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タイトル名 |
ソーシャル・ネットワーク |
レビュワー |
花守湖さん |
点数 |
9点 |
投稿日時 |
2012-01-27 22:29:37 |
変更日時 |
2012-01-27 22:29:37 |
レビュー内容 |
マークの心理描写は120分中、冒頭の7分弱で終わる。その後、マークの側にいたサベリンの心理描写が克明に描かれている。「おれが最初にマークを評価したんだ、おれがマークと一緒に成功するんだ!」という彼の焦燥感が伝わってきました。それなのに双子の資産家や山師のショーンがあとからやってきて、マークという宝の山の奪い合いをはじめる。金の匂いに敏感なやつらだ。勝者は嗅覚が優れている。比喩的な表現になりますが彼ら勝ち組は、マークという名の錬金術師を見つけたのです。そして政治家顔負けの謀略を繰り広げ、そのなかでサベリンが見事に脱落してしまった。この男の孤独が痛いほどわかる・・そしてこんなときのマークの心理描写は意図的に省略されている。すなわち製作者は、マークを物質的な「金のなる木」と見立てている。それゆえに主観は極力排除されている。彼は単なる金、もしくは宝の山の象徴なのだ。この手法により「金」に群がる者たちの人間模様─、右往左往し、そして一喜一憂するヒューマンドラマを描くことに成功した。そして裁判。どんな判決が出ても、けっして勝者がいない裁判。果たしてこれは本当に成功者の物語なのか?ハーバード連中の勝ち組の物語のようにみえて一筋縄にはいかないそんな曲者ぶりがこの作品には終始漂っている。ソーシャルネットワークという事象に限らず、才能溢れる人のまわりでは、常に大金が動き、独特の嗅覚をした奴らがそこに群がってきやがる。冗談じゃない。この映画はフェイスブックだとか、起業家の実像なんていう話はどうでもよくて、宝の山に群がる人間たちの人間模様を描きたかったのだとおもう。そしてその試みはじつに見事に成功したものだと考えます。
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