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タイトル名 |
PARKS パークス |
レビュワー |
キムリンさん |
点数 |
6点 |
投稿日時 |
2017-05-01 19:56:07 |
変更日時 |
2020-05-18 15:11:41 |
レビュー内容 |
前半では取りとめの無い何気ない会話シーンを演じるのが如何に難しいかを、 嫌というほど感じさせられてしまうようなシーンが延々と続くので、これを2時間も見続けさせられ るのかと正直途中で不安になりました。 主人公3人は頑張ってはいるのですが、やっぱり会話の白々しさ、わざとらしさが耳に障りました。
ハルが現在と過去を行ったり来たりする辺りからそんな雰囲気が変わり始め、にわかにハルは一体何者?というミステリ アスな雰囲気が漂い始め、彼女と晋平さんとの不思議な交わり、そして抽象的なイメージ映像など、ようやく私的には 映画らしくなったと感じました。そのままエンディングまでは一気に引き込まれ後味も悪くなかったです。 それゆえに、前半部分をもう少し何とか整理してほしかったですね。 2時間はやっぱり長すぎました。
それとこの映画制作のきっかけが吉祥寺や井の頭公園への思い入れからだったそうですので致し方ないとは 思いますが、あそこまで無理やり街のプロモーションビデオ化しなくても良かったのではないでしょうか。 60年代の吉祥寺の駅舎とかのモノクロ写真が何枚も映されていましたが、いくら吉祥寺が住みたいまちラン キング第一位だとしても、あれを見て懐かしがる人はごく限られると思います。これではなんか60歳以上、 吉祥寺周辺に住んだことある人限定映画となってしまっているのでは。
井の頭公園とは直接関係なくても、東京オリンピックとか、学生運動とか、フォーク集会とか、50年前の世相を 映す映像をいれた方が、一般の人にも佐知子と晋平のいた頃と今との時代背景の対比が理解しやすくなったのではない でしょうか。
いずれにしても舞台となった井の頭公園、映画の余韻に浸りながら久しぶりにじっくり歩いてみたくなりました。
追記(めちゃくちゃネタバレしてますのでご注意ください)
良く考えたら、トキオは佐知子さんの孫なのに、高校生のハルは晋平さんの娘っていうのはどうも年代が合わない気がします。 昨今では高齢で子供を作るのは珍しくはありませんし、男性の場合はいくつになっても可能だとは言われます。でも、ハル が晋平さんと時を超えて一緒にいるシーンなんかで、父娘であればお父さんとか呼んでもよさそうなのに、全然親子の雰囲気 が感じられませんでした。そこで考えたのですが・・・
脳梗塞で先月急死してしまった佐知子さんは晋平さんとの思い出の曲をぜひ50年後の世界で完成させてもらいたくて、あの 世から佐知子さんの分身としてハルを送りこんだということでは。 純が最初に完成させた曲が気に入らないとハルがいうのは、佐知子さんの気持でもあったのでは。 ハルという名前も桜の季節の春を連想させますし、最初に純の前に突然現れたのも風の吹く中でした。ハルは春のそよ風に 乗って純の前に現れたのではないのでしょうか。 最後の方で白いブラウスを着たハルが満足げに去って行くのは、佐知子さんの満足とダブっていたのでは。 こう考えると純が「本当は誰なの」というセリフもつじつまが合うような。
病院の待合室でハルの毛布を掛けてあげる健太は、寺田さんだったのでしょうか(寺田さんの下の名前が伏せられている のは敢えてそこいら辺をぼやかすため?)、寺田さんの家でハルに毛布を掛けてあげるのは、このシーンの伏線だった のでしょうか・・・
などと次々に考えさせられて引きもまれて行ってしまう随所に意味深なシーンが埋め込まれているこの映画、意外と奥が 深くて練りに練られたストーリーなのかもしれないと感じます。
たしかに多くの地元にゆかりのミュージシャンが出演していて(どのシーンだか分かりませんでしたがエンディングロール を見ると、あさみちゆきまで出演していたようです)、この映画を音楽映画として期待するとちょっと期待はずれな部分 はあったのかもしれません。
一度見ただけでは完全に理解するのは無理のようです。ビデオが出たら再観賞してみたいと思います。 ぜひ他の方の意見もきかせてほしいです。 |
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