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タイトル名 |
エレファント |
レビュワー |
ドラえもんさん |
点数 |
7点 |
投稿日時 |
2005-01-05 00:28:27 |
変更日時 |
2005-01-05 00:31:58 |
レビュー内容 |
本編中、ほんの一瞬だが“彼ら”の部屋に“象”の絵が飾られているシーンが登場する。幼い頃に貼られたものだろうが、さり気ないだけに余計意味深いものを感じてしまうシーンだ。この作品のタイトルにもなっている“象”とは“彼ら”にとって、強大で脅威の存在であり、おそらく畏敬の念を抱いていたに違いない。そんな頃の“彼ら”と無差別に殺戮を繰り返す“彼ら”とが同じ人間だとは思いたくもないが、もしそうだとするならば何が“彼ら”を変えてしまったのだろうか。 いかにもマズそうに食事をする“彼ら”の専らの関心事は、食べる事よりも銃器を手に入れる事。ネット通販などで誰でも簡単に入手できるというシステムの盲点と、開拓時代からの悪しき伝統である銃社会アメリカの現状には戦慄を覚えるばかりだが、映画はここで極めて基本的な問題を投げかけてくる。引き金を引くにはランボーのようなマッチョな男など必要なく、青年というにはあどけなさがまだ残っている、いかにもひ弱なイメージの“彼ら”でも十分なほど簡単であり、あとは憎しみを抱き続けさらに激情へと変換していけばいい。そぅ、何処にでもいる誰にでもその可能性は秘めている。ヒトを殺したい・・。憎しみを抱いている奴をこの世から抹殺したい。誰しもが一度は心に思い描く偽らざる気持ちであり、ひとたび銃器を手にすれば虜になってしまう。まるで麻薬のように・・・。人間とはかくも弱いものなのであり、その隙間へ日常に潜む悪魔が忍び込むという社会の危うさを考えずにはいられない。殺戮を“淡々と仕事をこなしている”ようなイメージで描かれる“彼ら”には歯止めが利かず、もはや狂気という言葉すら意味を持たなくなっている。それほど終盤の描写には迫真力の生々しさ以上に、吐き気を催すほどのリアルさを感じるが、ただカメラ位置を変えてのリテイクには、その印象付けのあまり、オーバーアクションになったのが興醒めでもある。 |
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