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タイトル名 |
リリイ・シュシュのすべて |
レビュワー |
K・Tさん |
点数 |
9点 |
投稿日時 |
2004-08-27 20:23:50 |
変更日時 |
2005-02-28 12:47:49 |
レビュー内容 |
圧倒的な映像の鮮やかさの前に、精神の揺さぶりを感じた。少年の心と対比するような、田園の緑には、病みつきなる美しさがある。この映画が他の同じ題材、素材を扱った映画と一線を画すところは、やはり客観性にあると思う。すべての人物を等価に扱っていて、こういうテーマで陥りやすい、安易な押し付けがましい、メッセージを排している。監督は、あくまで少年たちの、内面世界を画くことに徹している。鬱屈とした彼らの叫びを、青臭い心のフィルターを通して、表現することに成功している。映画中に散らばったシーンの断片が繋がるとき、映画と僕との距離は確かに狭まり、同時に溶け込んでいくような感動を覚えた。篠田昇の映像美は、痛々しいほどの叫びとの、対比なのか、それとも、彼らの心の奥底に、確かに鼓動している小宇宙の象徴なのか。ラストのシーンから大きな希望を感じるのは僕だけではないはずだ。閉塞された世界から未来への成長を感じる。どんな青春映画より、感情移入できたし、これは傑作だと思う。 |
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