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【製作年 : 1960年代 抽出】 >> 製作年レビュー統計
1. ワイルドバンチ 《ネタバレ》 これまでの勧善懲悪型の西部劇とは一線を画し、アウトローたちとその末路、そしてその古き西部劇の時代への告別を感じさせる傑作だと思う。 キレイ事を語らせて、観客に媚びることは一切しない。残虐であろうとなかろうと、登場人物たちが生きていくためには選択せざるを得ない・・・あるいはそうするしか生きていく術がない人たち。無慈悲で容赦ないペキンパーのそうした視線を感じつつも、運命共同体的な男同志の絆をデリケートかつ荒々しく描いていて、そこに魅せられる。 ピークはやはり、ラストのスローモーションの手法を用いた大殺戮場面。 俳優たちも皆、渋くてカッコいい。役作りにあたって、ペキンパーを観察しペキンパーを真似したというホールデン・・・ペキンパーの娘が父にそっくりと語っているが、その意味でもペキンパーの自己投影を最も現わした作品のひとつといえるのかもしれない。[DVD(字幕)] 9点(2011-01-06 15:23:46)《改行有》 2. 王女メディア 《ネタバレ》 パゾリーニの音楽に対する造詣の深さ(とりわけクラシック音楽について)は、つとに知られるところではあるが・・・この『王女メディア』では日本の地歌や筝曲、ラマ教の読経?、イスラム教徒のザグルール(叫びと手拍子)などなど異文化のカオスは、「ギリシャ悲劇」のオリジンを不明にするものとして、私は当初、違和感を抱いていた。 しかしながら、それが気にならなくなってきたばかりか、西洋音楽の音階とは全く別世界の音調・・・レンジも狭く、おそらく西洋人にとっては音階やメロディーのない音楽の持つ呪術的な不気味さ、畏敬の念を感じさせたのだろうと私は想像している・・・映像とパゾリーニが意図した作品のテーマに合致していることに感心させられるようになってきた。 大悲劇というスケールより、バーバリスティックな宗教儀式の挿入などギリシャ世界とは異質な独自世界を表出、セットもフィルムワークでも音楽同様にレンジが狭いものの、この作品の抑制されてはいるが、不気味で執拗な感情の変遷に主眼が行われているように思う。 また、主役メディアをマリア・カラス。彼女はギリシャ人でもある。私なんぞは、この映画を見るより先にオペラ歌手マリア・カラスとして、同じ題材を扱ったケルビーニ作曲の「メディア」を聴いてしまっていたため、どうしようもない先入観を持ってしまう。とりわけ、このオペラ作品については音楽史の中に埋没していたものを、マリア・カラスが蘇演させ、作品の評価を決定付けたものでもあり、メディアといえば未だカラス以外の余人をもって代えがたい作品である。彼女の声の劇的で表現の深さ、役柄や言葉のデョクションを徹底的に掘り下げるスタイルなど、おいそれと凌駕するものはいないほどの圧倒的存在ではあるが、こうして歌わない演技だけの彼女の姿を見ても演劇人としての稀有な才能が改めて再確認された次第であった。この映画は、間違いなくカラスを抜きにしては語れないし、おそらく製作されなかったものだと言っても過言ではないと思う。 おそらくパゾリーニは・・・マリア・カラスという人の映像は数えるほどしか残されていないことは悉くも残念なこと・・・パゾリーニの彼女の偉大な才能に対するオマージュでもある。こうしてマリア・カラスの貴重映像が残されたことの意義は、極めて大きいと思う。[ビデオ(字幕)] 7点(2010-12-28 13:13:14)《改行有》 3. 続・夕陽のガンマン/地獄の決斗 《ネタバレ》 最後の3つ巴決闘シーンなど、バカバカしいと思いながらも・・・あの引っ張り方といい、すっかり楽しんでいる私はもっとバカなのかもしれない。 誰が悪人か?なんて・・・みんな悪人なんだけど、主役3人の中のキャラクターでは個人的にはトゥーコが一番好きだし、それを演じるイーライ・ウォラックの味と演技に魅せられてしまった。それ故か、ややトゥーコを贔屓して見ている自分がいる。 このレオーネ初期三部作、1作目はクリント・イーストウッドに痺れ(もちろんヴォロンテもだけれど)、2作目はリー・ヴァン・クリーフの渋さに、3作目ではイーライ・ウォラックのコミカルで野卑だけど憎めない味わいに感じ入るという風情。一作ごとに加わった新しい主役陣に次々と目を奪われてしまったという感想。[DVD(字幕)] 8点(2010-12-27 01:37:03)(良:1票) 《改行有》 4. アルジェの戦い 《ネタバレ》 イタリアン・ネオ・レアリスモの薫陶を受けた監督だけあって、テロやレジスタンス活動を無慈悲に淡々と描写する冷酷さと気迫が同居していて、有無を言わさぬ訴求力を感じる。 ピークはラスト・シーンで、アルジェ独立を叫ぶ民衆が迫ってくる場面には圧倒される。しかしその一方で、革命思想の主張も感じてしまい・・・立場も思想も異なる私には全面的に理解できない部分だと思う。[ビデオ(字幕)] 8点(2010-12-26 02:19:52)《改行有》 5. 夕陽のガンマン やはり、リー・ヴァン・クリーフ。カッコいい!渋い!ティーン・エイジャーだった30年くらい前に見てから、こんなカッコいい大人になりたいと憧れたものでした。今ではありがたくDVD鑑賞。何度見てもワクワクする。[DVD(字幕)] 8点(2010-12-14 12:57:14) 6. 博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか 《ネタバレ》 もう何度見たことか・・・初めて見たのは今から四半世紀前、まだ19歳だった頃で、三軒茶屋の自主映画館で見た。原爆投下された広島の出身者でもあったせいか、映画の真意が理解出来ず、当初はこの映画を見て怒ってしまった・・・今から思えば自分がいかに未熟な子供だったかを思い知らせてくれる。 今ではキューブリックで最も好きな作品でもあり・・・何度見てもコワいけれど、イカレまくっている狂気の世界に魅せられてしまう。やはりストレンジ・ラヴ博士が自分にとっての最大のヤマ!性的不能者(インポテンツ?)と右手の不可解な動きは自慰行為もままならない?などなどと想起させてナンセンスであり、キノコ雲の描写に到ってはカタルシスが頂点に達した表現とでも言えそうな異様さ&不謹慎さ? ストレンジ・ラヴの演説の内容がナチス・ドイツそのものであり、最後の立ち上がるシーンはナチスの復活を宣言する部分としてもコワイけれど、性的表現とのダブル・イメージを考えれば考えるほど、震撼させられてしまうのだった[DVD(字幕)] 10点(2010-12-14 12:35:57)《改行有》
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