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タイトル名 |
バンド・ワゴン(1953) |
レビュワー |
鱗歌さん |
点数 |
9点 |
投稿日時 |
2016-04-24 09:02:28 |
変更日時 |
2016-04-24 09:02:28 |
レビュー内容 |
19世紀生まれのフレッド・アステアは、当時50歳を過ぎていて、超人的なダンスとはいかないけれど、それでもターンのキレなどにはさすがと思わされます。比較的長回しで撮られているドラマの部分には、持ち前のスマートな身のこなしと飄々とした表情で応え、一方、ミュージカルの部分は、歌やダンスの腕前を披露しつつ、さらには終盤の舞台公演ダイジェストシーンなどは賑やかなカット割りも加わっての躍動感。 いずれにしても、ここでアステア演じる主人公トニー・ハンターもまた、すでに過去の人となったミュージカル俳優。新作舞台に起用されるも、ファウストを元にしたというヘンテコリンなミュージカルは大コケ。しかしトニーを中心に新しく組み直した公演は大ヒットして、めでたしめでたし。という訳で、他愛ないオハナシというよりも、そもそもオハナシなんてロクに無くって、実際のアステアという俳優と、彼が演じる主人公と、主人公の演じるミュージカルが、互いにシンクロし合う。オハナシなどそっちのけで、何かにつけて歌とダンスを無理にでも押し込み、なかなかに贅沢な趣向です。で、結局は何といっても、やっぱりアステアだよね、ミュージカルだよね、これぞ、エンターテイメントだよね、と。 って言っても、まださほどミュージカル映画を懐かしがる時代でもなかったとは思うのですが、でも実際、こういう軽いノリの作品は作りづらくなっていっちゃう。それを嘆くのではなく、あくまで陽気に往年のエンターテイメントを楽しみ、ときには「楽しい」って何だろう、エンターテイメントって何だろう、ってなことを考えてみるのもよろしいかと。 |
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