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タイトル名 |
穴(1960) |
レビュワー |
ペリエさん |
点数 |
9点 |
投稿日時 |
2005-06-09 19:03:18 |
変更日時 |
2005-06-09 19:03:18 |
レビュー内容 |
潜望鏡や砂時計など面白いアイディアはあるものの、穴を掘っているシーンにおける演出が素晴らしいです。穴を掘るシーンも鉄柵を切るシーンもほとんど役者の表情を映さず、頑強なコンクリートや鉄柵を長回しで映し出す。男達はひたすらコンクリートを打ち砕き続ける!頑強なコンクリートはなかなか穴が開かない、それでも打ち続ける!ひたすら打ち続ける!穴が開くまで打ち続ける!音楽はなく、セリフもなく、静寂のなかに響き渡る無機質な破壊音、狭い空間に充満する男達の熱気、これらが作り上げる緊張感は半端じゃない。観ている側も囚人達の一人になった感覚で「開け!開け!開け!」と念じてしまうこと間違いなし!脱獄映画は数多くあるものの、緊張感ではこの映画に勝てるものはないです。そして衝撃のラスト・・・ガスパールを情けない奴だと思う気持ちはあるが、責める気にもなれない。彼のしたことを正しいとは言えないまでも、間違っているとは言い切れない、ただ自分の選択に対する重苦しい結果だけが圧し掛かってくる。「情けない奴だ」とジョーは言うが弁解したりすることは許されない、ガスパールにできることは無言で自分の選択に対する結果を引き受けることだけだ。生きていくとは決断することだとすれば、こういうことなのだろう。
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