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タイトル名 |
クロッシング・ガード |
レビュワー |
ぐるぐるさん |
点数 |
9点 |
投稿日時 |
2004-05-06 18:37:16 |
変更日時 |
2004-05-06 18:38:20 |
レビュー内容 |
ひょっとして、映画というジャンルで「テーマ」は何か、という事を語るのはナンセンスなのかもしれないのだけれど、それを承知であえて書くと、この作品のテーマ、それは「果たして、人と人は分かり合えるのか」という事ではないだろうか?作品の冒頭ではストリップの馬鹿騒ぎの中に佇むフレディ(J・ニコルソン)と、その元妻が参加する遺族の集いとが交互に映される。これは、人と人との間にある、容易には埋められない「溝」を象徴しているように思える。娘を轢き殺した犯人に対する復讐を誓うフレディは遊び仲間にも、また同じ立場である筈の元妻にも理解されない。尚且つ自分に想いを寄せるストリッパーに対しても心を完全に開くことは出来ず、一人自閉的な孤独を抱えている。一方犯人のジョンもまた、友人にその心中を理解されてはいないし、彼の出所後に出来た恋人(ロビン・ライト)は彼に寄り添いながらも、彼を罪悪感から解放することが出来ない(ただ、彼がある意味フレディより救われているのは、彼には彼を無条件で愛し、受け止める存在―両親―がいるということである)。しかし、そんな被害者・加害者の関係にある二人はラスト、「亡くなった娘を悼む」という点で分かり合えたのではないだろうか?両者の関係は一般的ではない、極端なものだが、人と人とが「分かり合う」ためには、単なる思いやり・同情だけでなく時に暴力的であるような「格闘」も必要なのかもしれない。余談だが、戦争前イラクを訪れたショーン・ペンはその理由を問われ「イラクにも自分達と同じような人間がいて、同じように子供がいるという事をこの目で確かめたかった」という意味のことを語っていたと記憶している。ショーン・ペン、有言実行の男である。 |
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