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【製作年 : 2010年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
1. 街の上で 《ネタバレ》 硬派な他者性が貫かれていることが、この一見穏やかな名作の根幹をなしている。主人公が相手の言葉をすぐには受け入れずに頻繁に反復して咀嚼する間(ま)、これが実に曲者である。細かい誤解や諍いがジャズのように反発と仮初めの投合を繰り広げながら束の間のハーモニーを奏でる。[DVD(邦画)] 9点(2024-10-06 13:39:58) 2. ジャンゴ 繋がれざる者 《ネタバレ》 この作品の構成には媒介項が不可欠である。まずは、黒人の味方をする白人が筋を引っ張る(黒人主人公と助力白人が捜索の旅に出る)→それを、白人の体制に忠実な黒人が妨害する→とうとう主人公の黒人の大活劇。プロップの『昔話の形態学』における、説話の必勝パターンのことを考える。[DVD(字幕)] 7点(2016-05-28 21:57:43) 3. フューリー(2014) 《ネタバレ》 戦争嫌いなインテリ(観客のことでもある)を戦争に無理矢理引き入れるという構図。まだこんな反ナチが大義名分の映画作っているのだな。[DVD(字幕)] 4点(2016-04-03 09:57:11) 4. 大鹿村騒動記 《ネタバレ》 阪本順治のよさで、なんとなくいい感じの出来に仕上がっている、ただただなんだかいい感じの映画、そんな映画があってもいいではないか。メリハリの利いたおもしろいストーリーの展開とかなんとかそんなものこの場合必要ない。手法的に印象的なのは、突如逆サイドからのショットが効果的に入ることがしばしばであることで、それは映画である以上当たり前のことであるかのようだが、舞台ものである分、おのずとそれとの差異化をはかっているとも思える。[DVD(邦画)] 7点(2016-02-21 19:04:49) 5. アーティスト 《ネタバレ》 トーキー映像部分(映画内映画)をもサイレントで描くという破天荒な試みもある(トーキーに慣れ切っている状況をあらためて相対化してみるのも悪くはない)。さて突然声が出なくなるというサイレント俳優の悪夢は、サイレント映画の中ではまさに声を根こそぎ奪われた感を表出する。[DVD(字幕)] 7点(2015-02-20 13:21:23) 6. 愛、アムール 《ネタバレ》 ハネケ映像のそっけない痛々しさは、ドキュメンタリー調とはまた違うものだし、ましてやフィクションの画調とはまったく縁がない。「そっけない痛々しさ」は、剥き出しになった危険な状態である。[ビデオ(字幕)] 7点(2015-01-03 21:29:36) 7. ハンナ・アーレント 《ネタバレ》 かたやハンナ・アーレントという人が凄いのは判っている。強烈な変化球だ(「悪の凡庸さ」などとたいへん穿った知見だ)。こなた「女性映画」ムーヴメントの中心にいまも居るのであろうトロッタは、しかし、世界を変革しようとするような積極的な「主体」が、皮肉にも映画向きではないことに夙に気がついている筈である。見るジャンル(映画)にあって主体というものはことごとく客体性へと転がされざるを得ないし、転がされてこそ生きる。だからトロッタもまた自覚的に変化球で勝負すべきだろうし、そうならたとえばヘビースモーカーであるアーレントという描き方は、もっともっと生かされなくてはならない。決して、立派な演説が映画なのではない。[映画館(字幕)] 6点(2015-01-03 15:05:46) 8. マン・オブ・スティール 《ネタバレ》 ビル崩壊の図であからさまに、9・11の悪夢がなぞられる。断絶し敵対的であるとされる異文化との間に媒介(なんとスーパーマン)が設定される。が、この媒介がCGレヴェルの超感覚の速度・破壊力で、結局は一方的な異文化排除になってしまう。[DVD(字幕)] 4点(2014-12-29 19:22:44) 9. ノルウェイの森 《ネタバレ》 この原作者の浅はかさ(学園紛争を「借景」のように使うのはその一例にすぎない)にはそもそも根本的な違和感があるのだが、映画は別物だという期待があった。しかしこの映画は残念ながらただの美しい風景の写真になっている。もっと室内で内容ある話をしろと言いたい(なんと単純な要請だろう!)。[DVD(邦画)] 3点(2014-12-07 23:48:22) 10. キャプテン・フィリップス 《ネタバレ》 手持ちカメラで単純に写しまくった感じの撮影。望遠気味レンズで背景をとばすとか、ピント移動とか、そういうのが無いので、画像的に飽きてくる。内容的には、海賊をはなから殺すつもりのアメリカの姿勢を告発しているのかなとも思ったりする(でなければ、ひどいなこれは)。そういえば、ソマリア人側にも多少寄り添う表現がなされるが、もうちょっとソマリアの現実と向き合う姿勢がなければ、映画になんかできないだろと思う。[DVD(字幕)] 4点(2014-06-22 19:17:13)(良:1票) 11. ゲーテの恋 ~君に捧ぐ「若きウェルテルの悩み」~ 《ネタバレ》 ゲーテの恋 ~君に捧ぐ「若きウェルテルの悩み」、という日本語標題が、売らんかなの気持ちがわかるがもっとなんとかならんかな、原題は、単に「ゲーテ」である。主役の野放図な感じがいい。「二十歳のときに若くない者が四十歳で若いはずがあろうか」(エッカーマンとの対話)というふうに作られている。[DVD(字幕)] 6点(2014-04-28 08:29:27) 12. 苦役列車 《ネタバレ》 n 個の事例からの選りすぐりの二三のものがプロットであり、それを基にして全体的なストーリーを観客が頭の中で構成するならば、友人から相手にされなくなるためにはこの映画に描かれた二三の絶望的な事例ですべてである(選りすぐりではない)と思える。主演がんばっている。[DVD(邦画)] 7点(2014-03-27 15:16:19) 13. 偽りなき者 《ネタバレ》 こういう強制的な映画はだめである。ドキュメンリー映画でももっと詩的自由はある。とはいえ、あの憎らしい子供の演技があまりにも素晴らしい。求愛表現がはねつけられたと感じたあの子供は、なんと「プライド」護持の嘘へと動いた。[ビデオ(字幕)] 6点(2014-03-15 23:14:15) 14. 土竜の唄 潜入捜査官 REIJI 《ネタバレ》 軽快な笑いがグロさと絶叫の連続を縫って疾走するというところだろうか。ただ、グロさと絶叫の連続が苦手な者は、疲れた苦笑い。 [映画館(邦画)] 4点(2014-03-12 22:26:07)《改行有》 15. 小さいおうち 《ネタバレ》 松たか子がいい!ところで、人物たちを泣かせるのが多いのだが泣くのをこらえさせる演出をしたほうがたぶん効果があると思う。泣くのは、観客の仕事なのだ、笑いと同様に。 山田監督作品は「寅さん」シリーズと『たそがれ清兵衛』だけが良い例外。[映画館(邦画)] 6点(2014-03-01 22:20:36) 16. ゼロ・グラビティ 《ネタバレ》 映画編集が通常こだわっている左右の恒常性などの位置関係の安定性が、当然ながら、いっさい宙吊り(宇宙吊り?)になるのが手に汗握る感じである。地上に戻れて(映画館の外に出られて)うれしいという感じであった。 [映画館(字幕)] 5点(2014-02-28 23:11:37)《改行有》 17. ヒューゴの不思議な発明 《ネタバレ》 3D用に『列車の到着』のあの観客席驚愕伝説を持って来た。3Dは何も新しくないこと(映画の歴史のはじまりのまま)の証明のようなものだ。さて本題のメリエス。メリエス作品が手回しで映写されるという設定だが映像はチョコマカしている、つまり手回しではなく、のちの1秒24コマのスピードである(これはどうかなぁ)。まあしかしメリエスのガラスのセットは良い、あれは本当に良い。 [ビデオ(字幕)] 5点(2014-01-30 20:25:20)《改行有》 18. 桐島、部活やめるってよ 《ネタバレ》 丹念に作った名品という感じである。「桐島」なるマクガフィンが引き起こす運動と細部がいちいち面白いのが身上で、「別の視点からの別の見え方」という造りは本気のねらいではなさそうだ、が、これをもっとねらってもよかったかも(『運命じゃない人』みたいに)。恋人にするならアスリートかアーティストかという古典的な二者択一がとっくに無意味のはず(アスリートの圧勝)なのに、まだ、アーティストのルサンチマン(ゾンビに化ける)は生きていた、というのが面白い。 [DVD(邦画)] 9点(2013-02-25 15:36:42)(良:1票) 《改行有》 19. バーレスク 《ネタバレ》 かつてヘイズコードは、セクシーな踊りや声を抑圧し爽やかなミュージカルに変えたと言われるが、そういう事情が飲み込める作品だ。迫力ヴォイスのセクシーな主役に実力があるのは明瞭だが、映画としては物足りないのは仕方がない。[DVD(字幕)] 4点(2012-11-26 20:34:53) 20. サラエボ,希望の街角 《ネタバレ》 原題が「何かに向かう途中」であるそうで、ならばこの邦題はひどい。淡い「希望」に託すとかではなく、自覚的に生き方を選び取る映画だ。歩み寄れないカップルが、決裂し、それぞれの道を行く。「家庭」や「ひとつになること」がゼッタイに大切という発想ではこういう映画は作れない。 [DVD(字幕)] 7点(2012-09-16 05:30:40)(良:1票) 《改行有》
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