みんなのシネマレビュー
アラジン2014さんのレビューページ[この方をお気に入り登録する

◆検索ウィンドウ◆

◆ログイン◆
メールアドレス
パスワード

◆ログイン登録関連◆
●ログインID登録画面
●パスワード変更画面

◆ヘルプ◆
●ヘルプ(FAQ)

◆通常ランキング◆
●平均点ベストランキング
●平均点ワーストランキング
●投稿数ランキング
●マニアックランキング

◆各種ページ◆
●TOPページ
●映画大辞典メニュー
●アカデミー賞メニュー
●新作レビュー一覧
●公開予定作品一覧
●新規 作品要望一覧照会
●変更 作品要望一覧照会
●人物要望一覧照会
●同一人物要望一覧照会
●関連作品要望一覧照会
●カスタマイズ画面
●レビュワー名簿
●お気に入り画面
Google

Web www.jtnews.jp

プロフィール
コメント数 741
性別 男性
自己紹介 ソフト化されたタイミングでのレビューが中心です。2008年、子供の頃から夢だった自宅シアタールームがついに実現しました。(100~110インチ程度、音響2.1ch)できるだけネタバレせずに書いていますので文章がおかしい場合もあると思いますが、暖かい目で見守ってやってください。(2014初登録)

投稿関連 表示切替メニュー
レビュー表示レビュー表示(評価分)
その他レビュー表示作品用コメント関連表示人物用コメント関連表示あらすじ関連表示
コメントなし】/【コメント有り】
統計メニュー
製作国別レビュー統計年代別レビュー統計
要望関連 表示切替メニュー
作品新規登録 / 変更 要望表示人物新規登録 / 変更 要望表示
要望済関連 表示切替メニュー
作品新規登録 要望済表示人物新規登録 要望済表示
予約関連 表示切替メニュー
予約データ 表示

評価順1234567891011121314151617181920
212223242526272829303132333435363738
投稿日付順1234567891011121314151617181920
212223242526272829303132333435363738
変更日付順1234567891011121314151617181920
212223242526272829303132333435363738

1.  マルホランド・ドライブ 《ネタバレ》 世に溢れる考察サイトにも書かれていますが、リンチ監督の頭の中(ベティ=ダイアンの頭の中というべきか)が上手く具現化された珠玉の名作だと思われます。いえ確かに、、全体的に脈絡が無く観客視点的には置いてけぼり感強めの作品であるのは事実ですが、しかし不思議なことに妙に熱中してしまうのです。イレイザー・ヘッドしかり、リンチ作品にはなんだかよく判らない不思議な魔力が詰まっているのは確かなようです。 深夜のサンセット大通りの美しいヤシの並木、小指を立てて飲むエスプレッソ、夢の中でしか会いたくない不気味な浮浪者、妙に欲しくなる青い鍵と青い箱、不気味なカウボーイの言葉、深夜のクラブ・シレンシオの司会者etc、、、 とにかく本作には引き込まれる何かがある。リンチ監督は映画体験がどういうモノかよく理解して映画を作っているような気がします。個人的には全てのシーンでの、あの”まどろっこしい間”が本当に素晴らしい。何か出そうな、でも出ないような、待ちかねるような、しかし待ちかねないような、なんともいえない絶妙な間とカメラワークが本当に素敵でした。 で、 この作品を時系列通りに並べてしまうと、、まるで退屈な作品に成り下がってしまいます。そもそも論、ベティ=ダイアン(ナオミ・ワッツ)が失恋の感傷に浸ろうが後悔して妄想を繰り広げながらオ●ニーしようが、見ている観客には割とどうでもよかったりします。しかしこのどうでもいいことを、さも大事なことのように表現されている点がこの映画の肝です。というか、心底素晴らしい点です。(いや、でも冷静に考えたら所詮妄想ネタだし、やはりどうでも良かったりする訳ですが・・) ダイナーで意味ありげに夢の話を繰り広げ、ケシャー監督がアイアンでマフィアの車を襲撃し、秘密結社が妙な電話のやり取りを行い、悪魔のカウボーイとの意味深な掛け合い等々、、これらに一体どれほどの意味があったのか?観客はリンチ監督の手の上でただ単に踊らされているだけなのか・・ 私も一度目の鑑賞時は結局何だかよく判らないモヤついた気持ちになりました。速攻で考察サイトを読み漁り翌日再トライ。内容を理解してしまえば、皆さんが高得点を付けているのがよく解ります。見れば見るほどに各シーンの奥深さが感じられる?のか?少なくともそう感じさせる何か崇高なモノが宿っていると感じます。よく考えたらイレイザー・ヘッドも3日連続で鑑賞することになったし、エレファントマンも素晴らしかった。もしかしたら私はリンチ監督の作風がもの凄く好きなのかもしれない。 ちなみに、大好きなロバート・フォスターの意味深なセリフが無意味だったのが悲しかったです、また、オーディション時にエロい演技でウディ・カッツ(チャド・エヴェレット)を官能的に誘惑するシーンはちょっとしつこかったかなと思いましたので-1点といたしました。[インターネット(字幕)] 9点(2025-02-06 18:26:49)
《更新》
《改行有》

2.  フィラデルフィア お涙頂戴物語なんだと勝手に決めつけていて、今まで本作を手に取ることはありませんでした。録画されていたので落ち着いて鑑賞してみたと、意外にも淡々と現実を見せ切る正直路線だったので少々驚きました。トム・ハンクスは沢山の主演男優賞を受賞していますので、一般的にはトムハンクス・アプローチは正しいと思いますが、私は彼の過剰表現が嫌いです。しかし本作の彼はそんなに悪くはなかったです。 アメリカという国において、独立宣言が発せられたフィラデルフィアで偏見や差別が行われているのが皮肉として面白いといわれていますが、ソレとコレは別の話のような気がします。そもそも、主人公アンドリュー・ベケット(トム・ハンクス)は大会社の上層部に食い込みたいという野心と情熱があった割に、自身が蝕まれているエイズという特殊な病気のことをあまりにも軽んじていたように思います。彼が考える基本的人権と平等を得たいという感覚や気持ちは理解できるものの、法律に詳しいアンドリューでしたらこの映画のような流れは必然だったように感じます。訴訟大国アメリカにおいて、ゲイであることとエイズ発症を隠して大手法務部に食い込むのはあまりにもリスキー過ぎる行動だったといわざるを得ません。 しかし本作において法廷部分はあまり重要ではないのか、、法廷論争はウマく流れていません。見ている側、特に私に限ってはほとんど中身が入ってきませんでした。アンドリューの痛々しい風体ばかりが目に入って話し合っている中身が入ってきません。他の方がご指摘のように、アンドリューを助ける弁護士ミラー(デンゼル・ワシントン)もイマイチ空気と化してしまっていて、うまく鑑賞者の立場になっているようには思えませんでした。法廷部分に関しては連続ドラマ、アリー・マイ・ラブのほうがずっとドラマチックで面白かったように感じます。 鑑賞後、日を開けてレビューを書こうとするとあまり得るものが無かったように感じます。しいて挙げれば、、この当時はまだまだ世の中は偏見と欺瞞に満ちていて、エイズと聞けば同性愛、不潔、近づくとうつる、感染したら死ぬ等、未知のウィルスに対して偏見の塊で見られていました。現代、体液を介さないと感染しないと判っていても、やはり一緒に食事をするには緊張してしまいます。悲しいかな、ウィルス性の病気にはそういった怖さがずっと付きまといます。 長くなりましたが、ジョナサン・デミ監督が意図したように「独立宣言と差別」「ゲイ問題」など色々絡めてある割にはそれぞれがバラバラに独り歩きしているような映画でした。本作で名シーンの一つに挙がるであろう、マリア・カラスの「ラ・ママ・モルタ」のシーンもくど過ぎて見ていて嫌になりそうでした。。ただ、オープニング曲のスプリングスティーン「ストリート・オブ・フィラデルフィア」と、エンディング曲のニール・ヤング「フィラデルフィア」はそれぞれ名曲だと思います。[インターネット(字幕)] 6点(2025-01-26 16:28:51)《改行有》

3.  ザ・レポート 《ネタバレ》 画面が暗いのと併せて、、ドキュメンタリー番組よりも淡々と話が進む感覚をどう見るかで評価が別れそうです。リアルなのは素敵なことですが、ちょっとエンタメ性に乏しい作品だと感じました。 まず申したいのはアメリカという国はベトナム戦争の失敗から何も学んでいないということ。そもそも911は90年代のアメリカのお節介精神が生んだ負の遺産だと思うわけで、いざ自国が標的にされたとたんにこのようなバカげた暴力(目には目を、、的な精神)で強引に自国ファーストにもっていこうとする国民性が、そもそも浅はかで危険を呼び込む自殺行為だといいたい。調べてみると(目には目を、、的な精神)は旧約聖書等にも似たような価値観が記されているようで、まあいわずもがな・・と言ったところでしょうか。。 これは銃理論と同じ理屈で、守るために銃を持つということはその銃で自分が撃たれるリスクが同程度発生してしまうという矛盾です。悲しいブーメランを自ら作りだしているだけにすぎません。CIAも本来であればテロを未然に防ぐための機関であったはずが何もかも後手後手で、、結果的にはただ単に傲慢な行動しか起こせていないのが厳しい。彼ら組織(=アメリカ自体)が頭がイイのは認めますが、IQの高さ故の傲慢さも目立ってしまっています。 24のジャックバウアーやスノーデンなども引き合いに出して判りやすく説明されていますが、それでも本作の結末は少々鼻につきます。結局、彼らの理論では今回の件は他人事だし綺麗事にしかなっておらず、オバマが認めたならブッシュを含め関係者は全員厳罰を受けるのが筋ですが、関係者は皆昇進していると締めくくっています。また、被害者に対して国家としては賠償していないという事実も、この問題の顛末を端的に表しているように感じます。いくら綺麗事を並べたところで、結局は自分らを正当化して終わらせただけの茶番劇にすぎなかったということです。 当時話題になったニュースの内側が見られたという意味では価値ある作品でしたが、エンタメ性に欠ける点を考慮すると少し厳しめの点数にせざるを得ないです。最後に、主人公ダニエル・J・ジョーンズ(アダム・ドライヴァー)の行動や理念は心底素晴らしい点を付け加えたいです。結局のところ、このような素晴らしい人物はどこの世界(どこの国)でもトップに座ることはないという教訓も含んだなんとも虚しい作品でした。[インターネット(字幕)] 6点(2025-01-26 14:26:15)《改行有》

4.  ミスター・ガラス 《ネタバレ》 この三部作に関しては・・ とにかく流れが遅くて全体的に暗いです。しかしながら着眼点は非常に素晴らしく、他のDC系とは明らかにアプローチが異なっていて、その点はなかなか興味深いです。上手く作れば大人が見られる重厚なDC映画になり得たシリーズでしたが、残念ながらそうはならなかったのが残念でした。 そもそもDCコミック系の作品の監督にM・ナイト・シャマランは合っていないように感じます。彼は彼が得意とする「オールド」などのサスペンス系・謎解き系の作品に絞ったほうが良さそうです(知らんけど) 三部作のラストを飾る本作でしたが、結局ヒーローが生まれる理由や仕組みは解明されませんでした。特に残念だったのがラスト、あの風呂敷の畳み方はいけない。秘密結社とか組織とか・・ 最も逃げて欲しくない方向にガッツリ逃げてしまいましたね、これには心底ガッカリしました。 話題性も無く大して面白くもないシリーズでしたが、不思議なことにキャストは全員続投していて脱落者がいませんでした。これってシャマラン監督の人望?それともただ単にギャラが良かっただけ?重要な役であるダン(ブルース・ウィリス)の息子や、イライジャ(サミュエル・L・ジャクソン)の母がそのまま出ていたのは良かったです。あ、あともちろんビースト=ケヴィン(ジェームズ・マカヴォイ)とケイシー(アニヤ・テイラー=ジョイ)も、彼らの顛末も含めて非常に良かった。もしかしたらこちらのラブ系にもう少し話を広げたほうが面白かったかも(知らんけど) 全体的にもう少しスタイリッシュかつ明るくしてくれたら大化けしたかもしれません。例えるならダークナイトシリーズと同じ方向、リアル系の片翼を担える可能性があったシリーズなだけに、、非常に惜しいといわざるを得ません。個人的にはスプリットのほうがまだ面白かったかな。。[インターネット(字幕)] 6点(2025-01-20 17:21:52)《改行有》

5.  ザ・クリエイター/創造者 《ネタバレ》 映像は素晴らしいものの既視感アリアリでした。ハッキリいってローグワンに似てますよね。。上映時間もローグワンと同じでしたが、本作は時間の長さを感じませんでしたので熱中指数は本作のほうが上みたいです。 率直な感想としては「可哀そうなAIと無慈悲な人間」程度の構図しか読み取れませんでした。高度なAIといえば、見た目に反して難しいことをやらかすべきアイコンの典型ですが、本作では超兵器(アルフィー)が可愛い子供の見た目以上の行動をしません。 今後アルフィーが育っていくのかもしれませんが、高度AIは数日で人知を超えるとも言われていますので、やはり高度なAIが手を合わせて電源をON/OFFするだけという「バカなの?死ぬの?」程度の機能しか持たせなかったのはシュールすぎました。これでしたらAIびいきの人間スパイにON/OFFボタンをもたせてノマドに潜入させた方がよっぽど早いです。 ただし、セリフでは「ネアンデルタール人より極悪な人類が彼らを絶滅させた」とか「AIに愛してるといわれ、騙された息子(ハウエルの)は殺された」とか・・ かなり意味深な話が多く、ギャレス監督(兼脚本)やクリス・ワイツ(脚本)は、裏では何か深い意図をもってこの作品を作っていることが伺えます。(ただ、その意図が何なのか私にはよく理解できない) 最初にミサイルのボタンを押したのが実は人間のミスだった事実、その上でなおAIは「戦争せず平和に暮らしたい」と表明している以上、既に人間側が優位に立っているのは明らかです。このような世界観で、人間は頭に穴が開いたロボットを簡単に見分けることができるし、人間が人相手と同様にAIに愛情を注ぐかどうかは各自個人の趣向(や判断)になってきます。それなのにやたらと軍人が気張って全面戦争したり、ノマドという超兵器を作ってまでロボットを排除しようとする行動原理自体が全く理解できないものになっています。 また、主人公にマザーの延命治療をストップさせた意味もよく理解できませんでした。結局、AIを生み出した元の人間と、そこから生まれたAI、そしてそれらの間で揺れ動くパパさん家族の中だけの話に集約してしまっていて・・ この世界の人々の行動原理自体が全くよく理解できないものとなってしまっています。 とにかく、本作はとても綺麗にまとまっているように見えて、実は全くとっ散らかった作品だったように感じました。壮大な映像美、素敵な自爆型ロボットなどに免じてかなり甘めの評価です。[インターネット(字幕)] 7点(2025-01-17 16:35:21)《改行有》

6.  フォーエヴァー・ヤング/時を越えた告白 《ネタバレ》 初志貫徹、タイトル通りに若いメルギブとお婆さん(ヘレン=イザベル・グラッサー)の純愛を描き切って頂きたかったです。ぶっちゃけ、、急激に年を取ってメルギブをヘレンと同じ年格好にする必要性があったのか大いに疑問でした。(冬眠した意味ないじゃーん) この映画の主題をサブキャラが体現するシーンが素敵でした。主人公とナッド君(イライジャ・ウッド)の交流が面白いのはもちろんですが、ナッド君の初恋のおかげで「愛する人に自分の気持ちをきちんと伝えることの重要性」が教訓として判りやすく表現されています。その後のナッド君の告白シーンも素敵でしたので、できればナッド君の初デートシーンくらいはラストカットに入れていただきたかったところです。 あと何気に気になったのが、割と重要な立ち位置であったハズのクレア(ジェイミー・リー・カーティス)や医師であるその彼氏さんがメルギブのせいで空気と化してしまっていたのが気になりました。メルギブがキャラとして強過ぎるので仕方がないにせよ、FBIを騙してFBIとカーチェイスしたり昔の飛行機を飛ばすというド派手な展開があるにもかかわらず、絵的には派手に見えないというのは映画としてはかなりイタかったです。結局主人公(メルギブ)のアップシーンが全て持って行ってしまう展開は、、映画としてはちょっとどうかなとは感じてしまいました。 前半から中盤にかけては割と面白かったものの、終盤凡作に成り下がってしまったように思います。先述の通りFBIが投入されてから絵的には大掛かりになった反面、それが悪い方向に作用してしまって全く空回りしています。コメディにもアクションにもなれず、大したが感動もないよく判らない恋愛映画に成り下がってしまいました。色んな意味で軽い気持ちで流し見する程度の作品だと思われます。[地上波(字幕)] 5点(2025-01-13 16:46:27)《改行有》

7.  ラストエンペラー 中国最後の皇帝といえば紫禁城と愛新覚羅溥儀は非常に有名ですが、溥儀の人生や史実に興味がない人にとっては実はほとんど知られていない物語かもしれません。本作では私も含めて世界の素人さんに向け、溥儀の自伝を原作として美味しい部分だけをダイジェストで見せてくれます。内容の良し悪しはともかく、歴史の一片という意味でも見て損のない映画に仕上がっています。当然のようにアカデミー作品賞、監督賞を含む主要9部門を受賞し、名作としても世に認められています。 しかしいくら名作認定されているとはいえ、見終わった後に「面白かった?」と聞かれると微妙かもしれません。少なくとも中国や満州の歴史にほとんど興味がない私にとっては、響くものがほとんどありませんでした。ひょっとすると紫禁城を訪ねたことでもあれば、、もう少し熱中することができたのかもしれませんが。 主人公「溥儀(ジョン・ローン)」の人生が気の毒すぎて見ていて痛々しいわけですが、しかしながら本人はその都度自分が置かれた状況を精一杯楽しんでいるように見え、意外にも彼自身は悔いのない人生だったように感じます。世の中には万年底辺人生の人間も沢山いますので、そういった意味では波乱万丈とはいえ溥儀はラッキーなほうだったのではないでしょうか。 一般的な普通の日本人としてこの映画を見た時、一体どんなカタルシスを得、どんな気持ちでこの映画を見終えるのが正解だったのかとても難しいです。日本人であれば天皇と重ね合わせるべきだったのか?満州のシーンも結局は溥儀とその妻にフォーカスされ、イマイチどこに感情移入すべきかよく理解できません。私はシンプルに、よその国の他人の物語として淡々と見て終わってしまいましたが、中国や満州の歴史に詳しい人や教養のある人がこの作品を見た時、一体どんな感銘を受け、心に何が突き刺さるのか大いに興味が湧きます。 私なりの持論に当てはめると、アカデミー受賞作品で面白いと感じた映画は非常に少ないです。退屈するほどではないけれど特別感銘を受けることがなかった映画です。映画としてはある意味最も致命的な評価の作品かもしれません。ちなみに、、皆さん同様、多数の中国語のカンフー映画が反乱している中、英語で紫禁城と溥儀の映画を撮影したのは大きな失敗だったと感じます。ここはやはり中国語を死守すべきでした。[地上波(字幕)] 7点(2025-01-13 16:39:00)《改行有》

8.  オッペンハイマー 個人的にアカデミー受賞作品はハズレという持論をもっていてなかなか気乗りせずアマプラ入りしてようやく鑑賞しましたが、やはり自分の勘は当てになるようです。ちなみに自宅アマプラではありましたが、100インチ2.1ch環境と十分大画面で鑑賞できたと思います。音楽がやたらと過剰でやかましく、できればもっと落ち着いて静かに鑑賞したかった印象です。 個人的には、、意欲的だったインセプションの成功に裏打ちされたインターステラーまでがノーランの最高傑作だったと思っています。まあ確かにインセプションの成功の陰にはメメントやバットマンシリーズがある訳ですが、思い起こせばメメントやバットマンシリーズもちょっと小難しくて見るのがしんどい映画でした。この”ややこしい”感覚が最近では益々行き過ぎてしまって、テネットではまさに観客を無視して独走状態といったところまで加熱してしまいました。 上記の通りダンケルク、テネットと益々判り辛くなっていたところでしたが、本作オッペンハイマーは割とシンプルな作品でした。ただしそもそも論として題材は極めて退屈なもので、、NHKで放送されるドキュメンタリー番組に原爆の悲劇的な写真が挟み込まれてようやく見る気になるような暗い題材であったのは事実です。これをエンターテイメントとして見せ切った勢いには感服しますが、日本人=原爆を投下された側の国民なので作品が意図していない方向に感情が動きそうになるのを抑えるのに必死になりがちです。ノーランお得意の時系列を細切れにした演出ですが、本作ではさほど複雑にはなっていません。むしろ別の意味で効果的に機能しており、悪意を持って鑑賞する一部の層や、日本人の感情を上手く退ける効果はあったと感じます。 (当時の政治的思想や物理学者などのことをある程度知っているという前提ですが、)本作はあくまでオッペンハイマーの心の内を表現した作品で、きちんとそういう見方が出来た人には評価は高いと思います。ノーランお得意の時系列バラバラ作戦をもって、なんとか原爆を投下された側の気持ちをうやむやにさせる仕組みは機能していたものの、実際問題「原爆を投下された側の人間が世の中には確実に存在している」以上、事実は事実としてきちんと言及していただきたかったような気もしました。 そういった意味では少々ずる賢さすら感じてしまいましたし、原爆を投下した側のアメリカが自国で主催するアカデミー賞を自国で受賞してしまうのは・・ 「やはりあの国ってそういう国なんだろうな」とも感じてしまいました。そもそも、冒頭にオッペンハイマーを「プロメテウス」として表現してしまったのは大きな間違い・奢りではないのか?色んな意味でちょっと難しい映画でした。[インターネット(吹替)] 6点(2025-01-07 15:39:43)(良:1票) 《改行有》

9.  FALL/フォール 《ネタバレ》 撮影方法やストーリーの流れは本当に素晴らしい映画ですが、しかしながら一般常識をもった観客にはこの物語の根幹部分が全く理解できないため、、まともな人にとっては共感を呼ばない駄作に成り下がってしまいました。 今時と言ってしまえば確かにそうなのですが、この映画を端的に表すとすれば「迷惑系ユーチューバーの末路」という程度のドラマ性しか表現できていません。主人公たちの生き方や理念(理念=根本的な考え方)に全く共感できない、むしろ嫌悪感すら抱いてしまうドラマ性のおかげで、一般的な大人にとってはこの映画は残念なものになってしまいました。 ダンとベッキー夫婦はフリークライミングという、命の危険が伴う趣味を自ら進んで行っています。自分から死ぬ可能性がある行動をしておきながら、パートナーが死んでしまったら一年以上も酒に逃げる生活をするような人間性には共感できないし、立ち直る切っ掛けが600mの建造物に違法に登ることだなんて・・ 大人が見たら開いた口がふさがらないとしか言いようがありません。挙句はハンターの激白で”あんたの旦那と浮気してました”。。まあ似たもの同士なのでしょうあなたたちは。(これに関しては、遠巻きながらパパから意味深なセリフが用意されています) ただ、後半判明する実はアレだったというカラクリは心底素晴らしかったし、ピザサイズしかない頂上でのワンシチュエーションで60分もたせたストーリーの組み立て方は本当に上手かったです。皆さん同様、下半身がヒュンヒュンしっぱなしな映像ラッシュは、、もう本当にお見事としかいいようがありませんでした。 何気に気になった点を書いておきます。あれほど不安定かつ小さな場所に二人でいる場合、普通なら真ん中の支点に何かを巻き付けておかないと手を離せないハズですが、普通にカメラ片手に上向いたり色んなポーズを取っていたのは気に入りませんでした。あと、トラックにドローンが衝突するシーンもご都合主義すぎるかなって思います、動いているものがあれば普通は気になるし注意するハズ。最後に、、予備のロープくらいは持っていけよって思います。15mが二本あれば二人とも助かったかもしれません。 辛口レビューでしたが、この映像表現は唯一無二のものだと思いますので、そういった意味では本作を手に取る価値は大いにあります。少しオマケしておきます。[地上波(吹替)] 7点(2024-11-21 18:30:47)《改行有》

10.  エレファント・マン 《ネタバレ》 映画ファンを名乗りながら今更「エレファント・マン」を見ました。恥ずかしながら私は「どうせファンタジーみたいなおとぎ話でしょ?」って今日まで思っていました。 デヴィッド・リンチ作品といえばやはり名作(迷作?)「イレイザーヘッド」が思い出されますが、本作もモノクロで時折イレイザーヘッドを思わせるようなシーンもあって意味深な気持ちにさせてくれます。また、壁の絵や一つ目の頭巾などの雰囲気もとても素晴らしく、序盤から映画に引き込まれる演出はなかなか素晴らしいです。エレファント・マンことジョン・メリック(ジョン・ハート)の半生を綴る本編は基本的にリアル志向で無理な描写がありません。むしろ的確に彼の心理描写を作品に落とし込むことに注力しているようで、物語の進行もドラマチックというよりは淡々とした印象でした。 やはりトレーヴェス博士(アンソニー・ホプキンス)と彼の妻(ハンナ・ゴードン)、舞台女優のケンドール夫人(アン・バンクロフト)、婦長(ウェンディ・ヒラー)らが優しくて目頭が熱くなります。対するバイツ(フレディ・ジョーンズ)や夜警の男(マイケル・エルフィック)らの仕打ちは極めて残酷で、こちらは違う意味で目頭が熱くなります。いじめのシーンは容赦がなく見ごたえ十分ですが、ここでもメリックは告げ口をせずこの人物の人の好さがにじみ出ます。奇形者の見世物興行のシーンは痛々しく描かれていますが、実際には和気藹々と人気者街道を歩んでいたようで、彼のIQの高さとポジティブ思考、そして人の好さで意外ときちんと過ごしていたことが伺えます。(映画ではそう描かれていませんが) この映画のクライマックスはやはり駅で叫ぶシーンだと思います。「僕は象人間じゃない、これでも人間なんだ」”これでも”という言葉が涙を誘います。とにかくメリックの人柄が素晴らしくて、神様は心底残酷なことをなさると感じた映画です。この後に配置されている劇場のシーンでは、、演者でなくメリックのほうがスタンディングオベーションを受けますが、これもなかなか泣かせるシーンに仕上がっています。 ある程度事実に基づいているようですが、映画版のラストは非常に素晴らしいです。頭が大きすぎて横になると窒息の懸念がある彼が「いつかは普通の人のように横になってベッドで眠ってみたい」という願望を実践、そのまま亡くなってしまったであろうラストカットが素晴らしい。ストーリー上は安住の部屋を与えられ、友人には人並みに扱われ、初めての演劇で高揚していたようで、普通にベッドで眠ろうとする彼の仕草が本当に健気で泣けます。(演出上は亡くなったかどうかは不明ですが、”横なって寝てはならない”という伏線から考えると亡くなったと考えたほうが自然) 「もしも自分が化け物のような外見だったら?」と思うと生きた心地がしません。五体満足で身体の各部位が正しい位置についているだけで幸せだし、コンプレックスなど些細な事だと感じられる映画です。多少事実と異なる点はあるものの彼の心情がとても良く描かれていて素晴らしい作品でした。一生に一度は見ておくべき名作。[インターネット(字幕)] 9点(2024-11-19 16:41:42)《改行有》

11.  巴里の女性 《ネタバレ》 コメディではない&チャップリンが出ていないということで私も敬遠していましたが、ファーストナショナル以降は全て見てしまったのでついに本作も鑑賞しました。残りの超初期短編シリーズは流石にディスクを購入しないと網羅できそうにないですね。 結論から書くと本作「巴里の女性」は素晴らしい映画でした。もちろん多少粗削りに感じる部分も無い訳ではありませんが、この作品が101年前のものであるという事実を考えると無視できる問題です。また本作はサイレント映画であるのにシリアスなロマンスを詳細に描いてあるという事実にも驚きます。そしてチャップリン映画ではお馴染みの相手役エドナ・パーヴァイアンスを主役とし、チャップリン自身は出演せず監督に徹しているということも、この映画を見るべき理由の一つです。 上記の通り、チャップリン作品の中では極めて異例な本作ですが、落ち着いて鑑賞してみるとこれがとても完成度の高い映画であることに気付きます。現代人として意識せずに見ていますが、サイレント映画なのに人間の感情がとてもよく表現されていることに驚きます。他の方もおっしゃるようにコントラストや陰影を上手く取り入れてあり、影だけで人と成りや状況までも表現しており、これは紛れもなくチャップリンが製作者としても一流であることを示しています。 有閑紳士ピエール・ルヴェル(アドルフ・マンジュー)の振る舞いや仕草が本当に素晴らしく、この映画をより奥深いものへと昇華させています。元来田舎の底辺人種であるマリー・サン・クレール(エドナ・パーヴァイアンス)が真珠を拾いに行くシーンにそれぞれの価値観が象徴されていて、これを腹を抱えて面白がるアドルフ・マンジューの表情や仕草はとても意味深く、この映画随一の見せ場になっています。そもそも全てを自由にできるピエールが面倒なマリーに執着する必要性など全くなく、なぜ彼女を手放さないのかも興味が尽きません。 マリーお抱えのマッサージ師の表情もとても興味深く、友人の裏切りを告げ口するフィフィ(ベティ・モリセイ)の言葉にシッカリ聞き耳を立てていて、サイレント映画でここまで表現してしまうともう恐れ入りましたとしかいいようがありません。 後半、ピエールと決着をつけたマリーが駆け付けた部屋で、ジャン(カール・ミラー)と母との会話を聞いてしまった時の心情を後ろ姿だけで表現したり、ラストに泣きすがる姿も「絵」として完成されていて言葉が必要ないシーンに仕上がっています。オチのつけ方も100年後の私たちが見ても納得いくもので、極めてよく出来た映画でした。チャップリンファンでしたら見抜かっていはいけない重要な作品の一つです。[インターネット(字幕)] 9点(2024-11-15 10:40:33)《改行有》

12.  チャップリンのニューヨークの王様 《ネタバレ》 チャップリン最後の映画ということでしたが、イマイチ何を描きたかったのかよく判らない作品になっています。色々と考察等読んでみると、どうやらアメリカの政治や社会に不満があってそれを皮肉っているようですが、イマイチそれも届いていないように感じます。そもそもアメリカを追放された後にそのようなメッセージを発しても負け惜しみにしかならず、このようなことはすべきではなかったようにすら感じました。 本作と併せて見た「ライムライト」のほうがずっと地に足がついた作品に仕上がっています。ただ、本作も酷評するほど悪くもなく、まあいってしまえば可もなく不可もなくといった凡唐な作品でした。チャップリン最後の作品として映画ファンとしては押さえておきたい作品ではありますが、個人的には本作ではなく「ライムライト」のほうを押さえるべきだとも感じます。 想像の域を出ませんが、第二次世界大戦が終わり10年も過ぎた時代です。アメリカ的にいうなら”アメリカの黄金期”ですので、色んな意味で新しい価値観や生き方が芽生えていた時期でしょう。そういった新しいジェネレーションの中で、チャップリンの価値観ではもう世の中にはついていけず、アメリカからもつまはじきにされた彼の心情をつづった作品なのかもしれません。しかしそれすらもイマイチ観客の心には届いていないように感じる寂しいラストを飾った作品だったといわざるを得ないです。[インターネット(字幕)] 6点(2024-11-14 16:52:54)《改行有》

13.  ライムライト 《ネタバレ》 名作を知らずに死ぬのは惜しいということで、チャップリンとヒッチコックを見ています。80作品ほどあるチャップリンですが有名作品は大分網羅しつつあります。 本作「ライムライト」はとても良い。しかしこの映画は全盛期のチャップリンを知っているという前提で見るべき作品で、カルヴェロ=チャップリンの過去の栄光を深く知っていればいるほど、カルヴェロが置かれている状況に共感できるウマい作りになっています。また、年齢的にもカルヴェロの年齢に近いほど共感を呼ぶ大人向けの作風にもなっていますので、裏を返せば若者にはあまり響かないのかもしれません。 設定自体はかなりご都合主義で、自分の子供より若い女性とこのようなウハウハなシチュエーションになることなどまずあり得ないし、しかもそれがプリマを約束されるような才能豊かな美女では、、あまりにも出来過ぎた話です。まあこの映画で描きたかった部分はそこではないのでしょうから、これに関しては華麗にスルーすべき部分だとは思いますが、ちょっと気になっちゃいました。 また、カルヴェロとテリーのバックボーンが軽い回想でしか描かれませんが、彼らの今の姿や言動から過去の彼らがいかに素晴らしい人間だったのか想像で補完する必要があります。この映画で一番に描きたかったのは本来人間としてあるべき「愛」の形、いわゆる「無償の愛」です。真に誠実な二人が出会い、真に誠実に、、互いを思いやった結果の物語になるよう、見ている側の人間の想像力をも試されるレベルの高い作品です。 バレエのシーンがこれ単体で見てもとてもよくできています。モノクロであるが故、テリーの姿が余計に美しく見えます。半面前半のカルヴェロのお寒いシーンは見ていて少々痛々しく、これが計算で成り立っているとするならお見事ですが・・。 真正面からストレートに、、老い、愛、生と死に向き合った名作です。嫌味がなくて美しい作品ですので、雑念や疑念を捨ててチャップリンが作り上げたこの世界観に飛び込んでみてください。映画ファンでしたら見るべき名作の一つなのは間違いない作品。[インターネット(字幕)] 9点(2024-11-14 16:23:59)(良:1票) 《改行有》

14.  チャップリンの殺人狂時代 《ネタバレ》 本作はチャップリン作品の中ではイマイチですが、それでもギリギリ楽しむことが出来ました。誤解を恐れずにいってしまえば、本作の作風でしたら明らかにヒッチコックのほうが楽しめるし、ヒッチコック向けの題材でもありました。 個人的にはチャップリンはやはり無声映画時代が最高だと思っていますので、この年代の作品はストレートに心に入ってきません。彼がしゃべってしまうと、それだけでもうチャップリンである必要性がないようにすら感じてしまうのです。 【K&K】さんもおっしゃるように、原題「Monsieur Verdoux(ムッシュヴェルドゥ)」を邦題では「殺人狂時代」としており、なかなかウマいです。本作はフランスに実在した殺人鬼を元にオーソン・ウェルズが脚本を書く予定だったそうですが、結果的にチャップリンが仕上げたようです。後にオーソン・ウェルズ本人が自分が原案だと吹聴したような話がWikiに掲載されていますが、横取りしたチャップリンもチャップリンかもしれません。 映画全般、騙しの五重生活はまあそれなりに楽しめますが、問題はラスト付近で見られる有名なセリフ、「一人を殺せば殺人者だが、百万人を殺せば英雄だ。私などアマチュア」等のシーンです。あまりにも取って付けたようなセリフで違和感を感じずにはいられません。これでは遠巻きながら共産主義と呼ばれても仕方がないとすら感じました。この作品をもって「平和主義」とは少々無理があります。。また、中盤、出所したての若い美女をなぜ生かしたのかの行動心理がイマイチ理解できなかったところも解せません。まあ結果的に彼女のおかげで罪と向き合うことになるキーマンな訳ですから、もう少し丁寧な心理描写や説明が欲しかったところです。 個人的には、、やはり映画に政治的理念を含んだ難しい解釈を持ち込んではならないと感じた作品でした。[インターネット(字幕)] 6点(2024-11-14 16:19:00)《改行有》

15.  サニーサイド 《ネタバレ》 中期頃の程よい長さの作品。チャップリンの歴史上はスランプ時期といわれる時代ですが、こういう粗削りな雰囲気が好きです。随所にお笑いポイントがあって書き出すとキリがないのですが、牛追いが牛に気付かず真っすぐ行くとか、牛と間違ってふくよかな女性を棒で突くとか、、自分の牛を探している最中に道で出会ったふくよかな男性が自分の牛かどうか確認するとか・・ 結構ジワる流れが多い作品です。 後半のロマンスの流れはチャップリンお得意の若干寂しさを感じるものですが、オックスフォードシューズのシューズカバーをほつれた靴下で代用する辺りが泣けます。元来気弱なところがあるチャップリンですので、今回も夢の中とはいえ自分から身を引いて去っていくシーンが寂しげ。この気弱な人の好さがこのキャラクターの良さでもありますが、ちょっと優し過ぎる感じも受けます。(でも戦う時はシッカリ戦うんですけどね) お尻に雑草を入れて挑んだ時に限ってお尻を蹴られないのも地味にジワるし、、モップのシーンは実際にはくだらなすぎて・・ でも最高に面白いのが不思議なシーンです。無声映画なので想像力が豊かな人ほど楽しめるところはありますが、まあ手軽にチャップリンを楽しむなら本作もお勧めできます。悪くない、よく出来た作品です。個人的にはなかなかのお気に入り!![インターネット(字幕)] 8点(2024-11-10 14:38:14)《改行有》

16.  一日の行楽 《ネタバレ》 20分足らずと非常に短い作品ですがお気に入りの一作。チャップリンの歴史上はスランプ時期といわれる時代ですが、こういう粗削りな雰囲気が好きです。まるでトムとジェリーのアニメのように気軽に見られますが、面白いのはやはり序盤の車のシーン。エンジンがかかった時の揺れ方がジワる面白さで、中盤にも交差点のシチュエーションコメディに車が出てきますが、この時は揺れてないんですよねww やはり意図的に不自然なほど揺らしていたということで、、とても素敵なシーンだったりします。 交差点のコントもテンポよく笑わせてくれます。警官も警官で注意した後にわざわざバックさせる間抜けさ。この警官はマンホールに落ちたりコールタールに張り付いたりと、最初から最後まで踏んだり蹴ったりでした。何気にコールタールから脱出した後のチャップリンの足技が素敵です。チャップリンはいつも犬の仕草を真似するのですが、今回も足で砂をかけるこのシーンの面白さ。また船に乗船する際にも濡れた足をブルブルする仕草が見られ、犬真似が個人的にツボっています。 船酔いのシーンもカメラの揺れだけで船酔いを再現する古典的手法がよく効いていて全体的に面白いです。船のデッキで繰り広げられる殴り合いには思わず変な笑い声が出てしまいます。「街の灯」でもボクシングシーンがやたらと面白くて、私の中ではチャップリンに殴り合いをさせると面白いというのが定説になっています。トロンボーンのシーンもくだらなすぎるものの心底面白いし、あと、椅子を使ったコントも最高に面白過ぎてもうね・・ スランプ時期とは思えない侮れない作品です。心底素敵な映画!![インターネット(字幕)] 8点(2024-11-10 14:33:43)《改行有》

17.  チャップリンのゴルフ狂時代 《ネタバレ》 本作もスランプ時期といわれる時代の短編作品の一つ。ゴルフボールのコントは古典的ではありますが非常に面白く、、思わず変な声が出ちゃうくらいベタな展開で笑わせてくれます。当時ってまだルールが確立されていなかったのでしょうか。。といえるほど、ほのぼのしたコントが繰り広げられます。てか、大喧嘩ですがw 本作には話の根幹部分に大きな矛盾があります。前半のゴルフシーンでバトルを繰り広げた太っちょ紳士と浮浪者ですが、後半のパーティの席で「This is my daughter and her hasband」と、瓜二つの浮浪者が間違って知人に紹介されてしまいます。これはちょっと変で、本来なら前半のゴルフの時に浮浪者が娘の旦那と間違われていないとつじつまが合いません。(まあ、ここは華麗にスルーしましょうか) 本作ではチャップリンが上手い具合に一人二役を演じています。この一人二役のシーンは創意工夫の賜物で、最初に中の人(チャップリン)をじっくり見せることで、まるで本人が中に入っているかのような錯覚を観客に植え付けることに成功しています。古典的ですが非常に上手い演出でした。ただし、紳士と浮浪者が瓜二つである説明がありませんので少し不親切ではあります。まあこれは観客自身が脳内でシチュエーションを補完すればよいだけですが。 今の時代の映画に慣れた方には無声映画は面白くないかもしれません。でも考え様によっては無声映画は想像する楽しみが多く、半分小説、半分挿絵を見せられているような楽しさがあります。本作もなかなかウマいシチュエーションコメディで楽しませてくれます![インターネット(字幕)] 7点(2024-11-10 14:22:44)《改行有》

18.  チャップリンの給料日 《ネタバレ》 名作を知らずに死ぬのはもったいないと思い、一生懸命チャップリンとヒッチコックを鑑賞しています。本作「チャップリンの給料日」は中期の、いわゆるスランプ時代(ファースト・ナショナル時代)の作品ですが、なかなか面白いシーンのみで構成されています。悪くいえば粗削り、良くいえば説明臭いシーンが一切なくスッキリした作品です。この時期の、いわゆる声が無い短編時期の時代がチャップリンの絶頂期じゃないかと思っています。本作も30分程度しかありませんがとにかく面白いです。 皆さん同様、レンガ、電車、恐妻、目覚ましが非常に面白い。昔は映像トリックといえばフィルムを裏表反対にするか逆再生くらいしかなく、本作では逆再生技法を極めたテクニックが堪能できます。技術に頼らず「いかにして逆再生した時に違和感なく見えるか?」を究極まで煮詰め、役者の演技で映像技術のほうをフォローしています。皆さんがおっしゃるように逆再生に見えない完成度はお見事。 恐妻に一部始終を見られていて帽子のへそくりも没収されますが、一瞬のすきにメインの財布からもう一度抜き取るのは最高です。。電車のシーン、せっかく一番に乗り込んだのに前から押し出されるのも最高。目覚ましシーンでも、散々あくびの前振り直後からの”今起きたから出かけますよ”の演技は素晴らしいです。その後のお風呂のシーンも笑えるし・・ この頃のチャップリンは本当に冴えわたっていました。 ちなみに、、お昼のシーンで従業員らのお弁当が結局チャップリンの元に集まってしまうのは笑えますww でもどう考えても普通はエレベーターにお弁当やバナナは絶対置きませんので、、冷静に分析してはいけません。チャップリンは勢いのみで楽しむ映画なのですww[インターネット(字幕)] 8点(2024-11-09 11:03:29)《改行有》

19.  チャップリンの独裁者 面白いシーンもありましたが、総合的に考えるとラストの演説以外はイマイチだったように感じます。チャップリンの映画の中では最も売れた作品だそうですが、個人的にはマンセーするほどではありませんでした。いえいえ十分に面白い作品でしたが・・ 彼がしゃべるのが嫌なのです。個人的には1920年代までのしゃべらないチャップリンが好きです。 やはりこの作品の肝は1940年代当時、全世界に向けて自分の顔と名前を晒して、、(暗に)正々堂々と批判するのが凄いです。批判する相手が相手なだけに、、ほとんど正気の沙汰とは思えない行動です。ただし、演説のほうは決してヒルケン(ヒトラー)や独裁だけを批判している訳ではなく、民主主義や機械主義(産業主義)からくる貧欲によって世界がゆがんでいることを憂いています。また人類は知識や富を得たことで他人を思いやらなくなったとも。 人種を超えてもっと扶助精神で助け合って対等かつ自由であるべきといいいますが、この理念は一歩間違えば共産主義とも思えなくもない考え方です。最後には肌の色や上下は関係なく互いが互いの犠牲にならないよう、お互い様の精神で自由な人生を楽しめと締めくくります。非常によく出来た演説ではありますが、お金持ち&権力を持った人からこの理念を遂行しないといけない訳なので、やはりちょっと理想論過ぎるかなと感じてしまいました。(ゲットーの人たちは自分の命すら危うかった訳で、他人を助けている場合ではなかったはずです) で、本作のお笑いポイントはやはりコインのシーンや、ヒルケンがイタリアの首相に頭が上がらないところなどでしょうかw あと地味にヒルケンの秘書たちの態度や仕草も笑えました。。ヒルケンとゲットーの床屋が瓜二つの姿であった説明が一切なく少々違和感を覚えますし、本作は喜劇というには少し真面目過ぎる印象です。政治色が強い作品なのであえて厳しめの点数にしておきます。(評価的には7点ですがあえて6点としました)[インターネット(字幕)] 6点(2024-11-08 17:38:27)《改行有》

20.  サーカス(1928) 《ネタバレ》 本作は黄金狂時代とはうって変わって物悲しいラストです。しかしながらこの悲しい雰囲気がとても素晴らしく、なんだかとても気持ちイイ余韻が残る作品でした。サーカス団といえば=スパルタというのが時代を感じますが、そういえば大昔は叱られた時に「サーカスに売っちゃうよ」という迷信めいた言葉がありましたっけ。 命綱無しでの綱渡り(&お猿さん)やライオンのシーンは本当に素晴らしい。彼の凄いところは悶絶するくらい凄いことをやっているのに、それを微塵も感じさせないことです。これは本当に肝が据わっていて心が大きくないとできない振る舞いなので心底恐れ入ります。なんだかんだと批判も多いチャップリンですが、やっぱり凄いんですよ。 マンセーしている方もいますが、個人的には浮浪者(チャップリン)のラストの心変わりは少々違和感を感じました。まあ確かに彼女の気持ちを知っている浮浪者からしたら、マーナ(マーナ・ケネディ)と綱渡りのレックス(ハリー・クロッカー)をくっつけてあげるのが最大限の優しさだったのかもしれません。しかしマーナだって子供じゃないのですから、きっと今までの流れをよく考えた上で浮浪者を選んだハズだと感じました。 でも結果的にはこれがマーナの為には最善の選択だったと思うので、やはり一人で去っていく浮浪者(チャップリン)の背中に哀愁を感じずにはいられません。本当にもうラストが最高の作品でした。甲乙つけがたいのですが個人的には「黄金狂時代」のほうがより面白く、本作のほうが若干劣るような気がします。[インターネット(字幕)] 8点(2024-11-08 17:02:34)《改行有》

040.54%
181.08%
2222.97%
3496.61%
48211.07%
512416.73%
616722.54%
713918.76%
87910.66%
9456.07%
10222.97%

全部

Copyright(C) 1997-2025 JTNEWS