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タイトル名 |
ボルベール/帰郷 |
レビュワー |
花守湖さん |
点数 |
10点 |
投稿日時 |
2008-02-06 20:10:16 |
変更日時 |
2008-03-03 20:07:02 |
レビュー内容 |
風の音が心地良いです・・。これはオールアバウトマイマザーの続編でしょう。男はほとんど出てこないし、出てきても殺されるだけでした(ニガ笑)この監督の特徴でもあるのですが、女性がどんなに辛い目にあっても、誰1人として悲劇のヒロインを演じていない。超がつくほどに前向きに生きている。人殺しやレイプといった深刻な問題に直面しても、女性たちは明るさを失わない。少し能天気すぎるのでは?と思われるくらいが、生きていく上ではちょうど良い。それが困難に克つための秘訣なんだと改めて教えてくれる。女性たちが冷蔵庫を運ぶシーンが印象に残ります。男と女の違いは簡単にいえば力の違いです。重いもの持てるのが男。しかし女性たちは協力しあって、歯を食いしばり重い荷物を運ぶ、もう男なんて用無しよ、というわけです。そういう隠喩的な意味がこのシーンには含まれている。ペネロペは、もともと「女」を演じるよりも、「母」を演じるほうが似合う。母性の強い人だから、水を得た魚のように活きていました。テーマは母娘の葛藤。母娘の関係は、友達同士のような関係になるか、憎みあう関係になるかどちらかだと思う。NHKに「抱きしめるという会話」という広告が昔あり、母親が笑顔のない娘を抱きしめる映像がありましたね。あれは母親が息子を抱きしめる映像だったら意味がないんですよ。母親が戸惑いながらも、娘を抱きしめるということが、今一番必要なんだと思います。 本作では様々な母娘が出てきます。ペネロペ母と娘の関係さえ良好に見えて危うさが漂っています。しかしラストではペネロペ娘と母親の氷解があり、観客はカタルシスを得ることができる。息子を愛せない母親は非常に少ないですが、娘を愛せないと自信喪失している母親は大勢いるでしょう。しかしそれは多くの母親が抱えている悩みかもしれません。母娘の再生というテーマのこの作品を観れば自然と元気がわくのではないでしょうか。なぜか涙が出てくる素晴らしい作品でした!
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