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タイトル名 |
理由(2004) |
レビュワー |
ドラえもんさん |
点数 |
8点 |
投稿日時 |
2005-05-04 16:37:09 |
変更日時 |
2005-05-04 16:41:40 |
レビュー内容 |
大林宣彦監督の或る一面を端的に表現する言葉に、とかく当たりハズレにバラツキの多い人だという通説がある。それは私個人にも感じるところで、映画史に残るほどの傑作を放ったかと思えば、箸にも棒にもかからない凡作を連打するという極端ぶりで、なかなかコンスタントに水準作を残せないという特徴がある。しかしそこが大林監督作品の魅力ともとれ、出来が良いか悪いかは観てみないと分からないといった、作品に接するヒヤヒヤ感そのものがミステリアスなのだ。何が飛び出してくるか分からないという意味で、私などは大林作品を“闇鍋的な面白さ”と表現する事にしている。余談が長くなったが、本作はそう言った、いかにもの大林ワールドの凝縮された面白さに満ち溢れた秀作に仕上がっている。驚かされるのが、よくもこれだけ集められたと思うほどの演技人や著名人の数。きっと大林作品のファンでもあり出演依頼には快諾した人たちばかりであろうと推察されるが、それにしても贅沢な話である。そして多数の証言を巡る物語という性質上、なくてはならない彼ら登場人物すべてが事実上の主人公だと言えるのではないだろうか。時間軸を奔放に交差させながら複雑に絡み合った人間関係を解きほぐし、サスペンスを盛上げていくという構成は、長尺の作品にもかかわらず見事に整理されて解かりやすく、観る側へ最大限の配慮がなされている。一杯の味噌汁に下町人情の温もりを感じさせ、人々の様々な思いを、つっかけの音に凝縮させたシーンには情感が溢れ、余韻を残す。それだけにエピローグは不要のような気もする。語り過ぎることは必ずしも得策ではないという事である。 |
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