|
タイトル名 |
コレリ大尉のマンドリン |
レビュワー |
鱗歌さん |
点数 |
5点 |
投稿日時 |
2025-05-01 12:52:36 |
変更日時 |
2025-05-01 12:52:36 |
レビュー内容 |
まず映画開始から南欧の素晴らしい光景が広がって、ニコラス・ケイジはなかなか登場しないのですが、実際、この光景に、ニコラス・ケイジは不要でしょ、と。ペネロペ・クルスがいて、クリスチャン・ベールがいて、いっそこのまま『潮騒』でもやればいいのに。 などと言うのはもちろん本心ではなくって、それでも敢えて、この冒頭に似合わないニコラス・ケイジが登場するからこそ、物語が動き始めるのですが、とにかく、そんなこともふと思っちゃうくらいに素晴らしい光景を見せた時点で、この映画は成功ではないでしょうか・・・ ・・・と言いたかったのだけど。どうもこの作品、いささか表面的、という印象が拭えません。 一種の三角関係が描かれるのですが、どうもその描き方が無難過ぎ、というか。ニコラス・ケイジ演じるコレリ大尉という人は、こんなところまでわざわざマンドリンを担いでやってくる音楽好きで、どうやら、「だからいい人」らしい。んだけど、どういう訳でこの大尉にペネロペ・クルスが惹かれるんだかが、よくわからない。「いい人」には違いないけど、意外性がなく、「平凡」でもある。彼女の視線の描き方があれほど印象的であったのに、こんなに男を見る目が無かったのか。やけに出来レース的な恋愛で、しかも三角関係なんだからそれなりに修羅場になりそうなもんですが、これもやけに無難な描き方にとどまっています。こんな不完全燃焼に終わるのなら、いっそクリスチャン・ベールとペネロペ・クルスは兄妹という設定にでもしておけばよかったんじゃなかろうか。 この平和なギリシャの島も、第2次大戦ではイタリア軍に占領されたり、ドイツ軍に占領されたりしてたんだよ、ということで、知られざる歴史に光を当ててみせるのは、それはそれで大事なことだと思うんですが、詰め込み過ぎて表面的な描き方に終始したのでは、意味がない。この美しい村が戦争で破壊されていってしまう、という描写がキモとなるはずなのですが、そういう衝撃的であるはずのシーンですらあまり衝撃的になりえていないのは、やはり描き方が表面的なのでは。正直なところ、破壊を惜しんだり悲しんだりする気持ちが皆無とは言わないけれど、やっぱり破壊されるシーンがここで入るよなあ、という出来レース的な印象があるのも事実。 さらには戦後の場面で唐突に地震までが描かれるに至っては、これはもう、完全に消化不良を起こしてます。 で、蛇足とも言うべきラスト。もうここまで来ると、逆に面白くなってくる(笑)。 この映画。冒頭は良かったんだけとなあ。 |
|
鱗歌 さんの 最近のクチコミ・感想
コレリ大尉のマンドリンのレビュー一覧を見る
|