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タイトル名 |
女相続人 |
レビュワー |
へちょちょさん |
点数 |
9点 |
投稿日時 |
2003-12-15 13:06:42 |
変更日時 |
2003-12-15 13:06:42 |
レビュー内容 |
「壁の花」という言葉がある。舞踏会で誰にも相手にされぬ魅力に乏しい娘を揶揄したものだが、本作のヒロインであるキャサリン(オリビア・デ・ハヴィランド)は正にそんな女性だ。「人間は外見ではなく人柄だ」と安直なヒューマニズムを謳うような凡作をワイラーが撮るハズもないので弥が上にも期待は高まる。何しろ原作はヘンリー・ジェイムズだ。登場人物の心理描写にかけては一級品のジェイムズ原作を如何に料理するかがワイラーの腕の見せ所。観終わった結果は…確かに凡作ではなかった。が、ジェイムズ原作を凌駕するには至っていない。デ・ハヴィランドは本作で見事オスカー(主演女優賞)をゲットする名演技ではあった。が、原作のキャサリンが有する絶望感に迄は及んでいなかった。ココが実に惜しい。マイナス1点。とは言え、充分に見応えがあるのは疑いようもない事実。殊にラルフ・リチャードソン扮するスローパーが娘キャサリンに示す歪んだ愛憎表現は絶品である。自分を裏切ったモンティ扮するモーリスがドアを叩き続けるのに耳も貸さず、閂を掛けてゆっくりと階段を昇ってゆくキャサリンの鬼気迫るラストも実に素晴らしい。階段を使わせたらワイラーの右に出るものは無いと本作でも実感。 |
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