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タイトル名 |
母の眠り |
レビュワー |
やましんの巻さん |
点数 |
8点 |
投稿日時 |
2004-07-07 20:40:49 |
変更日時 |
2004-07-07 20:46:50 |
レビュー内容 |
いつも…というか、折にふれて思うのだけど、やはり母親ほど「強い」ものはない。そんな《真理》を、あらためて納得させられる映画。 幼い頃から大学教授の父親を尊敬し、家庭を守ることが幸せという母親を軽蔑していた娘が、末期癌の母を看病するため仕方なく実家に戻ってくる。あらためて生活を共にするなかで、娘は母の“平凡な人生の非凡さ”を学んでいく。 と書けば、いかにもありがちのピューリタン的な「オンナたちよ、家庭に還れ」と唱える保守主義プロパガンダ映画みたいだ。別にフェミニストを気取るワケじゃないけど、そういう言いぐさはあまりにも反動的だろう。実際この映画には、そういった面がないとは決して言えないんである。 けれど、メリル・ストリ-プ扮する母親が最後にとった選択を、「個人」としてでなく「母」としての“尊厳(!)”を守るためだとする主張は、その雄弁さ(というより、メリル・ストリープの名演)に、ぼくもほとんど説得されてしまった。「自分のために選ぶ〈死〉が、同時に家族をも救う」のなら、それもまた立派な「主体的」な生きざま(=死にざま)じゃないか、と。そう言われたなら、「…かもしれない」と考えこまされてしまわざるを得ない。そして、その答えは、この映画を見てもう何年もたつのに、未だぼくのなかで見つからないのだ。 前述の通り、メリルはもちろんのこと、レニー・ゼルウィガー、ウィリアム・ハートの主演3人ともが、素晴らしい。そして、こんな「重い」主題を扱いながら、まるで上質のフィルム・ノワールみたいな《倒除法》の語り口を駆使した技ありの脚本・演出もまた、見事だと思う。 …地味だけれど、クヤシイくらいに「巧い」映画だ。 |
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