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プロフィール
コメント数 2510
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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【製作年 : 1990年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
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1.  シコふんじゃった。 《ネタバレ》 周防正行の作品には独特の品の高さがあるのが好きです。初期の『ファンシイダンス』・本作・『Shall we ダンス?』の三作の中では自分は本作がいちばん好きで、周防正行の最高傑作なんじゃないかと思っています。大学スポーツクラブ活動を題材にしたテーマにした日本映画は意外と少なく、ましてやミッション系大学の相撲部とくればある意味突飛なアイデアと言えるぐらいです。ほんと、立教大学(教立大学)に相撲部があるなんて恥ずかしながら知りませんでしたし、たしかにイメージし難いですよね。本木雅弘のチャラい軟派な大学生というキャラは前作『ファンシイダンス』からの踏襲ですが、まさにイメージ通りだし二作しかなかったけど周防正行と本木雅弘の相性は抜群に良かったんじゃないかと思います。相変わらず本作でももっともキャラが立っていたのは竹中直人ですが、他の映画ではウザくなるのに周防作品ではかなり(これでも)抑制した演出で光る存在になり、とくに本作は最高でした。他の登場人物もみなキャラが立っており、かつて学生横綱だったという穴山教授=柄本明という、軟弱学生しかいない現実に相撲部存続を半ば諦めているけどここぞというときには自らまわしを締めて的確に指導するという不思議なキャラが光っていました。そして男装して土俵にあがって試合に臨む巨漢女子マネージャー、凡庸な脚本ならこの顛末のてんやわんやをコメディにしてしまうところなんですが、この健気な女子マネージャーの奮闘にはホロリとさせられるような感動が生まれるところが素晴らしいところです。相撲のシーンのバックにジャン・コクトーの文章を被せてくる、こういうセンスも私は好きです。まわしを締めるのを拒否する交換留学生やキリスト教の学校なのに土俵部屋に神棚があるとか、日本文化をさりげなく皮肉る視線も忘れずに盛り込んでいるところも秀逸です。ラストで清水美砂がもっくんと四股を踏む爽快感も、堪りません。 数年前に立教大学相撲部が、周防正行を名誉監督に任命したそうです。やっぱ立教大学相撲部は実在するんだ(笑)。[CS・衛星(邦画)] 9点(2025-04-15 23:38:36)

2.  フランケンシュタイン(1994) 《ネタバレ》 メアリー・シェリーの『フランケンシュタイン』は、学生のころ英文購読の教材だったので読みとおしたことがありました。フランケンシュタインが創り出した怪物が哲学的な語りをすることに、妙に違和感を持ってしまったという記憶があります。原作に忠実に撮ったというこのケネス・ブラナー版を再見して、その違和感が甦ってきました。処刑者の頭部というか脳をくっつけて創られたクリーチャーがやっとFriendという言葉を理解できるぐらいの段階なのに、フランケンシュタインの研究ノートを読解して終いには愛を求めるようになる過程が、いくらフィクションとは言っても不自然な気がします。そもそもシェリーは科学否定的な思想の持ち主だったので、小説の中でもクリーチャーという存在の科学的な辻褄合わせには興味が無かったんじゃないかな。 このケネス・ブラナーの『フランケンシュタイン』は一言で要約すれば“グロいメロドラマ”ということになるのかな。デ・ニーロが演じるクリーチャーは、史上もっともグロいフランケンシュタインのクリーチャーだったと思います。このクリーチャーのパブリックイメージはボリス・カーロフ版であるのは間違いないけど、デ・ニーロのクリーチャーはボロを纏ったホームレスにしか見えないのが難点だな。でも登場時には生々しかった縫い目が終盤にはかなり薄くなっているところが、生身の肉体が素材だけあって妙にリアルです。ヘレナ・ボナム=カーターのエリザベスは、自分的にはミスキャストじゃないかと思います。このエリザベスには清楚な感じが皆無なので、私が抱くエリザベスというキャラとは隔たりがあり過ぎるのも原因かな。ラストで凄まじいメイクの女クリーチャーにされちゃうのはさすがに可哀そうだったかな、そういやティム・バートン作品なんかでも酷いメイクされがちだし、意外と彼女自身がこういうのが好きなのかも(笑)。 『ドラキュラ』を撮ったコッポラが本作ではプロデューサーにまわったわけですが、この作品では監督のケネス・ブラナーの撮り方には満足できずにかなりもめたらしいです。まあもしコッポラが監督にまわっていたら、こんなに音楽過多なメロドラマにはならなかったでしょうね。[CS・衛星(字幕)] 5点(2025-04-09 22:33:00)

3.  ミザリー 《ネタバレ》 自分が今まで観た中で、おそらくもっとも“痛み”“激痛”という感覚を実体験させられたような気分にしてくれた映画です。銃で撃たれたり刃物で刺されたりすることは普通の人生では経験することはまずないが、自分は未体験だが交通事故などで骨折することは実生活で遭遇する可能性はあるわけで、その痛みが想像できてしまうわけです。まして足首にくさびを挿んでごついハンマーでへし折られるなんて…あのあり得ない角度で折れ曲がった足首を見せられたら、たぶん映画館では観客から悲鳴が上がったことでしょう。この映画も主演オファーを拒否した男優スターの顔ぶれを見ると錚々たる面々で、やっぱこんな酷い目に遭う役は躊躇しちゃうんでしょうね。その中にジャック・ニコルソンもいたそうで、『シャイニング』で狂ってゆく作家を演じた彼が今度は狂気の読者にいたぶられる作家を演じるなんて、想像しただけで笑えてきます。 ロブ・ライナーの演出とウイリアム・ゴールドマンの脚本は、登場人物が少ないながらも上手に伏線を張っていて飽きさせないものがあります。とくにライナーは全作品を観て研究しただけあって、たしかに往年のヒッチコックを彷彿させるサスペンスの盛り上げ方でした。私は原作未読ですけど、ポール・シェルダンの薬物中毒歴のオミットや原作にない保安官リチャード・ファーンズワースの存在など、かなり独自の脚色があるみたいですがスティーヴン・キングはこの映画がいたくお気に入りのようです。それはやはりキャシー・ベイツの出演が大きかったみたいですね、彼は本作後もベイツのために二本もオリジナル・ストーリーを書いて映像化してるぐらいですから。確かに狂っているけど純真な乙女チックな表情を時折見せるところなど、その緩急の付け方が舞台女優出身らしく上手いと思います。最後に〆られる女性ヴィランが登場する映画は珍しくないけど、本作のベイツほどボコボコ(とくに顔)される女優は観たことないって感じでした。ポール・シェルダン=ジェームズ・カーンも、これは後期ジェームズ・カーンの代表作として永く記憶される演技だったと思います。[CS・衛星(字幕)] 8点(2025-03-22 23:21:33)

4.  アミスタッド 《ネタバレ》 アミスタッド号をめぐる奴隷貿易事件はあくまでスペインやポルトガルの奴隷貿易が根本の問題なんだけど、それが当時まだ奴隷制度を維持していた米国に重い課題を突きつけたのは事実でしょう。現実に米国内での奴隷解放運動に燃料投下したような節もあり、いわば同じスピルバーグ作品『リンカーン』は本作の続編の感もあります。『カラーパープル』も含めて奴隷制度問題は、実はスピルバーグのライフワークの一つだったのかもしれませんね。日本ではそろそろ黒船が来襲して幕末近しという時代なのに、欧州では奴隷制度をまだ維持していた国があったというのは驚いてもいいんじゃないかな。でもスペインやポルトガルではあくまで植民地での制度だったけど、米国だけは国内の重要な社会制度の一つだったんですから、罪深いものです。この映画ではそれまでさんざんやらかしていた”ブリカス”大英帝国だけが正義の味方みたいな感じになってるのは、奴隷貿易を取り締まったことは史実なんだけどちょっと腹が立ちます。でも考えてみると、最近のチャイナマフィアがミャンマーでやってることを考えると、こういうことは過去の出来事だと言い切ることは出来ませんね。 最初のころ、シンケたちアフリカ人の言葉に英語字幕がずっと付かなくて、このままで押し通すのかとなんか不安になりました。でもこの映画の隠れテーマは、互いに言語が通じない人種がどうやってコミュニケーションを取れるようになるかということだった思います。それが例え言語が同じであっても理解させるのが難儀な法廷闘争をするということに、この映画の面白味があったと感じます。まあ説教臭いというか、聖書の挿絵を見るだけでキリスト教を理解し始めるというのは、ちょっとなんだかなあとは思いましたけどね。最後は法廷映画でお決まりの大弁論というか演説でしたが、名優アンソニー・ホプキンスですからそりゃ格調高い仕上がりで思わず聴き入ってしまいました。やっぱ演説は名優にやらせるのが一番ですね。モーガン・フリーマンが演じたキャラは本作主要キャストで唯一の架空人物だそうですが、妙に存在感が薄くて活躍が見れなかったのは残念。 悲惨なお話しだったけど、当時のスピルバーグの残酷風味は『プライベート・ライアン』や『シンドラーのリスト』に比べたら薄かった感はあります。まあ本作は出来の良い法廷劇として観るのが正解だと思います。[CS・衛星(字幕)] 7点(2025-03-16 22:04:14)

5.  ジュマンジ 《ネタバレ》 いやあ、うっかりしてました。20年ぶりぐらいに観直したけど、『アマデウス』のサリエリに激似の父ちゃんと狂人ハンターのヴァン・べルトが同じ俳優が演じていたとは!何でもヴァン・べルトは違う俳優が演じるはずだったのがぽしゃったのでジョナサン・ハイドに話が回ってきたとのこと。彼は「二役はしんどい」と断っていたが、よく脚本を読むと父ちゃんは出番が少ないちょい役みたいなので引き受けたそうです。倍になったかは知らんがギャラは確実に増えただろうから良かったね(笑)。米国の有名な批評家が「子供が観るには怖すぎる映画だ」と評したそうですが、いやー判ってませんね、このストーリーは大人に向けたファンタジーなんですよ。ラストで遂にゲームを上がらせて「ジュマンジ!」と叫ぶと、二人でゲームを始めた26年前の少年時代に戻っていて運命を変えたしくじりを修正してゆき、最後にはジュディとピーターの姉弟と再びめぐり合って事故死するはずだった両親を救う。これは誰もが一度は経験する「あの時にああしていればこんな境遇にならなかったのに…」という後悔を癒す大人のファンタジーなんです。そしてアランを抑圧する父性の象徴であるヴァン・ベルトに打ち勝ち父と和解するところも、教訓地味てはいるけど良い結末だと思います。そういう意味ではこの映画は『バック・トゥー・ザ・フューチャーPART2』や『ワンス・アポン・イン・ハリウッド』と共通している部分があると言えます。まあとは言え、まるでジェットコースターのようにゲームから飛び出してくる災難には、CG黎明期なので動きとかには今の眼で見るときついところがあるにせよ、十分に愉しませてくれると思います。ジュディを演じたキルスティン・ダンストはまだ13歳、“オーディション全勝伝説”の真っ最中だった頃でやっぱ輝いていますね。彼女はやはり10代が全盛期だったんじゃないかな、これは子役出身俳優に付き物のアルアルですけどね。[CS・衛星(字幕)] 8点(2025-03-07 22:45:09)

6.  パブリック・アクセス 《ネタバレ》 『ユージュアル・サスペクツ』の、というよりか最近はすっかりアメコミ映画界隈に取り込まれてしまった感のあるブライアン・シンガーのデビュー作です。まだ映画監督としての粗削りな面が目立つのは否めませんが、さすがに映像面にはセンスを感じさせるところがあります。私は米国が舞台の映画で最恐のジャンルはいわゆる〝スモールタウンもの”だと思っていますが、本作もそのジンクスに違わぬストーリーでした。まずどこからともなくブリュースターというスモールタウンに現れた男ワイリー・プリッチャー、劇中では素性や前歴もまったくスルーしているので、なんか不気味です。きちんとスーツを着こなし眼鏡をかけた知的な姿で地元のケーブルTVの放送枠を買って町民からの電話を待つラジオのDJみたいな番組を始めるが、現代では個人系ユーチューバーといった感じかな。実はこいつは魔界から来たサタンで人間たちに不和の心を植え付けて町を乗っ取ろうとする、なんかスティーヴン・キングの小説にあったようなお話しなのかと思いきや、言ってることには過激さはほとんどなく、なんかテレフォン人生相談でもやってる様な感じです。そのくせ野心家の町長の肩は持つし、町長の悪事を暴こうとした男を見つけてからは連続殺人を犯す。しょうじきここら辺の展開はさっぱり理解不能でした。このワイリーなる男を演じた白人なのか黒人なのか微妙なルックスのロン・マークエットという俳優、調べるとなんとこの映画出演の翌年に30歳そこそこの若さで自殺しているんですよ。それを知ってしまうとこの映画の不穏な雰囲気が、なんか納得できる気がしました。[ビデオ(字幕)] 5点(2025-01-28 23:18:52)

7.  ギャラクシー・クエスト 《ネタバレ》 すみません、わたくし長い間ロジャー・コーマンの『ギャラクシー・オブ・テラー/恐怖の惑星』とこの映画を混同していました(笑)。そうは言ってもてっきりB級映画だろうと思っていましたが、観てみるとこれが実に面白かった。そもそもシガニー・ウィーバーとアラン・リックマンが出演してるのにB級のはずがないですよね。しょうじきTV版『スター・トレック』は観たことないし知識もないので作中でシリーズ・エピソードを小ネタにしたパロディがどこにあるのかは全然判りませんでしたが、そんな門外漢でも問題なく愉しめます。特撮もさすがドリームワークスが関わるだけあってムダ(失礼!)に豪華で、プロテクター号は元ネタエンタープライズ号よりはるかにカッコいいと思いますよ。宇宙空間で火や煙があがるのは定番の突っ込みどころですけど、これは敢えてB級色を出すための演出なんでしょうね。やっぱ一番受けるのはトカゲ頭のアラン・リックマンで、英国名優の彼のボヤキは自虐ネタかと思うぐらいです。そして眼が釘付けになるのがシガニー・ウィーバーの衣装!彼女があれほど巨乳で金髪が似合うとは予想外でした。『スター・トレック』以外にも色んな映画をパロッた小ネタが散りばめられているのも愉しいところです。トレッキーなどのSFオタクへの愛が感じられるのも良かったですね。これは確かに観て損がない一編です。[CS・衛星(字幕)] 8点(2025-01-25 23:08:39)

8.  ディープ・インパクト(1998) 《ネタバレ》 製作された98年は本作の他にご存じ『アルマゲドン』も公開された、言うなれば彗星衝突の当たり年だった訳です。ジェリー・ブラッカイマー節が炸裂の『アルマゲドン』と違ってこっちは女性監督、ストーリー自体も真面目というか群像劇っぽく撮っているのが特徴でもあります。もともとは51年の『地球最後の日』のリメイク企画があり、そこにアーサー・C・クラークの彗星衝突がテーマの『神の鉄槌』を映画化しようとしていたスピルバーグが乗っかったみたいな感じ、でも出来上がりは『地球最後の日』的な要素が強くなってアーサー・C・クラーク風味はほとんどないそうです。 シリアスに撮っているから目立たないけど、本作も『アルマゲドン』に負けず劣らずの突っ込みどころがあります。彗星発見からわずか一年であんな凄い宇宙船を秘密裏に準備できるとは大したもんで、さらに彗星衝突までの一年で100万人を収容できる地下都市が建設出来たなんて、さすが偉大なるアメリカ合衆国です(苦笑)。なるほど、『地球最後の日』の地球脱出ロケットをあの地下都市に置き換えたって訳ですが、ロケットに乗れた40人を100万人に拡大しただけで、つがいの動植物を運び込んだりしてまたもやノアの箱舟の再現でした。彗星は一回目の核爆発で大小に分かれて、けっきょく先に小の方が大西洋沖合に落下します。そして大津波が北米大陸を襲う訳ですけど、白亜紀の恐竜絶滅につながったディープインパクトのシミュレーションと比較すると、溶けた岩石などの爆発がもたらす熱の描写が皆無なのはどうなんでしょう。まあその答えは、この脚本は彗星衝突がもたらす災厄をノアの箱舟の大洪水の暗喩としているんですよ。『地球最後の日』ほど酷くないけど、この映画も宗教色が強めの感があります。あと80万人はくじ引きで選ぶと言っても、この必要な人間と不必要な人間を選別するという一神教的な発想が、確かにそれは理屈としては正しいとしても自分にはとても不快に感じてしまいます。こういうハリウッドのディザスター映画ではまるで米国だけが地球の文明みたいな感じになり、あとの世界がどうなろうと知ったこっちゃない、USAだけが存続するなら地球は救われたという発想も透けていますよ。全世界が平等に滅びるという結末のハリウッドのディザスター映画は、『エンド・オブ・ザ・ワールド(2012)』しか観たことがないですよ。 オスカー受賞俳優が四人も出演というキャストはけっこう豪華ですが、やはり印象深いのはモーガン・フリーマンの大統領でしょう。実はハリウッド映画で黒人俳優が大統領を演じたのは彼が初みたいで、その後他作品で下院議長、副大統領、そして再び大統領を演じ、ワシントン政界の要職をすべてこなした偉業を達成しています。確かに大統領を演じさせたら、いにしえのヘンリー・フォンダかモーガン・フリーマンかというぐらいのイメージを確立しています。べたになり過ぎずに泣かそうとするところは『アルマゲドン』より上品なんで評価したい。マクシミリアン・シェルとティア・レオーニの父娘が津波に飲み込まれてゆくところはさすがにジーンときました。でも彗星衝突の際には海水は瞬時に吹き飛ばされて津波が起こるはずで、到来前に引き潮が起こるというのはちょっとヘンですけどね(笑)。[CS・衛星(字幕)] 7点(2025-01-22 21:34:12)

9.  遊びの時間は終らない 《ネタバレ》 いやあ笑った笑った、今年観た映画でいちばん笑わせてくれたかもしれないです。昭和バブル期の邦画は不作だったという見方が強いが、探せばこういうお宝がまだまだ埋もれているんですよね。『狼たちの午後』を彷彿される銀行強盗かと思いきや、モッくんが人質に発砲する緊迫のシーン、それがなんと「バンッ」という口鉄砲、これは金融機関の協力のもとで行われた防犯訓練だったんですね。そこから始まるモッくんの大暴走、このころの本木雅弘は真面目でクールだが内に狂気を秘めたキャラを演じさせたらピカイチで、警官らしい丁寧な言葉遣いに終始するけど観てる方はいつキレるかとハラハラさせる緊張感が堪りません。対する警察側の各キャラも一人一人のキャラが立っていて、石橋蓮司の小役人ぶり丸出しの所轄署長が傑作でした。それでもほとんど怪演といえるレベルだった萩原流行がいちばん強烈で、劇中でほとんど瞬きしてなかったんじゃないかというガンギマリ演技です。あんなに長時間にわたって行員たちがバカバカしい訓練に付き合うというところは、もう一種の不条理劇のレベルに達していたと思います。“死体”の張り紙も笑ったけど、“レイプ”“空気”はもう最高でした。舞台となる金融機関は“平商工信用組合”となっていましたが驚くことに(現在も存続しているかは不明ですが)実在の金融機関で、さすが昭和の映画、現在ではこんなこと絶対にできないと断言しちゃいます。こんな傑作な作品の知名度が低いというのは、私には本当に解せないところです。[CS・衛星(邦画)] 8点(2024-12-16 22:44:23)

10.  デッドマン(1995) 《ネタバレ》 ジム・ジャームッシュの現在までの唯一撮ったウエスタン、ジャームッシュ史上もっとも豪華な出演者を揃えている作品でもあります。ジョニー・デップが演じる主人公の名前がウィリアム・ブレイクであり、本作自体が英国の大詩人ウィリアム・ブレイクの詩と思想に対するオマージュがプロットなんだそうな。浅学な自分はブレイクのことなんて皆目判らないけど、セリフや登場人物の名前などが多々引用されているらしい。あとサブキャラ的な登場人物にはやたらとロック・ミュージシャンの名前がそのまま使われており、一例としてはロバート・ミッチャムが演じた役名はアイアン・メイデンのボーカルであるブルース・ディッキンソンが由来だったりとかね。まあこういうところはあくまでジャームッシュの個人的な趣味の反映で、ストーリー自体には有機的な関りは薄いけどね。 あくまで本作は西部劇ではあるけどやはり所謂ジャームッシュ節は健在で、短いシークエンスの集積みたいな構成でその変わり目は画面暗転で繋ぐ、ジョニデと遭遇するサブキャラたちがみんな揃って「煙草をくれ」とせがむというジャームッシュ作品ではお馴染みの煙草への拘り、などです。本質的にはこの映画はジョニデと原住民ノーバディーのロードムービーなんだと思いますが、“デッドマン”というタイトル通りジョニデは前半のどこかで死んでいて、死者のジョニデが黄泉の国に流されてゆくのがラストシーンなんではないかな。この原住民ノーバディーがなかなかいい味を出しているんだけど、名前は忘れちゃったけどサッカー関係者でとんねるずのヴァラエティーによく出ていた人と瓜二つなんだよな(笑)。ランス・ヘンリクセンが演じる殺し屋の不気味さもかなりのもんで、死体の頭を踏みつぶすわ相棒を射殺してなんと喰っちまう、あの焚火にあたりながらなんかの肉を喰っているカット、それが人の腕だったと判ったときはちょっと衝撃でした。 まあ大多数の人にはジャームッシュの文学趣味が炸裂するこの映画は「なんじゃコリャ?」となるでしょうが、ジャームッシュ節愛好家の自分にはけっこうイイ感じな作品でした。あと完成した映像を見ながら即興でつけたニール・ヤングのギター演奏は、掛け値なしに渋い。[CS・衛星(字幕)] 7点(2024-12-04 20:06:39)

11.  始皇帝暗殺 《ネタバレ》 荊軻と言えば中華史上もっとも有名な刺客、なんせ後の始皇帝となる秦王政をあわや暗殺する間際にまで追い込んだ人物ですからね。その荊軻と秦王政にこれは架空の人物である趙姫をはさみ、そこに呂不韋・嫪毐を絡ませた一種の群像劇のような構成となっています。 荊軻と言えば有名な割には『史記』にしか史料が残っていないような人物、一般に知られる荊軻像とはかけ離れたような大胆なキャラとなっています。まず初登場時の容貌からして『電波少年』に出ていたころのなすびにそっくり、壮士として知られる人物とは到底思えない姿。本来はカネで動く単なる殺し屋という設定で、しかもアヘンでも吸ってラリってるんじゃないかという感じの緩慢な動作。秦王政も後年の始皇帝となる人物のイメージにはほど遠く、その言動にはなんかガキっぽさが感じられます。そこはやはり趙姫=コン・リーの存在感と凛とした美貌は際立っており、やはり本作は彼女のための映画だったと言えるでしょう。燕丹が仕掛けた秦王政の暗殺計画が趙姫の発案で政と共謀した謀略とするのはもちろんフィクションですけど、ストーリーに深みを与える面では成功していると思います。『史記』では荊軻は臆病と思われたほどに無駄な危険を犯さなかったとされるが、劇中でも盗みを犯した子供を救うために要求されるがまま這いつくばって店の主人の股をくぐるけど、これって有名な“韓信の股くぐり”の故事のパクりじゃん(笑)。野外での合戦や王宮でのシーンはカネかけただけあって迫力満点です。でも趙の邯鄲が秦に攻め落とされるシークエンスでは、趙の幼い子供たちが城壁から次々と投身するところや趙姫が生き埋めにされた子供たちを見つけるシーンには心が痛みました。生き埋めは始皇帝の得意技と言っても過言じゃない処刑ですが、王朝の滅亡時の“王家一族郎党皆殺し”は、その後の中華王朝では何度も繰り返された伝統芸みたいなもんですね。あと嫪毐のクーデター失敗のシークエンスもなかなか凄い絵面でしたが、私には嫪毐が生瀬勝久が演じているとしか思えなかったんです、似てますよね(笑)。 この時代の中国史に多少なりとも興味があればいろいろと突っ込んだりもできてそれなりに愉しめる作品だと思いますけど、そうじゃないとちょっと見続けるのはキツいかも。でも作品としてはフィクションを交えながらも骨太なストーリーで見応えはあったと思います。[CS・衛星(字幕)] 7点(2024-11-29 22:40:06)

12.  Q&A 《ネタバレ》 新米検事補ティモシー・ハットン以外の刑事と検事そしてアウトローの方々、みんなそろって悪人顔というところが凄い。やっぱ中でもニック・ノルティの悪徳刑事、もうプロレスラーがスーツ着て刑事やってるとしか思えない。粗野なだけでなく自分に不利益になる人間は情け容赦なく殺すし、もうほとんどサイコパスと言っていいレベルです。そんないかつい大男なのに、実はゲイだったという強烈なキャラでもある。そんな錯乱したシリアルキラーみたいになって追われているのに、警察署に戻って同僚刑事を射殺した挙句に初めて銃を撃った刑事に仕留められる最期は哀れでした。 悪徳警官とまっとうな警官が対立するというのは、NY派の巨匠シドニー・ルメットが『セルピコ』ですでに手がけているプロットなので「20年も経ってなんで今更…」感が強いです。「事件が大きすぎて手に負えない」と上層部は隠蔽・もみ消しを図るわけですが、単なる汚職警官と悪徳検事の癒着だった様な気もするしそこまで大げさな事件だったとは思えん。そこらへんが説明不足な脚本だったと思います。アイルランド系・プエルトリコ系・ユダヤ系とNYらしく人種葛藤を盛り込んでいるけど、それが物語に有機的に生かされていない気もします。あとティモシー・ハットンの行動も、直属ではないにしろ他の大物検事に情報を流しているのもこのキャラの線の細さが透けてしまってイラつかされる、セルピコじゃないけど完全に一匹狼のつもりで闘わなくっちゃダメでしょ!かつての恋人に未練がましすぎるのも感情移入を妨げた要因です。この映画である意味いちばん光っていたのは、やっぱアーマンド・アサンテだったと思います。なんかあっさりと退場してしまった感もありましたが、実は死んでなくてクライマックスで再登場なんてパターンもありますが、さすがにシドニー・ルメットがそんなアホな撮り方するわけないですよね(笑)。[CS・衛星(字幕)] 6点(2024-09-27 23:05:24)

13.  ドッペルゲンガー/憎悪の化身 《ネタバレ》 ドリュー・バリモアにはソフィー・マルソーばりにかつては脱ぎまくってた女というイメージがあるけど、実は意外と脱ぎを見せていた時期は短くて、本作が撮られた当時の三年間ぐらいの数本だけだったみたいですね。それでも当時はなんとまだ18歳!まったく「お前の人生は何回あるんだよ!」と叫びたくなる成熟ぶりです。 『氷の微笑』もどきのエロチック・サスペンスなのかなと思っていたら、終盤になると全く理解不能なホラーと化してしまう脚本の酷さは特筆ものでしょう。割と早い段階でドリューのドッペル話を同居人の脚本家志望の男が信じてしまうのですが、ここでいわばネタバレしちゃうんならこの後のサスペンス要素はどうするつもりなの?となってしまうよね。途中でやたらと夢オチが使われるのも、イラつかせてくれます。ラストのドッペルの正体が明かされた時には、「もう、ふざけんじゃねえぞ!」と怒鳴りたくなりました。ネタバレが過ぎるので詳しくは触れませんが、これでは前半のエピソードとの辻褄が全然合わなくなるんですよ。製作陣も「こりゃヘンだ…」と気が付かないもんですかね。 こんな出来損ないのホラーもどきで頑張るなんてムダ脱ぎもいいとこで、おまけにグチャグチャの化け物に変身までさせれて、いまや女優・プロデューサーとして才能を発揮している彼女にとってはまさに黒歴史なんでしょうね。[CS・衛星(字幕)] 3点(2024-08-18 21:39:15)

14.  アドレナリンドライブ 《ネタバレ》 矢口史靖が『ウォーターボーイズ』でひと山当てることになる直前の作品、徳井優や角替和枝といった小劇場系の俳優だけでなく石田ひかりや安藤政信といったメジャークラスの演者を起用できるようになってきたころです。闇のカネ2億円を持ち逃げした気弱な若者とナース、そして二人を追う凶暴なヤクザとチンピラ六人組となるとまあよくある設定と言えなくもなく、そうなると見せ方の工夫が脚本のキモでしょう。冒頭の車中での安藤政信と徳井優のイラつかせてくれる遣り取りはいかにも当時流行っていたタランティーノ風味という感じですが、これは単にテンポが悪くなっただけだったような気がします。だけど意外と自分にはツボだったのはあの六人のチンピラたちで、意味もなく唐突にキレ出すところは爆笑です。松重豊の凶暴さはいかにもという感じでしたが、あんなに重傷なのに暴れるのはちょっとやり過ぎ、というかまともに走ることすらできない状態なんだから反撃されたら瞬殺だと思うんだけど。そしてまだそういう時代だったのかもしれないが、病院も警察も個人情報がダダ洩れすぎるでしょ、まあそうしないとストーリーが進まないので仕方がないのかな。全体的には可もなく不可もなくという感想だが、もうちょっとコメディ色が欲しかったところです。[CS・衛星(邦画)] 5点(2024-06-25 23:16:09)

15.  ジェイド 《ネタバレ》 脚本が『氷の微笑』『硝子の塔』『ショーガール』のジョー・エスターハスですからね、エロ要素強めなのは予想と言うか期待通りです。でも肝心のストーリーもやはりメロメロで、見事にラジー賞で最低脚本賞にノミネートされました。裏話によると、エスターハスの書いた脚本をフリードキンが勝手にじゃないけどかなり強引に書き換えたそうで、これはちょっとエスターハスがかわいそうですね。 マイケル・ビーンに妖しいフラグが立っていたと指摘する人があるけど、私はチャズ・パルミンテリが出ているというだけでピンと来ましたよ。ラストの結末まで観ると、どう考えてもこのストーリーは破綻してるとしか言いようがないです。要はエスターハスお得意というか馬鹿の一つ覚えの悪女ものというわけですが、それがリンダ・フィオレンティーノじゃちょっと役不足だったんじゃないかな。シャロン・ストーン級の女優を使えよ、と言いたくもなるけど、このフィオレンティーノの役はものすごい数の女優にオファーをかけて拒否されまくっているので、まあしょうがなかったのかもね。フリードキンの力量もすでにズタボロになっている頃なのですが、カーチェイスのシークエンスだけはさすが『フレンチ・コネクション』を撮った人だけはあるこの映画唯一の見どころでした。チャイナタウンのお祭り行列の真っ只中に突っ込んでのチェイスになりますが、人混みを跳ね飛ばしながらののろのろカーチェイスなんて、ちょっと珍しい絵面でした。まあ中国人だから構わないということは毛頭ないんですけど、この映画には妙にアジア人蔑視の様な底意が感じられるところがありました。[CS・衛星(字幕)] 3点(2024-05-06 22:33:23)

16.  レインメーカー 《ネタバレ》 ハリウッドというかアメリカ映画のお得意ジャンルでありそれこそ星の数ほど(ちょっと大げさでした)製作されてきた法廷ものだけど、巨匠コッポラもやっぱ撮ってたんですね。彼は『タッカー』でも法廷劇的な要素を後半に盛り込んだけど、法廷小説の大家であるジョン・グリシャムのベストセラーに取り組んで、風格ある映画に仕上げました。原作とはかなり雰囲気の違う出来だという声もありますが、コッポラは脚本家としての力量を見せて観ていて飽きさせないエンタメとしての完成したストーリーかと思います。 やっぱ若い頃のマット・デイモンは、汚れた弁護士の世界に飛び込んだがギリギリのラインを守って成長してゆく姿が瑞々しくて、後年にジェイソン・ボーンみたいにゴリラ化するとは想像できないですね(笑)。悪徳ブラック弁護士のミッキー・ロークも、出番は少なかったけどいい味だしてました。悪徳とまではいかないかもしれないけど、一人で悪役を背負ったようなジョン・ボイドの弁護士も、あの法廷での駆け引きは迫力満点でマット・デイモンじゃ到底勝ち目が無いでしょ。日本じゃ未だに弁護士(とマスコミ)を正義の味方だと誤解している人が多いけど、前半の病院での営業活動なんかを見ていると、やっぱこの職業は他人の不幸やトラブルがないと喰ってゆけないんだなと実感させられます。人の涙や不幸を常に探し求める稼業、まさにレインメイカー(雨降らし屋)というわけです。コッポラの脚本は、“善い弁護士”と“悪い弁護士”をある意味で突き放して並列させている感じで、破産で保険会社が逃げ切った様なラストになってジョン・ボイドに「俺たちはどっちも負けだな」と嘆息させるところにその意図が出ているのかなと思います。 初訴訟で大企業に大勝したマット・デイモンが「これで依頼者は常に勝訴を期待してくる、そしてどこかで自分は越えてはいけないラインを踏み外してしまうだろう」と廃業を決意するラストには、とても共感できました。[CS・衛星(字幕)] 8点(2024-04-24 22:38:46)

17.  オースティン・パワーズ:デラックス 《ネタバレ》 前作の時は「こんな酷い吹き替えは初めてだ(下ネタのことで声優の演技ではない)」と嘆息していた自分だけど、麻痺してしまったのか耐性が付いたのか、本作では意外と吹き替えが心地よく(?)なってしまったのが恐ろしい。そりゃあネタの下品さは相変わらずですが、字幕で鑑賞したら伝わらないセンスなんだけど、セリフを日本的なギャグに近づけようとしている努力の跡は伺えます。やっぱ海外のコメディは、的確な演出の吹き替えで観るのが正解なんでしょうね。 期待通りの下品さですけど、腹立つほど音楽のセンスは良い。タイトル・バックに流れるのは完全にシャーリー・バッシ―が歌った『ゴールドフィンガー』の完璧なパロディだし、なぜかマドンナが歌っている主題歌はゴールデングローブ賞にノミネートまでされている。おまけにバート・バカラックとエルヴィス・コステロの超豪華なコラボが、ワンシーンだけどあります。今回は『ムーンレイカー』と『タイムトンネル』を元ネタにしてパロったという感じだけど、『ID4』や『SW』からのネタもありましたね。「どっかで見た顔だよな~」と気になっていましたが、大統領がティム・ロビンスだったとは最後まで気づきませんでした。立って動き回るシーンがあれば間違いなく判るんだけどね(笑)。まあはっきり言って今作は次作『ゴールドメンバー』への繋ぎ的な意味合いが強かったと思うけど、それなりに愉しめました。 しかしマイク・マイヤーズは一人で三役、考えてみると90分あまりの上映中ほとんどの場面で登場していたんじゃないかな?『ゴールドメンバー』ではこれが一人四役になるからもう出ずっぱりじゃん(笑)。[CS・衛星(吹替)] 6点(2024-04-09 23:22:59)

18.  バタアシ金魚 《ネタバレ》 ヤングマガジン連載中に愛読していましたが、あのほとんどサイコパスみたいで超自己中なカオルが主人公の漫画が、まさかこんなに瑞々しい青春映画になろうとは初見の時はびっくりした次第でした。今となっては貴重な高岡早紀のスク水姿を拝めるし、高岡早紀はもちろんのこと筒井道隆と浅野忠信のデビュー作というのも貴重なところです。生徒の服装や髪形を見るとけっこう平凡で真面目な高校の生徒たちという感じだけど、ビールを飲むし煙草はふかすわ高校生同士でラブホから出てくるわで、まさに今はやりの“不適切にもほどがある!”って感じで、現代の邦画界隈では炎上必至ですな。でも自分も通っていたのはごく普通の高校だったけど、部活の合宿なんかでよくビールなんか飲んでたよな、そんなに目くじら立てなくていいんじゃないかな。当時17歳の高岡早紀の演技はまさに美少女登場!でした、途中で激太りするところで二役(というか三役だったらしい)という演出にはやっぱびっくりしたな。そしてラストのワンカット・ワンシーンで撮られたカオルとソノコのプール内での乱闘は、何度観ても心に刺さります。 この作品は、誰もが覚えのある思春期特有の男の子・女の子のカリカリした感情の表現が今観ても新鮮で、最近の邦画の監督たちにも見習ってほしいものです。監督の松岡錠司はその後ドラマでの活躍がメインになった気がするけど、本作はやはり彼の最高傑作だろうと思います。[CS・衛星(邦画)] 8点(2024-03-02 21:16:14)

19.  ケロッグ博士 《ネタバレ》 近年天に召されてしまったけど、エリザベス二世からサーの称号を授けられたアラン・パーカー、名匠というよりも鬼才と呼ばれるような評価の人だったが、こんなおバカ映画を撮っていたとはねえ。ありふれたB級コメディ的な安っぽさがなく予算もかけたしっかりとした撮り方は、いかにもサー・アランの仕事ですな。しかもお尻・オッパイ・浣腸と下ネタのオンパレード、貴方は中坊かよってツッコミをいれたくなります。でもこういう大真面目に撮られたおバカ映画は、私は大好物です。レクター博士とニクソン大統領を演じる合間にこんなバカバカしいキャラを嬉々として演じるアンソニー・ホプキンスも、懐が深いのか来る役は拒まずがポリシーの人なのか判断に苦しみますね。実際のケロッグ博士は90代まで生きて天寿を全うしてるのであんなに若死(?)していないし、コーンフレークのバチもんでひと山当てようとするジョン・キューザックが後にコカ・コーラの創業者になるなど、まあジョークとして大らかに笑い飛ばしましょう。まるでカルト教団の教祖のようなケロッグ博士だけど、煙草の害をあの時代に説くなどまともな面もあったみたい、でも下半身に関することはねえ…[CS・衛星(字幕)] 6点(2024-02-05 23:09:33)

20.  CURE キュア 《ネタバレ》 時期的には被っていたかもしれないけど、こりゃ『セブン』に匹敵するような不快感というかおぞましさを観る者に与えてくれる映画ですな。萩原聖人のキャラの異様さは特筆ものですが、とくに劇中何度も繰り返される萩原=間宮の“質問に対して質問で返す”問答が不快感を増幅させてくれます。これは対人関係でやってはいけない相手を不愉快にさせるコミュニケーション上の悪手で、それをここまで計算づくで織り込んだ脚本は秀逸。いろいろとまぶされているメタファーも伏線でもなく、観客に色んな解釈をさせようとするストーリーテリングは、一から十まで説明する凡庸な邦画が目立つ中では光っています。ただ残念なのは間宮がだんだんと単に記憶障害を装っているだけの詐欺師的な人物に見えてくることで、せっかく確立した日本映画史に残るような不気味なキャラ像が薄れてしまった感がありました。ラストの一見何の違和感もないファミレスでの食事風景で閉めるなんかは、凡庸な映画監督にはできない勇気ある撮り方だったと思いました。今まで何本かは黒沢清の監督作を観ていますが、初めてこの人の才気を感じることができました。[CS・衛星(邦画)] 8点(2023-12-26 23:38:23)(良:2票)

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