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タイトル名 |
ブラックホーク・ダウン |
レビュワー |
奥州亭三景さん |
点数 |
1点 |
投稿日時 |
2002-05-15 15:25:23 |
変更日時 |
2002-05-15 15:25:23 |
レビュー内容 |
えーと、少し考えて思ったのは、意外にみんな”他人事”なんだね。「パール・ハーバー」に対して大きく評価が割れたけどこれについてはそうでもないよね。でもこれもよくよく見てみると、なんか腹立たしい。まず1点、アメリカ側の視点でしか捉えられてない事。アメリカ「兵」の視点でということで、国家的な視点じゃ無くて個人的な視点が出来てると言う人がいますが、それ以前になんでアメリカが軍事介入してるの?って言う事については一切触れてないよね、(正確には冒頭でちょこっと出てくるけど、それだけ)ただあそこでアメリカ兵が交戦した訳じゃなくて、やはり理由があるんですよ。でもそれには殆ど触れずアメリカ兵の視点でと言われても説得力は無いです。それから2点目、1点目の裏返しになるけど、ソマリアの民兵がまるでエイリアンかゾンビの様にしか映像的に見えない事、あたしが見ているとどうしてもソマリア民兵がおぞましくしか見えない。出鼻でいきなり民兵がブラックホークを撃つ仕草するでしょ。隊長みたいな人がサングラスかけていかにも凶悪そうにしか見えないでしょ。死んだデルタフォース隊員を禿げ鷲が群がるように取り囲むでしょ。どう見たってソマリア民兵が悪者だよね。それをアメリカ兵がバンバン撃ち殺していく。この論理って良くあるアクション物の凶悪殺人犯グループとか巨大麻薬組織相手に戦ってるようにしか見えないんですよ。それを現実描写にわかりやすく戦争映画にしてるように思えて仕方が無かったです。そして3点目、この映画に主張がない事。1、2点目で挙げたように映像は基本的に一方的、それが普通のスペクタクルとしての戦争映画なら別にどうって事はないです。でもこれは普通のスペクタクルとしての戦争映画で無くなっている事は明白なんです。普通に戦争映画つくるならわざわざこんなに意味がたっぷり含まれた事件である必要性は絶対に無いです。それをぬけぬけとリドリー・スコットは「見た人に考えて欲しい云々~」・・・あれだけ誘導性の高い映像表現で自己主張をせずに見た人に考えて欲しいと言ったって、出て来る答えは良くて兵士の心情が読み取れるとか、この作戦は失敗だったとか、最悪なのだと「ジョッシュがカッコイイ」とかでしょ。あの軍事介入が正しかったか、間違っていたのかをリドリー・スコットはハッキリさせるべきだったと思う。CNNで裸にされたアメリカ兵がソマリアの民間人に引きずりまわされた映像は本当に見るに耐えない映像だったが、個人的にはソマリアの人を非難する気は無いし、アメリカのソマリア軍事介入は絶対に間違っていたと思っている。あの戦闘で19名の兵士の命が失われたと最後にでるが、どうせならあの戦闘で死傷したソマリア人の推定数も出さなきゃ公平じゃないよな。リドリー・スコットって監督は大きく評価される前だったらこういう映画でもスパッと応えを見せたと思うけど、どうも最近、評価されすぎて駄目になったかな?映像はそういった主張を抜きにすれば悪くない。むしろ出来は良い映画だ。しかしそれだけにこの映画の主張部分が無い事が大きな欠点になっている。映像の出来の良さだけで1点献上。 |
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