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タイトル名 |
黙秘 |
レビュワー |
りりらっちさん |
点数 |
7点 |
投稿日時 |
2013-06-04 22:45:54 |
変更日時 |
2014-05-10 00:57:05 |
レビュー内容 |
邦題をつけた人は悩んだでしょうね~。 原題「ドロレス・クレイボーン」にしたら、入る客も入らんだろう…と考え、頭をひねったに違いありません。
実際に観てみると、この作品は「ドロレス・クレイボーン」という映画以外のなにものでもなく、頑張って考えたであろうタイトル「黙秘」は、テーマからやや…いえ、かなりズレています。 この映画は「母と娘」の話ではなく、「娘を思う母」のストーリー。「ドロレス・クレイボーン」の物語なのです。
よくできた映画だけど物足りない、と観る側に思わせてしまうのは、観る側が「ドロレス・クレイボーンの物語」を観に来た、という自覚がないせい。「黙秘」を観に来た観客だからです。 作品「ドロレス・クレイボーン」として観ると、なぜこのシーンでこの見せ方?なぜ曖昧なセリフ回し?なぜここでその撮り方?といった疑問がキレイに払拭されます。 ファーストシーンからラストシーンまで、すべてドロレスの人生、ドロレスの選択、ドロレスの意志を描いているのです。
実はワタクシ、15年以上前にこの作品をレンタルして観ているのですが、その時はドロレスの夫のDVが非常に衝撃的でした。 現在ほどDVや虐待が一般に認知されておらず、「特殊な事」だと思われていた風潮のせいもありますが、ごく普通の田舎の妻が夫から激しいDVを受けたシーンは、とてもリアルで怖かった。 そして、暴力を受けた同じ日のうちに夫に対して命がけの反撃をし、しかし娘にだけは何も知らせないように努力するドロレスに、子を愛する母の強さを見ました。
この作品は、謎解きでもサスペンスでもなく、閉鎖的な地方の男社会の中で生きる中年女性ドロレスを描いたストーリーなのです。 無力な立場にいても、決して無力ではない。たとえ自分の手を血に染めようとも、守るべき大切なものを最後まで守り抜く。 そんな、虐げられる立場のひとりの傑出した女性の物語でした。 |
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