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タイトル名 |
ロイ・ビーン |
レビュワー |
ドラえもんさん |
点数 |
8点 |
投稿日時 |
2003-12-05 00:09:14 |
変更日時 |
2003-12-05 00:11:26 |
レビュー内容 |
舞台は19世紀末の西部。町の治安を守るため、私刑により犯罪者たちの所持金を巻き上げ、私腹を肥やしていたのがこの物語の主人公“自称”判事=ロイ・ビーンだった。この男、相手を倒す為なら背中から撃つことも平然とやってのけ(S・キーチ演じる悪党のどてっ腹に、デフォルメされた風穴が空くという、劇画チックなシーンが用意されている)、そうかと思えば、未だ見ぬ舞台女優リリー・ラングトリーに憧れを抱きつづけるという、従来の“西部の男”というイメージからは程遠い存在である。このユニークなアンチ・ヒーローとしてのキャラは映画的には格好の素材で、J・ヒューストン監督が珍しくアメリカン・ニューシネマ的手法を取り入れ、エピソードの各シーンごとに演出スタイルを変えるなどケレン味たっぷりに描き、ロイ・ビーンを無邪気で人間味溢れる男として見事に浮び上がらせている。劇中、熊と戯れるシーンにA・ウイリアムズの歌を挿入させるなど、明らかに「明日に向かって撃て」を意識した作りとなっているが、言わんとするところは同じで、古き良き(西部)時代の終焉とそれに対するレクイエムであろう。クライマックス、彼の姿が夕陽に煌めきシルエットとして浮び上がるショットは、映画的高揚感が最高潮に達した瞬間として、忘れられない名シーンであった。 |
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