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タイトル名 |
羊の木 |
レビュワー |
TANTOさん |
点数 |
7点 |
投稿日時 |
2022-08-05 21:46:15 |
変更日時 |
2022-08-05 21:46:15 |
レビュー内容 |
まず大前提として、その人が本当は犯罪者だろうが一般人だろうが、初対面の人間に恐る恐る探りを入れながら話したり、色々質問ばかりされるのは至って普通なこと。まして新しく町にやってきていきなり新生活を始める大人が6人もいて、しかも小さな町でというなら質問攻めに合うくらいのことは当然だろう。どの登場人物も表現の違いはあれ、「私、元受刑者で人殺しなんです。察してね」オーラを出していてそこが余計な演出でくどく感じた。「私、今から一般人ですから!どうも!」くらいのほうがむしろ自然な気がする。
あと不自然なのは市役所の課長でしょうか。いや、直轄案件って。。。そんなん実際あるんかな。いや無いだろうな。あったとして、あんなセキュリティガバガバな人にそんな案件持ち込まんだろうな。私もこういうお役所の人とたまに接することがあるんですが、なんでこういう人たちって上のご機嫌伺いばかりで思考がフリーズしてる人ばかりなんでしょうね。こんな案件、ちょっと考えれば町の人口増加で地域振興になるどころか、犯罪者を呼び寄せる町だとバレて人口流出するリスクしかないだろう。あの課長が市長からなんかお手当てでももらっていればまだ現実味があったわ。
ここからは個人的な感想です。この映画のテーマの一つとして、出所した元犯罪者(人殺し)を一般人と同じように扱えるか、というものがあると思います。私は実際にそういう人にお会いしたことはありませんので、あくまでこうなるだろうなという想像しか語れませんが、たぶん私は平気で接することができると思います。もちろん相手の性別や容貌や性格によりますが、でも相手の性別や容貌や性格で接し方を変えるのは、別に相手が刑務所出じゃなくてもそうするので、それで良いかなと思っています。元受刑者、というのがその人との付き合いを考える上で全く無視できる要素とは言いませんが、逆に言えば他にもいろんな要素があるうちの一つに過ぎません。ちなみに私は体に障害があり、別にそれを聞かれれば答えるし隠してるわけではありませんが、それをことさら人前でアピールして人付き合いしようとは思ってません。この元受刑者たちがやってることはそういうことですよね。「元受刑者ってバレたらどうしよう」とか「おれ、人殺しなんだよね」とか自分から言い出すとか、「私に構って」というメッセージにしか聞こえない。大人6人の話でしたが、そういう意味では中学生みたいな話だなと思って見ていました。ありがちな、極端に元受刑者を差別するような話にも思えて、少し嫌悪感も抱きました。
この映画では結果として6人中2人が更生できなかったことになる。これが割合として多いのか少ないのかはわかりませんが、作中の魚深市役所の市長や課長の目論見は机上の空論でしかないということはわかったことでしょう。そんなに受け入れたければ市役所に勤めさせて全員あんたらの秘書にでもすればいいのに。もちろん住居はあんたらが世話して見つかるまではあんたらの家ね。どっかの議員や役所の偉いさんの思いつきみたいなアホなアイデアを真剣にやらされる現場の方の苦労をお察しします。なんかそんなふうに社会風刺として楽しめた映画でした。ちょっと違う楽しみ方だったかもしれませんが、個人の意見として、あしからずご了承ください。 |
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