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タイトル名 |
ハンナ・アーレント |
レビュワー |
Oliasさん |
点数 |
7点 |
投稿日時 |
2023-05-10 00:50:03 |
変更日時 |
2023-05-10 00:50:03 |
レビュー内容 |
凶悪な事件が起こったとき、人は、その犯罪者が常人には理解不能なモンスターであることを願う。もしそれが平凡などこにでもいる小市民であったならば、自分とも地続きであることになり、明日は我が身かもしれないという見たくない闇に直面せざるをえないからだ。その真理を明らかにしただけでも、アーレントの研究は、そしてこの作品は、貴重な意義がある。●終盤近くまで、アーレントは、じっと法廷を観察しているか、あるいは周囲の人たちと身近なやりとりをしているかである。わざとらしい事件は起こらない(理不尽な脅迫等はあるが、その描写も割とすっと流される)。しかしその中で主人公のスタンスは常に一貫しており、いつの間にかじわじわと意志の強さがにじみ出て、クライマックスの講演で一気に凝縮される仕掛け。見事な押し引きの呼吸、そして演出です。 |
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