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タイトル名 |
戦場のピアニスト |
レビュワー |
小原一馬さん |
点数 |
0点 |
投稿日時 |
2003-09-12 00:22:57 |
変更日時 |
2003-09-12 00:22:57 |
レビュー内容 |
これがポランスキーではなくて、カンヌで賞もとってなくて、何にも期待していなければ、ポーランド人が英語をしゃべってるところで見るのをやめたかもしれない。(でもドイツ人はドイツ語をしゃべってるんだ、これが。)あるいは、すでに誰もが知ってるワルシャワのユダヤ人の歴史を、ポーランド分割からナチ崩壊までの5年間を、これからまた例のごとくの演出で三時間見せられるのだと覚悟を決めさせられるところで。ピアノを滅多に弾かないピアニストの映画だけど、その数少ないピアノのシーンのうちの一つは、逃亡生活の果てにたどりついた隠れ家にとうとう見つけたピアノを、命が惜しいために弾くふりですませてしまう。ピアノを愛するものなら、死んでも弾いてしまうところなんだろうが、そういうひとは実際死んでしまって手記も残せなかったのだろう。また、あの場面。やせほそり、筋肉の削げ落ちた指がたたき出す不自然に華麗な旋律。ピアノを弾く全ての人が、毎日の練習をさぼったとたんに訪れる「ああ指が動かない!」という思いを主人公は決して感じたりはしない。その間にあった5年間のブランクは彼の指にはおこりえない。妻いわく、この映画の教訓は「芸は身を助く」なのだそうだが、彼が自分から行動するのは、たった一度だけ。武装蜂起にいよいよ立ち上がらんとする友人に、唯一人自分勝手に逃亡の手助けをさせるその瞬間のみだった。あとはただ流されるまま、感謝もなく他者の好意に甘え、自分の食欲を満たすことのみにわずかながらの執着をみせていた。ピアニストとしての才能以外には、たしかにどこにでもいそうな人間のリアルな姿かもしれないが、そこにたとえば芸術家としての誇りなり、こだわりなり、生きがいなりといったものは見つけられなかった。あの戦争の前後において、彼は同じショパンの作品(これは僕のもっとも愛した作品でもあるが)を弾いてみせるが、ホロコーストの経験をその後者に聴く事ができるという人がいれば、お目にかかりたいものだ。 |
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