の行動に思わずホロリとする。 今作ではマン・ファミリーの一員であるスティーヴン・ラング、もしくはマリオン・コティヤールが美味しいところをかっさらっていくが、ジョニー・デップと張り合うほどの出番もなく、見せ場といえば銃撃戦くらいしかなかった損な役回りのクリスチャン・ベールもイイ。コティヤールを尋問する捜査官をラングと共に止めにくるシーン、ベールが扉を開けて入り、ラングが捜査官を壁に押さえつけるあの呼吸、地味に良かった。[映画館(字幕)] 7点(2010-03-06 19:22:03)《改行有》

5.  コララインとボタンの魔女 《ネタバレ》 いやいやコレは本当に素晴らしい!『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』も十分に素晴らしく気味悪く、可愛らしく、美しい世界観だったのに、こちらはさらに磨きがかかってる!コララインたちのまさに生きているかのような滑らかな動き、あの灰色で退屈であるはずの現実世界を見ているだけでも何故か感動できてしまう。 そして何より扉の向こうの極彩色の世界。気味悪くて怖くて危ない世界・・・なのにどうしようもなく魅惑的な世界。もぉう楽しくてしょうがない。コララインもワイビーも猫も可愛いんです、ホント。極端にデフォルメされた顔つきなのにあの実在感。ほぼ一軒の家のみで展開される圧倒的な世界観にワクワクドキドキしっぱなしで。 物語はこっちと向こうの世界を行き来して最後は両親を取り戻すために戦う、という何ともシンプルな展開にも関わらず、アドベンチャーゲームをプレイしているかのような興奮、恐怖に溢れている。囚われた幽霊たちの目玉を、‘アイテム’を使いこなして手に入れると、そのステージが消えていくという単純ながら楽しいゲーム感。たった一軒の家だけなのに! 原初的な物語、展開、そして何よりも原初的なストップモーション・アニメという低予算技法でここまでの感動・・・いや~最高に楽しかったです。[映画館(字幕)] 9点(2010-03-06 15:19:12)(良:1票) 《改行有》

6.  グッド・バッド・ウィアード 《ネタバレ》 いやーこりゃ面白い!まさに痛快。ベースは『続・夕陽のガンマン』で、あとはガンガン好きなものぶち込んでみました、という潔い作品。ド派手なアクションは冒頭の列車バトル→闇市での銃撃戦→大平原での全員集合チェイスと、徐々に激しさを増す構成でナイス!特に大平原チェイスは、劇中でドウォンが語っていた「人生は追いつ追われつの連続」を、コソ泥vs馬賊団×2vs関東軍vs賞金稼ぎでカオスに展開。そこで流れる「悲しき願い」と、ウィンチェスターライフルをぐるんぐるん回しながら馬を駆るドウォンにテンション上がりっぱなし。この豪快な物量作戦には参りました。 ただそれ以外の部分では間延び感が否めない。『続~』の冗長さをも魅力にしてしまう雰囲気は出せていなかった。『続~』では、コイツがアイツを追っかけて、ヤツがアイツを利用して、コイツがアイツと手を組んで・・・と展開していたものを、ほぼ全員宝を見つける事だけに絞った事で、簡潔したというより希薄になってしまったところがある。それと、本作はユン・テグ中心で語られていくが、やはりここはドウォンを映画の世界観への案内役として立てた方が良かったのではないだろうか。 もしくは、ユン・テグをもう少し掘り下げて過去の残酷な自分を忘れようと明るく振る舞う男として描いても良かったかもしれない。劇中でもドウォンとの会話で「心が痛む」と言っていたが、もう少しここは拡大してもいいと思う。 他にも、ユン・テグの正体がバレるのが大平原チェイスの直前だったり、エピローグがドウォンとユン・テグの再決闘だったりと、魅力的なシーンがたくさんあった。確かにこれ以上尺を延ばすと全体としては辛くなってくるだろうと思うので悩ましい所。 ただ何より、たたずまい一つで画として魅せてしまう3人は本当に素晴らしかった。 それだけで十分と言っていいくらいに。[映画館(字幕)] 7点(2009-09-13 20:59:17)(良:1票) 《改行有》

7.  20世紀少年 -最終章- ぼくらの旗 《ネタバレ》 ようやく終わった。映画の出来がどうだったとか言うよりまず激しい徒労感を覚えました。相変わらず堤幸彦の演出はどうしようもなく最低で、前2作に続いてとても見られたもんじゃありません。どうしたらここまで酷くできるのだろうか。音楽のかけかたは安っぽく、役者の演技は全員テレビサイズで、宮迫とか石橋蓮司とか小池栄子とかギャグにしか見えなくてもうホントに可哀想。この映画に出てる俳優さんは好きな人ばっかりなんですがね。劇中でもかなり酷かったのが巨大ロボットのシーン。CGの出来なんて気にしないからさ、ジープで突っ込んだら爆薬積んでたわけでもないのに爆発するとか、それであの巨大なロボットが倒れちゃうとか勘弁してくれ。あと倒れる時に少年時代の映像や、佐々木蔵之介が倒れるのを重ねるのもメチャクチャかっこ悪いのでやめて下さい(しかも超スローモーションでしつこく)。特に蔵之介の倒れ方なんてスクワットしてるみたいで笑っちゃうよ。この映画で使われてるスローモーションは全部無意味でダサイ。 原作と違う(と制作者たちが言っている)展開も、物語に新たな解釈も加えず、原作そのままじゃイケナイ、でもあんまり変えても結末が思いつかないから結末までの道のりをちょっと変えてみました、という程度。蔵之介の顔が現れた瞬間の劇場の空気はなかなか面白かったが(あれ~?というおかしな空気)。ケンヂの描き方もやたらヒロイックで安い。「“ともだち”は死んだ!もう人類は滅亡しない!」って「“ともだち”は俺が生み出した」なんて言ってた人間の言葉じゃないだろ。“2人のともだち”も堤のインタビューによると「あれは、僕の適当な思いつきで、画面上にマスクかぶった人が2人いたらかわいくない?って思って撮ったら、キラーカットになってしまった(笑)」・・・冗談のつもりなのかもしれないが、舐めてるとしか思えない。こんな舐めきったやる気の無い人間が撮ったら、まぁこんな出来になるわな。許せませんな堤幸彦。しばらく映画作りは自粛して下さい。他にも色々ありますがとても書ききれません。大変な映画です、ホント疲れました。[映画館(字幕)] 1点(2009-08-29 21:30:13)(良:3票) 《改行有》

8.  トランスフォーマー/リベンジ 《ネタバレ》 前作では結構ガッカリした。だから今回は期待しないでいようと思ったのだが、予告編を見るとやっぱりメチャクチャ面白そうなのだ。そして葛藤しながらも観にいってしまった。オープニングの掴みは暗くて見づらいなぁと思いつつもまぁ良し。その後マイケル・ベイ恒例のぐだぐだ展開にイラッとし、あれ、今回もアクションは見づらい気がする、と思いながらも我慢しろ、と言い聞かせ続けた。苦痛と戦いながらラストのピラミッドでのバトルにだけ期待を寄せていた。 それだけにガッカリ度が前作以上になってしまった。 ピラミッド周辺でいくつも戦いが起こっていく状況設定はいい。1.アメリカ軍&オートボットVSデストロンザコ軍。2.オートボット最小の兄弟VSデストロン最大のデバステーター。3.コンボイを復活させようとするサム&バンブルビーVSスタースクリーム&ザコ。といういくらでも面白く出来そうな状況なのに、見せ方が雑過ぎて全く燃えない。 特に兄弟VSデバステーターは体格の差を生かしたり、兄弟で合体でもしてみたり、かなり面白い戦い方が出来たはずなのに、何故途中で投げ出す?そしてデバステーターの最期がアメリカ軍のレールガンとは。ベイの愛情がロボットよりもアメリカ軍の方にあることがはっきりと分かるシーンだ。 ジェットファイアが助けにくるシーンもインパクトが弱過ぎる。彼とコンボイが合体するせっかくのシーンも見づらい。『アイアンマン』みたいにもっとしつこいぐらい見せてくれ。 そしてパワーアップしたコンボイVSザ・フォールンの決戦も勿体なさ過ぎる。先祖から因縁のある対決でどうしたって盛り上がるのに、せっかくの設定を無駄遣いしまくってる。どちらも飛行能力があるのだからまずは空中戦だろ。フォールンが超能力で岩を飛ばす!新装備でそれを破壊していくコンボイ!装置を破壊しようとするコンボイと、装置から離そうとするフォールンが飛びながら切り結ぶ!そして最後はフォールンを装置と一緒に破壊!(一番最初に装置を破壊して観客を安心させては駄目だ)そんな戦いが見たかった。 今作には心底ガッカリした。でもこういう妄想は続いてしまうから嫌いになれない。だからDVDが出たらちょっと見返すだろう。3作目が公開したら劇場で見てしまうだろう。完全にはマイケル・ベイを嫌いになれないのがなんだか悔しい。[映画館(字幕)] 3点(2009-08-13 18:07:13)(良:1票) 《改行有》

9.  トランスフォーマー 《ネタバレ》 それなりの期待を持って鑑賞に臨んだのだけれど、なかなかにガッカリした。マイケル・ベイのことだからストーリー展開や脚本・設定について突っ込むのはもはや野暮だ、とさえ思っている。「んなワケねぇだろ!」と笑って流せる程度のものなら全く構わない(例えば、ロボットと変形する車の質量が同じという設定、とか)。しかしベイの駄目な所は、それが全て贅肉にしかなっていない所だ。ここでマイケル・ベイ作品共通の苛立ちが募る。しょーもないドラマやコメディでアクションも、作品全体も駄目にする。 そして肝心のアクションが作品の欠点を補って余りあるものか、というと全くそうではない。そもそもこの『トランスフォーマー』はロボットデザインの時点で結構損をしている、というか失敗している気がする。非常にゴチャゴチャ(ゴテゴテなら可)しているから普通に動いていても見づらい。おまけに最後の市街戦では、サイバトロンもデストロンもアメリカ軍も立ち位置がテキトーで戦い方までゴチャゴチャしてくる。 ヒーローアクションなんだから取っ組み合いばっかりしないで、もっとかっこいいポーズをとってみせてもいいじゃない。そこでリアリティを追求してどうするんだよ(そんな気はないかもしれんが)。ただ、オープニングのアメリカ軍襲撃と、コンボイと地雷除去車の変形・激突のシークエンスだけはかっこよかった。 それに今作にはマイケル・ベイ自身の愛情も感じられない。アクションが派手なだけで感情がないのは昔からだが、今回は主人公の一人であるロボットたちにも興味が無さそうなのだ。だからジャズの死に方も非常にあっさりしていて、「ここらで味方も一人消しとこう」みたいな、作品的にも映像的にも殺したというより“処分”した感が強くて全く盛り上がらない。 どうか監督をスピルバーグに変えてもらいたい。[映画館(字幕)] 5点(2009-08-13 17:20:56)(良:1票) 《改行有》

10.  3時10分、決断のとき 《ネタバレ》 オリジナル『決断の3時10分』は未見(TSUTAYAになくて...)ですが、西部劇は大好き。言うほど観てるわけじゃないのですが。アメリカでは興行的にも批評的にも最近の西部劇としては異例の大ヒットとなった本作、決して一般ウケするものではない西部劇で大成功をおさめたのは、きちんと“今この作品をリメイクする事の意義”を考えて作られた作品だからではないだろうか。今や全くと言っていいほど受け入れられなくなった西部劇。 そこで本作のオリジナルの大ファンだというジェームズ・マンゴールド監督は現代に通ずる、求められているテーマを盛り込んできた。 まず、娯楽要素満載の派手なアクション。冒頭からガトリングガンをかまし、早撃ちもあり、アパッチ族に襲われ、中国人労働者がつくるトンネルを駆け抜ける。この辺監督自身もかなり楽しんでる気がする。 何よりも、劇中饒舌なまでに語られていくウェイドとダン、そしてその息子ウィリアムの関係。 息子に何を伝えられるのかを模索し、己に誇れるものを求めるダンと、その姿を見届けようとする息子の父子の物語であり、強盗団のボスながらも、誰一人として信頼しないウェイドが初めて信頼に足る男と向き合ってみる物語なのだ。 また面白いのは、ウェイドが聖書に取り憑かれながらも無神論者、という所。何事に対しても心から楽しんでる様子ではなく、どこか『暴力脱獄』のルークのような自由奔放な性格を思わせる。 終盤、ダンはウェイドを護送する必要性をどんどん失っていく。牧場には雨が降り始め、200ドルもらって逃げ帰る事も出来たし、ウェイドはユマの刑務所から2度も脱走を遂げていると言う。しかしダンはもはや完全に吹っ切れている。例えここで死ぬ事になろうとも息子が誇れる父の姿を伝えよう、何より自分の誇りを取り戻そう、と。 その姿にウィリアムもウェイドも心を動かされていく。 ラスト、ウェイドはダンよりも遥かに付き合いが長く従順なチャーリーたちを撃つ。彼にとっては、ダンこそが自分と初めて向き合った人間だからだ。 まだまだ西部劇も捨てたモンじゃねぇぞ!と思わせてくれる傑作でした。[映画館(字幕)] 9点(2009-08-08 22:36:10)(良:3票) 《改行有》

11.  サマーウォーズ 《ネタバレ》 細田守監督の作品って前作の『時をかける少女』でもそんな気がしたんだけど、主人公たちが向かい合う問題、立ち向かう敵が外部からのものになっていない。 身から出たサビ、というか自分との戦いみたいなのが核になってる。 『時かけ』ではほとんど真琴の行動が原因で色々事件が発生するし、今作でも事件の原因は(主人公は健二というより陣内家全体なので)主人公=陣内一家の影の部分である侘助。 明確な問題、敵はあるけれど、それが微妙に“勧善懲悪”にはなっていない。 こういう所がかなり良心的でもあるし、細田監督の(良くも悪くも地味だけど)上手い所なんだなぁと思った。 それに加えて、今作は“進んだネット社会と田舎の大家族”っていういくらでも説教臭くなる題材を扱っている・・・のに、そうはならない。細田監督は「顔も見えず、匿名性の高いネットとかじゃなくて、やっぱり実際に人と人とが向かい合ってこそ“真のつながり”だ」なんてことは言わない。ネットも田舎のやかましいまでの大家族も、どっちも肯定して描く。この辺りネット絡み、家族絡みで嫌な事件が多いからこその細田監督の思いが強く出てるんじゃないだろうか。 ただ、あくまでこう言ったテーマはオマケみたいなもので、『サマーウォーズ』の一番の楽しみは『時かけ』からも通ずる登場人物たちへの愛着であり、OZの世界観(これ一番!)、そして大家族がそれぞれのスペシャリストとして活躍し、色んな人々が一丸となって試合に勝つ、何かを成し遂げる気持ち良さ。ただ、健二と夏希の関係や学校での立場についての描写はもっと欲しかったかな。あの2人は物語の軸にしては弱い。このキャラの薄さは結構大きな欠点だったりする。 物語自体の完成度や面白さとか衝撃度は『時かけ』の方がだいぶ上なんですが、『時かけ』以上にまたあの世界観に浸りたいという思いが強いのでちょっと甘めに9点とします。 ・・・うーん、今作も『時かけ』ももう一回観直してみたんですが、やっぱりすごく惜しいんだけど8点にします。『時かけ』と比較しての点数になってしまって良くはないのですが・・・。[試写会(邦画)] 8点(2009-08-02 00:21:42)(良:5票) 《改行有》

12.  レイチェルの結婚 《ネタバレ》 期待以上の良作だった。家族ならではの息苦しさ、残酷さ、温かさが見事に描かれている。トラブルメーカーの妹キム、しっかり者の姉レイチェル、頼りない父、離れてはいるけれどやはり一番頼れる母。彼らには皆違った側面がある。母親とか父親とか以前に一人の人間だから。 家族は、どんな時でも自分を受け入れてくれるもの。それに間違いは無いしそうであるべきだと思う。しかしそうは言っても一人の人間の集まりなのだから、受けてしまった傷はそう簡単には治らない。お互いその事には触れないように、忘れようとしているわけじゃないが、そんな話をしても自分がさらに傷つき苦しむ事になる。 だからあの一家の心の傷の原因であり、傷そのものであるキムを姉も父も自分の傷に触るように、悪化させないようにそっと接する。 キム自身も自分がどのような存在であるかはよく分かっている。それでも普通に接する事が出来なくて衝突してしまう。そこで初めて辛く当たってくる姉の心情を聞き、その場を取り繕ってばかりの父の脆さも知った。皆同じように苦しみを抱えていたのだ。 改めて自分が一家に残した傷を見てしまい、自分を受け入れてくれる人を、傷を少しでも癒してくれる人を求めて母のもとへいく。しかし一番強い人だと思っていた母でさえ大きな傷を負っていた。 誰にも癒してもらえず、心身ともにボロボロになってキムがたどり着いたのはやはり家族のもとだった。 その傷を治す事は出来ないかもしれない。でも家族がいれば少しは乗り越えていけるかもしれない。辛い事も多いけれど、それが出来るのは家族だけなのだ。例え一人の人間の集まりで、脆くて扱い難いものでも、家族はそう簡単に壊れるものではないから。良くも悪くも、家族はいつでもつながっているのだから。 ラスト、家族の温かさを知ったキムが施設に戻っていく姿には素晴らしい清々しさを感じた。[映画館(字幕)] 8点(2009-06-29 17:22:34)《改行有》

13.  レッドクリフ Part II ―未来への最終決戦― 《ネタバレ》 結構期待していたのだが・・・こりゃいかん。描きたい事はよく分かる。そのメッセージも間違っていないと思う。でも描き方が下手だ。まず尚香の潜入シーンがやたらと長いのに全く効果がない。尚香が周囲の人間と楽しそうに喋った後、気の毒そうな表情を浮かべるだけで彼女が敵に同情心みたいなものを持ちはじめたって事はすぐに分かるはずだ。わざわざ人物を作って恥ずかしい友情劇を繰り広げる必要はない。ここで10分くらい削れたんじゃないだろうか。 それから劉備の撤退に説得力が無さ過ぎてただの嫌な奴にしか見えないし、そもそもあんなに人を騙す必要もなかっただろう。 Part Iの時にもちょっと感じた事だが、曹操の描き方がよく分からない。悪役なら絶対悪として描ききってしまっても別に構わないと思う。しかしなぜ曹操が瀕死の病人をも動かす人望の持ち主という描き方をしながら、水軍指揮の事を忘れて部下を斬ったり、挙げ句の果てに小喬の美しさに目を奪われて攻撃の機会を見逃すなんていう間抜けとして描いたのだろう。これでは部下はついてこない。 ようやく始まった決戦も前半のドラマの弱さのせいでPart Iほど盛り上がれなかった。 それからジョン・ウーも意識した所もあるのだと思うが、決戦シーンではオマージュともパクリともとれそうなシーンがあった。まず上陸戦。ん?『プライベート・ライアン』?曹操の頭を矢がかすめる。あれ?『300』?そして周瑜の台詞「勝者はいない」え?『七人の侍』? しかもその台詞が映画の流れと全く合っていない。『七人の侍』は大切な仲間が死んでしまった衝撃、菊千代の語りがあるからこそあの台詞が効いてくるが、この作品は派手なシーンでひたすら武将の格好良さを見せつけてきたうえ、一応史実を基にしているため主要人物で死ぬのはオリジナルキャラの甘興一人。下っ端の兵士たちが無惨に死んでいく描写が強調されているわけでもなく、敵兵を殺しまくり完全勝利を収めて「勝者はいない」・・・。戦争反対のメッセージを入れたい気持ちは分かるが、それなら曹操軍を退けて喜ぶ連合軍・周瑜たち、一方で敵兵の死体の中を悲しげに歩く尚香をさらっと映せば済むことじゃないか。 言ってる事とやってる事がずれてしまうぐらいなら痛快な戦争アクションとしてだけ撮ればいいのに。[映画館(字幕)] 5点(2009-04-11 22:27:31)《改行有》

14.  グラン・トリノ 《ネタバレ》 クリント・イーストウッドは変わった。『許されざる者』以降複雑な映画を撮り続けてきた。完成度は高いがその作品をどう受け止めるべきなのか、正直戸惑うことがあった。『ミスティック・リバー』では人の脆さ、暗さを描き、『ミリオンダラー・ベイビー』では死についてのテーマを観客に投げかけ、自分にも問いかけているようだった。それは冷たく突き放したような、この辛い現実も受け入れるしかない、ともとれる描き方だった。しかしここに来て彼はまた変わった。『チェンジリング』で人間の強さを示し、確かな希望を見せた。そしてこの『グラン・トリノ』。彼の近年の作品に見られなかったユーモアがあり、優しさ、希望に溢れる作品になった。ウォルト・コワルスキーという偏屈なキャラ、これをイーストウッド自身が演じたことで大きな意味が加えられた。ウォルトはタオとの交流で心を開きはじめるが、タオやスーの為にした事が結果的に彼らを傷付けてしまう。ここでウォルトは報復を決意したように見える。タオもそれを願った。彼はタオを置いて単身ギャングのもとへ行く。この展開は彼の作品群にもよく見られるものだ。しかしイーストウッドは変わった。これが彼の西部劇時代ならギャングを倒して夕陽に向かって去っていったかもしれない。『許されざる者』であれば皆殺しにしてやるせない空虚感、重苦しさを抱えて映画は終わったかもしれない。しかしイーストウッドは変わったのだ。ウォルトは自分の命と引き換えにタオやスーに何も背負わせなかった。「グラン・トリノは、俺の魂はタオに受け取ってもらえた。戦争や人殺しなんてものを次の世代に背負わせはしない。そんなものは俺の代で全て終わらせる。時代は変わったんだ。俺は席を譲るよ。」ウォルトが、かつてのハリー・キャラハンが、夕陽のガンマンが、イーストウッド自身がそう言っているように思えた。彼は自分が体現してきた象徴的なキャラクターを自らの手で葬り、そして次の世代へ、未来へ自分の魂と希望を託した。時代は変わったのだから。イーストウッド、こんなことされたら僕は泣くしかないよ。『グラン・トリノ』は俳優クリント・イーストウッドの終着点にふさわしい最高傑作、いや、それ以上に最高の“イーストウッド映画”だ! 《追記》でも『グラン・トリノ』が本当に最高なのは、こんな堅苦しい言葉を笑い飛ばしそうな程の親しさ、妙な軽さなのだな、と。改めて思った。[試写会(字幕)] 10点(2009-04-07 00:23:44)(良:8票) 《改行有》

15.  フロスト×ニクソン 《ネタバレ》 『ダ・ヴィンチ・コード』で大コケしたロン・ハワードだったが、失敗を引きずりはしなかったようだ。職人の渋さ、手堅さが存分に発揮されていた。手堅過ぎて物足りない感はあるけれども。アカデミーノミネートのフランク・ランジェラは言わずもがな、対するマイケル・シーンの演技も素晴らしかった。劇中では殆ど愛想笑いだったり「やばいな・・・」という表情を浮かべながらもハッタリばかりかましているので、どちらかと言えばフロストよりも彼をサポートするプロデューサーや作家の方に感情移入していた。しかしインタビューが始まってからはフロストにグッと入り込めた。このインタビューはまさに「決闘」「ボクシング」という例えがピッタリだ。2時間で休憩が入り周囲の人間が「おい、さっきのはマズイぞ」「この調子でいって下さい」と声をかける様子はボクシングそのもの。 椅子に座って話しているだけなのにF・ランジェラがM・シーンをボッコボコにしている絵面が浮かぶ。そんな無敵のチャンピオンが酔った勢いの電話で人間性を見せる。 この電話のシーンが実はフィクションというのを聞くとちょっと残念な気もするが、エンターテインメントとしての効果は抜群。この電話でフロストはニクソンの弱さも知り、消えかけた闘志に火をつける。ここからフロストがニクソンを再調査し、インタビューに向かうシークエンスは凄く燃える。フロストの大逆転シーンも痛快でありながら、ニクソンが謝罪を始めるとF・ランジェラの表情に泣かされる。 2人の決闘も最高に面白いのだが、ロン・ハワードが本作での狙いとしたニクソンという人間に興味を持つこと、彼を一人の人間として見ること。これは今作で最も成功した点だろう。 彼について色々と知りたくなった。[映画館(字幕)] 7点(2009-04-05 00:26:31)《改行有》

16.  ウォッチメン 《ネタバレ》 映画化されるにあたり、原作は史上最高のコミック!との評判を聞いたので、読んでみたら見事にハマった。アメコミに全く触れていない僕でさえのめり込んでしまうような素晴らしい完成度だった。で、この映画版はというと、期待以上ではないけれどこれ以上は望めない、といった出来。 前評判でも散々聞いていたが、ディランの「時代は変わる」に合わせたオープニングには心底感動した。涙が出るかと思った。ヴェイトを除くキャラクター達の造形や細部にまで到る美術にも文句のつけどころがない。アクション、バイオレンスも『300』を監督したザック・スナイダーだけあって今回も良し。 しかしやはり製作費、上映時間ともに足りていないんだなぁという場面が見受けられた。原作の完成度が高過ぎて削る箇所が殆ど見当たらないせいだ。原作との最大の変更箇所であるラストのくだりもこれが原因なのだろう。僕もあの血みどろの惨状は映像で見てみたかった(こう言うと不謹慎だが)。予算があればザック・スナイダーのことだからあの惨状も怪物も見事に再現してくれただろう。ラストの変更によってヴェイトのキャラ造形も変えざるを得なかったのだと思う。あの少しダークなキャラであればキャスティングもマシュー・グードでも悪くなかったかと。 それ以外はコミックに含まれている資料などもうまいことまとめてはいたが、長年映像化不可能と言われてきたわけを実感した。 僕の場合原作を読み込んでから映画に臨んだため、人物の背景を勝手に補完しながら観ることができ、163分の長尺も全く退屈することがなかったが、その分映画単品としての評価があまり出来なかった。反省の意をこめてまっさらな状態でもう2回ほど観てみよう。このトンでもない再現度のおかげで、原作を読んでいながら原作と切り離して観れるかもわからないが。 真の評価はDVDに収録されるという3時間半のCrazy Ultimate Freaky Edition(すごいタイトルだ)で下さないといけないのかもしれない。[映画館(字幕)] 8点(2009-03-29 22:02:10)《改行有》

17.  ダウト ~あるカトリック学校で~ 《ネタバレ》 やや映画ならではの演出に欠けていたかな、とは思うものの久々にたっぷりと見応えのある演技合戦でした。メリルとホフマンの怪獣演技バトルは勿論、『魔法にかけられて』の時は年の割に老けてんなぁ・・・と失礼ながら思ってしまったエイミー・アダムスの可愛さにもちょいと驚き、1シーンのみの出演ながらヴィオラ・デイヴィスもなかなか印象深し。 この4人全員がアカデミー賞ノミネートも納得。メリルは『マンマ・ミーア!』の脳天気さは何処へやらと言うような迫力で、初登場シーンからバシバシ存在感を放つ。対するホフマンも生活感のある演技で全く引けを取らない。彼が演じる神父の説教がまたひとつひとつ非常に心に響く内容でいい。どれも良かったのですが、特に印象的だったのは2回目の「噂の正体」についての説教。あんな風に人の心を掴むような説教をされたら宗派とか関係なく神父に憧れてしまいます。 ひたすら2人の舌戦が続いた挙げ句真相は分からずじまいですが、今作の場合は全く消化不良はなし。原作の邦題が「ダウト 疑惑をめぐる寓話」とのことで映画版よりもしっくりときます。 まさに寓話という教訓的な物語。だから事件の真相も提示しない。あのシスター・アロイシスの嘘により、フリン神父が疑わしいように終わるのですが、そこは絶妙なラインを保っている。疑惑を持ちはじめると本当にキリがない。この登場人物の言う事もどこまでが真実なのか分からなくなってくる。シスターが神父に、神父がシスターに主張する事も、ミラー夫人がシスターに言った事も、全て実際に見たわけではないのだから。 そもそも疑惑とは?何を以てして確信、真実なのか?このギリギリの境を見事に保ち、疑惑に対する疑惑を深める面白い作品でした。[映画館(字幕)] 8点(2009-03-29 00:42:30)《改行有》

18.  DRAGONBALL EVOLUTION 《ネタバレ》 ネタで観にいってどれくらい大けがするか期待していたが、「どうでもいい」という思いだけが残った。 怒りも笑いも泣きも興奮も何も感じない珍しい作品だった。コスプレにしか見えない衣装、中途半端な学園ドラマにバトル、安っぽいCG、それを隠すための妙に暗い撮影。 近年稀に見るレベルの低さだ。物語の展開も信じられない程都合がいい。全ての登場人物があまりにも薄い偶然で出会い、何のドラマもなかったはずなのに恋愛に発展する。しかも行く先々で簡単にドラゴンボールが手に入る。一応火山とか色んな所(もう内容を忘れかけている)を捜索するが、あまりに早く手に入るのであちこち探したようにも、長距離移動したようにも見えない。 全部ぼんやりとした超テキトーな設定なので怒る気も起きず、「この人たち何してんのかなぁ?」とこちらも超ぼんやりとしか観られなかった。中でもテキトーなのは“気”とかめはめ波だろう。 なんとなく亀仙人を発見できちゃう“気”、灯籠に火をつけ、人を生き返らせ、前方に撃っているのに悟空自身も前方に飛んでいっちゃうかめはめ波。本当に何がしたいのか・・・。 『レッドクリフ』を蹴って今作に出演し、とんでもないバカ演技を披露してしまったチョウ・ユンファも俳優としての信用を確実に失っただろう。 これだけひどい要素を集めたられたら怒り狂うはずだが、それを全く怒る気にさせず1か月(1週間か)で完全に記憶から抹消されるような作品に仕上げたのはむしろすごいことだろう。 ホントに大部分の内容を忘れかけているので、レビューもかなり散漫としてまとまりのないものになってしまった・・・。 反省。[映画館(字幕)] 3点(2009-03-26 16:34:21)(笑:2票) (良:1票) 《改行有》

19.  誰も守ってくれない 《ネタバレ》 佐藤浩市、松田龍平は大好きな俳優さんだし今回の演技も良かった。予告編やCMでも使われていたリベラの曲なんかも大好きだ。扱っている題材も世間的にあまり注目されていないもので好感が持てた。観ている間退屈することはなかった。 でもダメだった。やはり『踊る大捜査線』組はどこへ行ってもやることが中途半端。「社会派とエンタテインメントを両立させたかった」という君塚監督の欲張りのせいで序盤から到底あり得そうにないカーチェイス。あれだけでも一つ事件になりそうだ。 そしてマスコミの執拗さ。これはこの作品全体言えることだが、本気でマスコミや、ネット社会が抱える問題について提起する気ならば良いことも悪いことも含めて、何故そのような問題が生じてしまうのかをきちんと描かなければいけないのに、君塚監督は嫌な部分だけを見せようとする。観客に嫌なものを見せて嫌だね~、なんて感想を抱かせても根本的な問題は解決しないどころか、偏見が増えてしまうんじゃないかとすら思った。 まだマスコミについては僕も知らないことが多いし、見えない所で問題が起こっているのかもしれないからあまり多くは言えた立場ではないけれど、許せないのは終盤のネットおよびネット住人の描き方。ネットの掲示板を見て野次馬が集まってきた!なんて言っていたが、加害者の妹を見るためだけにあんなに人は集まりやしない。そんな暇人ばかりじゃないよ。暇でも警察に目つけられたら嫌だからちょっかい出さないよ。そもそも志田未来の兄が起こした事件だって日本全国を揺るがすような大事件でもないのだし。 志田未来の姿をネットに流していたネット住人、オタクの描写もおかしい。眼鏡にバンダナに紙袋といういかにもオタクです!という格好で、あろうことか刑事相手に殴り込みをかけるなんて大胆な行動までとる。ネットの怖い所は匿名性で、そのおかげで誰でも何でも言える所にあるのだから、警察に面と向かって喧嘩売るような人ばかりだったらネットなんて問題にならない。 ラストは希望のようなものを提示して終わらせているが、雰囲気だけで具体的な希望は見当たらないし、マスコミとかネットとか若い世代に一番希望を感じていないのは監督なのではないか。[映画館(字幕)] 4点(2009-03-26 15:44:06)《改行有》

20.  おくりびと 《ネタバレ》 この作品の長所としてモックンを初めとする俳優陣、そして納棺の際の所作、ロケーションや撮影の美しさが挙げられる。特に納棺の儀式の息を飲みそうな緊張感、美しさには感心するばかりだが、それがこの作品の最大の短所でもある。どのシーンを取ってもきれい過ぎるのだ。一番初めの仕事でかなり日が経った遺体の処置があるが、それ以降は全く汚れも損傷もないきれいな遺体ばかりがでてくる。僕は納棺師の仕事をしたこともないし、そもそもまだ納棺師を見たことすらないので実際の現場がどのようなものかは全く分からないが、この作品の描き方はきれい過ぎる。これは監督らがそういった見たくないものを避けている、もしくは現場を知らない、という気がしてならなかった。物語の展開も引っかかる。死の間際、またその直後に関わる話なのだから、家族間の争いや汚さを垣間みてしまうようなこともあるはずなのだが、故人への悲しみや愛情しか描かれていない。感動、または泣ける展開ばかり集めて作っているから褒めやすいし、監督の真の力量も問われにくい得な作品だなぁ、と感じてしまった。 ただ、こういった短所を全てカバーしているのがモックンと山崎努の静かな演技力と序盤によく見られる温かい笑いだ。山崎努が全員食ってしまいそうな存在感を放ちながら、モックンも全く負けず、かといって力むことも無く主人公としての際立ち方がちょうどいい具合になっている。この二人の演技なら2時間ぐらい平気で見ていられる。 二人の会話も心地いい。序盤のユーモアは作品を重苦しくさせない要素としても、この作品で最も評価したい点。その分、終盤のそういった余裕が無くなってしまったかのような、感動要素だけの展開がかなり残念だった。[映画館(字幕)] 7点(2009-03-19 17:05:48)(良:1票) 《改行有》

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