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1. タワーリング・インフェルノ
《ネタバレ》 とにかく金と手間暇をかけて、二人のスターに気を使って、パニックアクションの決定版を作るべく全力が注がれた傑作。こういう豪華な映画は得てして見せ場が散漫になるものだが、長尺を飽かせない緊迫感を維持している。最近映画館で見て、やっぱりパニック映画は(何だってそうだけど)自室のしょぼいテレビではなく映画館で見た方がいいなと痛感した。
ドラマツルギー的に、社長とか市長は他人を押しのけて逃げようとするものだが今回は毅然としていたり、やっとのことで途中まで逃げ延びた婦人があっさり滑落したり、そういった意味でお約束にとどまらない脚本が良い。中盤までニューマン、それ以降はマックイーンの活躍になるのは配分的にやむを得ない。
どうしても今見ると、随時挿入されるビル全景の火災シーンが迫力不足だったり、もう火事が起こっているのに悠然と入場してくる消防隊長ってどうなのとか思ったり、突っ込みどころもある。けれど、ひとつの総決算として作られた意気込みは十分伝わる。当時の観客にもたらした衝撃は今の私達では計れない。そんなヒストリカルインパクトに敬意をこめて8点。[DVD(字幕)] 8点(2014-05-04 21:41:29)(良:1票) 《改行有》
2. ナイル殺人事件(1978)
《ネタバレ》 前半、ピラミッドの上に颯爽と現れるミア・ファローを見て、お前は戦隊ヒーローかと突っ込んでしまうのであった。
それは置いておいて、やけに長い前ふりを終えてようやく豪華客船での不可思議な連続殺人になだれこむ。豪華客船といっても、頑張れば私にも乗れそうなレベルの客船だったが、容疑者が多すぎては作りにくいのでまあこんなもんだろうと思った。
肝であるそこからの展開と謎解きは、良くも悪くも皮肉にも、古き良きミステリ映画というところか。見たのが比較的最近なので、こうした時代の作品を参考にした後発作品をすでに見ている以上、話の無理と古さが目につくのは仕方のないことかも知れない。上映時に見ていれば、エジプトの風景に圧倒され、それに引きずられて内容も楽しめたかもと感じた。俳優陣も豪華だし。
それにしても、早くから事件の渦中ど真ん中に居ながら連続殺人を全く防げず、何ら有効な手も打てず、犯人に翻弄された揚句その自殺も許すポワロのどこが名探偵なんだろうかと罰当たりな印象を抱いたのも否定できない。「名探偵が最初から居れば連続殺人にはならない」というのはミステリでよく言われることだが、ここは映画の盛り上がりと興行のことをポワロが計算して、わざと泳がせたのだと(それで死者が増えることの倫理的是非は棚に上げて)思いたい。[DVD(字幕)] 5点(2014-04-07 23:59:43)《改行有》
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