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プロフィール
コメント数 2490
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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1.  眼下の敵 《ネタバレ》 『Uボート』が世に出るまで、潜水艦映画の最高傑作と目されていた作品かな。単純な戦闘ではなく、潜水艦戦の特徴である心理的な駆け引きを重視した初めての映画だと言えます。それにしてもつくづく思い知らされるのは、潜水艦戦における欧米人のしつこさとねちっこさです。実戦でも12時間以上Uボートが駆逐艦に追い回されて撃沈されたという実例もあり、熱くなり易いが冷めるのはやい日本人には到底向いているとは言い難い戦いですよ。 50年代のハリウッド戦争映画としては珍しい部類の、まったく女性が登場しない漢くさい映画です。駆逐艦ヘインズは実際に当時まだ現役だった二次大戦当時の艦を使って撮影されており、とくに爆雷投下のシーンの迫力はかなりのもので、あそこまで高く水柱が上がるものだとは知りませんでした。半面セットで撮影されたUボート艦内は実物よりも広くて妙に綺麗で実感に乏しいところが難点、後年の『Uボート』のごみごみした閉所恐怖症には耐え難い狭さと比べて見れば一目瞭然です。あと艦内に専属コックみたいなキャラがいたのもヘンで、第二次大戦のどこの国の潜水艦でもそんな人員を置く余裕はなかったと思いますよ。ラストの展開はなんか綺麗ごとの様な感じでちょっとピンと来ないのですが、やっぱこういう幕の閉め方じゃないとすっきりしませんよね。クルト・ユルゲンスは本作がこれがハリウッド映画初出演ですが、これ以降ドイツ軍人と言えばこの人、って感じの欠かせない存在になってゆきます。彼とロバート・ミッチャムはその後『史上最大の作戦』にともに出演しますけど、まあこれはシークエンスは別で絡みはなく共演とは言い難いかな。 ナチス体制に反感を持つ艦長・艦長とは友人同士のような関係の部下NO,2の存在・コチコチのナチス信奉者の若い士官・艦内でレコードをかけての大合唱・緊張に耐えられなくなった兵が一時的に錯乱する、実はこれらの要素は『Uボート』で形を多少変えてそっくり再現されているんですよ。『Uボート』は原作小説も含めて本作の影響をかなり受けていることに気づいた次第です。[CS・衛星(字幕)] 7点(2025-03-13 22:37:05)
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2.  幻の湖 《ネタバレ》 カルトでおバカな映画は数あれど、90年以上の歴史を持つ東宝映画の中でも屈指の地位にある本作は、おバカ映画として観るにはちょっとハードルが高いんですよね。世に数多あるおバカ映画は上映時間が長くてもせいぜい90分、ところが本作は2時間40分も尺がありますからねえ。自分は結果的に三回に分けて鑑賞しましたが、やっぱこれが正解、通して観たら終いには精神状態が不安定になりかねないヤバさがありました。 日本映画の歴史にその名を刻む大脚本家である橋本忍の三作目の監督作なりますが、どうしてこんなことになってしまったのか溜息が出るばかりです。そもそも本作のプロットが生まれたのは、『八甲田山』のロケ現場でブナの木に話しかけた(?)ときに一枚の絵が脳裏に浮かんだのがきっかけだったそうで、もうそこからどうかしています。『八甲田山』という一種の映画的な狂気が渦巻いていた撮影現場に身を置いたことで、すっかりその狂気に憑りつかれてしまったんじゃないでしょうか。一応シナリオは纏め上げたけどさすがに「こりゃあ、あかん…」と自信喪失して製作中止も考えたけど、プロジェクトとしての進行は止められなかったとのこと。東京と琵琶湖畔で二回も尺をとって延々と見せられるマラソン追跡劇は有名だけど、普通は端折るだろうというような車の移動に尺を使ったり随所に冗長極まりない描写が多くて、橋本忍の監督としての力量にも疑問符がつきます。ヒロインの南條玲子も1,600人のオーディションを勝ち抜いてデビューとなっていますが、あまりに素人じみた演技で驚きます。まあ現役女子大生がヌードも披露のソープ嬢役でデビューというのもちょっと可哀そうですけどね。宇佐美彰朗にマラソン指導させたのはいいけど、もっと演技指導に力を入れてください(笑)。とにかくこのヒロインがどう考えてもメンヘラ女としか見えないのが致命的です。 この映画のキャラたちは薄っぺらくて行動にリアリティが無さすぎるところは致命的。雄琴でソープ嬢をしている米国の情報機関員(?)の女なんかが登場しているのがその代表格。でも唐突に始まる戦国時代編には、北大路欣也や関根恵子をはじめ大物俳優がキャスティングされているし、現代編と比べてしっかり演出されてはいます。芥川也寸志のサウンドトラックも無駄に格調高いんですが、彼はこの映画がこんな珍作になるとは予想してなかったんじゃないかな。 やっぱいちばんズッコケるのは、ヒロインが愛犬の仇を琵琶湖大橋上に追いつき「シロ、勝ったよ~」と歓喜してからの敵討ち、たぶん予備知識なしで映画館で鑑賞していたら自分は発狂していたと思います。そのあとの科学考証でたらめな宇宙遊泳のシーンなんて、このバカバカしさと比べたら可愛いもんですよ。[CS・衛星(邦画)] 1点(2025-03-10 21:47:47)
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3.  ジュマンジ 《ネタバレ》 いやあ、うっかりしてました。20年ぶりぐらいに観直したけど、『アマデウス』のサリエリに激似の父ちゃんと狂人ハンターのヴァン・べルトが同じ俳優が演じていたとは!何でもヴァン・べルトは違う俳優が演じるはずだったのがぽしゃったのでジョナサン・ハイドに話が回ってきたとのこと。彼は「二役はしんどい」と断っていたが、よく脚本を読むと父ちゃんは出番が少ないちょい役みたいなので引き受けたそうです。倍になったかは知らんがギャラは確実に増えただろうから良かったね(笑)。米国の有名な批評家が「子供が観るには怖すぎる映画だ」と評したそうですが、いやー判ってませんね、このストーリーは大人に向けたファンタジーなんですよ。ラストで遂にゲームを上がらせて「ジュマンジ!」と叫ぶと、二人でゲームを始めた26年前の少年時代に戻っていて運命を変えたしくじりを修正してゆき、最後にはジュディとピーターの姉弟と再びめぐり合って事故死するはずだった両親を救う。これは誰もが一度は経験する「あの時にああしていればこんな境遇にならなかったのに…」という後悔を癒す大人のファンタジーなんです。そしてアランを抑圧する父性の象徴であるヴァン・ベルトに打ち勝ち父と和解するところも、教訓地味てはいるけど良い結末だと思います。そういう意味ではこの映画は『バック・トゥー・ザ・フューチャーPART2』や『ワンス・アポン・イン・ハリウッド』と共通している部分があると言えます。まあとは言え、まるでジェットコースターのようにゲームから飛び出してくる災難には、CG黎明期なので動きとかには今の眼で見るときついところがあるにせよ、十分に愉しませてくれると思います。ジュディを演じたキルスティン・ダンストはまだ13歳、“オーディション全勝伝説”の真っ最中だった頃でやっぱ輝いていますね。彼女はやはり10代が全盛期だったんじゃないかな、これは子役出身俳優に付き物のアルアルですけどね。[CS・衛星(字幕)] 8点(2025-03-07 22:45:09)

4.  俺たちの血が許さない 《ネタバレ》 対立組織に襲撃されて絶命した昔気質のヤクザ組長には二人の幼い息子がいた。成長して社会人となった二人は、兄はきちんとしたスーツ姿の勤め人風で、別居しているが年老いた母親に毎月けっこうな金額を渡している。広告会社に務める弟は自由奔放で無鉄砲、同居している母親には心配ばかりかけているがサラリーマン生活には物足りなさを感じている。18年前父親を襲撃した男が刑期を終えて謝罪に親子のもとを訪れてから、この兄弟の運命の歯車は狂いだしてゆく… 監督が鈴木清純ですから、お約束のヘンテコなカットや映像は当然のごとく散りばめられていますが、ストーリー自体は割とまともな現代的な任侠ものといった感じで『殺しの烙印』のような訳の分からなさは無かったといって良いでしょう。対照的な性格の兄弟は兄が小林旭、弟が高橋英樹という組み合わせです。この映画でもやっぱ小林旭のカッコよさと渋さは際立っています。キャラ設定は苦学してなんと東大を卒業したのになぜか暴力団傘下のナイトクラブの支配人、毎月お手当を渡して貰っている母親は彼が組織の準構成員みたいな存在なのは知りません。こんなキャラ設定には不自然さはありますが、まあ良しとしましょう。組織のトップは小沢栄太郎でいかにも悪そうで、監視役として付けられた秘書の松原智恵子は旭と恋人関係になっています。この松原智恵子が暗い影を持った女なんですが、その色っぽさと言ったらなかなかのものでした。弟の彼女は勝気な同僚のカメラ・ウーマン、この兄弟カップルは対照的になっているのがこのストーリーの特徴です。高橋英樹も旭には貫禄負けはしてますが、その元気いっぱいのはっちゃけぶりは観ていて愉しいです。「息子らにはヤクザの道に入らせるな」という父の遺言を破って弟は組を再建しようとするのですが、途中からその話は有耶無耶になって消えてしまうのが、ちょっとなんだかなあと思ってしまいました。このころの鈴木清純作品にはカラーとモノクロが混在していますが、カラー作品の色遣いの鮮やかさは作品の内容は別にしてもハッとさせるものがあります。[CS・衛星(邦画)] 5点(2025-03-04 22:58:12)

5.  東京の女 《ネタバレ》 サイレント時代の小津安二郎の小品、実は撮影スケジュールに穴が開いたのでやっつけ仕事でわずか9日間で撮り上げたという代物、とは言えその完成度の高さはさすが小津と言えます。岡田嘉子のたった二本しかない小津作品での主演作ですが、貫禄さえ感じる名演技は、今や彼女の出演映画を観るのが困難になっていることを考えると貴重です。この映画には、小品ながらいろいろと謎というか仕掛けが散りばめられているところが、興味深いと思います。エルンスト・シュワルツという人の『二十六時間』という小説だか芝居が原作となっていますが、このシュワルツなる人物は小津の別名、彼にはジェームズ槙なるペンネームもあるけどエルンスト・シュワルツというのは本作だけみたいです。もっともこの名前は脚本家としてのペンネームとは違うけどね、なんとも洒落た人だったみたいですね。謎となるのはやはり劇中でも耳打ちされるだけで観客には判らない姉=岡田嘉子のもう一つの秘密、考えればサイレント映画なので普通の会話芝居でも字幕にしなければいいだけなのにね。でもこの演出によって彼女が夜職よりもずっとヤバいことに関係していることが強調される良く考えられた演出です。やはりこれは昭和初期という時代を考えると共産党などの思想関係の活動だと解釈するのが妥当でしょう、小津が意識していたかは不明ですが岡田がその後にソ連に亡命したことを考えるとなんか意味深です。いくら戦前と言ってもOLが会社に内緒で夜職をしているぐらいで警察がわざわざ職場に調査に来るわけがない、やっぱ治安維持法がらみだと見たほうが自然です。この映画での田中絹代の行動はもうアホとしか言いようがない、まあいくら知り合いだったとはいっても警官の兄が妹の田中に捜査情報を漏らすというのも言語道断ですがね。田中絹代の軽率な行いが弟=江川宇礼雄を自殺に追い込んでしまった訳で、ラストでは岡田と田中の間で修羅場が繰り広げられるのかと思ったら、涙を流しながらも「このくらいのことで死ぬなんて、良ちゃんの弱虫…」という岡田のセリフにはなんか主義者の覚悟が見えたような気がしました。 ところで私にとってこの映画の最大の謎は、なんでこのストーリーが『東京の女』というタイトルになったのかということです(笑)。[CS・衛星(邦画)] 7点(2025-03-01 22:44:53)

6.  吶喊 《ネタバレ》 岡本喜八が東宝を離れてATGで撮った知る人ぞ知る異色作、彼は明治維新を評価しないことが知られているが、その明治維新の欺瞞性を官軍側視点で撮った『赤毛』の反歌のように戊辰戦争を賊軍のストーリーとして語っているとも言えます。 百姓の仙太と官軍と賊軍の狭間を行ったり来たりしている万次郎のコンビネーションがもう可笑しくてしょうがないです。巨根を持て余しヤルことしか頭のない仙太、ATGらしく東宝じゃ考えられない下ネタが散りばめられているのも愉しいところかな。ところがそんなおふざけだけじゃ無く、戊辰戦争で起こった史実も巧みに取り入れているストーリーテリングがまた巧みです。世良修蔵の阿武隈川岸での斬首、そして山川大蔵の彼岸獅子の行列に扮しての鶴ヶ城入場など、この入場は嘘みたいなほんとの話です。後半は細谷十太夫=高橋悦史の博徒を組織化したからす組の活躍がメインになりますが、この高橋悦史が実にカッコイイんです。土方歳三=仲代達矢もカッコイイんだけど、冒頭だけのカメオ出演だったのは残念。本作は仙太や万次郎と女郎やからす組隊員たち以外はみな実在の人物みたいです。官軍の残虐行為だけじゃなく、賊軍=仙台藩のだらしなさぶりもきっちりと描いていて、一種の革命だったとは言え戦争の非人道性・虚しさは訴えるものがありました。[CS・衛星(邦画)] 8点(2025-02-28 22:01:09)

7.  ランボー 《ネタバレ》 シルベスター・スタローンと言えばロッキーかランボーかというぐらいランボーのキャラ・イメージが強いけど、第一作がスタローンが主役に決まるまでのゴタゴタは色々あったみたいです。ランボー役候補だった男優は、イーストウッドに始まりジェームズ・ガーナー、アル・パチーノに加えてなんとダスティン・ホフマンまで、彼らすべてに断られた挙句にスティーヴ・マックイーンには受けてもらえそうだったけど、彼の死によっておじゃんに。おまけにトラウトマン大佐役もカーク・ダグラスにオファーするけどこれも失敗。当時ヒット作に恵まれてなかったスタローンに決まったのは、プランBどころかプランFぐらいだったみたいです(笑)。たしかにこの第一作はその後のランボー・シリーズと大違いで、けっこうカタルシスには遠い暗いストーリーなので、ドル箱スターたちに断れまくったのは納得できます。 たしかに言えるのは、このベトナム帰還兵のジョン・ランボーという男は、PTSDだかなんだか知らいないけど何が目的で暴れたのかは理解不能です。もっともランボーが保安官に眼をつけられて逮捕されるのもまったく理解できない、米国の田舎では地元民じゃない人間というだけでしょっぴけるというのも衝撃。ストーリーはここからノンストップで進行してゆくので息もつけないけど、考えて観ればおそろしく単純なお話ですよね。終盤ではガソリン・スタンドごと町の中心部を吹っ飛ばすし、いくら元グリーン・ベレー隊員と言ってもあれだけの武装警官に囲まれれば射殺されちゃうでしょ。でも80年代スタローンのアイコンとなったM60機関銃を腰だめで撃ちまくる姿を見せられれば、こいつなら一個師団相手でも生きのびそうな迫力に圧倒されます。またこの映画は、主要キャラには男性しかいない男臭いお話でもあります。原作小説ではランボーはトラウトマン大佐に射殺されて終わるそうですが、完全にPTSD発症で廃人のようになって連行される本作のラストも、なんだかなあと言う感想になっちゃいます。 米国では興業的には失敗作となりましたが、スタローンが乗っ取ったような形で続編が撮られてヒット・シリーズになるとはこの時点では誰も予想しなかったでしょうね。でも自分はアメリカン・ジャスティスの権化と化した不死身のランボーよりも、孤独に苦しむ本作のランボーの方が好きです。[CS・衛星(字幕)] 6点(2025-02-25 22:57:40)

8.  姿三四郎(1943) 《ネタバレ》 黒澤明の監督デビュー作であるが、戦時中の製作で検閲で17分も勝手に切られるし戦後はGHQに“反民主主義的”とされて上映禁止にされるわ、色々と面倒に巻き込まれてしまった作品です。こんなに武士道的な価値観をメインにした映画がなんで検閲に引っかかるかと不思議だったが、戦時中のフィルム不足や電力節約で尺を80分以内に納めなければいけなかったらしいです。でも同じ藤田進が主演した44年の『加藤隼戦闘隊』や『雷撃隊出動』は前者は90分以上、後者に至っては110分も尺があります。これは陸海軍協力の戦意高揚映画だから特例扱いなのかもしれないが、官尊民卑もいいとこです。占領時代はチャンバラ映画や時代劇がすべて製作禁止されていたそうなので、GHQは武道ものだからという理由で深く考えずに禁止したんじゃないかな。 小中学校時代に柔道を嗜んだ小生としては、この映画の柔道や柔術は単なる格闘技にしか見えなかったですね。まあまだ柔術が加納治五郎によって柔道に整備される前の頃のお話しなので、〝一本!”や〝技あり”で勝負が決まるわけでもなく、下手したら相手が死ぬまで組み合っているのでこりゃブレイキング・ダウンよりおっかないですよ。藤田進の三四郎は体の動きが固すぎてちっとも強そうじゃないし、因縁の相手である月形龍之介=檜垣源之助もただ一人いつもマントまで羽織った洋装でとても強い柔術家には見えないんですよ。流派の雌雄を決する試合の相手も志村喬なんで、そりゃあ藤田進が勝つよなって感じです(笑)。でもストーリーテリング自体はさすが黒澤明って感じで、ラストの野原での決闘もその激しい雲の動きを巧みに織り込んだ撮影は見事です。 字幕で説明される欠落部は三四郎が特訓によって真の柔道を体得するシークエンスだったみたいで、これが観れないとなるとこの映画の正当な評価を下すのはちょっと難しいかも。でもいくら戦時中の映画とは言え、まるでサイレント時代の映画みたいな状態のフィルムは、何とかならなかったんでしょうかね?[CS・衛星(邦画)] 6点(2025-02-22 23:24:21)

9.  バラキ 《ネタバレ》 『ゴッドファーザー』の様なエモさの欠片もない、いわばアメリカ版実録マフィア映画の始祖とも言うべき存在かな。ジョセフ・バラキという米上院公聴会で初めてマフィア=コーザノストラの存在を証言した人物の映画化という訳ですが、はっきり言ってこの人マフィア歴は長いけど所詮下っ端に過ぎず、全米マフィア組織の上層部の様なことを知っていたわけじゃない。だけどこの証言によって闇に包まれていたマフィアの存在が周知となったという意義があったと言われています。 ストーリーは、刑務所でジェノヴェーゼ=リノ・ヴァンチェラに命を狙われるようになったバラキ=チャールズ・ブロンソンが、FBI捜査官に自分のマフィア歴を語るという構成で、大部分のパートがバラキの回想シーンとなります。これによってNYマフィアの歴史を判り易く伝えようとしますが、如何せんそんなに派手なアクションやドラマがあるわけじゃなくて平板というか退屈な展開となりました。同じマフィア構成員の告白をもとにした『グッドフェローズ』と比べれば、映画としての出来の違いが実感されます。あと、マフィア構成員だけじゃなく登場キャラがみなアメリカ人っぽくないと思ったら、実際にマフィアの妨害があってい大部分がイタリア人俳優を使ってローマで撮影されたそうです。まあ実際のところ、ジェノベーゼとバラキが獄死してようやく映画化出来たってくらいですからね。出番はブロンソンより遥かに少なかったけど、リノ・ヴァンチェラの存在感は圧倒的でした。この人はもう顔からしてマフィア顔ですから、怖いぐらいです。でも実際のジェノベーゼは大戦中にイタリアで逮捕されて強制送還されているのに、この映画では戦後麻薬ルートを確立させて悠々自適で帰国したようになっているのはどうしたことかな。まだ色々と忖度しないといけないことが多々あったのかもしれません。洋の東西を問わず、実録犯罪もの映画は難しいところがありますね。[CS・衛星(字幕)] 6点(2025-02-19 22:52:48)

10.  サタデー・ナイト・フィーバー 《ネタバレ》 ご存じジョン・トラボルタの出世作にしてディスコ映画の金字塔です。自分はもちろん70年代のディスコ界隈なんて経験していませんが、こうやって観直してみると当時のディスコダンスは本場のNYでも現在のクラブ・シーンとは大違いでかなり社交ダンス的な感じだったんですね。イタリア系の無学な塗料店員を演じるトラボルタと家族そして彼の仲間たちも、能天気なディスコ映画の予想を裏切るほどしっかりとキャラ付けされています。思ったよりトラボルタのダンス・シーンが少なかったのですが、さすがに彼が踊りだすと場の雰囲気がガラッと変わってしまうのが強烈な印象です。その半面、やはり相方ステファニー役のダンスは見劣りがして、劇中で名手トニーが惚れこむような才能があるようには見えません。この女優はヒロインとしてはやけに老けてるよなと思ったらなんと撮影時34歳!二十歳という設定のトニーの相手役としては違和感ありありでした。ほんとなんでこの人がキャスティングされたのかは訝しむところで、やはりジェニファー・ビールスぐらいのスキルがないとねえ。あとこのステファニーが劇中でやたらとトニーにマウントとるのが不快で、最後まで単に性格悪い女としか思えなかったです。まあトニーもダンス以外はガキ丸出しって感じでしたがね、と言ってもラストでは多少は成長の成長の兆しが見えたので良しとしますか。でもそうなるとトニーがソデにした女アネットがとてもいじらしくて可哀そうになってきます。トニーたちが橋の欄干から落ちたふりをしてドッキリをアネットに仕掛けるところは、彼女が口をあんぐり開けてちょっと見たことないような迫真のリアクションを見せるので「凄い演技だ」と感心したのですが、なんとアネット役にはその展開を知らせずに撮影してまさに本当のドッキリだったそうです、そりゃあんな表情になるわな(笑)。この映画で感情移入出来たのはアネットと神父を辞めたトニーの兄フランク、そしてトニーの勤め先のオーナーぐらいだった気がします。 能天気なミュージカルっぽい映画と思ってみたら肩透かしを喰うでしょうが、意外と底辺に近い存在の若者の苦悩が伝わるストーリーだったのは確かです。[CS・衛星(字幕)] 7点(2025-02-16 22:48:33)

11.  キュア ~禁断の隔離病棟~ 《ネタバレ》 スイスの古城にある謎のオカルトチックな診療所、この診療所内の雰囲気からしてあの怪作『ケロッグ博士』をミステリー・ホラーに仕立てたような感じです。老人ばかりの入所者たちの成れの果てを観ると、これまた『コーマ』を思い起こさせてくれます。この診療所のウリはやたらと飲ませられる水とウナギで、とくに前半はテンポが良く謎が深められるような伏線が張りまくられていて期待が高まります。山頂に建つ古城から見渡せる山並みが綺麗で眼を見張りますが、実はこの山々はCGなんだそうで知ってしまってちょっとがっかりでした。この映画は凝った映像が多くて、監督の拘りが感じられます。主演のデイン・デハーンの顔相がストーリーが進むに連れて病的さが増してゆくのも印象的、彼が意にそまぬ奇怪な治療を受けるところは、もう拷問ホラーです。さすがにあの歯に穴を開けられるところは、神経が逆なでされて眼をそむけてしまいました。画的には色々と見どころがあるんだけど、詰め込み過ぎて長尺になってしまったストーリーには首をかしげたくなる部分が多々あります。ロックハートが水槽やトイレで見たウナギ群は彼が見た幻視だとは理解できますが、これが有機的にストーリーに結びついているかと言うと首を傾げざるを得ないです。彼の父親の眼前での自殺というトラウマも伏線なのかと思いきや、けっきょくストーリーにはなんも絡まず、ムダだったとしか言えないですね。まあ中盤あたりでヴォルマー所長やハンナの正体には気づくでしょうが、最期がゾンビ映画みたいになっちゃったのは白けました。やっぱ『シャッターアイランド』みたいな幕の閉め方の方が自分は好みです。あとこんなの見せられたらウナギがしばらく喰えなくなっちゃうよ、最も最近はあまりに値が張るので滅多に喰えないですけどね(笑)。[CS・衛星(字幕)] 6点(2025-02-13 21:35:15)

12.  暗殺のオペラ 《ネタバレ》 ベルナルド・ベルトルッチが撮った映画だから政治色が強めなのかと思ったけど、最初はミステリー仕立てで進行して行き、終わってみれば不条理系ホラーでした。 ムッソリーニ政権時代に反ファシズム闘士だった父が暗殺されてから30有余年、父の愛人だったドライファから呼ばれて終焉の地だった小村タラにやってきた父と同名の息子アトス。彼の容姿は亡き父と瓜二つだったので村人たちは驚きます。ドライファから父暗殺の真相を解明させるために呼び出したと聞かされたアトスだけど、なんか不穏な雰囲気を感じてすぐに帰ろうとするが、知らぬ間に村に腰を据えて真実を探ることとなってしまう。 まずこの映画の摩訶不思議なところは、ジュリオ・ブロージが父と息子の二役をこなすのですが30年前の父が現代のタラに現れるところで、かつての反ファシズム活動の同士やドライファまでもが現代の加齢した姿のまま逆に30年前の出来事に登場するところで、そう、どこまでが現代でどこからが過去の出来事なのかが判別しにくくなり、観る者の頭を混乱させます。こういう演者をシンクロさせる演出は凝ってますけど、本作を難解なものにしているのも確かでしょう。広場には父アトスを顕彰する胸像があるのですが、なぜか中盤以降にはその眼だけが白く塗りつぶされているのが不気味です。この白眼の胸像はこの映画のポスターにも使われていて、本作のキービジュアルになっていますね。 前半は訳が判りにくい上にはっきりいって退屈ですが、中盤から父アトスの暗殺の真相が明らかになりだすと俄然眠気も吹っ飛んでゆきます。そしてある意味で驚愕のラスト、息子アトスが迷い込んだタラは実は異界だったのか!もう完全にホラーですよこれは。まさかベルトルッチの映画でこんなサプライズが味わえるとは、意外でした。[CS・衛星(字幕)] 7点(2025-02-10 22:27:11)

13.  地下水道 《ネタバレ》 タイトルバックの市街破壊映像からすごい迫力、戦後12年しか経っていない頃だからこういう撮影も出来たのかな。蜂起鎮圧の後にヒトラーの命令でワルシャワは徹底的に破壊されてしまったので、こういう爆破できる廃墟がまだ残っていたんでしょうね。市街のシーンはロケ撮影だが、瓦礫の山と化したような道路や地面にはまるで雪が降り積もったように白いものが目につきます。この白いものが一面に散らばる光景は前にどこかで観た気がするなと考えたら、それは9.11でワールド・トレード・センターが崩壊した時の映像に映っていたものでした。そう、それはビルの破壊で飛び散った大量の紙類だったんですよ。その視点から観ると、市街において建造物が破壊されるとどういう状態になるかをリアルに描いていたわけです。 前半は70人が40人にまで減ったレジスタンス部隊がビルの廃墟に陣取って戦闘を繰り広げます。女性を交えた部隊の中の8人に焦点をあてたストーリーテリングですが、確かにそれぞれのキャラの掘り下げ方はちょっと浅かった感は否めません。けっきょくドイツ軍は攻めきれずに包囲に移行するわけですが、ドイツ軍が有線操縦爆薬であるゴリアテを使うところが面白い。まあ実物ではなく明らかにレプリカでしたが、爆発する前にケーブルを切断されて役立たずにされしまいます。部隊の中に音楽家が一人紛れ込んでいるのですが、演じているのがヴラデク・シェイバル、60年代以降に『ロシアより愛をこめて』やハリウッド映画に出演している爬虫類顔が印象的な俳優です。彼は初めから西側の人でなく、共産主義体制のポーランドから逃げてきたんだと初めて知りました。このキャラは『戦場のピアニスト』のシュピルマンを彷彿させるところがあります、きっと彼がモデルなんでしょうね。 けっきょく司令部の命令で部隊は拠点を捨てて市街中央に移動することになりますが、そのルートは地下水道、というか下水道を通って行くしか方法がない。地下水道を通らなければいけないと知った時の隊員たちの絶望の表情は、その後の悲惨な運命を予告しているかのようでした。その地下水道内のシークエンスは数ある戦争映画の中でも屈指の悲惨さで、とくにやっと川への放水口にたどり着いたと思ったら、頑丈な鉄格子に阻まれて外に出れない絶望感にはクラクラします。ラスト、部下を連れて来れなかった隊長がせっかく脱出できたのにまた地下水道に戻ってゆくところは、虚無感と絶望が混じった名シーンだったと思います。[CS・衛星(字幕)] 7点(2025-02-07 23:14:54)

14.  ウォール街 《ネタバレ》 今やウォール街ヤリ手投資家のアイコンともいえるゴードン・ゲッコー、彼は別に証券マンじゃないけどこの映画が公開されてからこのマイケル・ダグラスのスタイルや話し方をまねる証券マンや投資銀行家が、未だにウォ―ル街では絶えないそうです。彼にとっても唯一オスカーノミネートを果たして主演男優賞をゲットした当たり役、他の映画でビジネスマンを演じるとどうしてもゴードン・ゲッコーの影を見てしまうという困った影響すらあります。ゲッコーの「強欲はGood、社会を発展させる源で正義である」という哲学は、あまたいる大物投資家たちの決して口にはできない本音、ウォーレン・バフェットだって心の中ではそう思っているはず。 オリヴァー・ストーンの父はウォール街の仲買人だったそうで、ハル・ホルブルックが演じたキャラには父親が投影されているみたいです。きっと株屋の息子だったストーンにはどうしても撮りたい題材だったんじゃないかと思います。ブラックマンデー直前のウォール街の証券会社の雰囲気は、今となってはレトロとしか見えないPCの画面や証券マンたちの営業活動など業界に身を置いた人には懐かしくなるでしょう。ゲッコーとバドがやったことはインサイダー取引と相場操縦、そりゃあSECに眼をつけられるのは当然至極でしょう。バブルに浮かれまくっていた日本ではインサイダー情報を使って稼ぐのが会社から評価されるできる証券マンで、「インサイダー取引ってなに?それって美味しいの?」ぐらいの意識しかなかったのが今から考えると恐ろしい。チャーリーとマーチンのシーン親子の共演は泣かせるところだけど、この親子のストーリーはちょっと類型的な感じは否めなかったかな。まあとにかくこの映画はマイケル・ダグラスの一世一代の名演がすべてだったと思います。 意外なことに本作はアカデミー賞およびゴールデン・グローブ賞においてマイケル・ダグラスの主演男優賞しかノミネートがないんです。もちろん彼は両賞ともゲットしましたが、面白いことにゴールデン・ラズベリー賞の最低助演女優賞でダリル・ハンナが受賞しているんです。実は同一作品で両賞ともに受賞した部門が出たのは、この映画だけなんですって。[CS・衛星(字幕)] 8点(2025-02-04 23:06:38)

15.  ガメラ対大悪獣ギロン 《ネタバレ》 いきなり予算が三分の一に減らされて「これが最後のガメラ映画だ」と思ってた『ガメラ対宇宙怪獣バイラス』が予想を上回るヒットを記録、同じ予算でもう一本撮れと命じられて監督の湯浅憲明はその予想できるきつさに泣いたそうです。このころはすでに大映倒産が秒読み段階だったんですが、この後にも最後っ屁のように二作も昭和ガメラは続いたのでした。 もうここまで来ると、怪獣特撮というよりも完全に児童向け映画と化してしまった感があります。脚本も投げやりというか、「もう、どうにでもなれ!」という開き直りさえ感じてきます。敵役怪獣ギロンはそれまで実在の生物から造形してきたモチーフを捨てて、観ての通りの出刃包丁の擬人化ならぬ怪獣化という驚きのプロット、これは70年代以降のTV特撮番組でのモンスター造形に多大な影響を与えたんじゃないかと個人的には思っています。ゲスト出演した宇宙ギャオスをバラバラにして首チョンパ、まあ名前からしてギロチンが由来ですからね(笑)。いちおう設定は太陽を挿んで地球の反対側にある第十惑星としていますが、地球から少年たちがたどり着くまでの展開は、まさに子供だましでなぜか宇宙空間にガメラがいて宇宙空間を火を噴きながらついてくるのがわけわからない。第十惑星の宇宙人基地のセットは、さすがにあの酷かったバイラス星人の宇宙船よりはマシだったけど、少年たちが歩き回るとベニヤ板製(たぶん)の床がペコペコと軋むのがなんか情けなくなります。登場する宇宙人は地球でいうところの女性ペア、でも人間の脳みそを喰いたがるトンデモ無さです。あわれ少年の一人は開頭するためにバリカンで丸坊主、これは子役に対する虐待と捉えられて現代ではSNSで炎上するかも(笑)。 メキシコオリンピックの後だったからかガメラが鉄棒競技で大回転してウルトラCをキメるし、大村崑は「嬉しいと眼鏡が落ちるんです」というお得意のギャグを披露、まあこれが当時の観客にウケたのかは不明ですけどね。でもギロンに輪切りされた宇宙船をガメラが吐く息(?)で溶接してくっつけちゃったのにはもう唖然、ガメラの口からはアセチレンガスが出てくるのかよ![CS・衛星(邦画)] 3点(2025-02-01 22:23:10)

16.  トレーニング デイ 《ネタバレ》 まさに“トレーニングデイ”ならぬ“アロンゾ・ハリス刑事の最悪の一日”、これが午前5時から真夜中までのわずか19時間の出来事とは信じられないような濃密なストーリーですね。今までゲップが出るほど見せられてきたロス市警の悪徳警官ムービーだけど、さすがデンゼル・ワシントンが演じるとなると一味違った出来になります。彼は本作でオスカー受賞したけれど、正義のヒーローも悪辣な犯罪者も堂々と演じきれるところがこの人の凄味なんですね。いちおうバディ・ムービーのような形式ですが、相方が“ヘタレのプリンス”と呼ぶに相応しいイーサン・ホークなのもいいですねえ。普通のバディ・ムービーならばタイプが正反対な二人が段々と理解しあってゆき悪と闘うという展開なのですが、それをまるっきり逆手にとったようなストーリーテリングが秀逸です。まして主役がデンゼル・ワシントンなんですから、ところどころに挿まれる先輩としての教訓じみた説教があるので、予備知識ゼロで観始めたらきっと騙されるというか衝撃を受けるでしょう。冒頭のワシントンとホークの初対面からしてガツンときますが、この映画はアクションよりも登場人物同士のやり取りの緊張感が強烈です。とくにイーサン・ホークがギャングの家に置き去りにされてポーカーをやらされるところからの緊迫感は、もう半端ないです。これは有名な『グッドフェローズ』でのジョー・ペシがまき散らす緊張感と肩を並べるんじゃないかな。まあいくら悪徳刑事とはいえど警察署にまったく立ち寄らないのはなんか不思議な感じもしますが、デンゼル・ワシントンが演じたキャラは90年代に逮捕された実在のロス市警の警官をモデルにして演技したそうで、ほんとに米国の警察組織はどうかしてます。[CS・衛星(字幕)] 9点(2025-01-31 21:24:15)

17.  パブリック・アクセス 《ネタバレ》 『ユージュアル・サスペクツ』の、というよりか最近はすっかりアメコミ映画界隈に取り込まれてしまった感のあるブライアン・シンガーのデビュー作です。まだ映画監督としての粗削りな面が目立つのは否めませんが、さすがに映像面にはセンスを感じさせるところがあります。私は米国が舞台の映画で最恐のジャンルはいわゆる〝スモールタウンもの”だと思っていますが、本作もそのジンクスに違わぬストーリーでした。まずどこからともなくブリュースターというスモールタウンに現れた男ワイリー・プリッチャー、劇中では素性や前歴もまったくスルーしているので、なんか不気味です。きちんとスーツを着こなし眼鏡をかけた知的な姿で地元のケーブルTVの放送枠を買って町民からの電話を待つラジオのDJみたいな番組を始めるが、現代では個人系ユーチューバーといった感じかな。実はこいつは魔界から来たサタンで人間たちに不和の心を植え付けて町を乗っ取ろうとする、なんかスティーヴン・キングの小説にあったようなお話しなのかと思いきや、言ってることには過激さはほとんどなく、なんかテレフォン人生相談でもやってる様な感じです。そのくせ野心家の町長の肩は持つし、町長の悪事を暴こうとした男を見つけてからは連続殺人を犯す。しょうじきここら辺の展開はさっぱり理解不能でした。このワイリーなる男を演じた白人なのか黒人なのか微妙なルックスのロン・マークエットという俳優、調べるとなんとこの映画出演の翌年に30歳そこそこの若さで自殺しているんですよ。それを知ってしまうとこの映画の不穏な雰囲気が、なんか納得できる気がしました。[ビデオ(字幕)] 5点(2025-01-28 23:18:52)

18.  ギャラクシー・クエスト 《ネタバレ》 すみません、わたくし長い間ロジャー・コーマンの『ギャラクシー・オブ・テラー/恐怖の惑星』とこの映画を混同していました(笑)。そうは言ってもてっきりB級映画だろうと思っていましたが、観てみるとこれが実に面白かった。そもそもシガニー・ウィーバーとアラン・リックマンが出演してるのにB級のはずがないですよね。しょうじきTV版『スター・トレック』は観たことないし知識もないので作中でシリーズ・エピソードを小ネタにしたパロディがどこにあるのかは全然判りませんでしたが、そんな門外漢でも問題なく愉しめます。特撮もさすがドリームワークスが関わるだけあってムダ(失礼!)に豪華で、プロテクター号は元ネタエンタープライズ号よりはるかにカッコいいと思いますよ。宇宙空間で火や煙があがるのは定番の突っ込みどころですけど、これは敢えてB級色を出すための演出なんでしょうね。やっぱ一番受けるのはトカゲ頭のアラン・リックマンで、英国名優の彼のボヤキは自虐ネタかと思うぐらいです。そして眼が釘付けになるのがシガニー・ウィーバーの衣装!彼女があれほど巨乳で金髪が似合うとは予想外でした。『スター・トレック』以外にも色んな映画をパロッた小ネタが散りばめられているのも愉しいところです。トレッキーなどのSFオタクへの愛が感じられるのも良かったですね。これは確かに観て損がない一編です。[CS・衛星(字幕)] 8点(2025-01-25 23:08:39)

19.  ディープ・インパクト(1998) 《ネタバレ》 製作された98年は本作の他にご存じ『アルマゲドン』も公開された、言うなれば彗星衝突の当たり年だった訳です。ジェリー・ブラッカイマー節が炸裂の『アルマゲドン』と違ってこっちは女性監督、ストーリー自体も真面目というか群像劇っぽく撮っているのが特徴でもあります。もともとは51年の『地球最後の日』のリメイク企画があり、そこにアーサー・C・クラークの彗星衝突がテーマの『神の鉄槌』を映画化しようとしていたスピルバーグが乗っかったみたいな感じ、でも出来上がりは『地球最後の日』的な要素が強くなってアーサー・C・クラーク風味はほとんどないそうです。 シリアスに撮っているから目立たないけど、本作も『アルマゲドン』に負けず劣らずの突っ込みどころがあります。彗星発見からわずか一年であんな凄い宇宙船を秘密裏に準備できるとは大したもんで、さらに彗星衝突までの一年で100万人を収容できる地下都市が建設出来たなんて、さすが偉大なるアメリカ合衆国です(苦笑)。なるほど、『地球最後の日』の地球脱出ロケットをあの地下都市に置き換えたって訳ですが、ロケットに乗れた40人を100万人に拡大しただけで、つがいの動植物を運び込んだりしてまたもやノアの箱舟の再現でした。彗星は一回目の核爆発で大小に分かれて、けっきょく先に小の方が大西洋沖合に落下します。そして大津波が北米大陸を襲う訳ですけど、白亜紀の恐竜絶滅につながったディープインパクトのシミュレーションと比較すると、溶けた岩石などの爆発がもたらす熱の描写が皆無なのはどうなんでしょう。まあその答えは、この脚本は彗星衝突がもたらす災厄をノアの箱舟の大洪水の暗喩としているんですよ。『地球最後の日』ほど酷くないけど、この映画も宗教色が強めの感があります。あと80万人はくじ引きで選ぶと言っても、この必要な人間と不必要な人間を選別するという一神教的な発想が、確かにそれは理屈としては正しいとしても自分にはとても不快に感じてしまいます。こういうハリウッドのディザスター映画ではまるで米国だけが地球の文明みたいな感じになり、あとの世界がどうなろうと知ったこっちゃない、USAだけが存続するなら地球は救われたという発想も透けていますよ。全世界が平等に滅びるという結末のハリウッドのディザスター映画は、『エンド・オブ・ザ・ワールド(2012)』しか観たことがないですよ。 オスカー受賞俳優が四人も出演というキャストはけっこう豪華ですが、やはり印象深いのはモーガン・フリーマンの大統領でしょう。実はハリウッド映画で黒人俳優が大統領を演じたのは彼が初みたいで、その後他作品で下院議長、副大統領、そして再び大統領を演じ、ワシントン政界の要職をすべてこなした偉業を達成しています。確かに大統領を演じさせたら、いにしえのヘンリー・フォンダかモーガン・フリーマンかというぐらいのイメージを確立しています。べたになり過ぎずに泣かそうとするところは『アルマゲドン』より上品なんで評価したい。マクシミリアン・シェルとティア・レオーニの父娘が津波に飲み込まれてゆくところはさすがにジーンときました。でも彗星衝突の際には海水は瞬時に吹き飛ばされて津波が起こるはずで、到来前に引き潮が起こるというのはちょっとヘンですけどね(笑)。[CS・衛星(字幕)] 7点(2025-01-22 21:34:12)

20.  マネキン 80年代を代表する(のかな?)ラブコメのひとつなのに、今まで観てなかったのは自分でも不思議なくらい。あの名曲“Nothing's Gonna Stop Now”が本作の主題歌だったことも知らなかったぐらいです。「批評家からは酷評されたのに、これほど大衆に愛された映画も珍しい」といわれるぐらいで、確かに脚本やストーリーテリングのイージーさはまるで中坊が妄想をシナリオにした様な感じですから(笑)。まあ女性のマネキンを見てドキッとしたり惹かれる経験は、男の子なら誰しも大なり小なりあるもんですからね。80年代ですから当時はやりのMTVのミュージック・ビデオを長編化させたような雰囲気は、もう懐かしい限りです。アンドリュー・マッカシーもジェームズ・スペイダーも若々しいし、キム・キャトラルのキュートぶり(この時すでに31歳だったというのも驚き)も目の保養だけど、今じゃこの人たちも立派なおっさんやおばさんになっちゃったのは感慨深いところがあります。この映画をSFというのはちょっと苦しいけれど、やっぱ80年代SFラブコメには外れなしですよ。[CS・衛星(字幕)] 6点(2025-01-19 21:49:32)

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