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プロフィール
コメント数 257
性別 男性
自己紹介 直接的に「内容」に向かうのではなく、「スクリーンへの現れ方」を語る言葉(技法論的な言葉)をなんとかめざしたい。

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【製作年 : 1980年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
評価順12
投稿日付順12
変更日付順12

1.  隣の女 《ネタバレ》 トリュフォーってやはり凄い、と見直してしまう。長回しのパンで隣接を撮る、が、まったく無駄は無く、恋愛という単独性の中へ中へと観客を引き入れる。興味深いのは、長回しの偏在カメラからすれば男の側から偏重でもいいところだが、女の側からもほぼ平等の配分の語りであることで、そもそもナレーターとしての傍系人物を設ける語りなのである。だから、客観的な語りのなかに、抑えようもなく噴出する情炎の魅力。[ビデオ(字幕)] 8点(2015-08-07 00:16:05)

2.  恐怖分子 《ネタバレ》 映画にしかできない語り。ほんらい交差することのない人物たちの人生が淡々と並行編集される。誰が主人公なのか、ではない。小説家の妄想がラストに紛らわしく、きわめて効果的に入る、というかたちで小説の語りというものがむしろ相対化されると同時に、映画の語り(視点)の豊かさが印象的である。[映画館(字幕)] 8点(2015-05-09 23:39:23)

3.  ある女の存在証明 《ネタバレ》 探し当てた彼女の窓を見上げる、と、彼女の側からのショットになり、窓のフレーム内に、こちらを見上げる主人公の姿がある。構図/逆構図がしばしば美しいし、ヴェネツィアの水面も美しいので6点献上。。[DVD(字幕)] 6点(2015-03-11 20:11:36)

4.  ブルーベルベット 《ネタバレ》 観客の分身としての探索者を襲うデニス・ホッパーがほんとうに怖い。その怖さは、ホラー映画などとは異なって、目を閉じたら看過できるしろものではない、何をするかわからない他者の怖さなのである。イザベラ・ロッセリーニの鮮烈過ぎて痛々しいような露出は、映画史的な事件である。そもそも母バーグマンがロッセリーニのもとに走ったのは、映画の中心がハリウッドの外に移ること象徴する事件、映画史的な事件だった。[DVD(字幕)] 7点(2015-01-11 13:08:29)

5.  ランボー 《ネタバレ》 追われるランボーの姿が見えなくなって有利な戦いになるのは、常套の表現方法であるとはいえ、まさに観客席にランボーが身を隠すかのような安心感がある。反戦のことなど内容的なことを度外視しても、たのしめる。[DVD(字幕)] 7点(2014-03-14 00:40:18)

6.  ションベン・ライダー 《ネタバレ》 有名な丸太のシーン(「作った感じ」が惜しい)よりももっとさりげなく素晴らしいのは、例えば次のシュールなシーン:川の中で相談する三人が、やがて川の柵を身軽に越えて陸に上がり、落ちていたボールでキャッチボールをしながら相談を続けるなかで、そのボールが川に投げ込まれるとき三人ともまた柵を越えて川へ戻る。信じられないくらいにキツい撮影現場を、乗り切った俳優たちに拍手。 ストーリーの辻褄あわせであしらわれる通常の映画観客が、奥の奥の間に通される感じといおうか、ほんものの何かを作り上げようとする黙々たる動態に加わるのである。[DVD(邦画)] 9点(2014-03-09 10:47:37)(良:1票)

7.  家族ゲーム 《ネタバレ》 不安を楽しんでいた時代ということをあとで思うだろうなとその時代のなかで先取りさせた不安な映画。伊丹十三と松田優作が奇妙な味を印象づけている(まさか早世の予兆でもあるまいが)。[映画館(邦画)] 10点(2014-02-03 09:01:02)

8.  レイジング・ブル 《ネタバレ》 この映画、いまや男の方が生活全体を失う危険度が高い(女性の方が法的に保障されている?)ということの先駆的な好例となるのか、などとはおよそ非映画的コメントだが、映画の形式面を不問にするリアルな感じの映画といおう。[DVD(字幕)] 6点(2013-07-28 10:41:27)

9.  コマンドー 《ネタバレ》 「悪」をどんどん始末。「悪」なのかどうか不明な人たちをもどんどん始末。それにリアルに対応する事柄というのは、要するに、死刑制度容認はもちろんのこと、誤爆容認なんてことも含むだろう。こんなに政治的な映画を無批判に観るということ自体が、きわめて政治的な態度表明になってしまう。[DVD(字幕)] 1点(2013-05-27 16:02:44)(笑:3票)

10.  ロボコップ(1987) 《ネタバレ》 無機ロボットに襲撃されて、サイボーグ有機体である(が「人権」はない)ロボコップ危うしというとき、そこは階段で、追いかけて来た無機ロボットは階段に対応できずあえなく階段落ち。階段という繋ぎの領域で無能なのが無機的なもの。それとは逆に有機的なものは繋ぐが必ずしもその「人権」は保障されていない。ナショナリズムという冷酷な有機体主義を連想させる『ロボコップ』。[DVD(字幕)] 6点(2013-04-29 10:28:08)(良:1票)

11.  未来世紀ブラジル 《ネタバレ》 「出世を望まない若者たちが増えている」という。『未来世紀ブラジル』は、主人公が出世を願うかどうかが分岐点になっていて、出世コースに足を踏み入れるや冷たい競争関係など圧倒的に物象化された世界で迷子状態となる。諧謔のセンスが不条理の深刻さに厚みをもたらすのも、カフカ的なテイストだ。[映画館(字幕)] 9点(2013-04-28 06:34:44)

12.  八月の鯨 《ネタバレ》 老年のリリアン・ギッシュをなんとか確認できるが、ベティ・デイヴィスにいたっては全く同定不可能である、しかし、それはベティ・デイヴィスの知ったことではない。ひとはせっかく長年に渡って対世間用に作り上げたペルソナを老いとともに失っていくというのではなく、老いという名の熟成の時間が「あらためて自分のために深く生きる」顔へと作り直していくのだ(と思いたい)。それは絶対的で神秘的な時間だ。二人の往年の大女優に失礼のない美しい撮影である。 [DVD(字幕)] 7点(2012-12-20 11:43:46)(良:1票) 《改行有》

13.  レインマン 《ネタバレ》 ロードムービー部分が作品の「いのち」であろうしそこをもっと充実させてもいいかもしれないが、甘口のエンディングにしないようなんとか「ふみとどまっている」だけでも、さすがダスティン・ホフマン映画である。ダスティン・ホフマンが皆の一方的な「見た目」(客体)であって「切り返し」で 見返す主体ではないということ、これはこの映画の露出した特徴になっている。[DVD(字幕)] 5点(2012-04-22 09:43:22)

14.  すかんぴんウォーク 《ネタバレ》 大森一樹の吉川晃司三部作もすべて私の映画館的日常(「京一会館」に入り浸り)において観た。冒頭バタフライだった映画のはず。三部作の分まとめて5点献上。[映画館(邦画)] 5点(2011-03-25 21:33:50)

15.  お葬式 《ネタバレ》 伊丹十三の書き物やタレントぶりのファンであったので、この第一作にはとくに注目した。過剰な演技にはしる財津一郎に抑制を命じたように、この監督はもっと自分自身に抑制を命じるべきであったろう。香典が木へと飛んだり、高瀬春奈のおしりがアップになったりとかは、不要であるとおもう。もっとさりげなく、緑と風だけで十分にいい映画であったろう。なお、以後の伊丹映画は駄目だった。[映画館(邦画)] 7点(2011-03-25 18:39:41)

16.  ニュー・シネマ・パラダイス 映画館で観たときからべたついてくる映画だなという感じがあった。映画を好きになるはずの映画、ということを押し付けるような感じと言おうか。子供をあしらっているが、子供にとって映画はむしろ怖いものである。この映画の否定派の感想をいろいろ聞きたい気がする(ここまで2011年のレビューで評点が4)。いま見直すとフェリーニ感もあるし切ない味も良くて、評点の変更(2024年)。[映画館(字幕)] 7点(2011-03-25 11:46:46)(良:1票)

17.  ドレミファ娘の血は騒ぐ 《ネタバレ》 「あらゆる熱気の去ったあと」みたいな黒沢清の作品はいつも何もわからない。たまには「熱気」の中心に向かえよと言いたい。この作品もわからないが、洞口の登場の仕方が非常にいい、「やって来ました吉岡さん」、そして横移動 (この平面性がいい)。音がまさに乾いた、熱気無きもの。やっぱりわからない作品だが、不思議に凄くいいと思えるのは、80年代の「戯れ」映画の文脈にもよる。[映画館(邦画)] 7点(2011-03-23 19:26:25)

18.  それから(1985) 《ネタバレ》 冷房が効き過ぎの空席だらけの映画館(京都ロキシー、この映画館も今はない)で、森田芳光健在を確かめた。松田優作が着せ替え人形のようにお洒落な服に身を包み、その暗さの演技もいい。が、漱石の原作はとくに前半は明るさや笑いもあるものなので、原作との差異も非常に興味深い。[映画館(邦画)] 7点(2011-03-23 14:35:36)

19.  台風クラブ 《ネタバレ》 三浦友和がいい。「ああ、台風来ないかなあ」(大西結花の台詞だった?)もいい。ラストの「あ、金閣寺」(工藤夕貴)もいい。しかし、なぜ「犬神家」になってしまうのかがわからない(ぶち壊し、でも8点)。[映画館(邦画)] 8点(2011-03-23 10:30:23)

20.  キッチン(1989) 《ネタバレ》 「映画化」なんぞはゼッタイ不可能な淡い感覚表現だらけの原作を、思い切って映画の側から、映画に出来ることに沿って作った映画で、成功していると思う。ただ映画には叙事性が欠かせないので、それが足りないのは原作の問題なのである。いずれにせよ、森田芳光、『そろばんずく』『悲しい色やねん』と連続して空振り三振のあとの、久々のヒット性の当たりであった。[映画館(邦画)] 6点(2011-03-22 20:54:01)

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