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タイトル名 |
ユージュアル・サスペクツ |
レビュワー |
FSSさん |
点数 |
5点 |
投稿日時 |
2003-07-05 06:54:11 |
変更日時 |
2006-09-29 02:48:03 |
レビュー内容 |
「カイザー・ソゼの正体が分かっても、必ずしも本人であるとは限らない」とは言うものの、そんな事を言い出したら、作中での証言や出来事も「何でもアリ」にしてしまえるワケで。
基本的に話している事のほとんどすべてが事実ではないのだから、結局は「意外性のためのオチ」という印象は拭えない。
ミステリーに例えると、推理材料としての「殺人現場の目撃証言」がウソで、しかもそれが「犯人の意外性」のためだけに最後まで「本当である」と作者に保障されていたようなもの。優れたサスペンスやミステリーというものは、序盤の謎や伏線がラストのどんでん返しに向けて「有機的かつ論理的」に結びついている事が大前提。そうした節度を設けなければ、結局、作者の都合次第で「何でもアリ」の許容範囲をいくらでも広げてしまえるからだ。その論理的な解決のカタルシスが作品の面白さに直結するものだと思う。
残念ながらこの作品には、そういう意味での考え尽くされた伏線や謎はなく、オチに「論理的必然性」が欠けているのは確か。それこそさらに一段捻って、話を聞いていた警部がボスでした、という展開にしてしまってもいいくらい、ボスが特定の誰かである必然性がないということ。まあ、その不確実性こそが、この作品の「狙い」なんでしょうが…。 |
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