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プロフィール
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自己紹介 ハリウッドのブロックバスター映画からヨーロッパのアート映画まで何でも見ています。
「完璧な映画は存在しない」と考えているので、10点はまずないと思いますが、思い入れの強い映画ほど10点付けるかも。
映画の完成度より自分の嗜好で高得点を付けるタイプです。
目指せ1000本!

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1.  女は二度決断する 《ネタバレ》 虚無の物語。 ダイアン・クルーガーの熱演を以って、淡々とした物語を引っ張っていく。 主人公が薬物やタトゥーに手を出す、純粋な善人ではないグレーな存在だからこそ、 優柔不断からのあの決断に至ったのだろう。 たとえネオナチの若い夫婦が有罪で終身刑になろうが、自らの手で復讐しようが、 残された彼女には悲しみや苦痛が和らぐことがない。 復讐が虚しいことは分かっている。 けれど、もう心も思考も完全に擦り切れて、その後の人生も闘えなくなってしまった。 どこに希望があるの? 当事者でないと分からないけどそう思えた。 「ヘイトクライムはやめよう」と呼びかけても、 完全にキャパシティが超過して疲弊しきった現在のドイツと重なる。[DVD(字幕)] 6点(2024-09-15 19:43:12)《改行有》

2.  パラサイト 半地下の家族 《ネタバレ》 "臭いの視覚化"。 これが上流と下流の分断を象徴する。 いくら賢くて努力をして、金持ち一家に取り入ったとしても、永遠に彼らとの距離が縮まることがない。 身なりを整えても洗い落せない臭いが、存在しない"地下の住人"が加わって浮上し、寄生一家の計画は破綻していく。 地上と半地下、そして中盤からの地下を含め、3つの家族が3つの階層で構成されるが、 高台の家族からしたら、下の存在には無関心も同然。 悪意はないにしろ、レトルトのジャージャー麺でさえ作らせるくせに 高台から下へ流れていくスラムの大雨被害なんてどうでも良いのだ。 災害も被災者もいなかったことにされるパーティーで貶められた者たちによるサイコホラーさながらの惨劇。 計画を成功させるには役に徹し切るしかないが、生きていくことで手一杯な寄生一家の父親には、 理想だったはずの世界における妬みに思考が耐えられなかったのだろう。 自ら地下に堕ちた彼を、息子は救い出す計画を立てる。 希望であり、明るい未来として挑む正攻法ではどう足掻いても打ち砕かれる余裕のなさと諦観が雪と共に埋もれていく。 こうならないためにさらに高い壁を築いてAIでも雇って排除するのか。 もはや自分達が良ければそれでいい、見返りのない面倒臭いことをする意味の無さが、 無意識に蔓延していく恐怖をポン・ジュノは警告する。 【6/12追記】モノクロ版鑑賞。 白黒の鮮明なコントラストで、持つ者と持たざる者の格差を際立たせ、醒めない悪夢をより強調させていた。 色彩による情報が排され物語への没入感が深くなり、カラー版に比べてスッキリ見易くなった印象。 なのに色が見えてくるのだから不思議。 同じ映画なのに、別の映画を見ているような貴重な体験だった。[映画館(字幕)] 9点(2024-09-14 01:08:06)(良:1票) 《改行有》

3.  ムーンライト 《ネタバレ》 気の滅入る映画には近年消極的だ。 ましてやトランプ大統領への抗議票による作品賞に違和感はあったが、鑑賞後、これ以外にありえないと思った。 描かれる物語は、貧困、麻薬、売春、育児放棄、イジメとネガティブイメージが並ぶ。 それでも思った以上に暗澹な気持ちにならなかったのは、主人公の美しくも繊細な精神世界にシンクロされたから。 同性愛の映画とは思えない、むしろ自分みたいに生き辛さを抱えた者たちの映画かもしれない。 重要な部分をあえて省いたのも、誰もが人に知られたくない秘密を抱えているように思える。 どこにでも起こりうる普遍的な現実。 フアンとケヴィンがいなければ、彼は異端者を排除する社会に立ち向かえなかったかもしれない。 たとえドラッグディーラーに身を落としても彼の人生はこれからも続くだろう。 残酷な世界でも強く生きていく。 華やかな世界とは程遠い日蔭者でも月光に照らされるだけで生きていると実感できる価値がそこにある。 本作はウォン・カーウァイに強い影響を受けており、元ネタの作品群を見るきっかけになったことを感謝する。[ブルーレイ(字幕)] 7点(2024-09-14 01:03:03)《改行有》

4.  消えた声が、その名を呼ぶ 《ネタバレ》 「娘に会いたい」。 処刑から生き延びるも声帯を切られ声を失った父親が地球半周を渡り歩き、生き別れの娘たちを追う8年間。 シリアスドラマからコメディまでジャンルを分け隔てず活動する、 ファティ・アキンのフィルモグラフィーの中では最もスケールが大きい。 1910年代のオスマントルコによるアルメニア人虐殺を題材にしたあたり、 加害者のトルコをルーツに持つ監督の思いはあるだろう。 アルメニアはキリスト教を国教と認めた初めての国であり、 オスマントルコでも富裕層として成功して政治にも関わる影響力があったものの西ヨーロッパとの関係を強固にしたことで、 オスマントルコ側のムスリムとしてのアイデンティティーが脅かされる恐怖が虐殺の背景にあったようだ。 これがアルメニア人のディアスポラになった。 信仰で救われることなく強制労働で次々に倒れていく同胞、生き残るためなら簡単に棄教する現状を目の当たりにし、 死にかけの義姉を手に掛けなければならない苦しさに、宗教がどれだけ愚かで虚しいものであるかを突き付けられる。 避難先のアレッポで初めて見たチャップリンの無声映画に自分の境遇と重ね合わせ、 娘たちが生きていることを知って、生きることの根源を取り戻していく。 たとえ盗みも暴力も働き、獣に墜ちてしまおうとも、死ぬわけにはいかないという執念。 いくらでも傑作になりえた題材なのに、国家の罪と罰をストレートに描かなければならないわけではないが、 最終的に単なる親子の感動ドラマにスケールダウンしてしまったのが惜しい。 娘と再会するまでの過程が終盤につれて偶然で片付けられていく脚本の杜撰さが鼻につくし、 心震わせることなく次第に冷静に見てしまいました。[インターネット(字幕)] 6点(2024-09-14 00:50:33)《改行有》

5.  ラブレス 《ネタバレ》 「避妊すれば良かった」。 同監督の『父、帰る』同様、説明的なストーリーテリングは避け、観る者に委ねる作り。 離婚調停中の身勝手な夫妻が主人公のため、常に醒めた目線で見届ける。 愛が欲しいだけで誰かに与えようともしない。 貰っても消費してさらに欲しがる。 その病理が冷徹な映像美から伝わる。 "要らない"息子が最後まで見つからないまま時が経ち、元夫は新たな子供を邪険に扱い、 元妻は今でもSNSに依存している。 ロシアによるウクライナの問題にしても、他者への無関心が貫徹していて、 これからも己のために底なしの幸福を求めて満たされない日々を繰り返すのだろう。 その愚かさに気付くことなく、風化していく捜索チラシと枝にはためくテープが息子の存在証明として残り、 記憶とともに忘れ去られていく、その非情さがただただ虚しい。[DVD(字幕)] 6点(2024-09-01 23:22:55)《改行有》

6.  グリーンブック 「これが作品賞?」というのが正直な感想。 130分間退屈なく見れて、『最強のふたり』を彷彿とさせるユーモラスなフィールグッドムービーなので、 映画をあまり見ていない方にも薦められるくらい万人受けしやすい。 100を超えるレビューで平均点8点前後維持し続けているあたり、本作が証明している。 粗はあっても脚本がよくできていることは素直に認めたい。 ただ、やはり白人特有の上から目線の綺麗事、一時的な融和アピールにしか見えず、 作品にあまりのめり込めない自分がいた。 イタリア系だからと同じ白人から差別される用心棒と、 黒人コミュニティから外れたピアニストのはぐれ者同士の話なので事情はもっと複雑だろう。 とは言え、そこまで踏み込まず、ただの"良い話"で終わっている。 予定調和の中に新しい驚きがないのが大きく、物足りなさを感じた。 ヴィゴ・モ―テンセンもマハ―シャラ・アリも正反対なキャラクターでありながら素晴らしい快演で異論はないが、 全体の完成度の高さでは『ROMA/ローマ』に作品賞を与えるべきだったし、 13年前の『クラッシュ』同様、単に変革リスクから逃げたミステイクとしか言いようがない。[映画館(字幕)] 6点(2024-09-01 00:41:38)(良:2票) 《改行有》

7.  ジャンゴ 繋がれざる者 《ネタバレ》 緊張感ある会話劇で観客を繋ぎ止め、激しいバイオレンスで爆発させる。 それを除けば、タランティーノにしてはビックリするほど正攻法な映画で、 小手先のテクニックに頼らずとも、もはや巨匠の領域に入っているほどの演出力と画の重厚さを証明させる。 同時に若さゆえの鋭さがなくなって、ちょっと寂しい限りだが。 我慢に我慢を重ねて、キャンディを撃ったのが同じ白人のシュルツであり、 ジャンゴが止めを刺した黒幕が同じ黒人のスティーブンというあたり、 善悪のステレオタイプに陥らないタランティーノの知性の良さが感じられた。 とは言え、165分はとにかく長く、ラスト20分の仕切り直しはいらなかったような。 クライマックスの銃撃戦で決着をつけて欲しかった。[映画館(字幕)] 7点(2024-08-31 02:39:12)(良:1票) 《改行有》

8.  映画 プリキュアオールスターズNewStage3 永遠のともだち 《ネタバレ》 偶然テレビ放送されていて鑑賞した思い出。 元になったTVシリーズと歴代プリキュアに思い入れがないと評価が決め辛いのは確かだが、 そんなストーリーの整合性なんてどうでも良いくらい、"お祭り映画"として開き直っているのが良い。 本音を言えば、横浜の街の中を敵とチェイスするシーンをもっと見たかった。 ゲストキャラの一般人の少女である坂上あゆみが一時的にキュアエコーになって、 戦いではなく対話で和解するあたりがキモだろう。 「女の子も戦いたい」という歴代のコンセプトのアンチテーゼかもしれないが、近年はバトルしないプリキュアも出てきたし、 パートナー妖精と変身アイテムの力を借りずに、ただ純粋な想いの力だけで変身しているあたり、 「女の子は誰でもプリキュアになれる」という映画のテーマを見事体現している。 (とは言え、去年から男の子もペットもレギュラーのプリキュアに変身できてしまい、時代の流れに苦笑い)。 過保護、引きこもり、といった問題を暗に含みながら、現実を一生懸命に生きることの大切さを 押し付けがましくなく描く、ファミリー映画としては及第点ではないだろうか。 余談1 劇場で中学生までの入場者にプレゼントされるミラクルライトでプリキュアを応援しようというメタ的な演出がある。 メインターゲットの女児が飽きないように考案され、シリーズ恒例になっているらしいが、 何もしなかったらバッドエンドになるんじゃないかと思った。 ある意味、応援上映の先駆け。 余談2 ちなみに20年もやっていると歴代プリキュアの年齢問題が大きく引っ掛かるが、 放送当時の時間軸から召喚されたり、社会人が全盛期の中学生の姿に一旦戻って変身するらしいです。[地上波(邦画)] 5点(2024-08-28 20:03:04)《改行有》

9.  藁の楯 その年のカンヌで最も酷評されたコンペ作品だとか。 開通前の高速道路や台湾の新幹線を使って大作感を出そうがハリウッドの劣化コピーにしか見えない。 製作費を使い果たしたのか、後半のスケールがこじんまりになっていくし。 また、救いようのない凶悪犯を法で裁くべきか云々について、 ツッコミだらけの脚本の前では薄っぺらで問題提起としては土台が脆すぎて深く入ってこなかった。 藤原竜也の演劇から抜け出ていない過剰演技も然り、氷室京介の寒い主題歌も然り。 三池崇史は過激なバイオレンスだけが独り歩きして、海外で過大評価されている監督に過ぎない。[ブルーレイ(邦画)] 4点(2024-08-26 20:27:06)《改行有》

10.  ザ・マスター 《ネタバレ》 心に傷を負った男の魂の彷徨。 フレディが入信したのはマスターのカリスマ性ないし父親の面影に惹かれたのであって、宗教は二の次だ。 逆もまた然り。 マスターは自由奔放なフレディに憧れを抱き、お互いに足りない部分を補い合う共同体の関係を匂わせる。 しかし、それは双方が未完成の存在であることと密着し、フレディの余りある力が、 マスターの王国を破壊しかねない危うさも持つ。 だからこそ、黒幕的存在の妻が王国の存続のために男二人を操ろうとする画策が垣間見える。 最終的に二人は袖を分かつ。 残りたくても己の本能が拒否する矛盾、引き留めようにも手の届かない焦燥感、 それぞれが完全になりかけた瞬間、臓器移植の拒否反応のように共同体でなくなってしまった。 "救い"から見放されたフレディは、これからもダンスする相手を変えるように、 現実に存在しない"砂の女"を求めて彷徨い歩くのだろう。 いや、他者承認されずとも生きられるありのままの自分=ニーチェの提唱する"超人"と見るべきかもしれない。 ホアキン・フェニックスの"動"の怪演、フィリップ・シーモア・ホフマンの"静"の怪演の摩擦が恐ろしくも凄い。 重厚な画作りが不安と翳りの50年代アメリカを更に浮き彫りにさせる。[映画館(字幕)] 8点(2024-08-17 21:33:57)(良:1票) 《改行有》

11.  ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド 《ネタバレ》 直訳で"むかしむかしのハリウッドで…"と称されるような、タランティーノ流おとぎ話。 界隈から消える恐怖に怯える元人気俳優役のディカプリオと、 トレ―ラ―暮らしでも達観しているスタントマン役のブラッド・ピットの組み合わせは意外にも絶妙で自然体。 20年前に人気の一位二位を争った二人が共演していたら大事件だったくらいに、 双方の魅力を偏りなく惜しみなく注ぎ込む。 一方、ストーリー自体は50年前のハリウッドの日常を業界ネタと併せて淡々と綴ったものでしかないが、 一見無駄と思われるエピソードの積み重ねが例の事件に集約される脚本の巧みさで最後まで引っ張る。 そう、往年の映画ファンならシャロン・テ―トとチャールズ・マンソンを知っていればその陰影がくっきり際立つ。 映画牧場のマンソンファミリーの得体の知れない不気味さと、待ち受ける悲劇を知らない映画館のシャロンの笑顔に、 『この世界の片隅で』を彷彿とする複雑な感情を抱かせる。 そして運命の時が刻一刻と迫り、どんな結末を迎えるか固唾を飲むことになる。 彼の過去作品を知っているものなら、結末は予想できるだろう。 しかし、これが変化球で強引な筋書きになっていないのが良い。 だからこそ現実で叶わなかった切なさでいっぱいになる。 シャロン・テ―トが少しでも呪縛から解き放たれ、"銀幕のスター"として永遠に生き続けること。 タランティーノの切なる祈りだ。[映画館(字幕)] 8点(2024-07-05 22:52:31)(良:1票) 《改行有》

12.  デンマークの息子 《ネタバレ》 テロがきっかけで台頭する極右団体。 彼らのヘイトクライムに抗うアラブ系過激団体に入った少年の視点で描かれるかと思いきや、 少年を騙した潜入捜査官の苦悩がメインだった。 そのため、アラブ系過激団体の影が後半から薄くなり、中弛みを感じなくはない。 国に馴染んだ移民でありながらテロを防ぐ潜入捜査官という半端な立場な故に、 極右団体の危険性を訴えてもデンマーク警察は上の空、 むしろ彼らが支持する政権を許してもまあ良いんじゃないという事なかれな空気。 これは移民政策に対して保守的なデンマークでさえ、ルールを守れない移民を持て余している現実がある。 欧米でも日本でもそう。 それ故に潜入捜査官の家族に悲劇が訪れる。 もはや失うものがない彼が下した行動にはカタルシスもなくただただ虚しい。 暴力以外の解決方法がないあたりに限界を感じる。 ミニシアターだけで留まるのは勿体ないし、多くの人に見て欲しいが、 閉鎖的な日本では入管法改正による強制送還ラッシュを加速させていくだけだろうな。[インターネット(字幕)] 7点(2024-05-20 00:19:21)《改行有》

13.  ボーン・レガシー 《ネタバレ》 ジェイソン・ボーン3部作は既に視聴済み(ただし中身は覚えていない)。 それを踏まえてのスピンオフなのに、その3部作の設定が全く活かされておらず、序盤はガチャガチャに煩雑にしただけ。 中盤から大きく話が動き出しても、重要機密を知る主人公が追手をかわしながらワクチンを手に入れて逃げるだけという。 ワクチンの在りかを知っているヒロインはおまけ程度で、 宿敵との対決もないまま終わりでは消化不良にも程がある(ヒット次第で続編も考えていたのだろう)。 アクションとしてはそれなりに楽しめるが、せめて単品として完結可能な作りにして欲しかった。 トニー・ギルロイが自分の脚本を即興で改変しまくるポール・グリーングラスとひと悶着あり、 監督も兼ねて本作が製作されたようで、むしろグリーングラスの手腕の確かさを証明してしまった。[地上波(字幕)] 4点(2024-03-01 23:39:27)《改行有》

14.  ラブライブ!The School Idol Movie 《ネタバレ》 原作テレビアニメ未見。 『映画 けいおん!』でも感じられたことだが、美少女アニオタ男子の妄想を具現化した究極のファンタジーだろう。 モブからして男性は遠景であまり映らない上、ヒロインの父親も素顔を出さないのだ。 出演声優すら100%女性という徹底ぶり。 おまけに深刻な展開になりそうなところは"無事に"スルーされ、アイドルに付きまとう負の側面は排除、 なかよしこよしな少女達の百合百合しい関係を愛でる"やさしい世界"のため、 合わない人にはある種の気持ち悪さを感じてしまうかもしれない。 圧巻は全国のスクールアイドルを巻き込んだ秋葉原のダンスシーンで、 そこに男が入る余地も陰湿さも汚物もない"地上の楽園"という様相だ(悪く言えばファシズム的な)。 テレビアニメの補完で、主要人物の描き込みは知っていること前提。 ファンタジーだと完全に割り切れないと確実に振り落とされる。 先に見ていたら、共感できたりして違う印象を持っていたかもしれないが、 別の意味での濃厚さに胸焼けして遡るにはちょっと厳しいです…[地上波(邦画)] 4点(2024-02-24 01:00:41)《改行有》

15.  スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム 《ネタバレ》 前作鑑賞は必須としても、他のMCU作品とも連動しているため、 アイアンマン=トニー・スタークが故人なのは劇中で分かるものの、 エンドゲームを見ていないと少々置いてけぼりを喰らうのは確か。 MCUでマルチバースの概念は既に知られていたが、それを利用した中盤のどんでん返しは上手かった。 ヴィランとしてミステリオが中心でありながら、かつて職を追われた者たちによるチームプレイで、 現実と非現実を揺さぶりスパイダーマンを追い詰める見せ方が良い。 ファクトチェックが当たり前になり、目の前の情報が真実とは限らない現代において、 これからディープフェイクが濫造されていく世界への抗い。 殺人犯として汚名を着せられてしまったピーターはどうなるのか期待を寄せる。 でも、エンドロール後のもうひと展開にスパイダーマン以外の映画を見ないといけないのは如何なものかと。 作品によってはTVシリーズにまで裾野を広げてしまい、近年のMCUの勢いが衰えた話も聞く。 フェーズ1の『アベンジャーズ』くらいの展開が限度で、純粋にスパイダーマン単体で完結させてほしいのが本音。[インターネット(字幕)] 6点(2024-02-24 00:54:15)《改行有》

16.  100歳の華麗なる冒険 《ネタバレ》 マイペースな100歳の老人とは裏腹に、金銭と名誉に目がくらみ、せっかちに死に急ぐ権力者たち。 マフィアとどう決着を付けるかと思いきや、意外とあっさりとした形で終わってしまう。 彼の後ろには死体の山。 ちょっとした偶然が歴史に残る大事件になったりするが、 歴史の中枢にいても彼は「なるようになるしかない」と生きているにすぎないのだから。 もしかしたら、一人一人の凡人もまた、 ちょっとした偶然で見知らぬ土地で死体を生む遠因になっているかもしれない。 普通に元気に生きていること自体ありがたいとしながらも、 それもまた人の業であり、人生そんなものだと達観しているようである。[映画館(字幕)] 7点(2024-02-24 00:51:04)《改行有》

17.  スパイダーマン:ホームカミング 《ネタバレ》 今までのスパイダーマンと違い、版権問題をクリアしてアベンジャーズと関わったこと、 そして未熟で無力なりに一人前になろうともがくピーターの青春物語が強化されたことが大きい。 功名心から正義を貫こうとして、結果的に大きな事故を招いてスタークを失望させ、 学校とヒーロー業を両立できず、片思いを失ってしまう苦みと切なさが残る。 家族のために犯罪に手を染めるマイケル・キートンを配役するセルフパロディが心憎く、 貧困と格差の問題をするりと潜り込ませる。 ディズニーに買収されたことが大きいのか、異人種間の恋愛と夫婦が珍しくなく時代の流れを感じた。 スタークからの再スカウトを断り、地に足をついて"親愛なる隣人"として歩み出したのはスパイダーマンらしい。[地上波(吹替)] 6点(2024-01-17 19:49:29)《改行有》

18.  バード・ボックス 《ネタバレ》 演出と演技が上質なため、低予算ならではのチープさがあまりない。 "何か"を見たら自殺するという序盤の大混乱を見せることによって、外への行動と視界が制限され、 映画のほとんどを占める室内シーンと山林シーンを受け入れることができるからだ。 2年後のコロナ禍で"鳥かご"の中に閉じ込められてしまったことを予言しているみたいに。 過去と現在を交互に見せるため、退屈さはあまり感じられず、伏線回収が上手い。 主人公を気に掛ける男性がいつか本性を表して襲い掛からなかったのは意外。 この手の不条理パニックもので言えることだが、最後に謎が明らかにされるわけではない。 既に精神を病んでいる人ほど自殺に陥らず、目隠しなしで健常者に襲い掛かる新たな設定すら、ただの脅威で終わっている。 盲学校に辿り着いて、今後もここで生きていくにしても食料や衣類はどうするの?という疑問が湧く。 そういう意味でオチは弱いが、見て損はないと思われる。[インターネット(字幕)] 6点(2023-12-07 22:15:24)《改行有》

19.  陽なたのアオシグレ 《ネタバレ》 男子小学生版『アメリ』に近いように見えて、男から見た夢想にある種の気持ち悪さを感じる意見は分からなくはない。 ラッキースケベ演出が直球でパステルカラーの可愛い絵柄に惹かれるほど人を選ぶだろう。 監督のフィルモグラフィには少年少女のアレを何かと入れてくるので完全に趣味だよね。 スピッツの壮大なプロモーションビデオとして見るなら優れている、救われている部分はあるが。 ここまで来ると、この話の全てすら主人公の妄想じゃないの?と勘ぐってしまう。 雰囲気は好きなのに万人受けしない、だからと言って万人受けしまくっても物足りない。 その匙加減が難しいがこの突き抜け感は大事にして欲しい。[インターネット(字幕)] 6点(2023-11-11 00:21:27)《改行有》

20.  サンセット 《ネタバレ》 監督は前作の成功体験で味を占めたのか、情報を遮断されたヒロインの一人称で 帝国末期の閉塞感と混沌を描く試みは見事に失敗している。 登場人物たちの思わせぶりな台詞と一向に進まない展開、消化不良のまま残る謎など、 ひたすらヒロインに寄り添う撮り方が本作の舞台とミスマッチ。 ホロコーストという強烈な舞台装置があった『サウルの息子』はその焦らし方が効果的だっただけに、 監督のメッキが剥がれた形だ。 難解と言えば聞こえが良いが、逆に言えば「何を描きたい?」とも言いたくはなる。 歴史の闇を描きたいのか、激動の時代を生きようとするヒロインの強さを描きたいのか。 ヒロインが何を考えて行動しているのか分からず、妄想も幻覚も入り混じり、 最後は第一次世界大戦に兵士として従軍している。 帽子店が存続のため貴族に女性従業員を捧げている、性奴隷を匂わせる嫌悪を見るに、 彼女も過去に似た被害を受け、女性の殻を脱ぎ捨て、兄から憑依されるように同化したと解釈できるが。 当時のハンガリー史を知っていること前提。 帽子店を訪れた皇太子夫妻が翌年どうなったかは言うまでもない。[インターネット(字幕)] 4点(2023-11-04 11:33:40)《改行有》

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