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タイトル名 |
デビル(2010) |
レビュワー |
りりらっちさん |
点数 |
7点 |
投稿日時 |
2015-05-13 22:49:59 |
変更日時 |
2015-05-13 22:49:59 |
レビュー内容 |
人間の中には善と悪があります。 シャマラン監督は、弱い人間の小さな善が悪に打ち勝つストーリーを、いつも描いてくれる。 ちょっとファンタジーが入ったような描き方で、観る側の好き嫌いが別れるのですが、この描き方がクセになってシャマラン映画のファンになるワタシのような人間も多いでしょう。
今回は、警備の太っちょさんが、シャマラン節をうならせてくれました。 現実だったら、誰も彼の言葉には耳を貸さないでしょう。映画でも彼は「イタイ奴」扱いされてしまうのですが、悪魔のばらまいた様々な符牒が少しずつ合いだし、悲劇が突き進むうちに、妻子をひき逃げされアルコール依存症で死にかけたスーパーリアリストの刑事さんも、彼の言葉に耳を傾けるようになります。
この「信じがたい言葉にも耳を傾ける」姿勢、「悲劇を回避するためにありったけの努力をする」姿勢、それが人間の善に通じる力なのでしょう。 たとえ大切な家族を失ってひどく傷つけられ苦しんだたとしても、最後には、人間を信じ、罪を許す、という不可能に近いほど困難な事を成し遂げる。それが人間のもつ最大の善なのでしょう。
シャマラン監督の映画は、人間を信じさせてくれる。 ホラーでもミステリーでもSFでも、根底に流れるテーマは同じ。 今回は原作がシャマランであって監督は別の方ですが、この監督の、決して目をそらさせずに緊張感を持続し、最後までストーリーをひっぱるやり方も、なかなかです。 エレベーターって普通に人が何も考えずに利用するものだし、誰もが「閉じ込められたらどうしよう」と一度くらいは考えたことあるだろうし、題材としてすごくいい。観客は、みんな自分が閉じ込められている側の気持ちになって観ていたんじゃないかな。
奇抜さはないけれど、心理的にジワジワくるのでホラーとしても良作。 観賞後の後味もとてもよかった。オススメです。 |
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