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タイトル名 |
そして、ひと粒のひかり |
レビュワー |
花守湖さん |
点数 |
9点 |
投稿日時 |
2006-07-09 22:30:22 |
変更日時 |
2006-07-09 22:30:22 |
レビュー内容 |
あの聖母マリアを連想させる神々しい名前とは裏腹にコロンビアに住むマリアは妊婦でありながら麻薬を体内にいれて密輸を行おうとして「母親失格」」と友達から罵られていましたね。もちろんこれはマリアの行動や考え方を批判する映画ではないと考えます 。マリアを通してコロンビアという国がいかに問題を抱えているのかよく分かりました。胃の中に麻薬を詰め込んでアメリカへ密輸する運び屋の報酬は5000ドルで、マリアがその仕事のために62粒の麻薬入りのカプセルを飲み込むシーンは、簡単にいうと、「おえー」となります。目を蔽いたくなってくる。しかし、しょせん日本人には理解できない状況なのでしょう。なぜなら日本ではそういうことを行う可能性が限りなくゼロに等しいからです。コロンビアには可能性がある。この国では日常的に麻薬というものが横行しており、そのうえ貧困を抱えている。つまりいつでも麻薬に身を委ねる可能性があるのです。 たとえばお金に困っていたら、突然、知り合いから「バイトでもしないか?」という軽い口調で「麻薬でも運んでみないか?」と言われるのである。 もし私にその可能性が訪れた時、果たして断りきれるのだろうか?それとも確実に自分は絶対そんなことはしないと言って、それを行ったマリアを非難するのだろうか。 ・・・・・・・。アメリカから再びコロンビアに帰ろうとした空港でマリアは、今度行く予定の産婦人科の検診日のカレンダーを見て、急に気が変わりアメリカに残ることを強く決意する。マリアがコロンビアを捨てた理由は彼女が母性に目覚めたからだという見方ができる。しかしそれ以上に子供を持とうとする女性の強烈な防衛本能がそうさせたのだと思う。現状のコロンビアがいかに危険な場所であるかということを、母親の本能をもって伝えている。巧い映画だと思います。
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