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リバティーン - あにさきすRさんのレビュー
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Web www.jtnews.jp

タイトル名 リバティーン
レビュワー あにさきすRさん
点数 8点
投稿日時 2006-04-13 01:11:12
変更日時 2006-04-14 02:53:20
レビュー内容
ジョニー演じるロチェスター伯爵は、可憐なほどに正直で、純粋で、幼い人物だ。
ひとには好かれるよりは嫌われていたいというタイプ。
神とも人とも和合したくないが、それが人間として必要ならば、何故神は信仰をもっとイージーなものとして人々に与え得なかったのかと問う。
神父は、君はわざわざ理性で信仰に反抗していると答える。
この作品の、特に後半、友人関係も家庭もむちゃくちゃにして悲惨極まりない主人公を見ていて、個人的にどうしても思い出したのが
ウオルフガング・アマデウス・モーツァルトと中島らもだった。
どちらも、作品と名声のレベルはぜんぜん違うとはいえ
享楽的で破滅型で型にはまらないボヘミアン体質は似ている。
しかし、女好きアマデウスは「楽天的放蕩タイプ」で
アル中らもさんは「自己破滅願望型享楽タイプ」だった。
自らの人生、命そのものを呪いうらみ、ずたずたにされる事を祈りつつ遊び狂うという点では
らもさんとロチェスターの方が共通項は多いかも。と感じつつ見ていたわけで。
しかしロチェスターは、王と親交を持ち、外交問題に発展しかねない大舞台でクソポルノを繰り広げるスケールのでかさと迷惑度があるのだが。
しかも自らの大パトロンであり、「I LOVE YOU」と発言する王のご前でだ。
そして、(変な比較にこだわってすいません)らもさんの奥さんは
アレだけアル中のクソまみれで躁鬱でめちゃくちゃになったらもさんに対し
「いやな思いでも辛かった事もひとつもない。本当に楽しい毎日だった」と証言していた。多分本当にそうだったんだろう。
ロチェスターは、生真面目に自分を愛し、生活を変えて欲しいと願う美しい妻にいらだちながら、その愛に唾を吐き、梅毒で崩れていった。
人にとって何が幸いか?
それが混沌としてわからない状態で、信仰だの神だの家族愛だのに、思うさま毒づきながら、ようは女たちの情のはざまで踊り続けたから、ロチェスターはロチェスターだったのだ。彼は彼なりに、神も人もうらみながら、あまりに正直に女たちを愛し続けたのだと思う。
映画には、映画でしか感じられない感慨と情念が欲しい。
この作品の最初と最後に、それが凝縮されている。
成功作でないまでも、自由と放埓が人に天国と地獄を見せるおかしみと悲しみの狂言回しとしてのジョニー・デップの、愛すべき演技力と資質に、とりあえず、脱帽しておきたい。
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