みんなのシネマレビュー
ある兵士の賭け - 鱗歌さんのレビュー
◆検索ウィンドウ◆

◆ログイン◆
メールアドレス
パスワード

◆ログイン登録関連◆
●ログインID登録画面
●パスワード変更画面

◆ヘルプ◆
●ヘルプ(FAQ)

◆通常ランキング◆
●平均点ベストランキング
●平均点ワーストランキング
●投稿数ランキング
●マニアックランキング

◆各種ページ◆
●TOPページ
●映画大辞典メニュー
●アカデミー賞メニュー
●新作レビュー一覧
●公開予定作品一覧
●新規 作品要望一覧照会
●変更 作品要望一覧照会
●人物要望一覧照会
●同一人物要望一覧照会
●関連作品要望一覧照会
●カスタマイズ画面
●レビュワー名簿
●お気に入り画面
Google

Web www.jtnews.jp

タイトル名 ある兵士の賭け
レビュワー 鱗歌さん
点数 6点
投稿日時 2024-12-29 10:08:19
変更日時 2024-12-29 10:08:44
レビュー内容
この世で一番おっかないものは、「ふるやのもり」。ってことで。
愛情には恵まれているが建物には恵まれず、雨漏りの酷い孤児院で暮らす子供たちのため、座間~別府1300km強を14日間で踏破するチャリティに挑んだ駐日米軍人の物語。石原プロの作品ですが裕次郎は準主役の位置に下がり、セリフの多くは英語。冒頭のクレジットも英語表記で、やはり国際市場を狙ってたのかなあ、と。回想や後日談で戦争を描くシーンもあり、人的物量の点では物足りないながら、スペクタクルが織り込まれてます。
物語のメインは二人の兵士の行脚、ということで、その旅を追いかける形で、日本各地でロケ撮影が行われてますが、多少の混乱(?)もあって、尾道のシーンでは東向きに逆走して歩いていたり(こういう構図で撮りたかったんだろうから目くじら立てる話でもないけど)、広島市~錦帯橋のシーンの前に、岩国を歩く彼らの新聞記事が挿入されたり(これはさすがに何とかなったのでは…)。
ただ、これは製作時に意図したことではないんでしょうけれど、今見ると、バブル以前の「懐かしい昭和の日本」の光景が、映画のあちこちに散りばめられていて、こういうのは何だかイイなあ、とか思っちゃう。この一点だけをとっても、充分に貴重でユニークな映画に仕上がってます。
しかし主人公のアレン大尉、この無謀な挑戦をやり遂げるため、決然と歩き続けるのはいいけど、こんなどことも知れぬド田舎を歩くのは日本人だって不安だしまごつくもの。なのに、地図を眺める場面一つ無く、まるで既知の道であるかのように歩き続けるだけ。ちとインチキ臭く見えてしまう。一方、主人公に同行するテキトーな方の兵士、途中で体調を崩し車で大尉に追いつくのですが、これって旅の趣旨からすると反則のような…。
あと、関門海峡はどうやって突破するかと思ったら、物語の舞台である1960年にはすでに関門トンネルが開通してたんですね。で、二人はエレベーターで人道トンネルへ。ちなみにこの人道トンネルは国道2号線に指定されており、かつ、国道は他の道路と分離してはいけないので、このエレベーターも実は国道の一部なのだ、と言う話を聞いたことがあるのですが、国土交通省中国整備局のHPによると、それは事実らしい。
という余談はさておき、裕次郎が演じるカメラマン、どうも単細胞過ぎて困っちゃう。彼の心の変化が物語の重要なテーマとなっているので、最初はダメな奴として描かれててもいいんだろうけど、カメラマンという設定を作中で活かせていないのは、これはいかがなものかと。確かに、戦場の場面では身の危険を顧みずカメラを取りに行こうともしますが、基本的にこの人からは、カメラマンの矜持というか、「カメラが持つ力」への信頼、というものが感じられない。戦場において悲惨で理不尽な状況に出くわした時、怒りに駆られもするだろうけれど、戦場カメラマンとしてすでに多くの悲惨な光景を見てきた筈なのに今さら、この目の前の光景だけが特殊だと言わんばかりの反応を示すのも妙だし(それまで全く戦争の汚い部分を目撃しなかったのか?)、しかもその反応が「兵士を殴る」だなんて。そのカメラでもって世の中を変えようと思わないんだろうか、カメラにその力があると思わないんだろうか?
アレン大尉に対する怒りがあるとは言え、わざわざつきまとってイヤミを言いに行くのも、いかにも小市民的。その彼もやがて心を動かされていくのだけど、その様の描き方といえば裕次郎フェイスのしかめ面を再三見せつけるばかり。それだけではこちらの心は動かされません。
裕次郎の描き方がイマイチなら、三船敏郎もなんだか窮屈そう。言葉遣いだけは豪放磊落なんだけど行動にそれが反映されず、演じがいが無さそう。
やっぱりジェームス三木は、映画ではなくテレビ向けの脚本家、なのでは。
ところで、映画の中では、徳山コンビナートやらガソリンスタンドでの電話拝借やらで出光興産を持ち上げてますが、もう一つ、見る側の違和感を顧みず投入されているのがサントリーへのヨイショ。工場で純生ブランドのビールが生産されてます。開高健と山口瞳の「やってみなはれ みとくんなはれ」を読むと、ついサントリーのファンになってしまうのですが、戦前に手放したビール事業を再開したのが昭和38年(この時に寿屋からサントリーへ社名変更)、当初は大手三社の寡占状態の中で苦戦を続けるも(ただしアサヒビール山本社長との間にちょっとイイ話あり)、昭和42年に投入した起死回生の一発が、この純生。この映画の頃だと、サントリーも押せ押せムードだったのかなあ。とは言え、後のプレミアムモルツの発売まで、サントリービールの万年4位状態が続くのだけど。
そうか。どうしてこんなに三船敏郎のノリが悪いのかと思ったら、サッポロビールじゃなかったからか。
鱗歌 さんの 最近のクチコミ・感想
投稿日付邦題コメント平均点
2024-12-29ある兵士の賭け66.75点
2024-12-22逢びき88.04点
2024-12-21心の指紋86.36点
2024-12-15クイック&デッド85.47点
2024-12-15日本侠客伝 刃77.00点
2024-12-07どぶ鼠作戦87.80点
2024-12-01ツォツィ76.28点
2024-11-30ザ・リング75.13点
2024-11-30グラディエーターII 英雄を呼ぶ声76.40点
2024-11-24犯罪王リコ87.50点
ある兵士の賭けのレビュー一覧を見る


Copyright(C) 1997-2025 JTNEWS