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タイトル名 |
スミス都へ行く |
レビュワー |
やましんの巻さん |
点数 |
10点 |
投稿日時 |
2004-07-16 14:58:36 |
変更日時 |
2004-07-21 16:13:47 |
レビュー内容 |
先日の参議院選挙を含めて、ぼくは選挙権がありながら選挙で投票したことがありません(世の良識ある方々、スミマセン…)。一票を投じたい政党や人物がいない…というより、どこに、誰に投票するにしろ、それは現体制を「肯定」することになってしまうと考えているからです。一票の格差などの、まずはあまりにも公正を欠いた選挙制度そのものを是正することもなく、そのくせ「投票に行こう」と、膨大な税金をつかってタレントを起用し、PRする国側の“欺瞞”もウンザリですし。
そんなぼくも、この映画のジェームズ・スチュアート扮するスミス氏になら喜んで投票するかもしれない。するかな。するよな。うん、きっとする!(笑)
この、リンカーンを崇拝する田舎の州出の青年が、周囲のあまりにも汚い権謀術数にうちひしがれ、リンカーンの像の前で泣く時、まるで「アメリカン・デモクラシー」そのものが泣いているかのようだ。そんな彼が議会で延々と演説を繰り広げ、その孤軍奮闘を議長(ハリー・ケリー…涙が出るほど素晴らしい!)が秘かに共感の笑みを浮かべて見守る姿に、少なくともぼくは「アメリカ(人)の良心」を見る思いがする。たぶん、公開当時も今も、この映画を見るアメリカ人はみんなあの議長のように主人公スミス氏のことを見守り、微笑んでいるんだろう…
それを、「ただのおとぎ話だ」とか「いかにもアメリカらしい偽善じゃん」とせせら笑うのは簡単だ。ぼくらは、あの国のイヤな面をこれまでも(そして、今も)さんざん見せられてきているのだから。 けれど、ぼくは、自身が移民だった監督のフランク・キャプラ自身もとっくにそんなことなど承知していたのだと思っている。彼がこの映画を撮った1939年は、世界中が戦争の危機に直面していた。そうした時に、「アメリカ(人)の理想主義と良心」をひとりの純朴な青年に託したキャプラは、「この世の中はマヌケといわれてきた人たちの賜物なのよ」とジーン・アーサー(これまた素晴らしい!)に言わせた通り、最後には人間の〈善〉が勝つという「夢物語」こそがアメリカの理想主義じゃないか。それは「夢」だからこそ「理想」なんじゃないか…と静かに、だが毅然と述べているのだ。
ぼくも、国家としてではない、アメリカ(人)の夢見る「理想主義」には、心からの“一票”を投じよう。それが、どれだけの失望を招こうとも。
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